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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > 国営木曽三川公園における管理運営の取組み事例

はじめに

国営木曽三川公園の周辺は,かつて木曽川,長良川,揖斐川の三川の流路が入り乱れて流れ,幾度となく洪水を繰り返していた地域であり,「輪中」を形成するとともに,宝暦(ほうれき)治水(ちすい)や明治改修などの治水事業により現在の木曽三川を形成してきました。今でも,水郷地区の人々の水との闘いがしのばれる史跡や建物が数多く見られます。木曽三川の流域は,濃尾平野の広大で変化に富んだ地形および地質を反映して,木曽川中流域から伊勢湾に至るまで多様な自然環境を有しています(図-1)。
 

図-1 国営木曽三川公園の位置図




 
 

1. 国営木曽三川公園の概要

国営木曽三川公園は,木曽川・長良川・揖斐川の木曽三川が有する広大なオープンスペースと豊かな自然環境を活用し,東海地方の人々のレクリエーション需要の増大と多様化に対応するために設置された公園です。川や流域のもつ魅力である自然環境や歴史文化,そして広域的な広がり・つながりをいかしながら,これらを守り・感じ・楽しみ・学ぶ場として整備を進めています。
 
本公園は,岐阜・愛知・三重の3県に跨がる日本一広い国営公園です。地域特性により上流から「三派川地区」「中央水郷地区」「河口地区」の3地区(計画面積約6,100ha)13拠点で構成されています(図- 2,表- 1)。
 

図-2 国営木曽三川公園の開園状況

 

表-1 国営木曽三川公園の開園状況(平成28年3月末日現在)




 
 
昭和62年10月に木曽三川公園センターを一部供用して以来,順次整備エリアを拡げ,約288ha(平成28年3月末現在)を供用しています。主要な整備拠点としては,三派川地区の総合拠点「138タワーパーク」や中央水郷地区の総合拠点「木曽三川公園センター」が挙げられます(図- 3〜5)。
 

図-3 中央水郷地区




 

図-4 三派川地区の総合拠点「138 タワーパーク」

 

図-5 中央水郷地区の総合拠点「木 曽三川公園センター」




 
 

2. 国営木曽三川公園基本計画について

国営木曽三川公園基本計画は,国営木曽三川公園の整備運営・管理の今後概ね10年間の基本的な方向性を示したものであり,詳細な事業計画は「国営公園整備プログラム」(原則として,5年毎に改定)で定めています。
 
本基本計画では,国営木曽三川公園の果たすべき役割を明らかにし,国営木曽三川公園が目指すものとして「自然環境への理解」,「歴史文化の理解」,「広域への貢献」の取組みを進めるために「より多くの人が,より楽しむ(レクリエーションの視点)」,「より深め,より広げる(参加と連携の視点)」を基本理念としています(図- 6)。
 

図-6 「国営木曽三川公園基本計画」の基本理念




 
 

3. 国営木曽三川公園の整備・管理運営プログラムについて

現行の整備・管理運営プログラムは,国営木曽三川公園基本計画に基づき,国営木曽三川公園の平成24年度から28年度までの整備および管理運営に関する重点項目などを策定し公表するものです。本プログラムは今後の社会情勢等を踏まえ,必要に応じて見直していきます。プログラムの主な内容は,以下のとおりです。
 
①川に親しみ学ぶ場や歴史文化に触れることのできる場を提供(図- 7,8)
 
● 河川特有の自然環境の保全・再生を図りながら,良好なランドスケープを育み,川に親しみ,遊び,憩うことのできる公園を整備します。
● 歴史文化遺産に触れることのできる新たな拠点として「桜堤サブセンター・木曽長良背割堤」,
 「桑名七里の渡し公園」の整備を進め,公園機能の拡充を図ります。
● 木曽三川をフィールドとした環境教育プログラムの充実に努め,様々な環境問題,
 人と自然の共生への啓発を進めます。
● 木曽三川にまつわる歴史文化を活用した学習機会の充実に努め,個性的で魅力あふれる地域づくり・活性化に寄与します。
 

図-7 「桑名七里の渡し公園」せせ らぎ水路

 

図-8 環境学習活動(河川環境楽 園)




 
 
②沿川のまちづくりと連携した取組みを推進(図- 9)
 
● 市民交流や観光の拠点として地域の活性化に貢献できるよう,集客力と情報発信力の向上に努めます。
● 沿川自治体や河川管理者と連携しながら,木曽三川沿いのサイクリングロードのネットワーク化や
 スポーツ・レクリエーションイベントの開催に取り組みます。
 

図-9 自治体主催のマラソン大会(かさだ 広場)




 
 
③利用者や市民団体・NPOの方々とともに,計画・整備の検討,管理運営を実施(図- 10)
 
● NPOやボランティアの方々との協働により,環境教育プログラムの充実や指導者育成,草花の維持管理などを行います。
● 市民の方々との協働・連携を進めるにあたり,計画や整備の意見交換を進めます。
 

図-10 ボランティアによる活動(フラ ワーパーク江南)




 
 
④安全・快適に利用いただける施設とサービスを提供し,災害時に避難地や防災拠点として機能するよう準備(図- 11)
 
● すべての方に安心して公園を利用していただるよう,園内のユニバーサルデザイン化を進めます。
● 障がいのある方や高齢者,小さなお子様連れの方も楽しめるスポーツ・レクリエーションの充実に努めます。
● 施設改修にあわせ案内サイン等のデザインを統一します。
● 避難地や防災拠点としての機能を発揮できるよう,施設整備や自治体との連携体制の確立を図り,
 災害に強い地域づくりに貢献します。
 

図-11 経年変化に伴う再整備(138タ ワーパーク・つどいの広場)




 
 
⑤既存施設の適切な修繕・リニューアル,計画的な維持管理を実施
 
● 整備後,年数が経過し,老朽化が進んでいる施設等については,
 長寿命化の観点による適切な修繕・リニューアル(内容の更新)や計画的な維持管理により,ストックの有効活用を進めます。
 
 
⑥リサイクル・省資源に配慮した管理運営を実施
 
● 園内で発生する剪定枝等の堆肥化や雨水の再利用,河川整備で発生する残土利用など,
 資源の有効利用とコスト縮減に努め,循環型社会の形成に寄与します。
 
 

4. 国営木曽三川公園整備・管理運営プログラムに基づく取組みによる成果

本プログラムに基づくこれまでの成果を下記に紹介します。
 
 
①多様なレクリエーションが楽しめる場として多くの方々が利用
年間を通じて各拠点でイベントを開催するなど,自然の中での様々なレクリエーションが楽しめる公園です。
多くの方々にご利用いただき,累計利用者数は約1億6千万人となっており,平成27年度には約1,000万人を突破し,全国の国営公園で最も入園者数の多い公園です(図- 12)。
 

図-12 単年度利用者数および累計利用者数の推移




 
 
②環境学習や歴史学習の場として多くの方々が利用
木曽三川の自然環境や歴史文化を体験できる施設の拡充,情報提供する展示物の更新とともに,子ども達が楽しく学べる環境教育プログラムの提供,指導者育成講座などを開催しています。
 
 
③水上スポーツの拠点として利用(図- 13)
 
長良川サービスセンターは,障がい者スポーツも含め,レガッタ・カヌーなどの本格的な水上スポーツの拠点として様々な競技大会にも利用されています。ワイルドネイチャープラザでは,ウィンドサーフィンなどを多くの方々が楽しんでいます。
 

図-13 ウインドサーフィン(ワイルドネイ チャープラザ)




 
 
④にぎわいや交流の拠点として利用
平成20年度以降の追加開園,木曽三川公園センターなどの既存施設の機能更新,イベントの拡充とともに,自転車道のネットワーク化等による沿川地域との連携強化などにより,地域のにぎわいの創出や市民交流の活性化に貢献しています。
 
 
⑤市民の方々との協働による公園の管理・運営を推進(図- 14)
 
市民ボランティアやNPO法人,関係団体等の方々との協働・連携により,新規公園の計画づくり,公園施設の維持管理,環境学習の提供,イベントの開催などの取組みが進んでいます。
 

図-14 ボランティア指導による花壇の植付 け体験(フラワーパーク江南)




 
 
⑥地域の防災性向上に貢献
周辺自治体との協定による避難地としての指定や防災施設の整備,防災訓練の場としての活用などにより災害時への備えを充実させています。
 
 

5. 国営木曽三川公園の管理運営に関する最近の取組み成果の具体事例

以上のように,本プログラムに基づく取組みにより,さまざまな成果をあげているところですが,最近では,広い範囲に拠点が存在する特色を生かして,ひとつの公園としてより高い効果を発揮するため,複数の拠点が連携した取組み,また,近接する各県・各市町の地域の公園や施設,ハイウェイオアシスなどと一体整備を行い,周辺のまちづくり,地域の方々と連携した取組み等を進めています。
 
さらに,国営木曽三川公園は,地域の防災・減災機能の強化にも寄与できるよう,地域防災計画の広域避難地,一次避難地などに指定されており,関係自治体と連携した訓練の実施や,非常用トイレ,放送・通信設備などの整備を実施していきたいと考えています。
 
各拠点において,花や木などの自然を生かした景観づくりに加え,様々な地域主催のイベント(図-15)を年間約2,900回開催するなど地域の活力・魅力づくりに貢献しています。
 

図-15 ワイルドネイチャープラザ。地 域主催のイベント「サンドフェスタ」




 
 
具体的には,木曽三川公園センターでは,この土地特有の低地の暮らしが学べる展示施設「輪中の農家・水屋」を見学できます。その他,河川環境楽園やアクアワールド水郷パークセンター等でも様々な環境教育プログラム等をとおして,歴史や文化,環境などを学ぶことができます。学校のカリキュラムに対応した多種多様な学習プログラムをNPOなどとのパートナーシップにより提供していることも先導的な取組みです。
 
下記に現在の主な取組みを紹介します。
 

5-1 サイクリングロードの整備

木曽川の広大な空間を活かし,健康づくりを支援するレクリエーション施設として,国と沿川自治体が連携して木曽川沿川に繋がる遊歩道・サイクリングロードの整備を進めており(図- 16,17),木曽川中流域ではネットワークが形成されつつあります。このサイクリングロードの利用促進・活用のため,三派川地区ではレンタサイクルの貸出しを行っており,年間約2万8千人の方にレンタサイクルをご利用いただいています。
 

図-16 サイクリングロードの整備状況図

 

図-17 サイクリン グロード整備状況




 
 
サイクリングロードを活用したマラソン大会などのイベントも実施しています(図- 18)。
 

図-18 マラソン大 会の実施状況




 
 
また,国,県,沿川自治体が参加する「木曽川自転車道整備運営連絡会」を平成26年度より開催し,木曽川中流域の広域ネットワークの形成や,自転車道等の整備,運営,管理のより一層の充実を図っています。
 

5-2 フラワーパーク江南におけるボランティアとの協働の取組み

フラワーパーク江南では,魅力的な公園を創造するため公園管理者と市民ボランティアとの協働による管理運営活動を行っています。ボランティア団体「フラワーパーク江南友の会」では,活動内容を固定せず8つのグループ(①草花メンテナンス ②草花装飾 ③花のガイド ④自然観察 ⑤自然活用 ⑥情報発信 ⑦公園ガイド ⑧食のグループ)毎に活動計画を決め,公園管理者と友の会運営委員会等で調整しながらイベント等を行っています(図- 19)。
 

図-19 市民ボランティアとの協働による管理運営活動(左:子供の縁日,中:地元小学生の草花植付け,右:自然工作教室)




 
 

5-3 木曽三川公園センターのチューリップ祭りにおける連携の取組み

「木曽三川公園センター」が位置するこの地域は古来より洪水に脅かされ続け,幾度となく河川の改修が行われてきましたが,木曽川・長良川・揖斐川の三川を完全に分流した明治時代の大改修により,洪水の被害は著しく減少しました。
 
国営木曽三川公園においては,この大改修を行ったオランダ人技師ヨハネス・デ・レーケ氏の功績をたたえ,故郷オランダの最もポピュラーな花であるチューリップによる「お祭り」を地元海津市と開催しています。オランダに似た水郷地帯である本地域は『チューリップ祭』を演出するのにふさわしく,平成28年の開催期間(4/2〜4/17までの16日間)で約18万7千人の入園者を迎えており,地域活性の一大イベントとして定着しています(図-20)
 

図-20 (左・右)チュー リップ祭り




 
 

5-4 防災面での取組み

本公園では,防災体制の確立と防災意識の高揚のため,防災関係機関と地域住民の参加による広域的な総合防災訓練(水防工法訓練や地震防災訓練)を河川環境楽園・東海広場等で実施しています(図- 21)。
 

図-21 公園を利用した防災訓練(左:河 川環境楽園での広域支援基地設置訓練, 右:東海広場での防災訓練)




 
 
また,災害支援協力として,公園の広場や駐車場,建物施設などの一部を広域避難地,一時避難場所として提供できるよう,現在,4市(海津市・一宮市・江南市・桑名市)と協定を締結し,地域の防災・減災機能の強化に貢献しています。
 
 

まとめ

今後も引き続き,基本計画に基づきながら,計画・整備・管理運営の各段階において河川とのつながり,拠点間のつながり,地域との連携を重視し,拠点の魅力の向上を図りながら,一体感のある公園づくりに重点的に取り組んでいきます。
 
これにより,人と自然の共生,環境問題への取組み,快適な暮らしと生活環境の確保,良好なランドスケープ,交流・文化・産業をはぐくむ地域づくりへの寄与など多方面での効果を追求するなど,これまで以上に地域に貢献できる国営公園となるよう努めていきます。
 
 
 

国土交通省中部地方整備局 建政部 都市整備課

 
 
【出典】


積算資料公表価格版2016年08月号



 

 

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