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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 2016 年・建設産業の動向 ― 生産性革命始動,建設産業を「人材投資成長産業」に ―

 
建設産業の最優先課題となる技術者・技能労働者の育成・確保。2014年の通常国会で成立した改正公共工事品質確保促進法(改正品確法),改正建設業法,改正公共工事入札契約適正化法の「担い手3法」が15年4月に施行され,行政と業界が一丸となって人材の確保・育成に取り組み,今年,その成果が徐々に現れ始めた。国土交通省は今年6月に技能労働者の確保・育成策の新たな方向性として建設産業の「人材投資成長産業」化を打ち出すと同時に,人材不足を補うため,i-Constructionをはじめとする生産性向上の各種施策も展開した。業界も女性が活躍できる産業を目指し,各地で「けんせつ小町」にちなんだキャンペーンを実施。官民挙げての取り組みが進んだ。一方,建設市場は2020年の東京五輪の開催に向け,首都圏でおう盛な工事量があったものの,地方は低迷し,明暗が一層鮮明になりつつある。4月には熊本地震が発生。熊本・大分両県で住宅・建築物やインフラなどに甚大な被害をもたらした。防災・減災対策や公共施設の老朽化対策など,まだまだ公共事業でやるべきことが多いはずだが,その予算は十分に確保されているとは言い難い。今年1年を振り返り,来年の建設業界を占ってみたい。
 

【写真−1 技能労働者としての若者の入職と定着の促進が建設産業の最優先課題】




 

i-Construction 始動

建設技術者・技能労働者の高齢化が進む建設業界では,今後10年間で大量の退職者が発生する。国交省の試算によると,15年度時点で約331万人に上る技能労働者数は,10年後の25年度に高齢者の退職などが進んで約44万人減の約286万人となる見通し。
 

【図表−1 技能労働者数の推移】




 
10年後の建設市場規模に対し,最大約93万人の技能労働者が不足すると予測されている。この予測数値をみると,恒久的に建設産業を維持していくためには,若年労働者の確保・育成策と生産性の向上対策が急務と言える。まず,国交省が進める生産性向上に向けた動きを紹介していく。
 
「今年を生産性革命元年に」―。年頭所感でそう提唱した石井啓一国交相は3月4日の閣議後の記者会見で,建設現場の生産性向上策「i-Construction」の推進を柱とする「生産性革命プロジェクト」の本格始動を表明した。i-Constructionを推進する背景には,新規の社会資本整備やインフラの維持管理・更新,激甚化する災害への防災・減災対策が進められなくなるという,発注者側の危機感がある。そこで世界有数の水準とされる日本の情報通信技術(ICT)などを活用して人力作業をできる限り省力化し,新たな人材として若者や女性が建設業に入職・定着しやすい職場づくりや処遇改善につなげていく考えだ。
 
i-Constructionのうち,優先施策として掲げているのが,「ICT の全面的な活用(ICT 土工)」「全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化)」「施工時期の平準化」の3点。国の直轄現場を中心にとりあえず展開し,徐々に地方自治体や民間の建設現場へも普及させる。
 

【図表−2 生産性向上のイメージ。省人化(Y軸)と作業の効率化・高度化(Z軸) によって仕事量(X軸)を高め,同じ工事量(容積)の実施を実現】




 
中でも先行しているのが「ICT施工」と称する調査や測量,設計,施工,検査といった建設生産プロセス全般でのICTの活用。これらの各工程で得られる3次元(3D)化された電子情報を共有・活用しながら作業全般を効率化・最適化する新たな建設生産システムになる。
 
国交省はまず16年度から,施工区域1,000平方メートル当たりに必要とする作業人数(16人程度)を基準に生産性がこの30年間でほとんど向上していなかった土工を対象に,予定価格3億円以上の直轄工事の現場でICTの全面活用を原則化した。これに先立ち,3月にはICT土工に特化した公共測量や監督・検査基準などに関する15の新基準と,ICT建機のリース料を含む積算基準を整備した。
 

【写真−2 i-Constructionなどを主要施策に据えた生産性革命の 狙いを説明する石井国交相(3月4日,東京・霞が関の国交省で)】




 
ICT土工の16年度の発注件数は,国の16年度当初予算分に加え10月11日に成立した16年度第2次補正予算分も含めると約970件を予定。既に182件のICT土工が9月20日までに国の直轄現場で行われており,うち8割以上を地場の建設業者が施工している。
 
今後,ICT施工の対象工種を土工に続き3年以内に橋梁やトンネル,ダムなどに順次拡大するとともに,対象工種全般の新設工事に加え維持管理工事でも活用できるようにする。具体的には,16年度中に新たな対象工種でコンストラクション・インフォメーション・モデリング(CIM)の活用に向けた実施方針を含む10の要領・基準類を新設・改定する。
 
河川,ダム,砂防,下水道,海岸といった国交省の水管理・国土保全局が所管する施設を対象にしたICT の活用では「i-Water」と銘打ち,17年度からロボット技術などを活用して施設全般の維持管理を効率化・最適化する取り組みに着手する。港湾関係では機械化施工が進む浚渫工で17年度から先行してICT の活用を試行する。
 
政府が9月12日に成長戦略の新たな司令塔として発足させた「未来投資会議」(議長・安倍晋三首相)では,安倍首相が建設現場の生産性革命を進めるよう指示した。i-Constructionを推進し,建設現場の生産性を25年までに2割向上させる目標を表明した。
 

【写真−3 ICTを駆使した施工で建設生産現場の最前線が変わり始めた】




 
 

人材投資成長産業の柱は建設キャリア アップシステム構築と社会保険未加入対策

担い手の確保に向けた動きも活発だった。中央建設業審議会(中建審,国交相の諮問機関)と社会資本整備審議会(社整審,同)合同の基本問題小委員会は今年6月の中間とりまとめで,技能労働者の確保・育成策の新たな方向性として建設産業を「人材投資成長産業」へと発展させる方針を打ち出した。
 

【図表−3 人材投資成長産業の実現イメージ】




 
 
人材投資成長産業は,建設産業でこれまで十分に行われてこなかった採用や広報,評価・処遇といった「人への投資」を積極的に推進し,仕事や職場の魅力向上につなげていくという考えに基づいたものだ。建設現場などの生産性向上で経営革新も促し,人と企業が同時に成長できる好循環サイクルを創出するイメージを描く。中長期的に優秀な若い人材から「選ばれ続ける」産業への発展を目指している。
 
今後,重点的に推進する施策には,
①処遇改善
②キャリアパスの見える化
③社会保険未加入対策
④職業訓練の充実
⑤イメージアップ戦略・先鋭的プロモーション
⑥生産性向上
 
の6施策を列挙。さらにターゲットを
 
①若者(新卒)
②中途採用
③現役
④女性
⑤高齢者
 
の五つに分類し,それぞれに対応した施策をきめ細かく打ち出した。
 
特に将来の建設産業を支える新卒者の入職・定着に着目。国交省は最優先施策に技能労働者の就労履歴や保有資格を一元的に蓄積して適正な処遇などを促す建設キャリアアップシステムの構築と,社会保険未加入対策の着実な進展を掲げる。その理由について国交省土地・建設産業局建設市場整備課の担当者は,若者が将来の人生設計や年代に応じた切れ目のないキャリアパスを描くのにこの二つの最優先施策が最も重要な土台になると指摘する。
 
建設キャリアアップシステムの構築では,来年8月に本運用を開始できるよう,登録する個人情報の細目や官民の費用負担割合といったルール作りを急ぐ。社会保険未加入対策では,来年4月までに企業単位で建設業許可業者の加入率を現在の90%から100%に引き上げる目標を設定。労働者単位でも現在の約70%から製造業並みの90%に高める方向で,現在は加入率が低い2次以下の下請企業などへの指導を強化している。
 
さらに人材投資成長産業の実現に向けた新たな目玉企画の一つが,日本を代表する芸能事務所の吉本興業グループと連携した建設業の女性活躍キャンペーンの展開だ。8月に人気女性お笑いコンビ「おかずクラブ」をメーンキャラクターに起用し,建設業の魅力を発信するキャンペーン隊「おうちクラブ」を結成。吉本興業グループの所属タレントが全国各地の建設現場や人材育成拠点を訪問し,現場の技術者や技能研修受講者らと実際に作業を体験してもらう。今後は,この斬新なキャンペーンと並行して,現役の若手に多大な影響を与えてきたとされる「学校キャラバン」などの従来からの広報活動も継続して重点的に取り組む。
 

【写真−4 訓練生と記念撮影するおかずクラブのオカリナさん(前列左から3人目)とゆい Pさん(同4人目)(10月3日,静岡県富士宮市の富士教育訓練センターで)】




 
 
国交省は10月11日,建設産業の10年後を見据えた産業の将来像や建設業関連制度の基本的な枠組みを検討する有識者会議「建設産業政策会議」(座長・石原邦夫東京海上日動火災保険(株)相談役)を発足させ,初会合を開いた。
 

【写真−5 建設業関連制度の基本的枠組みの検討に着手した建設産業政策会議の初会合(10月11日,東京・霞が関の法曹会館で)】




 
 
制定から約70年が経過した建設業法の改正も視野に入れ,技能労働者の確保・育成策や処遇改善,建設現場の生産性向上などについて来年6月ころまでに議論の成果をまとめる。
 
 

熊本地震で耐震基準類再検証

4月14日夜から同16日未明にかけて最大震度7の地震動が2回発生し,震度6を含む強い余震もしばらく続いた熊本地震では,熊本,大分両県を中心に住宅・建築物やインフラなどに甚大な被害をもたらした。内閣府が算出した被害額によると,熊本,大分両県合わせて2.4兆〜4.6兆円。特に被害が大きかった熊本県は1.8兆〜3.8兆円と推計した。いずれも阪神大震災(9.6兆〜9.9兆円)や東日本大震災(16兆〜25兆円)は下回るが,新潟県中越地震(1.7兆〜3兆円)を上回る見通しだ。
 
熊本,大分両県で推計した経済被害額の内訳を資産別にみると,▽住宅・建築物等1.6兆〜3.1兆円 ▽社会インフラ(道路・港湾・空港など)0.4兆〜0.7兆円 ▽電気・ガス・上下水道約0.1兆円▽そのほかのインフラ(都市公園など)0.4兆〜 0.7兆円。
 
特に甚大な被害が及んだのは道路橋梁。斜面崩落で国道325号阿蘇大橋(熊本県南阿蘇村)が落橋したほか,県道28号桑鶴大橋(西原村)支承部の損傷や九州自動車道上に架かる橋梁の落橋なども相次いで発生。最大震度7を記録した震源地の益城町などでは,道路上にある電柱の倒壊(244本)や傾斜(4,091本)も多発した。
 
住宅・建築物の被害も多発した。益城町の中心部にある全建築物2,340棟のうち,73.0%に当たる1,709棟に倒壊や軽微の損傷といった被害が発生。建築時期別に被害状況をみると,1981年6月以前までの建築基準法に基づく旧耐震基準で建設された建築物の91.2%に当たる785棟,現行の耐震基準が導入された81年6月〜 00年6月以前に建設された建築物の72.4%に当たる780棟,耐震基準が強化された00年6月から現在までに建設された建築物の35.9%に当たる144棟にそれぞれ被害が生じた。ただし,新耐震基準を満たしたS造の建築物にほとんど被害はみられず,RC造の被害はゼロだった。
 
地震発生の直後から地元の熊本県建設業協会の会員企業が中心となって,休日返上で被害を受けたインフラの応急復旧に対応。だが,こうした建設業界の献身的な活動は,今回もマスコミなどに取り上げられることはほとんどなかった。
 
国交省は,熊本地震で発生した住宅・建築物やインフラの被害を教訓に,全国で推進する防災・減災対策の方針を決めた。道路橋梁は現行の耐震基準を継続して運用。道路法の省令に基づく現行基準で設定された設計地震動の大きさと,熊本地震で実際に起きた地震動の大きさはほぼ同じだったことが判明。熊本地震で発生した橋梁の主な被害要因は地盤変状に伴う下部構造の移動の影響だったことも明らかになった。今後は既設ストックの耐震補強や集約・撤去を加速し,橋梁の地震被害防止を図る。
 
住宅・建築物についても現行の耐震基準が倒壊防止に有効に働いたと評価し,引き続き現行基準に基づいて耐震性能の確保を目指す。木造住宅を念頭に,81年6月以前に建てられた旧基準のストックは建て替えや耐震改修を促進。柱や梁などの接合部の規定が強化された00年6月以前に建てられたストックは接合部の対策を進める。
 

【写真−6 熊本地震で崩落した歩道橋の撤去作業が進む九州道】

 

【写真−7 熊本地震で倒壊した家屋】




 
 
特定の復興プロジェクトでは,熊本市が約400年前に戦国武将の加藤清正が築いた熊本のシンボル的建造物,熊本城の天守閣の復元を(株)大林組の設計・施工で進めることを決めた。大林組の提案によると,復興のシンボルとして大天守を19年3月末までに復旧。同4月から最上階まで入場できるようにし,同年に日本で開催されるラグビーワールドカップや世界女子ハンドボール選手権を通じ国内外に復興をアピールする。小天守は19年4月から完成までを復旧工事の公開期間とし,普段見られない熊本城を新たな観光資源として活用できるようにする。
 
安全な天守閣として耐震ブレースや耐震壁による耐震補強工事で耐震性を向上。大天守最上部まで昇降可能なエレベーターを設けバリアフリーに配慮する。施工に当たっては伝統工法を守りつつ最新の技術も導入し,工事計画の立案ではビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)の3D データを活用する。
 

【写真−8 熊本地震で甚大な被害を受けた熊本城天守閣の復旧事業の完成イメージ】




 
 
このほか,益城町は12月中に地元の復興計画をまとめ,新たな街づくりとなる土地区画整理事業の計画を表明する予定だ。
 
 

国土形成計画,社会資本整備重点計画の地方計画始動

今年,日本の国土の将来像を示した計画が作成された。一般にはあまり注目されていないが,建設業界は今後の国土づくりの指針として,その内容を十分に把握しておく必要がある。3月に決定した全8圏域ごとの国土形成計画の広域地方計画(15〜25年度)と,全10地方ブロックごとに作る社会資本整備重点計画の地方計画(15〜20年度)だ。昭和の時代に作成された全国総合開発計画(全総)に代わるもので,この計画に基づいて,国土整備が今後進められていく。
 
このうち,国土形成計画の広域地方計画は,昨年8月に決定した全国計画を踏まえ,全8圏域(東北,首都,北陸,中部,近畿,中国,四国,九州)ごとに決定。社会資本整備重点計画の地方計画は,昨年9月に決定した全国計画に沿って,北海道と沖縄県を加えた全10ブロックごとに決定した。
 
各計画に共通して盛り込まれたのが人口減少に対応する効率的な街づくりの推進。都市機能の集約と交通網の整備を「コンパクト+ネットワーク」として一体的に推進する施策を重点的に盛り込み,各圏域内外で人や物が活発に行き交う「対流促進型国土」の実現を目指す。
 
広域地方計画で設定した圏域別の将来像は,
 
● 東北= 震災復興から自立的発展
● 首都= 安心・安全を土台に洗練された対流型首都圏の構築
● 北陸= 日本海・太平洋2 面活用型国土の要
● 中部= 世界ものづくり対流拠点
● 近畿= 歴史とイノベーションによるアジアとの対流拠点
● 中国= 瀬戸内から日本海の多様な個性で対流し世界に輝く
● 四国= 圏域を越えた対流で世界へ発信
● 九州= 日本の成長センター〜新しい風を西から〜
 
広域地方計画の対象外の北海道については,国交省が今後10年の北海道総合開発計画を決定。沖縄県については,12〜21年度を対象とする現行の沖縄振興計画(策定主体は県)をそのまま広域地方計画の代わりとして活用する。
 
社会資本整備重点計画の地方計画では,経済成長や防災・減災といったインフラのストック効果が期待できる公共事業を中心に列挙。可能な範囲で具体的な完成目標年次や期待されるストック効果を示した。これらの計画に沿って,今後公共事業が進められることになる。
 
 

16 年ぶりに東京圏都市鉄道整備方針を答申

今年,リニア中央新幹線の工事が多数発注され,2027年の開業に向け,世紀のビッグプロジェクトがいよいよスタートした。用地買収やルート内の長大トンネルの施工など,難題が山積しているが,建設業界にとっては久しぶりのビッグプロジェクトで,2020年東京五輪後の目玉事業になることは間違いない。鉄道の整備については,リニアだけでなく,もう一つ大きな動きがあった。16年ぶりに示された東京圏都市鉄道整備方針だ。
 
交通政策審議会(交政審,国交相の諮問機関)の小委員会は4月,今後15年で東京圏で推進する都市鉄道ネットワークの整備方針を答申した。空港アクセス鉄道計画の推進などが柱で,2020年東京五輪を契機とする訪日外国人旅行者(インバウンド)の急増に対応。東京都心と羽田,成田両空港を結ぶアクセス鉄道計画を中心に計24の新設・延伸・複々線化事業を盛り込んだ。
 
今回の整備方針は,旧運輸政策審議会が00年1月に整備計画として答申した前回(15年度ごろまで)とは異なり,開業や整備着手の目標年次を「A1」や「A2」といった形で明確に振り分ける方法はやめた。前回計画の大半の事業が目標年次より遅れたためだ。
 
答申では,24の鉄道ネットワーク整備のうち,8事業を「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」,16事業を「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」に振り分けた。
 
国際競争力の強化に資する事業には,空港アクセス鉄道計画と都心内の移動の利便性を高める計画を中心に盛り込んだ。新規に盛り込んだ主な事業をみると,国交省がPFI方式で計画している都心直結線の新設は,羽田,成田両空港に接続する京成電鉄,京浜急行電鉄と相互乗り入れしている都営地下鉄浅草線の押上駅〜泉岳寺駅間(約11km)に短絡線を設け,新たに丸の内仲通り地下に建設する新東京駅と両空港を直結させる。京急電鉄による京急空港線終着駅となる羽田空港国内線ターミナル駅での引き上げ線の整備は,東京・横浜方面への運行本数を増やす狙いがある。
 
事業主体は未定だが,リニア中央新幹線の発着駅となる品川と都心部を行き来しやすくする「都心部・品川地下鉄構想」(白金高輪〜品川)の新設も新たに盛り込んだ。都内で終点となっている小田急多摩線をリニア中央新幹線の中間駅となる「神奈川県駅(仮称)」方面に延伸する計画も盛り込まれた。
 
 

17 年度建設投資見通し,50 兆円突破

今年1年の建設市場を振り返ってみると,政府が景気対策として上期の公共事業の前倒し発注を指示したものの,夏ごろまではあまりその効果が出ておらず,地方の建設業界からは悲鳴の声が上がっていた。ただ,首都圏の工事需要はおう盛で,大手建設会社らは過去最高の利益を確保するなど,地方と都市部で明暗が分かれた。
 
(一財)建設経済研究所と(一財)経済調査会が10月に発表した建設投資見通しによると,新たに国の16年度第2次補正予算を反映し前回の予想を上方修正。17年度の建設投資見通し額は,51兆9,400億円( 前年度比1.9 % 増) で,13年度からの5年連続の50兆円超えになると予想した。17年度も51兆2,000 億円(1.4%減)と予想している。
 
うち政府建設投資は,16年度が21兆9,500億円(1.9%増),17年度が21兆3,000億円(3.0%減)となる見込み。16年度当初予算の内容を踏まえて一般会計の投資を横ばいとし,東日本大震災復興特別会計は復興・創生期間の関係省庁の内容を踏まえて事業費を推計。2次補正予算で予想される出来高を追加して算出した。
 

【図表−4 建設投資の推移】




 

16 年度3 次補正予算編成が急務

10 月11 日に成立した国の16 年度第2 次補正予算は,8月2日に閣議決定した事業規模28.1兆円に上る「未来への投資を実現する経済対策」を具体化する予算措置の第一弾に当たる。一般会計総額(国費ベース)は4兆1,143億円で,うち公共事業関係費(同)は1兆4,691億円。経済対策の主要施策に位置付けられた四つの施策テーマを重点的に推進。公営住宅団地の耐震化や幼稚園・保育園の併設を進める「1億総活躍社会の実現の加速」,外航クルーズ船の受け入れ拠点施設整備や国際空港機能の拡張を進める「21世紀型のインフラ整備」,道路上にある電線の地中埋設を進める「地方の支援」,道路網の未連結区間の解消や河川・海岸堤防の耐震・耐水化を進める「熊本地震や東日本大震災からの復興や安全・安心,防災対応の強化」にそれぞれ予算を重点的に配分した。
 
補正予算はここ数年,予算規模が小さく,公共事業費の大半がその年に発生した災害の復旧・復興費に充てられていた。その意味では16年度第2次補正予算は安倍政権発足時に組んだ大型補正予算ほどではないものの,久しぶりに「真水」の公共事業費が地方に流れることになる。ただ,毎年発生する災害の防災・減災対策や,急がれる老朽化ストックの更新対策などを考えると,十分な予算額が確保されているとは言い難い。建設産業が次の担い手を確保し,恒久的に成り立つ産業になっていくには,安定した事業量がないと難しい。そのためにも,16年度3次補正予算の編成による切れ目のない財政出動が求められる。
 
 
 

筆者

株式会社 日刊建設工業新聞社 片山 洋志
 
 
 
【出典】


積算資料2016年12月号



 

 

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