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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 阪神高速3号神戸線のフレッシュアップ工事〜より安全・安心・快適に〜

 

1 はじめに(工事着手前の状況含めて)

大阪と神戸を結ぶ阪神高速3号神戸線(以下,3号神戸線)は,阪神高速道路の1日当たりの通行台数約74万台のうち約7万8,000台(尼崎西〜阿波座間の区間交通量)の通行を担っており,関西圏の広域道路ネットワークにおける重要路線となっています。
 
3号神戸線は昭和56年の供用以降,約36年が経過し,舗装や伸縮継手等に多くの損傷が見られており,補修対策が喫緊の課題となっています(写真− 1,2)。
 

【写真− 1 舗装の損傷状況】

 

【写真− 2 伸縮継手の損傷状況】




 
これらの損傷に対して,これまでは車線規制工事による部分的な補修により対応してきましたが,道路構造物の損傷状況や過去の補修状況,社会的な影響などを総合的に判断し,3号神戸線(尼崎西〜阿波座)において8日間終日通行止めによるフレッシュアップ工事を実施することになりました。
 
当該路線は都市の中心部を走る路線であり,工事期間中の沿道住民や事業者の方々への振動・騒音等による影響などが懸念されたことから,周辺環境への影響軽減を図る工法を積極的に採用しています。また,通行止めに伴う渋滞に対して,乗り継ぎルートの設定や適正な迂回を促す情報提供などの取り組みも実施しています。
 
本稿では,本工事の内容を紹介するとともに,今回採用した工法や情報提供の取り組みなどを紹介させていただきます。
 
 

2 工事概要

 
◆通行止めの期間
 平成28年11月1日(火)午前4時〜
 平成28年11月9日(水)午前4時
 
◆通行止めの区間
 阪神高速3号神戸線(尼崎西〜阿波座)の上下線10.7km(図− 1,2)
 

【図− 1 通行止め区間】




 

【図− 2 通行止め区間(詳細図)】




 
 
◆工事内容
 
①安全性・走行性の向上
 
今回の工事では,約21万m2の舗装補修工を実施しました。広範囲にわたる舗装補修を実施することにより車両の走行性が改善されるとともに,舗装品質が向上されることによりポットホール(穴ぼこ)などの新たな損傷も発生しにくくなると考えています。今後,緊急の舗装補修工事の回数も軽減され,渋滞回数を削減できると考えています。
 
また,損傷が著しい伸縮継手173レーンについて,段差損傷の生じにくい新しいタイプの伸縮装置に取り替える工事を行っています。路面の平坦性が確保されることで,快適な走行性の確保や沿道環境への影響低減を図っています。
 
また,距離料金への移行により不要となった本線料金所(尼崎本線料金所)を阪神高速として初めて撤去する工事を実施しています。
 
②周辺環境の改善
 
阪神高速道路では,橋梁間に設置されている伸縮継手のノージョイント化を積極的に進めており,今回,32箇所のノージョイント化工事を実施しています。また,2箇所の範囲において,橋軸方向の舗装面がより滑らかな線形となるように縦断方向のエレベーション修正を実施しており,走行性の向上だけでなく,振動抑制につながる対策を実施しています。
 
③安全対策
 
近年,高速道路上の逆走による事故が多発していることを受け,逆走事故ゼロを目標とした取り組みが全国的に展開されており,今回のフレッシュアップ工事区間の出口および本線合流部においても,大型矢印の路面表示,高輝度矢印板の設置や不法侵入検知装置の設置などの逆走防止対策を実施しています(写真− 3)。
 

【写真− 3 出口部逆走防止(大型矢印路面表示)】




 
その他,夜間でも見やすい超高輝度標識への取り替えやカーブ区間の垂直面表示などの安全対策の他,今回新たに追突事故軽減を目的として,渋滞末尾への追突事故が多発するカーブ部手前に渋滞発生を知らせる渋滞末尾情報提供装置や追突注意を喚起する看板を設置しました(写真− 4)。
 

【写真− 4 渋滞末尾情報提供装置(前方の渋滞をセンサー により検知し,車のハザードライトをイメージしたライト が点滅します)】




 
 
④その他
 
工事区間全般にわたる構造物の維持・補修・点検を実施した他,道路照明柱80本をLED照明に更新,図形情報板の取り替えや料金所屋上緑化工事なども実施しています(写真− 5)。
 

【写真− 5 図形情報板の取り替え】




 

【表− 1 工事概要】




 
 

3 沿道環境への影響を軽減する工法の採用

 
◆ IH ヒーターによる舗装撤去工法の採用
 
鋼床版部の舗装撤去において,特に基層(グースアスファルト)の撤去では,従来よりブレーカー等を用いた人力剥(はぎ)取りにより鋼床版からグースアスファルトを剥がしていますが,非常に大きな打撃音が発生します。
 
そのため,特に病院や学校など沿道への配慮が必要と思われる箇所においては,騒音低減を目的としてIHヒーターを用いた舗装撤去工法を試験的に採用しています。
 
この工法は,IHヒーターにより鋼床版部を加熱させることでグースアスファルトと鋼床版間の接着層を60〜90℃程度にまで温度上昇させ,グースアスファルトを低騒音で剥離する工法です。工事騒音が抑制できるとともに,人力剥取りの工程を大幅に削減できるなど,周辺環境に優しい工法となります(写真− 6)。
 

【写真−6 IHヒーターによる舗装撤去工法】




 
 
◆ワイヤーソーを用いた伸縮継手撤去工法
 
伸縮継手撤去においては,通常コンクリートブレーカーを使用していますが,非常に大きな工事騒音が発生します。そこでワイヤーソーを使用した伸縮継手撤去工法「SJS(Silence Joint Slice)工法」を沿道への配慮が特に必要と思われる箇所で導入しています。当該工法はコンクリートブレーカーを使用せずに既設伸縮装置が撤去できるため,工事騒音の抑制を図ることが可能となります(写真− 7)。
 

【写真− 7 ワイヤーソーを用いた伸縮継手撤去工法】




 
 

4 尼崎本線料金所の撤去

距離料金への移行による旧料金圏撤廃に伴い,圏境を跨(また)ぐ車両に対しての料金徴収を本線料金所で行う必要はなくなりました。しかし,近隣の入口に料金所施設がない箇所では,同入口を利用されるお客さまの料金を徴収する必要があるため,本線料金所を引き続き運用している状況にあります。
 
今回のフレッシュアップ工事に合わせ,尼崎本線料金所の手前にある武庫川入口に新たに料金所施設を設置しました。これにより尼崎本線料金所の撤去が可能となり,今回の工事期間中に料金所施設を撤去することになりました。また,スムーズな走行となるよう線形を見直し,横断勾配修正を含めた舗装工事を実施し,安全性と走行性の向上を図ることができました(写真− 8)。
 

【写真− 8 尼崎本線料金所撤去】




 
阪神高速では,他の本線料金所に関しても引き続き撤去に取り組んでまいります。
 
 

5 フレッシュアップ工事に係る情報提供について

昨年度のフレッシュアップ工事では,迂回ルートや通行止めの区間・期間などの問い合わせを多くいただき,通行止め区間を迂回しての目的地までの利用ルートが把握できていないお客さまが多いと推察しました。その反省点を踏まえ,今回のフレッシュアップ工事では事前広報を充実させるほか,より充実した形での工事期間中の迂回ルートの案内や所要時間提供などを実施しました。
 
以下に代表的な例を紹介します。
 
①高速道路橋脚へ通行止め工事を案内するマグネットシートの貼り付け
 
従来より,周辺の一般道路に横断幕を設置することにより事前広報を実施してきましたが,高速道路と並走する一般道路を利用されているお客さまへの周知をより充実させるべく,鋼製橋脚に可能な限り大きなマグネットタイプの工事案内を設置しました。横断幕より大きく,わかりやすいデザインとなっています(写真− 9)。
 

【写真− 9 マグネットシートによる案内】




 
 
②フレッシュアップ工事期間中における限定乗り継ぎルート及び迂回経路所要時間の提供
 
今回のフレッシュアップ工事では,渋滞等の影響を緩和すべく既設の乗り継ぎルートに加え,工事期間限定の乗り継ぎルートを設定しています。
(※乗り継ぎルートとは,阪神高速道路を一旦降りて一般道路を利用し,再び阪神高速をご利用された場合にETC車については,阪神高速を連続して利用したものとして実際の通行距離に応じた料金を徴収,現金車は再度の料金をいただかないルートのことをいいます。)
 
工事期間限定の乗り継ぎルートを周知するため,工事リーフレットに乗り継ぎルートを明示した他,工事期間中においては,お客さまが乗り継ぎ経路を簡単に選択いただけるように既設の乗り継ぎルートと通行止め期間限定の乗り継ぎルートの所要時間の提供を試験的に実施しました(図−3)。
 

【図− 3 乗り継ぎルートの所要時間の提供】




 
 
③NAVITIME を活用した通行止め工事迂回ルート案内供
 
今回の工事では一般道路も含めた情報提供が可能な民間媒体((株)ナビタイムジャパン)と連携し,迂回ルート案内を提供しました。具体的にはNAVITIMEのサービス(パソコンサイト,スマホサイト)において,通行止めの日付でお客さまが通行止め工事区間を通るルートを検索すると,通行止め工事区間を除外したルート検索結果が表示されます(図− 4)。
 

【図− 4 迂回ルート案内の提供】




 
 

6 現場での取り組みについて

 
本工事は8昼夜連続の施工であり,夜間作業も実施することから沿道にお住まいの方からの苦情等が想定されました。また工程も限られているため,工法変更など現場で起こり得る技術的な課題等に関しても瞬時に判断していく必要があります。
 
そのため,現場近くに現地対策本部を新たに設置し,さまざまな課題に24時間いつでも対応できるような体制をとりました。
 
本工事においては,期間が限られている中で多くの土木工事と施設工事が輻輳(ふくそう)するため,工程調整が非常に重要となります。現地本部においては1日1回,全施工業者との工程確認を行うとともに,必要に応じて工程の再調整を行っています。また現場における注意事項等について情報共有を行い,工事の円滑化を図っています。
 

【写真− 10 現地本部の様子】




 
 

7 さいごに

阪神高速は1964年の開通後,およそ50年が経過し,構造物の劣化も顕著になる中,いかにしてお客さまや沿道の皆さまにご迷惑をお掛けしないように道路を補修・補強し,構造物の健全度を確保していくのかが最大の使命となります。さまざまな補修方法を検討した結果,長い年月をかけ,規制工事を繰り返すよりも短期間に集約して補修した方が,お客さまや沿道の皆さまに与える影響を最小限にすることができるとの判断から生まれたのがフレッシュアップ工事です。
 
昨年のフレッシュアップ工事後に実施したアンケートでは,およそ8割の方に「車線規制により長期間に断続的な工事を実施するよりも,短期間の通行止めにより集中的に工事を実施したほうがよい」とご回答いただいており,短期間通行止めによる工事方法についてご理解いただいていると思っています。このようにフレッシュアップ工事で寄せられたご意見や経験は,工事の内容に限らず情報提供や広報のあり方などに至るまで,幅広く当社に蓄積しており,今後もそれらを参考に,より良いフレッシュアップ工事を目指して参ります。
 
最後に,工事期間中においては,関係機関やマスメディアの他,海外からも数多くの方々に現場見学をしていただきまして,我々の取り組みに強い関心を持っていただいたことを大変うれしく思っています。フレッシュアップ工事は,阪神高速が守り続けてきた伝統的手法であり,脈々と受け継がれてきた技術・ノウハウの一端を本稿に記載しましたので,皆さま方のお役に立てれば幸いです。
 
 

阪神高速道路株式会社        
大阪管理局 保全管理課
 梶原 雄哉

 
 
 
【出典】


積算資料2017年02月号



 

 

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