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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > 災害廃棄物の適正処理と有効活用の促進

 

はじめに

平成23年の東日本大震災以降も平成26年広島土砂災害,平成27年関東・東北豪雨災害,平成28年熊本地震や北海道・岩手県における台風災害のように,毎年,日本各地で激甚な災害が発生している。数万トンから数百万トン規模の災害廃棄物が発生し,復旧・復興に向けて災害廃棄物の適正かつ迅速な処理が行われている。
 
日本国内における一般廃棄物の年間処分量は約417万トン(平成27年度実績)であり,最終処分場の残余容量は17年間続けて減少,最終処分場の数は概ね減少傾向にあり,最終処分場の確保は引き続き厳しい状況となっている。災害時においても一度に大量に発生する災害廃棄物を適正かつ円滑・迅速に処理することが,生活環境の保全および公衆衛生確保のために必須となる。最終処分場は災害後に災害廃棄物処理のために新たに設置することはできない。そのため,災害廃棄物を分別せず,最終処分するのではなく,最終処分場を有効活用するとともに,貴重な財産である土砂や木質チップ,金属くず等の資源を有効に活用することは,非常に有効な手段となる。東日本大震災においては,津波によって多くの土砂が廃棄物と渾然一体となったため,多くの再生土砂を公共工事等で有効に活用いただいた。
 
最後に,東日本大震災等における災害廃棄物の処理実績を検証し,災害廃棄物の適正処理および有効活用についてノウハウを災害廃棄物対策指針としてとりまとめている。参考にされたい。
 
 

1. 東日本大震災による災害廃棄物の処理

東日本大震災では,東日本の沿岸部を中心に13の道県と200を超える市町村が被災し,多くの自治体や関係者の全国的な支援・協力を得て,約3年間にわたる懸命な努力の結果,概ね目標の期間内に処理を完了した。災害廃棄物の処理は,?発生現場で可能な限り粗分別をした上で仮置場に搬入し,混合状態の廃棄物量を低減させ,?仮置場で可燃物,不燃物,資源物等に分別し,特性に応じた適切な処理によるコストの低減,最終処分量削減を図るととともに,?再生利用可能なものは極力再生利用するという方針で進められた。
 

写真−1 岩手県釜石市 板木山(平田鉱山)二次仮置場(2012年3月)




 

1-1 種類別処理方法

可燃物は,仮置場での火災防止や衛生管理を徹底。できるだけセメント焼成や廃棄物発電等に有効利用する。木くずは,木質ボードやボイラー燃料,発電等への利用を行う。不燃物は,各種分別技術により可燃物や金属くずを取り除いた上で埋立処分する。金属くずは,再生利用を基本とし,利用用途に応じて区別する。コンクリートがらは,復興資材等として被災地で活用する。自動車,家電等は,可能な限り個別リサイクル法に基づきリサイクルする。船舶は,燃料,バッテリー等を取り除いた上で破砕し,金属くずは再生利用,廃プラや木くずは焼却しできるだけ発電等で有効利用する。
 
危険物,PCB廃棄物,石綿含有廃棄物等は,他の廃棄物と区別し,危険物または特別管理廃棄物として処理する。
 
津波堆積物は,有害物質や腐敗性のある可燃物,油分を含むものを除き,油分を含むものは,セメント原料として利用または焼却処理等を実施する。異物を除去した後,埋め戻し材としての利用や土木資材として活用する。
 

写真−2 大船渡綾里三陸線小石浜地区道路改良工事(平成25年7月開始)




 

1-2 災害廃棄物の有効活用

東日本大震災では,土砂系混合物の処理により選別された再生資材は,公園整備事業,海岸防災林事業,海岸・河川堤防復旧事業等,様々な公共事業において再生資材として活用された(図− 1)。
 

図−1 災害廃棄物由来の再生資材を活用している主な公共事業




 
 

2. 災害廃棄物の適正処理

環境省では,全国各地で発生した非常災害における災害廃棄物処理に関する実績や取り組み事例,得られた教訓等について整理し,関係者への情報共有を行っている。また,廃棄物対策や防災の有識者等から構成される「災害廃棄物対策推進検討会」において,継続的な災害廃棄物処理の実績の蓄積および検証,災害廃棄物対策の在り方に関する検討,関係者(自治体,民間等)との協働による災害廃棄物対応に関する検討等を実施している。
 

2-1 混合物の処理フロー

東日本大震災における混合物の処理について,各処理区の事例を収集した上で処理フローを作成した。東日本大震災の各処理区における混合物の処理フローに係る情報を収集し,各工程の目的や内容,各工程を構成する設備や機材を抽出した上で,処理の機能ごとに全ての処理区にわたる体系的な分類を行った結果を図− 2に示す。
 

図−2 東日本大震災における混合物処理フローの体系的分類作業の例




 
 
こうした分類作業を踏まえ,東日本大震災における一般的な混合物の処理フローを整理した(図− 3)。
 

図−3 混合物の処理フロー




 
 
混合物の選別処理の工程については,粗選別,選別前処理,選別,細選別・調整の4つに区分けした(表−1)。
 

表−1 選別処理(高度選別)の工程




 

2-2 津波堆積物(土砂混合物)の処理技術・システム

東日本大震災においては,甚大な津波被害により,土砂や様々な廃棄物の混合した津波堆積物が発生した。津波堆積物は地域によって性状や発生量が大きく異なり,その処理に苦慮した。そこで,自治体が災害廃棄物処理計画等の作成に活用するための参考情報とすることを目的に,津波堆積物等の処理について東日本大震災で得られた技術的知見等を整理した(図−4)。
 

図−4 土砂系混合物処理フローの一般的な流れ




 
 

3. 災害廃棄物の再生資材としての活用

3-1 再生資材としての受入基準・品質

最終処分場の容量が逼迫していた岩手県や宮城県では,コンクリートがら,津波堆積物から選別された分別土,混合物から選別された分別土および燃え殻などの選別品は,再生資材化を前提に処理が行われた。主な処理方法と使用された薬剤を表− 2 に示す。
 

表−2 改質等の工程




 
 
災害廃棄物から選別されたこれらの選別品を,再生資材として公共工事で活用するため,環境省
では平成24年5月25日に,「東日本大震災からの復旧復興のための公共工事における災害廃棄物由
来の再生資材の活用について」との通知を行い,その中で再生資材の要件を示した(表− 3)。この通知に基づき,岩手・宮城の両県では再生資材化の運用方法を定めた。
 

表−3 復旧復興のための公共工事に活用する災害廃棄物由来の再生資材の要件




 

3-2 土砂系混合物の特徴

東日本大震災における土砂系混合物の処理フローを整理するにあたり,土砂系混合物には様々な性状のものがある。土砂系混合物とは,土砂崩れの土砂,津波および洪水等により堆積した土砂・砂泥等を主体とする混合物である。表− 4 に示す「津波堆積物」,「農地堆積物」,「土砂災害による堆積物」,「ふるい下」等が含まれる。
 

表−4 主な土砂系混合物の概要




 
 
なお,「ふるい下」は混合物などをふるい処理する過程で発生しているものであることから,災害現場にて発生するものではないが,津波堆積物等とともに処理されているため,参考として示した。
 
なお,災害廃棄物由来の再生資材の受入基準および品質については,地盤工学会がとりまとめた「災害廃棄物から再生された復興資材の有効活用ガイドライン」(平成26年10月)において,東日本大震災における実績および最新の科学的知見が整理されており,盛土材や埋戻材などの活用方法に応じた受入基準および品質等が示されているため,参照されたい。
 
 
 

最後に

環境省では,平成25年10月に学識者,自治体,業界等の関係者からなる有識者委員会を立ち上げ,東日本大震災の教訓を踏まえた今後の大規模災害に対する備えの検討に着手した。同委員会では,平成26年3月に「巨大災害発生時における災害廃棄物対策のグランドデザインについて」と題して,今後の取り組みの方向性を中間的に取りまとめた。これを受けて,環境省では,様々な関係者との連携体制の整備を進める一方で,地域ブロックでは,地方環境事務所を核とする関係者の協議の場を立ち上げ,まずは情報共有からの取り組みをスタートさせた。
 
平成26年度の委員会では,東日本大震災の経験をアーカイブ化するワーキングと,様々な処理の経験を体系的に整理する技術・システムのワーキングを設置して,さらに検討を深め,平成27年2月には,制度的な側面からの論点整理を踏まえた基本的考え方として,「巨大災害発生時の災害廃棄物処理に係る対策スキームについて」を取りまとめた。
 
環境省では,これをベースに,廃棄物処理法および災害対策基本法の一部を平成27年8月に改正し,災害対策基本法に基づく大規模な災害から局所的な災害まで切れ目のない制度的な枠組みが整備された。
 
この枠組みの下で,実効ある対策を具体化すべく,環境本省と地方環境事務所とが連携して, それぞれで様々な関係者に参加,協力をいただく人的ネットワークであるD.Waste-Netを平成27年9月に構築しつつ,大規模災害時の具体的な行動指針,行動計画作りを進めている(図− 5)。
 

図−5 D.Waste-Netによる災害時の支援の仕組み




 
 
東日本大震災は,その対応にあたった多くの関係者に多大な影響を与え,それぞれの分野で震災から得た教訓を,来る災害に備えて活かそうという真摯な努力につながっている。実際の災害に遭遇する前にどこまでの備えをすることができるのか,その備えを災害に直面して柔軟に活かすことのできる体制をどう整え維持していくのか,が問われている。事前の備えに万全はなく,明日起きるかも知れない災害には,その時までの備えで立ち向かうしかない。このことを常に意識して,息の長い継続的な取り組みを,いかに維持していくかが重要となる。関係者とともに災害対応への意識向上と,その備えに対する創意工夫が図られるよう,国としてその求心力となるような取り組みを目指したい。
 
 
【参考資料】
(1) 環境省災害廃棄物対策サイト
   http://www.env.go.jp/recycle/waste/disaster/index.html
(2) 災害廃棄物処理支援ネットワークD.Waste-net
   http://www.env.go.jp/recycle/waste/disaster/d_waste_net.html
(3) 災害廃棄物対策指針
   http://www.env.go.jp/recycle/waste/disaster/guideline/index.html
 
 

環境省 大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課 災害廃棄物対策室 係長
切川 卓也

 
 
 
【出典】


積算資料公表価格版2017年08月号



 

 

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