平成29年度主要建設資材需要見通し｜建設情報クリップ

2017-12-18
積算資料

平成29年度主要建設資材需要見通し

1．はじめに

国土交通省では，建設事業に使用される主要な建設資材の年間需要量の見通しを公表することにより，建設資材の安定的な確保を図り，円滑な建設事業の推進に資することを目的として，昭和51 年度より「主要建設資材需要見通し」を毎年公表している。

本稿では，平成29 年７月７日に公表した「平成29 年度主要建設資材需要見通し」の概要を報告する。

２．対象建設資材

平成29 年度主要建設資材需要見通しでは，「①セメント」「②生コンクリート」「③骨材，砕石」「④木材」「⑤普通鋼鋼材，形鋼，小形棒鋼」および「⑥アスファルト」の６資材９品目を対象とし，需要見通しを推計・公表している。

３．需要見通しの推計方法

平成29 年度の主要建設資材の需要見通しは，「平成29 年度建設投資見通し（国土交通省　総合政策局　情報政策課　建設経済統計調査室　平成29年６月30 日公表）」の建築（住宅，非住宅），土木（政府，民間）等の項目ごとの建設投資見通し（実質値）に，建設資材ごとの原単位（工事費100 万円当たりの建設資材需要量）を乗じ，さらに各建設資材の需要実績等を考慮して，平成29 年度の主要な建設資材の国内需要の推計を行った。

４．平成29年度主要建設資材需要見通し

（1）概況（平成28 年度および平成29 年度）
平成28 年度の主要建設資材の需要量実績は，同年度の建設投資見込み（名目値）が前年度比3.2％の増加で，うち土木部門は0.9％の減少となったものの建築部門は6.8％の増加となり，平成27 年度の実績値と比べて木材，普通鋼鋼材，形鋼が増加となり，セメント，生コンクリート，骨材，小形棒鋼，アスファルトが減少となった。

平成29 年度の主要建設資材の需要見通しは，同年度の建設投資見通し（名目値）が前年度比4.7％の増加で，うち建築部門は3.5％の増加，土木部門は6.3％の増加と見通されていることから，全ての資材において昨年度実績値と比べて増加と見通される。

平成29 年度主要建設資材需要見通しは，図－１および表－１のとおりである。

（2）主要建設資材の需要見通し
①　セメント，②　生コンクリート
平成28 年度における需要量実績は，セメントが前年度比2.1％減少の4,178 万ｔ，生コンクリートが前年度比3.6％減少の8,391 万m3 であった。平成29 年度については，セメントが前年度比2.9％増加の4,300 万t，生コンクリートが前年度比1.3％増加の8,500 万m3 と見通される。

③　骨材，砕石
平成28 年度における需要量実績は，骨材が前年度比2.8％減少の23,258 万m3，砕石が前年度比2.8％減少の11,366 万m3 となると推計される。
平成29 年度については，骨材が前年度比4.1％増加の24,200 万m3，砕石が前年度比2.9％増加の11,700 万m3 と見通される。

④　木　　材
平成28 年度における需要量実績は，前年度比0.1％減少の921 万m3 であった。平成29 年度については，前年度比2.0％増加の940 万m3 と見通される。

⑤　普通鋼鋼材，形鋼，小形棒鋼
平成28 年度における需要量実績は，普通鋼鋼材が前年度比3.0％増加の2,049 万ｔ，うち形鋼が前年度比4.4％増加の468 万ｔ，小形棒鋼は前年度比6.4％減少の721 万ｔとなると推計される。平成29 年度については，普通鋼鋼材が前年度比4.9％増加の2,150 万ｔ，うち形鋼が4.8％増加の490 万ｔ，小形棒鋼が4.1％増加の750 万ｔと見通される。

⑥　アスファルト
平成28 年度における需要量実績は，前年度比1.3％減少の127 万ｔであった。平成29 年度については，前年度比2.3％増加の130 万ｔと見通される。

５．主要建設資材需要量の推移

主要建設資材の国内需要量推移を表－２および図－２に示す。各主要建設資材の需要量実績，需要見通しの対象は，次(1)～(8)のとおりである。

（1）セメント
国内メーカーの国内販売量に海外メーカーからの輸入量を加えた販売等の量を対象としている。
「内需量」＝「国内販売量」＋「輸入量」。

なお，表－２および図－２の平成28 年度までは実績値で，（一社）セメント協会の「セメント需給実績」の値を用いている。

（2）生コンクリート
全国生コンクリート工業組合連合会組合員工場の出荷量とその他の工場の推定出荷量とを加えた出荷量を対象としている。「出荷量」＝「組合員工場出荷量」＋「その他工場推定出荷量」。

なお，表－２および図－２の平成28 年度までは実績値で，全国生コンクリート工業組合連合会・協同組合連合会の「出荷実績の推移」の値を用いている。

（3）骨　　材
国内における供給量を対象としており，輸入骨材も含んでいる。

なお，表－２および図－２の平成27 年度までは実績値で，経済産業省の「骨材需給表」をもとに算出した値である。平成28 年度は推計値で，経済産業省の「砕石等統計年報」「砕石等統計四半期報」「骨材需給表」をもとに算出した値である。

（4）砕　　石
メーカーの国内向け出荷量を対象としている。

なお，表－２および図－２の平成28 年度までは実績値で，経済産業省の「砕石等統計年報」「砕石等統計四半期報」をもとに算出した値である。

（5）木　　材
国内メーカーの製材品出荷量を対象としており，建設向け以外の量を含んでいる。また，製材用素材として外材を含んでいる。

なお，表－２および図－２の平成28 年度までは実績値で，農林水産省「製材統計」の値を用いている。

（6）普通鋼鋼材及び形鋼
国内メーカーの国内建設向け受注量を対象としている。

なお，表－２および図－２の平成27 年度までは実績値で，（一社）日本鉄鋼連盟の資料の値（国内向け受注総量から国内建設向け受注量を推計したもの）を用いている。

平成28 年度は推計値で，（一社）日本鉄鋼連盟の資料の値（国内向け受注総量から国内建設向け受注量を推計したもの）および国土交通省「主要建設資材月別需要予測」をもとに算出した値である。

（7）小形棒鋼
国内メーカーおよび国内販売業者からの国内建設向け出荷量を対象としている。ただし，海外メーカーからの輸入量は含まれていない。

なお，表－２および図－２の平成28 年度までは実績値で，経済産業省「鉄鋼需給動態統計調査」の値を用いて算出している。

（8）アスファルト
国内メーカーの建設向けストレートアスファルト内需量のうち，燃焼用および工業用を除いた国内建設向け等内需量を対象としている。「建設向け等内需量」＝「国内建設向け内需量」＋「建設向け輸入量」。

なお，表－２および図－２の平成28 年度までは実績値で，石油連盟の「石油アスファルト統計月報」の値を用いている。