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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)開業

 

独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構
鉄道建設本部 新幹線部 新幹線第三課 橋本 浩市

 

1.はじめに

北海道新幹線は,函館市・小樽市付近を経由して青森市と札幌市を結ぶ路線です。
 
今回開業する新青森・新函館北斗間については,平成17年4月に工事実施計画が認可され着工しました。線路延長148.8km,工事延長148.3kmの路線であり,開業予定日は平成28年3月26日です。このうち青函トンネルとその前後の区間の82.0kmは,津軽海峡線として昭和63年3月に開業しており,新幹線と在来線が共用走行する予定です。
 
 

2.北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)の概要

北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)のルート概要は図− 1に示すとおりです。
 

図− 1 北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)の概要図


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
新青森駅から最初のトンネルである阿弥陀トンネル入口までの約18.6kmは,青森市北西部および蓬田村内の水田地帯と山裾を高架橋や橋りょうで通過します。阿弥陀トンネルからは,津軽山地南東部に入るため,SENS(シールドを用いた場所打ち支保システム)で施工した津軽蓬田トンネル(延長6,190m)を最長とする6本のトンネルが連続します。最後の館沢トンネルを抜けると,蟹田川,主要地方道鯵ヶ沢・蟹田線,JR津軽線,JR津軽海峡線等と橋りょうで交差し,新幹線と在来線との共用走行区間(以下,共用区間)へと続きます。
 
共用区間に入ると,大平トンネルや津軽トンネルを経ながら奥津軽いまべつ駅に至ります。その後,7本のトンネルを経て,青函トンネル(延長5万3,850m)へと入っていきます(図− 2)。
 

図− 2 青函トンネル断面図(共用走行のイメージ)


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
青函トンネルを出た後は東進し,木古内(きこない)川の手前で在来線と新幹線に分岐し,木古内駅に至ります。
 
木古内駅を出た後は,新線区間で最長の渡島当別(おしまとうべつ)トンネル(延長8,073m)をはじめ,6本のトンネルが連続します。トンネルを抜けると渡島平野に入り一気に視界が開け,右手に函館山を眺めながら,新函館北斗駅に至ります。なお,新函館北斗駅の手前2km付近には,新幹線車両の留置や日常点検に加え,自動車の車検にあたる台車検査・全般検査など車両検査のすべてを担う工場設備を有する函館総合車両基地(写真−1)があります。
 

写真− 1 函館総合車両基地


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
曲線半径は,一部の駅付近を除いて4,000m以上,最急勾配は20.8‰で,最高設計速度は260km/hです。
 
 

3.主な構造物

3.1. 津軽蓬田トンネル(写真−2)

津軽蓬田トンネルは,青森県東津軽郡蓬田村から外ヶ浜町に至る延長6,190mのトンネルです。
 

写真− 2 津軽蓬田トンネル


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
地質は,未固結な砂を主体とする蟹田層が基盤であり,蟹田層を対象とした過去のトンネル施工記録では,土砂崩壊や流砂事故が数多く発生しており,本トンネルにおいても切羽が不安定になることが予想されました。そのため,東北新幹線において同様な含水未固結地山における実績(三本木原トンネル)を有し,安全性,施工性および経済性に優れたSENSによる機械化施工を採用しました。
 
津軽蓬田トンネルは,平成21年11月に掘削を開始し,平成24年10月に無事貫通。未固結含水地山における山岳工法(NATM)と同等の工事費で施工が可能で,経済性に優れた高速掘進技術を確立したことが評価されて,平成24年度土木学会技術賞を受賞しています。
 

3.2. 中学校線架道橋(図− 3,写真− 3)

中学校線架道橋は,木古内駅より終点方に約1kmに位置するGRS(Geosynthetic-ReinforcedSoil)一体橋りょうです。GRS 一体橋りょうとは,桁,橋台およびジオシンセティックス補強した橋台背面盛土(セメント改良アプローチブロック)の3種が一体となった構造物で,実構造物としての施工は世界初です(図− 3)。
 

図− 3 GRS一体橋りょうの概念図

 

写真− 3 中学校線架道橋


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
GRS一体橋りょうは,門型ラーメン構造とすることで支承部を省略でき,建設費低減,維持管理の簡易化,落橋防止および上床板を薄くできるといった長所があります。また,セメント改良補強土橋台とすることで,盛土の揺すり込み沈下や躯体との境界での段差沈下の抑制,橋台のコンパクト化,橋台背面盛土の施工時に生じる盛土や地盤の沈下の影響を受けずに躯体を施工できる利点等もあります。
 
北海道新幹線では,GRS 一体橋りょうも含め,多くの補強土工法を採用しています。これらの業績に対し,「北海道新幹線への補強土構造物の適用(補強盛土,補強土擁壁から補強盛土一体橋梁まで)」という題目で,地盤工学会より平成25年度技術業績賞を受賞しています。
 
 

4.雪害対策

新青森・新函館北斗間は,10年確率の最大積雪深が1.6m近くに達し,冬期の平均気温は0℃未満で最低気温も−20℃近くに及ぶ積雪・寒冷地を走行することから,明かり区間(高架橋など)において雪害対策の取り組みを行っています。積雪深および周辺環境を考慮の上,高架橋などの方式を使い分けています。
 

4.1. 貯雪方式(写真− 4)

貯雪方式は,軌道上に積もった雪を走行する列車により脇にはじき飛ばし,両側の通路部と上下線間に雪を貯める構造です。路盤コンクリートの厚さを変えることで地域ごとの積雪に対応しています。なお,路盤コンクリートの厚さは保守の面から限度があり,積雪量の多い本州側では,最大厚さの路盤コンクリートを採用しても貯雪断面が不足するため,防音壁先端に覆いを付け,線路内への降雪を低減させる半雪覆構造としています。
 

写真− 4 貯雪式高架橋(半雪覆型)


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

4.2. 開床方式(写真− 5)

開床方式は,新幹線走行に伴う騒音規制が適用されない地域に採用しており,従来のスラブ部分を開口することで,降雪や列車走行時の排雪を高架橋下に落とす構造です。このため,貯雪スペースを確保する必要がなく,路盤コンクリートを薄くすることができます。なお,開口部には安全対策のためグレーチングを敷設しています。
 

写真− 5 開床式高架橋


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

4.3. 散水消雪方式(写真− 6)

散水消雪方式は,東北新幹線との接続部約190mで採用しています。河川から取水した水を加熱・散水し,回収・再利用する加熱循環方式とすることで,河川からの取水量を極力抑えています。
 

写真− 6 散水状況


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

5.各駅の紹介

奥津軽いまべつ駅(写真−7)

2面3線の相対式ホームを持つ駅で,JR津軽線津軽二股駅に隣接しています。
デザインイメージは「本州最北の地から北の大地へ〜津軽海峡の四季が感じら;れる駅〜」で,本州最北端の新幹線駅となります。
 

写真− 7 奥津軽いまべつ駅


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

木古内駅(写真− 8)

2面3線の相対式ホームを持つ駅で,道南いさりび鉄道木古内駅併設となります。
デザインイメージは「波と森のプロムナード〜北の交流発信地〜」です。
 

写真− 8 木古内駅


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

新函館北斗駅(写真− 9)

2面2線の相対式ホームを持つ駅で,JR函館本線渡島大野駅併設となります。
デザインイメージは「自然と共に呼い吸きするモダンで温かみのある駅」です。
 

写真− 9 新函館北斗駅


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

6.走行試験

新青森・新函館北斗間は,延長が約148kmにも及ぶこと,さらに共用区間では昼間に在来線が運行しているため,夜間の限られた時間で試験を行う必要があることなどから,期間を分けて走行試験を実施しました(写真− 10)。
 

写真− 10 北海道北斗市内を走行試験中のH5 系


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
平成26 年12 月〜平成27年3月に奥津軽いまべつ・新函館北斗間,平成27年4〜7月に新青森・新函館北斗間の全区間で走行試験を実施しました。試験列車が各駅に初めて入線した際には,歓迎セレモニーが行われました(写真− 11)。
 

写真− 11 新函館北斗駅初入線(平成26 年12 月1 日)


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

7.おわりに

北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)は,鉄道・運輸機構の技術力を結集して作り上げて参りました。3月26日の開業により,関東・東北圏などと北海道を直結する高速交通体系の主骨格として地域・国土の発展に大きく寄与することが期待されます。開業後も引き続き,環境対策等の工事を実施するとともに,新函館北斗・札幌間の建設を進めていく所存でありますので,今後ともご理解,ご協力をお願いいたします。
 
 
 
【出典】


積算資料2016年03月号

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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