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社会インフラのひとつに、都市高速の高架橋、山間部や河川を越えるための橋梁があります。
東日本大震災後、社会インフラの重要性が再認識されました。今回は、地震発生時に被害を最小限に留めるための「橋の安全装置」を紹介したいと思います。

 
 

落橋防止装置

阪神大震災では、旧形式のめがね型の落橋防止装置の多くが破損し、有効に機能しませんでした。
その反省を踏まえて普及したのがPCケーブルと鋼製ブラケットで橋桁をつなぐ形式の落橋防止装置です。橋桁同士、または橋台と橋桁をつないで地震発生時に落橋を防ぎます
 
定着部(丸いカバー蓋の中)に大きなバネがセットされていて変形追随性能にも優れているので、現在ではデファクトスタンダードな形式となっています。
 
端支点付近は他の付属物も密集しているので落橋防止装置を取り付けるスペースも狭く、近くで観察すると設計者や施工者の工夫や苦労が垣間見られると思います。
 

  • 主桁ウェブに取り付く標準的な設置例

    主桁ウェブに取り付く標準的な設置例

  • 主桁間にトラス構造を組んで設置した例

    主桁間にトラス構造を組んで設置した例

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

  • 主桁下フランジに設置した例

    主桁下フランジに設置した例

  • 橋の斜角がきつい例

    橋の斜角がきつい例

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
橋の斜角がきつい場合、橋脚との取り合いも複雑になります。
橋脚前面のデコボコした台座が設計・施工の大変さを物語っています。  
                                               
 
 
 
巨大なチェーンを組み合わせた例
巨大なチェーンを組み合わせた鎖タイプのもの。 現在はほとんど使われませんが、古い時代の橋に使われていることがあります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
チェーンをゴムで被覆した例
チェーンをゴムで被覆したタイプの落橋防止装置。
ゴムの復元力を生かして3次元の動きにも柔軟に対応できる優れもの。その名も「ツナイダル」
ネーミングは上から目線っぽいですが、橋を下からしっかりと守ります。

 
 
 
 
 
 
 

 

変位制限装置

落橋防止装置は橋台や橋脚から橋桁の落下を防ぎ、二次被害を防止します。一方、変位制限装置は地震発生時の水平力に対して橋桁の変位を最小限にすることを目的としています。設計条件に合わせて橋の進行方向と直角方向に設けられます。
 
支承高が高い場合、地震発生時に支承が壊れて橋桁が逸脱して桁端部と橋台に大きな段差ができてしまいます。これを防ぐために支承近傍に箱形状の段差防止装置を設置することがあります。
これにより段差の量を最小にして、緊急車両だけでも通行できるようになるのです。フェールセーフの考え方ですね。
 

  • 橋脚前面にストッパーを設置した例

    橋脚前面にストッパーを設置した例

  • 主桁下フランジにストッパーを設置した例(補強工事の施工)

    主桁下フランジにストッパーを設置した例(補強工事の施工)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

橋脚前面にストッパーを設置した橋軸直角方向の変位制限装置(補強工事の施工)

橋脚前面にストッパーを設置した橋軸直角方向の変位制限装置(補強工事の施工)


 
 
図1
(左)橋座面と橋桁のラップ長のことを「桁かかり長」といい、落橋を防ぐために所定の長さを確保しなければなりません。
(右)段差防止装置は支承が高い場合に設置されます。
 
 

制震デバイス

小さい揺れでは構造部材として働き、大地震時には橋全体が壊れる前に自身が先に壊れる(変形する)ことで、地震エネルギーを吸収する最新型も増えてきました。1台で2役の大活躍をするのです。
トカゲが敵に尾をくわえられたときに、自ら尾っぽを切って生き延びることを「自切」といいます。これと同じ考えですね。
 
常識的には地震に強く耐えるように設計するのが普通ですが、これではどんどん不経済になってしまいます。橋全体が大きく壊れてしまうと復旧するのに時間と費用が多くかかってしまいます。
あえて制震デバイス(身代わり部材)が壊れることで全体として被害を最小にすることは「減災」の考え方のひとつですね。
 
建築の世界で先行している技術ですが、近年橋梁でも大規模なアーチ橋やトラス橋の耐震補強工事に採用されることが多くなってきました。今後、新設橋梁での利用も増えていくでしょう。
制震デバイスの技術開発とパソコンによる解析シミュレーション技術の高度化が実現を可能にしたハイブリッド装置といえますね。
 
 

  • 斜張橋の主塔に設置された鋼材ダンパーの例

    斜張橋の主塔に設置された鋼材ダンパーの例

  • 大規模トラス橋の二次部材に鋼材ダンパーを設置した例

    大規模トラス橋の二次部材に鋼材ダンパーを設置した例

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
大規模トラス橋の二次部材に鋼材ダンパーを設置した場合、常時は構造部材として橋を支え、大きな地震発生時には自ら変形することで地震エネルギーを吸収し橋全体を守ります。その献身的な振る舞いには感動すら覚えます。
 
 
長大橋の主塔
長大橋の主塔には地震や台風による揺れを抑えるため、超高層ビルと同様に振り子式制震装置が設置されています。
振り子が地震とは逆方向に動くことで地震エネルギーを打ち消して揺れを抑えます。

 
 
 
 
 
 
 
 

土木とは経験工学

土木分野はよく「経験工学」と表現されます。技術者の心構えとして使われることが多いですが、過去の事例に学び、災害に学び、新たな知見を新技術に置き換え社会にフィードバックするという意味でも「経験工学」といえると思います。
 
阪神大震災以降、落橋防止装置の設置など耐震補強工事が進められ、重力方向の「落橋」防止には大きな効果を発揮してきましたが、先の東日本大震災では津波による浮力には意外なほど無力でした。これまで橋桁に対して上向きの力に対してはほとんど対策がとられてこなかったのです。
今後、沿岸部の橋梁には浮力に対しても対策が講じられていくことでしょう。
 

ここまで橋の代表的な安全装置を紹介してきました。
警察や消防と同じで、出番がないことが幸せの証である「橋の安全装置」。
できることなら出番なく役割を終えてほしいですが、災害時に被害を最小限にするために静かに出番に備えています。機会があれば、観察されてもおもしろいと思いますよ。
 
 
 
 

【この記事のライターは…】
 
保本 敬太
 
全国各地の橋梁写真記事が一部ドボクマニアに支持を得ている「Yasublog」 管理人。
出張先では仕事の合間に橋梁観察を欠かさない橋梁業界の片隅の人でもある。資格は1級土木施工管理技士、コンクリート技士、技術士補(建設部門)、VEL(日本バリュー・エンジニアリング協会)、基本情報処理技術者。ExcelVBAは自称プロ級の腕前。週末には草野球で白球を追う、阪神タイガースファン。好きな作家は伊坂幸太郎、荻原浩、東野圭吾、重松清。好きなTV番組はケータイ大喜利、すべらない話。

 

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