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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > 中国地方整備局におけるCIMの取り組みについて−鳥取西道路福井高架橋鋼上部工事(鳥取河川国道事務所)の事例−

 

はじめに

今回、施工段階におけるCIM導入の効果を検証するためCIM試行対象工事である鳥取西道路福井高架橋鋼上部工事について報告する。
 
 

鳥取西道路福井高架橋鋼上部工事の概要

鳥取県を東西に結ぶ一般国道9号線は朝夕をはじめ観光シーズンには深刻な交通渋滞が発生しているが代わりとなる道路もなく、大きな事故や災害の発生時には、日常生活はもとより、地域の経済活動に多大な支障をきたしている。
 
鳥取西道路は、上記の解消・緩和を目的に各路線の幹線道路ネットワ−クの形成による地域の活性化や生活圏域の拡大を目的とした鳥取県鳥取市本高から鳥取市青谷町青谷に至る延長約19.3kmの道路である。
 
本工事は、鳥取西道路の一環として、鳥取市福井地内に建設する橋梁上部工事(L=202m)で 今回の橋梁上部工事は、鋼橋架設および床版・橋梁付属物(壁高欄等)まで行う工事である。
 

図-1 鳥取西道路福井高架橋鋼上部工事の完成予想図




 
<工事概要> 
鋼橋架設工 324t
現場継手工(本締めボルト) 12,544本
現場塗装工 210m2
床版工(I型鋼格子床版) 1511m2
床版コンクリート 714m3
橋梁付属物工 一式
 

施工現場に果たしたCIM導入の役割

(1)施工前の設計照査
 
2次元の設計図書よりCIMの3次元モデルを作成することで可視化による設計照査を以下の通り実施した。
 
①2次元CAD図面(平面・縦断・横断)の設計照査
 
②本体構造と附属物の取り合い、部材同士の干渉等の不具合
 
③鋼橋における維持管理空間(検査路)の確保
 
●現場の声:「設計の不整合や現場条件による設計修正等の手戻りは、早い時点で対応したい。施工が進捗した段階では、修正に対しコスト高となるだけでなく対応案も限られる。この工事では、施工前に図面の修正や検査路の動線修正ができた」
 

図-2 CIMの3次元モデル(上図)と現場状況写真(架設・足場組立完了)(下図)

図-3 現場状況写真(下図)とCIMを活用した架設時の可視化図(上図)




 
 

図-4 本体構造と附属物の取り合い




 
 

図-5 維持管理空間(検査路)の確保と部材同士の干渉チェック




 
 
(2)施工前(施工計画)の架設計画検討
 
架設計画については、高架下を市道が横断しておりその交通量や交通規制による影響が架設方法を決定する評価項目となった。このため、架設方法による施工に関する影響を「見える化」により検証した。また、関係機関協議や地元説明会において活用しており、実施内容については以下の通りとした。
 
①昼間・夜間の架設施工に関する問題点の把握および検証
 
②道路管理者協議および住民説明会では、架設段階(各ステップ)ごとに市道切り替え(迂回路)や安全管理対策(保安施設)についてアニメーション動画で説明
 
●現場の声:「従来の関係機関協議や地元説明会では、2次元図面を用いて説明していたが、構造物の把握に時間を要し、具体的な工事完成後のイメージや環境対策の確認が不十分で施工途中に指摘を受けたり、その対応で施工を中断せざるを得ないこともあった。
 
今回、CIMの3次元モデルを活用し、施工中、完成時点の進捗状況をアニメーションで説明したところ近隣住民の方々の理解も得られ、具体的な環境保全・安全対策について活発な意見が交わされた」
 
●現場の声:「夜間施工では、ドライバーの視点で検証すると周辺に照明施設がないため、施工箇所とその周辺で照明施設の有無による照度差があることが分かった。このため、夜間施工の場合には、誘導灯や連続的な照明施設が安全管理上、必要であることが確認できた」
 

図-6 市道の切り替えに伴う架設時の俯角(75°)の確認




 
 

図-7 CIMを活用した夜間施工(架設時)の可視化図




 
 
(3)施工中の安全管理検討
 
工事特性として高所作業が安全管理のポイントと考え、CIMの利点である任意の視点からの可視化に着目し、作業手順の確認、KY(危険予知)活動等の安全管理について以下の通り実施した。 
 
①工事特性として高所作業の安全管理に配慮し、足場工等の仮設工を3次元データ化
 
②桁架設工、足場工について作業手順を可視化することで、作業員に対する安全指導やKY活動に活用
 
③占用物件(電線)との離隔確認(1. 5m以上)
 
●現場の声:「施工段階ごとに現場作業員が入れ替わるため、安全教育のレベルを継続的に維持しなければならない。このため、足場等の仮設工を詳細に再現し可視化することで作業手順を確認し危険予知に反映していくためのツールとした」
 

図-8 CIMを活用した安全管理(作業手順会議)




 
 

図-9 占用物件(電線)との離隔(1.5m以上)を確認するための可視化図




 
 
(4)工事施工後の維持管理検討
 
CIMを活用した今後の維持管理への取り組みとして、構造物としての3次元データだけでなく必要な属性情報と関連付けることで、今後の点検・診断等に役立つデータベースとして引き続き検討していくため、今回、以下について実施した。
 
①部材の品質・出来形を属性情報としてモデルに組み込み、データベースとして維持管理に向けた活用を検討
 
②工事完成後の橋梁点検結果、塗装工事等を属性情報とした時系列データの追加機能や検索機能を追加
 

図-10 モデルに組み込んだ品質・出来形の属性情報画面




 
 
 

CIMデータ活用に対する課題

(1)CIMデータ作成
 
土工、河川、ダム、橋梁、トンネル等の5工種についてCIMを導入していくが、それぞれ分野、構造・形式、施工規模、地域特性等によりCIMによる検討項目やモデルの構成要素も異なる。また、全ての検討項目に対して3次元データを作成していくと膨大な情報量となり、それに伴い作業時間や経費も必要となる。このため、工種、規格、施工規模等に応じた検討項目を踏まえ3次元モデルの詳細度(LOD:Level of Detail)を設定していく必要がある。
 
 
(2)CIMデータの環境整備
 
今回の事例は、受注者希望型工事であるため受注者にてCIMモデルを構築したが、調査・設計段階で作成された3次元モデルの場合では、ソフトウエアの違いによりデータ変換や修正にかなりの労力や時間が必要となることが多い。このため、設計から維持管理までそれぞれのデータ貸与において、円滑なデータの受渡や共有化が図れるようソフトウエアの規格等について標準化が望まれる。
 
 
(3)CIMを活用するための人材育成
 
今回、当該工事のCIMデータの作成および活用検討において、担当者はCADの実務経験はあるもののCIMについては初めてであった。このため、CIM講習会の参加、社内勉強会の資料作成、ソフトウエアによる支援を含めた人材育成の取り組みがCIM活用において効果的であり、CIMを導入していくためには、担当者の人材育成は避けられない課題である。
 
 

おわりに

今回は、CIMの長所である構造物の「見える化」による施工前の設計照査や架設計画、施工中の安全管理について検討してきた。今後、この3次元データの更なる活用の向け、維持管理のデータベース化についても検討していきたい。
 
 
 

国土交通省 中国地方整備局 企画部 技術管理課
建設専門官 大賀 祥一

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2017
特集1「i -Construction時代の到来とCIM」



 
 

 

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