- 2015-10-27
- 土木施工単価
1. はじめに
昨年の通常国会において,現在及び将来の公共工事の品質確保とその担い手の中長期的な育成・確保の促進を図ることを新たに目的に追加し「公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律」が衆議院,参議院ともに全会一致で可決,成立し,同年6月4日に公布,施行されました。 改正品確法では,適正な利潤の確保のための予定価格の設定,低入札価格調査基準等の適切な設定,計画的な発注や適切な工期設定,適切な設計変更などが,発注者の責務として明確化されています。
改正品確法の発注者責務を果たすため,担い手の中長期的な育成・確保のための適正な利潤が確保できるよう,適切に作成された仕様書及び設計書に基づき,経済社会情勢の変化を勘案し,市場における労務・資材等の取引価格,施工の実態等を的確に反映した予定価格を適正に設定するため,土木工事積算基準を定める必要があります。
今回,「一般管理費等率及び現場管理費率の改定」,「市街地(DID)補正の改定」,「施工パッケージ型積算方式の拡充」等を行い,平成27 年度の土木工事積算基準から適用開始します。
本稿では,土木工事積算基準の改定内容について,説明させて頂きます。
2. 土木工事標準積算基準の改定について
(1)一般管理費等率及び現場管理費率の改定
適正な利潤及び人材育成・確保に係る費用を適切に積算基準に反映し,適正な予定価格を設定するため,一般管理費等率を改定します(図ー1参照)。

図-1 一般管理費等率の改定
また,現場管理費率についても,一般管理費等率の改定に伴い,現場管理費の外注経費(外注する際の一般管理費等)についても合わせて改定します(図ー2参照)。

図-2現場管理費率の改定
(2)市街地(DID)補正の改定
市街地では,住宅密集地での安全管理等の費用がかかり,仮置きヤード等の確保が困難なため,費用がかさむ傾向があります。最新の実態調査結果に基づき,共通仮設費を1.3 倍,現場管理費を1.1 倍へ市街地(DID)の補正係数を改定します。大都市以外の市街地(DID)における補正対象工種に適用します(表ー1参照)。

(3)施工パッケージ型積算方式の拡充
施工パッケージ型積算方式については,平成24 年10 月1日以降試行を開始し,平成25 年10月1日から拡充を行い,平成27 年4月1日時点で208 施工パッケージを導入しているところです。導入済みの施工パッケージについて,施工調査に基づき,小規模・人力工事や維持工事を中心に17 施工パッケージを改定(表ー2参照)するとともに,資材,労務,機械経費の物価変動に伴う標準単価及び機労材構成比の改定を行います。

改定後の単価は,「平成27 年度 施工パッケージ型積算方式標準単価表」「平成27 年度 東日本大震災の被災地で適用する施工パッケージ型積算方式標準単価表」として,国土技術政策総合研究所H P に掲載します(http://www.nilim.go.jp/lab/pbg/theme/theme2/theme_sekop.htm)。
また,平成27 年10 月1日以降に入札書提出期限日となる工事から,111 施工パッケージを追加導入します(表ー3参照)。これに伴い,施工パッケージ型積算基準についても拡充し,国土交通省HPに掲載します(http://www.mlit.go.jp/tec/sekisan/sekkei.html)。

3. おわりに
少子高齢化の進展に伴って,建設産業も高齢化や若年入職者の減少という構造的な課題に直面しています。
今回,改正品確法の発注者責務を果たすため,土木工事積算基準の改定を行ったところですが,担い手の確保が建設産業の大きな課題となっており,人材育成・確保の観点から,現場における処遇改善の徹底や若手の早期活躍の推進,将来を見通すことのできる環境整備のため,適正な予定価格の作成や適正価格での契約が必要となります。
今後も引き続き,実際に現場で工事に携わられている方々の実態をより適切に反映し,担い手の中長期的な育成・確保のための適正な利潤が確保できるよう,土木工事積算基準の改定について検討し,適正な予定価格の設定に努めてまいりたいと考えています。
【出典】
土木施工単価2015夏号

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