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ホーム > 建設情報クリップ > 建設ITガイド > 建設現場のクラウド活用-“スマートデバイス”と“Field Pad”-《後編》

 

大成建設株式会社
建築本部建築部 田辺 要平

 

利用形態の多様性とセキュリティ

現場風景
「Field Pad」の利用対象者には、アプリの企画段階から当社の役職員だけでなく、協力会社等の工事関係者の方々も含まれていた。
「建設サイト」を利用して、工事ごとのプロジェクトサイトで情報共有を行っている当社の工事関係者5,700社、3万人以上のユーザーも利用できるアプリであることが大切であった。
しかし、そのほとんどが当社以外の工事も多く請け負っている企業である。
「建設サイト」を利用しない工事でも「Field Pad」を活用できるようアプリの対応クラウドサービスに「Dropbox」も追加できるようにした。
 
次に、アプリのセキュリティと配布方法が大きな課題となる。
建設業全体が情報漏洩防止策を重視している中で、スマートデバイスはある意味「悪」でもある。
しかし、特別なセキュリティ対策を施した端末による企業導入を正式に実施するには、そのコストと似合うメリットを見出す必要があるのだ。
「Field Pad」は、「建設サイト」を利用しているユーザーに対して高セキュリティなアプリへと切り替わる。
アプリ起動時に4桁のパスコードを求められ、5回間違えるとアプリ内のデータが消去されるローカルワイプ機能と、端末を紛失した際に「建設サイトヘルプデスク」へ連絡することで、アプリ内のデータに対して遠隔削除の信号を流せるリモートワイプ機能が三菱商事から提供されるのだ。
 
端末所有者のセキュリティに対する意識と関係なく、「Field Pad」がアプリ単体で情報漏洩を防止できるようになっている。
このようにして、「Field Pad」は、特別な端末管理システムを導入した会社貸与のiPhone/iPadでも、既に所有している私物のiPhone/iPadであっても同様のセキュリティレベルを実現している。
 
またアプリの配布は、当社役職員や5,700社の工事関係者へリーチしなければならいことから、ビジネスコンシューマー向けのアプリとしてApple社の「App Store」を利用している。
手続きの手間はかかるものの、この「App Store」で公開し販売することで、アプリの不具合修正やバージョンアップ時の配布手間を簡素化できているのも事実である。
 
 

「Field Pad」の主な機能

図-5 アドオン設定画面

図-5 アドオン設定画面


あらためて「Field Pad」の主な機能を挙げると次の通りである。
1.クラウドサービス「Dropbox」や有料アドオンとして三菱商事株式会社が運営するASPサービス「建設サイト」などの閲覧機能
 
2.設計図などのマルチページPDFでもストレスなく利用できるよう配慮された各種形式のファイルにも対応したドキュメン卜ビューア
 
3.図面や文書内の特定箇所へのピンドロップし、コメントやタグ、写真などを添付できるメモ機能
 
4.パスコードによるローカルワイプ、リモー卜ワイブなどのセキュリティ機能(建設サイト利用時)
 
5.コクヨS&T株式会社による有料アドオン「伝票@Tovas」(別途申し込みが必要)と連携し、ピンに添付された情報を使った報告書や品質記録書類などの自動書類化機能
 
 
 
 
 
 
 

より多くの工事関係者と企業に

このような生い立ちで生まれた「Field Pad」は、iPhone/
iPadの利便性をできるだけ損なわず、業務利用で問題視されるセキュリティに関する課題を克服(建設サイト利用者に限る)したアプリとして多くのユーザーに活用してもらえることを狙いとしている。
 
また本稿を通して、社外の関係者との情報共有が重要な建設業において、「Field Pad」のようなアプリを活用するためには、クラウド上で業務を行うことが重要であり、その発展性を改めてご理解いただけたと思う。
 
「Field Pad」は、まだ始まったばかりである。本稿の執筆段階では最新バージョンは 1.1.8 だが、すぐに 1.1.9 を公開する予定だ。
ともに大きな機能変更はなく、不具合修正がメインのバージョンとなる。
これから先のロードマップによると、機能追加の実装は1.2.x系から開始する予定となっている。
 
 

付記

Field Pad サポートページ http://www.fieldpad.jp
iPhone/iPadで動作するユバーサルアプリとして1,500円で販売中
 
●「Field Pad」は、大成建設株式会社の登録商標
●「建設サイト」は、三菱商事株式会社の登録商標
●その他、記載されているシステム名、製品名は各社および商標権社の商標登録あるいは商標である
 
 
 
建設現場のクラウド活用-“スマートデバイス”と“Field Pad”-《前編》
建設現場のクラウド活用-“スマートデバイス”と“Field Pad”-《後編》

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設ITの最新動向」
建設ITガイド2013
 
 

最終更新日:2014-06-11

 

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