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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 生コンクリートにおけるスランプ値の設定方法の見直しについて

 

1.はじめに

現在,国土交通省では,生産性革命プロジェクトである「i-Construction」のトップランナー施策の一つであるコンクリート工の「規格の標準化」に向けて,関係者からなる「コンクリート生産性向上検討協議会」(以下,協議会という)を設置し,生産性向上を進めるための課題及び取組方針や全体最適のための規格の標準化や設計手法のあり方を検討しているところです。
 
今般,工事契約時における生コンクリートのスランプ値の設定方法の見直しについて,協議会において議論され,国土交通省においては平成29年度より運用を開始することとなりました。
 
本稿では,設定方法の見直しに至った背景や具体的な見直しの内容について紹介します。
 

図−1 コンクリート工の生産性向上に向けた検討事項(第4回協議会資料より)




 
 

2.現場打ちコンクリート工を取り巻く現状

国土交通省発注工事の実績(平成24 年)では,「現場打ちコンクリート関連」が16%であり,現場打ちコンクリートの技能労働者数は直轄工事全体の約6分の1を占めています。しかし,その生産性はこれまでの30 年間,ほとんど変わらない状況となっています。一方で,トンネル工事などは,約50 年間で生産性を最大10 倍に向上させています。
 
こうした現状から,建設現場の生産性向上のためには,現場打ちコンクリート工の生産性向上を図ることが重要なポイントになっています。
 
鉄筋コンクリート構造物に用いられるコンクリートの主な材料には,水,セメント,細骨材,粗骨材,混和剤がありますが,特に水及びセメントの単位量とこれらの比がフレッシュコンクリートの性状や硬化後のコンクリートの性状(強度や耐久性等)に大きく影響することが知られています。従来から,作業ができる範囲内でできるだけ単位水量を減少させることが求められてきており,現在では,AE 減水剤や高性能AE 減水剤などの化学混和剤を適切に用いることで必要な品質を有するコンクリートが製造可能になっています。
 
しかし,AE 剤またはAE 減水剤を用いたAEコンクリートがJIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に取り入れられたのは1978 年の改正からであり,鉄筋コンクリート構造物建設の初期においては,フレッシュコンクリートの性状を調整する際には,水やセメントの量を変更せざるを得なかった状況でした。このため,断面に対して鉄筋が多い部材などに用いる流動性の高いコンクリートは,流動性の低いコンクリートより品質が劣るとの考え方が定着しました。
 
また,一般的な構造物では,昭和42 年版の土木学会コンクリート標準示方書で目安として示されたスランプ5〜 12.5cm の平均値であるスランプ8cm のコンクリートの使用が一般的になり,いつしか土木構造物用のコンクリートはスランプ8cm とする考え方が定着しました。
 
 

3.流動性を高めた現場打ちコンクリートの活用に関するガイドラインの策定

近年,鉄筋コンクリート構造物の耐震性能向上の目的で,耐震設計基準が見直され鉄筋量が増加する傾向があることなどから,コンクリートの締固めが困難になり生産性を高める上でネックになるほか,コンクリートの充填不足による品質の低下が懸念されています。
 
こうした背景を踏まえ,流動性を高めた現場打ちコンクリートを用い,現場打ちコンクリート構造物建設の生産性向上に資することを目的として,流動性を高めたコンクリートの活用検討委員会(委員長:橋本親典徳島大学大学院理工学研究部理工学部門教授)において「流動性を高めた現場打ちコンクリートの活用に関するガイドライン」(以下,ガイドラインという)が策定されたところです。
 
 

4ガイドラインの概要

ガイドラインにおいては,コンクリート構造物の品質を確保した上で,現場打ちコンクリートの生産性向上を図ることを目的として,施工性能の面から使用するコンクリートの流動性を合理的に選定する方法と留意事項について示しています。
 
なお,対象としているのは,現場打ちの鉄筋コンクリート及びプレストレストコンクリートとしています。
 
具体的な内容として,「コンクリートの流動性の選定」,「施工時における品質確認上の留意点」,「高流動コンクリートの選定と留意点」について記載しています。
 
「コンクリートの流動性の選定」については,コンクリートの流動性はスランプ(スランプフロー)を指標とし,打込みの最小スランプを考慮して施工者が適切に選定することとしています。流動性を定める際には,構造物の種類,部材の種類と大きさ,鋼材量や配筋条件,コンクリートの運搬,打込み,締固め等の作業条件を適切に考慮することとしています。流動性については,スランプあるいはスランプフローを指標として土木学会発刊の「コンクリート標準示方書[ 施工編]」,「施工性能にもとづくコンクリートの配合設計・施工指針」の最新版を参考に設定してよいこととしています。しかし,設計時に荷卸し時の目標スランプを定める時点では,コンクリート構造物の施工条件を詳細には検討できないことも想定されるので,ほとんどの現場では,必要な施工性能を確保できることが期待できるスランプ値12cm としてよいこととしています。
 
「施工時における品質確認上の留意点」についてですが,使用するコンクリートの目標スランプが12cm の場合は,単位水量,単位セメント量,水セメント比を配合計画書により確認することとしています。一方,目標スランプが12cm を超える場合には,配合計画書での確認に加え,材料分離抵抗性を確認することとしています。配合を選定する際に試し練りを行って,スランプ試験後の試料の外観やブリーディング量から材料分離抵抗性を確認するものとしています。
 
「高流動コンクリートの選定と留意点」については,鋼材量や配筋等の構造条件と打込み,締固め等の作業条件から,コンクリートに特別な流動性能が必要と判断された場合,あるいは使用することにより現場打ちコンクリート工事の生産性が著しく向上すると判断された場合には,高流動コンクリートを選定してよいこととしています。
 
 

5工事発注時におけるスランプ値の設定

国土交通省では前述のように,「i-Construction」の取組みをすすめているところであり,コンクリート工においても生産性向上に向けて規格の標準化等について各種の取組みを進めているところです。
 
今般,ガイドラインが策定されたことを受け,協議会での検討事項でもあるスランプ値の設定方法の見直しを行うこととしました。
 
現場打ちの鉄筋コンクリート構造物の施工にあたっては,ガイドラインを基本とし,スランプ値を設定することとしていますが,一般的な鉄筋コンクリート構造物については,これまで標準としていたスランプ8cm ではなく,工事発注時のスランプ値を12cm とすることとしています。
 
 

6.おわりに

国土交通省では,本稿で記載した取組みのほか,生産性を高める技術に関するガイドラインの策定や全体最適を図る設計手法の検討などを総合的に取り組むなど,コンクリート工の生産性の向上を図ってまいります。また,各取組みの効果検証を実施し,必要な見直しを継続的に実施することとしています。
 
 

国土交通省 大臣官房 技術調査課 課長補佐  堤 英彰

 
 
 
【出典】


積算資料2017年06月号



 

 

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