• お問い合わせ
  • プライバシーポリシー
  • サイトマップ

建築資材、土木資材をはじめとした建設資材、機材、設備、工法等の
データを収録し、スピーディな検索を実現した建設総合ポータルサイト

建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 平成26年度決算検査報告における 公共工事関係の指摘事例

 

会計検査院 事務総長官房 総務課 渉外広報室長
坂本 周大

 
会計検査院は,憲法及び会計検査院法に基づき,国や国が出資している独立行政法人等,国が補助金等を交付している都道府県,市町村等の会計を検査しています。このたび,その成果である平成26年度決算検査報告のとりまとめができ,27年11月6日,これを内閣に送付しました。 
 
平成26年度決算検査報告に掲記された指摘事項等の総件数は570件で,そのうち公共工事の実施,効果等に関するものは52件ありました(表−1を参照。関係事例の選別・分類は筆者の個人的見解によります)。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
本稿では,これら公共工事関係の事例を簡単に紹介させていただきます。
 
なお,以下,①「不当事項」は法律,政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項を,②「意見表示・処置要求事項」は会計検査院法第34条又は第36条の規定により関係大臣等に対して会計経理や制度,行政等について意見を表示し又は処置を要求した事項を,③「処置済事項」は検査において指摘したところ当局において改善の処置を講じた事項を,④「特定検査状況」は検査報告に掲記する必要があると認めた特定の検査対象に関する検査の状況を,⑤「随時報告」は会計検査院法第30条の2の規定により国会及び内閣に報告した事項を意味します。
 
また,金額は断りのない限り指摘金額であり,国庫補助事業にかかる事案の指摘金額・背景金額は国庫補助金ベースで示しています。
 
 

1.設計に関するもの

これらは,構造物に求められる所要の安全度が確保されていない状態になっていた事態や,経済的な設計を行っていなかった事態です。所要の安全度が確保されていない状態になっていた事態の中には,設計業者の成果品に誤りがあるのに,発注者が看過したことが原因となっているものが多く見受けられます。
 
【不当事項】
 
・橋りょうの耐震補強工事の実施に当たり,変位制限構造及び落橋防止構造の鋼板を固定しているボルトについて,地震発生時に鋼板に曲げモーメントが作用することにより生ずる せん断力を考慮しないなどしていて,設計が適切でなかったため,所要の安全度が確保されておらず,工事の目的を達していなかった(2036万円)。
 
・橋りょうの耐震補強工事の実施に当たり,地震発生時に支承が破損した場合に,橋軸方向の変位制限構造に作用する水平力と,段差防止構造に作用する上部工の自重との両方が同時に橋台の鋼製ブラケットに作用することについての検討が行われず,設計が適切でなかったため,所要の安全度が確保されておらず,工事の目的を達していなかった(1125万円)。
 
・侵入防止柵設置工事の実施に当たり,風荷重による転倒等に対する安定計算等が行われず,設計が適切でなかったため,所要の安全度が確保されておらず,工事の目的を達していなかった(1049万円)。
 
・新幹線鉄道建設事業における車両基地建設工事の実施に当たり,橋りょうの上部構造の落下を防止するための桁かかり長の確保が省略されていて,設計が適切でなかったため,資材等搬入用の進入路橋りょうの上部工等の所要の安全度が確保されておらず,工事の目的を達していなかった(2034万円)。
 
・道路に埋設する雨水管の整備において,設計が適切でなかったため,函渠が舗装の一部である下層路盤等に入り込んでいて舗装構造が一様でなく,不同沈下に伴う路面の不陸等が生じて路面の機能が損なわれることにより,安全かつ円滑な交通が確保されないおそれがある状態になっていた(4件 9874万円)。
 
・アーチカルバートの基礎地盤の設計において,不同沈下を防止するための緩和区間が設計変更により指針に基づくものより急な勾配となっていたり,アーチカルバートに作用する鉛直土圧が過小に計算されていたりしていて,設計が適切でなかったため,所要の安全性等が確保されていない状態になっていた(2件 3624万円)。
 
・雨水貯留施設の設計において,重量比較法における置換重量を過小に算出していて,設計が適切でなかったため,所要の安全度が確保されていない状態になっていた(1億7842万円)。
 
・橋台の胸壁に配置する斜引張鉄筋について,誤った橋台の幅を基に本数を算出したり,設計計算書とは異なった配置間隔により配筋図を作成したりしていて,設計が適切でなかったため,所要の安全度が確保されていない状態になっていた(2件 2 億9929万円)。
 
・主ポンプ盤等を据え付けるアンカーボルトを く体コンクリートに埋め込むこととしておらず,設計が適切でなかったため,地震時における機能の維持が確保されていない状態になっていた(1370万円)。
 
・函渠の基礎の設計において,適用すべき設計自動車荷重は25tとなっており,実際に大型自動車の通行が見込まれるのに14tとしていて,設計が適切でなかったため,所要の安全度が確保されていない状態になっていた(2279万円)。
 
・水路の底版コンクリートの鉄筋の配置において,鉄筋端部を重ね合わせて接合する際の重ね合わせる長さが,設計基準等に基づく必要な長さに比べて著しく不足した状態となっていて,設計が適切でなかったため,所要の安全度が確保されていない状態になっていた(595万円)。
 
・石積護岸の基礎部の位置する層の土質を軟岩であると判定して根入れ深さを設計し,これにより施工していたが,実際には,軟岩ではなく“れき”質土であったことから,必要とされる根入れ深さが確保されておらず,設計が適切でなかったため,護岸等が河床の洗掘に対応できない構造となっていて,工事の目的を達していなかった(534万円)。
 
・公営住宅等の木造施設の建築において,耐力壁を構成する柱には必要な引抜耐力を有する金物等を選定して梁等と接合することとなっているのに,使用する金物の種類等を設計図書に示していなかったり,必要な引抜耐力を下回る金物を選定していたり,筋交いを誤って取り付けたりしていて,設計及び施工が適切でなかったため,所要の安全度が確保されていない状態になっていた(3件 3353万円)。
 
【意見表示・処置要求】
 
・河川工事に伴う附帯工事により改築を実施した工作物の維持管理及び費用負担等について
 
河川管理者等は,附帯工事により改築等を実施する工作物について,河川管理施設等構造令等の基準に適合させたり,管理者等の要望により機能を向上させる場合に管理者に対して機能向上費用の負担を求めたりする必要がある。しかし,附帯工事により改築を実施した工作物について,管理者を把握していないことにより適切な維持管理を行わせることができない状況となっていたり,現行の構造令等の基準に適合させないまま改築を実施するなどしていたり,管理者に機能向上費用の負担を求めていなかったりしている事態が見受けられた(指摘金額1億2209万円,背景金額3億5368万円:管理者を把握していなかったり機能向上費用の負担を求めていなかったりしていた工事に係る国庫補助金等相当額)。
 
【処置済事項】
 
・暗渠排水工事の実施に当たり,上流地点の排水量は下流地点の排水量より少なくなることから,吸水管の規格について,吸水管内の流速等を考慮した上で,上流地点の吸水管は下流地点より直径が小さい規格を選定することが可能であるのに,各地点の排水量に応じた規格を選定する経済的な設計を行っていなかった(6150万円)。
 
・アスファルト舗装工事における路盤材の選定に当たり,鉄鋼スラグ及び溶融スラグの品質,価格等をあらかじめ把握するなどの調査確認を適切に行わなかったため,新品の骨材との経済比較等を行わないまま,新品の骨材を使用していて,環境にも配慮した経済的な設計を行うこととしていなかった(2件 背景金額126億1052万円:舗装工事における路盤材の材料費にかかる積算額)。
 
・複層構造の高速道路の桁下に設置されている照明方式の案内標識の更新に当たり,経済的な反射方式としても日中の視認性が確保できるのに,現地の状況を十分に確認することなく,高価な照明方式を採用していた(1910万円)。
 
 

2.積算に関するもの

これらは,積算額が過大であったものであり,工事費に係るものと補償費に係るものがあります。
 
(1)工事費に係るもの
 
【不当事項】
 
・高架橋下の基盤整備工事の施行に当たり,舗装撤去工に係る機械器具経費等の積算を誤ったため,契約額が割高となっていた(920万円)。
 
・荷役機械の走行用レール等を設置する工事の施行に当たり,レールの敷設工費の積算を誤ったため,契約額が割高となっていた(1110万円)。
 
【処置済事項】

 
・シールド工法による下水道管渠築造工事の工事費の積算に当たり,工場でシールドマシンを製作する費用を間接工事費の算定対象額に含めない取扱いとしていることを事業主体に対して明確に示していなかったことなどにより,間接工事費が過大に積算されていた(14億1504万円)。
 
・総価契約単価合意方式を採用した工事のうち処分費等を含む工事の変更契約を行う際の予定価格の算定に当たり,間接工事費等の算定方法が積算基準に明確に示されていなかったため,積算システムにおいて契約変更後の間接工事費等が正しく算定されるようになっておらず,予定価格が過大となっていたり,過小となっていたりしていた(1億7470万円)。
 
(2)補償費に係るもの
 
【不当事項】
 
・建物等の移転補償費の算定において,取得する土地にはない建物等を移転補償費の対象に含めていたため,交付金が過大に交付されていた(1221万円)。
 
・通信線路等の移設に係る補償費の算定において,管路に係る減価相当額を控除していなかったなどのため,交付金が過大に交付されていた(233万円)。
 
 

3.施工に関するもの

これらは,工事の施工が設計と相違していたため,工事の目的を達していなかったものです。原因は,請負人の粗雑な施工や設計への理解不足,発注者の監督・検査が十分でなかったことなどです。
 
【不当事項】
 
・屋上防水改修工事の施工において,機械的固定工法で施工された防水シートの排水口回りに固定金具が施工されていないなどしていて,施工が設計と相違していたため,所要の防水性能が確保されておらず,工事の目的を達していなかった(534万円)。
 
・河川整備事業の一環として実施した護床ブロック工において,各護床ブロックが鉄筋等により連結されておらず,施工が設計と相違していた(789万円)。
 
 

4.契約等経理に関するもの

これは,工事に係る契約等の経理が不適正な事態となっていたものなどです。
 
【不当事項】
 
・外壁改修工事の工法の変更を適切に反映することなく,実際の工法である塗膜防水工法より施工単価が高額なエポキシ樹脂工法のままとして変更契約を締結していて,改修方法の変更を適切に変更契約に反映させていなかった(207万円)。
 
 

5.維持管理等に関するもの

これらは,施設等の維持管理が十分でないなどの事態であり,施設の有効利用,事業の進捗状況に関する問題についても取り上げています。
 
(1)施設等の維持管理に係るもの
 
【意見表示・処置要求事項】
 
・空港施設の維持管理について
 
国土交通省は,航空法等に基づき,国際航空輸送網又は国内航空輸送網の拠点となる空港等において,滑走路,着陸帯,誘導路等から構成される空港基本施設及び場周柵,排水施設等の土木施設(以下,これらを合わせて「空港土木施設」という。),航空保安無線施設等の無線関係施設及び航空灯火その他航空保安上必要な灯火(以下「航空灯火施設」という。)を管理している(以下,空港土木施設,無線関係施設及び航空灯火施設を合わせて「空港施設」という。)。しかし,空港土木施設台帳に施設の図面情報等を記載していなかったり,空港施設の点検において点検項目を具体的に定めていないなどしていたり,空港土木施設の定期点検の結果を踏まえて適切に修繕等を実施していなかったりしている事態が見受けられた(背景金額25億4399万円:維持管理が適切に行われていない空港施設の国有財産台帳価格)。
 
・空港施設の維持管理について
 
新関西国際空港株式会社は,航空法等に基づき,関西国際空港及び大阪国際空港において,滑走路,着陸帯,誘導路等から構成される空港基本施設及び場周柵,排水施設等の土木施設(以下,これらを合わせて「空港土木施設」という。)及び航空灯火その他航空保安上必要な灯火(以下「航空灯火施設」という。)を管理している(以下,空港土木施設及び航空灯火施設を合わせて「空港施設」という。)。しかし,空港土木施設台帳に施設の図面情報等を記載していなかったり,空港土木施設の巡回点検の対象としていない施設があったり,航空灯火施設の灯柱を明確に点検対象に含めていなかったり,空港土木施設の巡回点検を踏まえて適切に修繕を実施していなかったりする事態が見受けられた(背景金額16億7785万円:維持管理が適切に行われていない空港施設の財産台帳価格)。
 
【特定検査状況】
 
・高規格幹線道路の暫定2車線道路の整備及び管理状況について
 
完成時の車線数が4である高規格幹線道路(以下「高規格道路」という。)のうち,2車線の建設により暫定的に供用を開始し,交通量の増加に応じて残りの2車線を完成する道路(以下「暫定2車線道路」という。)の整備及び管理状況について,供用延長の推移,現況交通量,推計交通量及び4車線化のために取得した用地の状況はどのようになっているか,ラバーポール等の簡易物で往復の通行を区分する構造により供用している部分(以下「対面通行部」という。)の交通事故及び規制速度の状況はどのようになっているか,また,それらによる経済的損失はどの程度生じているかなどに着眼して検査した。
 
検査したところ,平成26年度末現在,供用中の暫定2車線道路2,423.8?のうち4車線化事業中の延長を除いた2,264.2kmについては,4車線化の実施時期が明確にされていない状況であった。そして,有料道路事業として東日本,中日本,西日本,本州四国連絡各高速道路株式会社(以下「4会社」という。)が単独で管理する高規格道路(以下「有料道路」という。)については,新設事業や4車線化を含めた改築事業を35年度までに完成するとされていた。また,国土交通省が単独で建設及び管理を行う無料の高規格道路は,有料道路のような時間的な制約はないものの,建設及び管理を行う延長が増えてきている。一方,少子高齢化,過疎化等の影響により社会経済情勢に変化が生じてきており,地方部の暫定2車線道路においては現況交通量が少なく,将来交通量の大きな伸びも見込まれない区間が多数見受けられ,暫定2車線道路での供用年数は長期に及ぶこととなり,残りの2車線分の用地(以下「4車線化用地」という。)も長期間利用されていない状況となっていた。そして,暫定2車線道路の対面通行部においては,中央帯を設置して車線を往復の方向別に分離する構造(以下「分離式」という。)の部分に比べて逸脱事故が多く発生したり,速度規制により機能性が低下したりしていて,高規格道路の機能が有効に発揮されていない状況となっていた。
 
(2)施設の有効利用に係るものの
 
【意見表示・処置要求事項】
 
・共同溝の有効利用について
 
国土交通省は,共同溝の整備等に関する特別措置法に基づき,道路の構造の保全と円滑な道路交通の確保を図ることを目的として,2者以上の電気通信事業者,電気事業者,ガス事業者,水道事業者,公共下水道管理者等(以下,これらを合わせて「公益事業者」という。)が設置する電線,ガス管,水管又は下水道管(以下,これらを総称して「公益物件」という。)を収容するために,道路の地下に設ける施設である共同溝の整備を実施している。そして,道路管理者は,共同溝を建設しようとするときは,公益物件の収容の概要等を記載した共同溝整備計画(以下「整備計画」という。)を作成しなければならないこととなっており,記載事項のうち公益物件の収容時期については,共同溝の建設完了後20年未満と20年以降とに区分等して明示することになっている。しかし,多くの共同溝において整備計画と比較して公益物件の収容が遅れていたり公益物件の一部又は全てが未収容となっていたりしているにもかかわらず,共同溝の利用を促すための取組を十分に行っていなかったことなどにより,共同溝の一部が長期間にわたって有効に利用されていない事態が見受けられた(背景金額1469億5929万円:8国道事務所等が管理している共同溝のうち建設完了後20年以上を経過して公益物件の収用が整備計画と比較して遅れているものと建設完了後5年以上20年未満を経過して公益物件が全て未収容となっているものの事業費)。
 
(3)事業の進捗状況に係るもの
 
【随時報告】
 
・土砂災害対策に係る事業の実施状況について
 
土砂災害の危険性の高い箇所については,ソフト対策と連携して限られた予算の中でハード対策を着実に実施していくことが重要であることから,砂防関係施設について,警戒区域等における整備状況,効率的な事業の実施状況,定期点検等の実施状況,土石流対策砂防えん堤の除石の実施状況等に着眼して,27都道府県管内において国庫補助事業等により実施された事業等を対象として会計実地検査を行った。
 
検査したところ,①砂防関係施設が未整備である特別警戒区域を含む警戒区域の一部等が人口集中地区となっているものが,土石流のおそれがある警戒区域では692区域,急傾斜地の崩壊のおそれがある警戒区域では6,882区域となっている事態,②土砂災害対策事業の採択後に工事が5年以上未着手となっている事業が砂防事業等の34事業となっており,このうち,特別警戒区域において工事を実施することとしていた事業が15事業となっている事態,③砂防設備台帳に一部不備があり,砂防設備の位置が確認できないため定期点検等が実施されていない事態,④除石管理型砂防えん堤について,除石を行う際に必要な管理用道路が整備されておらず,かつ,除石計画において搬出方法が記載されていない事態等が見受けられた。
 
 
以上に紹介した事例を含め,会計検査院の指摘事項等について,詳しくは検査報告をご覧いただきたいと思います(会計検査院のホームページに全文を掲載しています)。
 
最後になりましたが,各府省,国の出資法人その他の関係者の皆様には,これらの事例を参考にしていただき,適正かつ効率的・効果的な事業の実施に努めていただくようお願いいたします。
 
 
 
【出典】


積算資料2016年02月号

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

同じカテゴリの新着記事

メルマガ登録

最新の記事5件

カテゴリ一覧

バックナンバー

話題の新商品