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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > 知る見るインフラストラクチャー トンネル覆工裏込め注入工法 「スペースパック工法」ってどんなもの?

 



 
技術・製品・工法の内容を,サクッと掘り下げてみる「知る・見る インフラストラクチャー」。
 
今回はトンネル補修に焦点を当て,株式会社大林組 生産技術本部トンネル技術部の秋好賢治副部長
と生産技術本部技術第一部の上垣義明副部長に「スペースパック工法」について伺ってきました。
 
 

増え続ける老朽化トンネル

高度経済成長期に集中的に整備された社会資本ストックは,今後急速に老朽化すると言われています。国土交通省によると,2013年4月時点で全国のトンネル数は約1万本。老朽化状況は建設年度や立地環境,維持管理の状況等によって異なるとはいえ,50年経過の老朽化トンネルは2023年で約3,000本,2033年で約5,000本に増加すると推測されています。
 
 

トンネルの施工法は年代などにより異なる

山岳トンネル[1]の工法は大別すると,矢板工法[2],NATM(ナトム)工法[3]があります。1980年代までは矢板工法が中心でしたが,その後,1970年代から導入が開始されていたNATM工法が主流となりました。
 
山岳トンネルに採用されているこれらの工法の種類や環境,使用状況によって老朽化の程度は異なりますが,現在使用されているトンネル構造物には経年劣化が進んでいるものも多くあり,維持管理に苦労している現状があります。トンネル構造物は容易に取り替えられるものではないため,維持管理を効率的に実施することが課題となっています。
 
[ 1 ] 山を貫通するように掘られたトンネル
[ 2 ] 矢板を掘削面にあてがい,仮設構造物で支え,それをコンクリートなどで固める,古くからある工法
[ 3 ] 新オーストリアトンネル工法(New Austrian TunnelingMethod)とも称される。掘削後ただちにコンクリートを吹付けて固め,仮設構造物で支え,ロックボルト(岩盤内の削孔に差込んで使用するボルト)を併用して地山(じやま)の保持力を利用する工法
 
 

トンネル補修技術のひとつ「スペースパック工法」とは

今回お話を伺った「スペースパック工法」は,同社が2000年12月に開発し,2001年5月から施工されているトンネル覆工裏込め注入工法とも呼ばれるトンネル補修補強の工法です。
 
覆工コンクリート[4]と,背面の地山(じやま)との間に空洞がある場合,地震時などに地山からかかる荷重が均等でなくなることによって生じる圧ざ[5]などにより,覆工コンクリートが損傷し,崩落などの災害につながることが懸念されます。
 

覆工コンクリートと背面の地山との間にできる空洞




 
 
「スペースパック工法」は,これらの背面の地山との間にできた空洞に可塑性[6]を持つ注入材を充填することで確実に空洞をふさぎ,トンネル構造物の耐久性と安定性の向上を図る技術です。
 
[ 4 ] トンネル壁面を覆うコンクリートのこと
[ 5 ] 圧ざ(あつざ)とは,コンクリート部材が外力を受けて曲げ圧縮破壊し,コンクリートが剥離あるいは浮いている状態のことをいう
[ 6 ] 静置状態では形状を保持するが,振動・加圧により容易に流動する特性のことをいう
 
 
【注入材の可塑性】
 

静置状態




 
 

振動,加圧により流動 (15 回振動後)




 
 

「スペースパック工法」の2種類の注入材「モルタルタイプ」と「ミルクタイプ」

● モルタルタイプ
「モルタルタイプ」の注入材は,生モルタル[7]に特殊増粘材スラリーを投入して製造します。生モルタルは,生コン工場から直接現場に搬入するか,または現場に用意したプラントで製造するため,大量の材料調達,製造,運搬が可能な場所での施工に適しています。
 
特殊な材料を使用せず,環境に対しても無害な無機系材料を使用しています。また,500mまでの圧送や必要に応じて長時間の運搬も可能です。
 
[ 7 ] 生コン工場から出荷されるレディーミクストモルタル
 

モルタルタイプの製造システム例




 
 
● ミルクタイプ
「ミルクタイプ」は,「モルタルタイプ」に加えて同工法の新たな注入材として開発されました。2015年9月に大林組も参画して設立された「スペースパック工法研究会」(事務局:株式会社テクノ・ブリッド)が開発し,材料のセメント系結合材と特殊増粘材を施工時に混ぜ合わせるだけで製造することができます。これらの材料は,あらかじめ搬入しておくことができるため,夜間作業となる鉄道トンネルなどでも導入でき,昼夜を問わずいつでもどこでも施工できる点がメリットです。モルタルタイプと比較して小型の設備で対応できるため,小規模な一般道路トンネルの補修工事などにも適しています。
 
ミルクタイプは東海旅客鉄道株式会社の品質規格に適合しており,施工実績も近年増えていることから,今後ますます需要が増加していくと見込まれています。
 

ミルクタイプの製造システム例




 
 
モルタルタイプ,ミルクタイプともに,東日本高速道路株式会社,中日本高速道路株式会社,西日本高速道路株式会社の3社が定める「矢板工法トンネルの背面空洞注入工 設計・施工要領」の品質規格を満たしていることが試験で確認されています。
 

道路トンネルでの施工例




 
 
「モルタルタイプ」または「ミルクタイプ」を工事規模・施工条件に応じて選択することで,合理的に同工法を採用することができます。
 
 

おわりに

トンネル補修に関わる工法は年々進歩しています。さまざまな現場に対応できるよう資材の開発が進められており,「スペースパック工法」もトンネル補修のみならず,鉄道高架橋耐震補強工事の地盤や,埋設管漏水対策工事などでも使われています。
 
今後も多様な現場で活用されるであろう同工法の存在を思い出しつつ,鉄道や道路トンネルを利用したいと思います。
 
 

(取材・文= (株)フィールドリサーチセンター)
 

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