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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 土木工事標準歩掛の改定について

 

1. はじめに

土木工事標準歩掛(以下,「標準歩掛」という。)は,土木工事に広く使用されている工法について,施工合理化調査等の実態調査に基づき土木施工に必要とされる標準的な機械,労務,材料等の所要量を工種毎に設定しています。
 
この標準歩掛は,「中央建設業審議会(中建審)」の建議を踏まえて,昭和58 年3月に整備・公表し,その後,改定や制定を重ねて現在に至っており,土木工事費の積算の基礎資料として,国,県,市町村の発注官庁をはじめ,民間でも標準的な指標として広く活用されています。
 
 

2. 平成28 年度標準歩掛の改定概要

標準歩掛は,各種施工制約の増加などの社会環境の変化,あるいは使用機械の機能向上,新技術・新工法の開発など,施工形態の変化に的確に対応した適正なものとする必要があります。
 
さらに,平成26 年6月の「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(品確法)の改正により,「担い手の中長期的な育成・確保のための適正な利潤が確保できるよう,施工実態等を的確に反映した積算を行うこと」が発注者の責務として明記されましたので,より一層,施工状況のモニタリングが重要となってきています。
 
このような中,平成28 年度は,平成26 年度に施工合理化調査等を実施した136 工種について,平成27 年度に施工実態を分析した結果,16 工種の制定・改定を行うこととしました。
 
その16 工種の制定・改定概要について,以下のとおり紹介します。
 
(1)新規制定工種(6工種)
①土砂運搬工(不整地運搬車による運搬)
土砂運搬工は,土砂掘削作業等によって発生した土砂を目的地へ運搬する工法です。これまで土砂運搬工についてはダンプトラックを使用機械とするものでしたが,今回,ダンプトラックでは運搬できない悪路等で,不整地運搬車を用いて土砂を運搬する作業(写真ー1)の歩掛を新たに制定しました。
 

写真− 1 土砂運搬作業状況




 
 
②安定処理工(自走式土質改良工)
安定処理工は,含水比の高い粘性土や強度の不足する恐れのある盛土材料を使用する場合に,材料の改良を目的としてセメントや石灰などの固化材を混合・撹拌する工法です。これまで安定処理工はスタビライザやバックホウを使用機械とするものでしたが,今回,現場内での移動が可能な自走式土質改良機の内部で,原料土を固化材と均質に混合し改良する工法(写真−2)の歩掛を新たに制定しました。
 

写真−2 自走式土質改良機による施工状況




 
 
③かごマット工(多段積型)
かごマット工(多段積型)は,急な勾配(1:1.0 以下)における多自然型護岸工法で,鉄線かごに石材等を詰めたかごマットを積み重ね,護岸を施工する工法(写真−3)です。今回,かごマット(寸法:厚さ50cm ×長さ200cm ×奥行き100cm)を設置高さが5 m以下の「突込式」及び「並列式」(図−1)で施工する歩掛を新たに制定しました。
 

写真− 3 かごマット組立・据付状況

図− 1 かごマット設置方式




 
 
④ブロックマット工
ブロックマット工は,緩やかな勾配(1:1.5 以上)における多自然型護岸工法で,多数のコンクリートブロックと吸出し防止シートを一体化したブロックマットを設置する工法(写真−4,5)です。今回,法勾配1:1.5 〜 1:3.0 で,ブロックマット長さ2.0 〜 8.0m を施工する歩掛を新た
に制定しました。
 

写真−4 ブロックマット設置状況

写真−5 アンカーピン打設状況




 
 
⑤床版補強工(炭素繊維接着工法)
床版補強工(炭素繊維接着工法)は,橋梁床版の下面に軽量かつ高強度の炭素繊維シートを貼り付けて橋梁床版を補強する工法(写真−6,7)です。今回,上向き作業による全面貼り,格子貼り施工について歩掛を新たに制定しました。
 

写真−6 炭素繊維シート接着状況

写真−7 仕上げ塗装状況




 
 
⑥油圧圧入引抜工(180 < Nmax ≦ 600)
油圧圧入引抜工は,土留めや締切を目的とした鋼矢板を,油圧式杭圧入引抜機を使用して地中に圧入または引抜く工法(写真− 8,9)です。今回,より硬い地盤に適用範囲を拡大するため,現行歩掛の適用範囲である最大N 値180 以下に加え,最大N 値180 を超え600 以下の歩掛を新たに制定しました。
 

写真−8 鋼矢板吊り込み状況

写真−9 鋼矢板圧入状況




 
 
(2)維持修繕に関する歩掛の改定(2工種)
①舗装版クラック補修工
舗装版クラック補修工は,コンクリート舗装版に発生したクラックの補修,及びコンクリート舗装版・アスファルト舗装版のオーバーレイに先立ち,リフレクションクラック防止を目的としたシートを,既設路面に張る工法(写真―10,11)です。
 

写真− 10 注入剤注入状況

写真− 11 クラック防止シート張り状況




 
 
近年,アスファルト舗装版へのクラック防止シート施工が増えていることが現場実態調査から確認できましたので,クラック防止シート施工の適用範囲をコンクリート舗装版に加え,アスファルト舗装版にも適用できるよう歩掛を新たに制定しました。
 
なお,本歩掛の改定にあわせて従来工法の名称を分かりやすくするため「舗装版目地補修工」から「舗装版クラック補修工」に変更しています。
 
②排水構造物清掃工
排水構造物清掃工は,清掃車(側溝清掃車・排水管清掃車)による管渠,側溝及び集水桝の清掃作業(写真―12,13)です。
 

写真−12 管渠清掃作業状況

写真−13 側溝清掃作業状況




 
 
近年,清掃回数の減少によって土砂等の堆積物が固着していることが多く,時間当りの清掃作業量が減少していることが現場実態調査から確認できましたので,現場実態を反映した歩掛の改定を行いました。
 
 
(3)日当り施工量,労務,資機材等の改定(8工種)
原動機燃料消費量,重建設機械分解・組立,中掘工,切土及び発破防護柵工,汚濁防止フェンス工,防護柵設置工(ガードケーブル設置工),PC橋架設工,伸縮装置工(鋼製)の8工種について,日当り施工量,労務,資機材等の改定を行いました。
 
原動機燃料消費量では,近年,排出ガス対策型建設機械の開発導入に伴い省燃費化の傾向にあるため,燃料消費率の見直しを行いました(写真―14)。
 

写真−14 オールテレーンクレーン給油状況




 
 
重建設機械分解・組立では,現場実態を反映した分解組立用クレーン規格及び分解・組立作業の見直しを行っています(写真―15)。
 

写真−15 クローラクレーン組立状況




 
 
中掘工では,現場実態を反映した日当り施工量の見直し,また杭径φ400mm 以上φ800mm 未満については掘削長による施工機械の変化が確認できましたので,掘削長32m を境に使用機械の見直しを行っています(写真―16)。
 

写真− 16 杭打施工状況




 
 
切土及び発破防護柵工では,現場実態を反映した編成人員,職種構成,日当り施工量の見直しを行っています(写真―17)。
 

写真−17 防護柵設置状況




 
 
汚濁防止フェンス工では,現場実態を反映した日当り施工量,使用機械の見直しを行うとともに,フェンス設置に伴うえい航距離を1km 以下の適用範囲に見直しを行っています(写真―18)。
 

写真− 18 フェンスえい航状況




 
 
防護柵設置工(ガードケーブル設置工)では,現場実態を反映した日当り施工量,使用機械の見直しを行っています。また,単位数量当り歩掛に見直すとともに多雪地域で実績の多い「耐雪型」について歩掛制定を行っています(写真―19)。
 

写真−19 ケーブル張り施工状況




 
 
PC 橋架設工では,これまでプレストレストコンクリート桁(プレテンション桁及びポストテンション桁)の架設及び横組みについて適用される歩掛でしたが,今回,少数主桁,PC コンポ桁への適用範囲の拡大を行っています。また,現場実態を反映した1日当り桁架設本数,編成人員,使用機械の見直しを行っています(写真―20)。
 

写真− 20 主桁架設状況




 
 
伸縮装置工(鋼製)では,鋼フィンガージョイントの補修等で取り替える伸縮装置が鋼フィンガージョイントから既製品ジョイントに変化していることが確認されましたので,鋼フィンガージョイントに取り替える歩掛に加え,既製品ジョイントに取り替える歩掛の追加見直しを行っています(写真―21)。

写真− 21 伸縮装置据付状況




 
 

3. おわりに

公共事業を円滑に執行するためには,現場の施工実態や資機材の需給動向など,時事変化する事象を的確に把握し,工事の品質及び安全の確保,環境の保全等に十分な配慮がなされているかにも着目した上で,標準歩掛を整備していくことが必要です。
 
引き続き,品確法の改正の主旨も踏まえ,必要な標準歩掛の制定・改定を行い,適正な予定価格が積算できるように努めて参ります。
 
なお,標準歩掛は,実際の施工における工法や施工機械を規定するものではなく,あくまでも標準的な施工を想定した予定価格を算出するためのツールです。このことを正しく理解し適切な運用をお願いします。
 
 

国土交通省 総合政策局 公共事業企画調整課

 
 
 
【出典】


積算資料2017年05月号



 

 

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