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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建築施工単価 > 公共建築物における木材利用の取り組み状況等について

 

1. はじめに

平成22年10月に,「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(平成22年法律第36号)(以下「法律」という)が施行されて以降,これまで,全国各地において,地域材を活用した数多くの木造公共建築物が整備されてきた。このような中,農林水産省と国土交通省は,法律施行後の取り組み状況を踏まえ,平成29 年6 月16 日に法律に基づく国の基本方針を変更したところであり,今後,より一層,公共建築物の木造化・木質化を図っていく方針である。
 
本稿では,法律に基づくこれまでの取り組み状況,公共建築物への木材利用を進める上での主な課題と対応,国の基本方針の変更,今後の展開方向等について紹介することとしたい。
 
なお,本稿は,筆者の個人的見解に基づくものであり,必ずしも所属機関の見解を示すものではないことを予め断っておきます。
 
 

2. 法律に基づくこれまでの取り組み状況について

2. 1 法律制定の経緯

公共建築物は展示効果やシンボル性が高いことから,公共建築物に木材を積極的に利用することは,人々に木材利用の重要性や木の良さに対する理解を深めてもらうのに効果的である。しかしながら,これまで,わが国の公共建築物における木造率は,建築物全体の木造率と比べて低く,平成20年度に新築・増築・改築を行った建築物の床面積のうち木造の建築物の割合は,建築物全体では36%であるのに対して,公共建築物では7.5%にとどまっていた。
 
このように,公共建築物における木材利用が低位であった理由としては,戦後,わが国では火災に強いまちづくりに向けて,耐火性に優れた建築物への要請が強まるとともに,戦後復興期の大量伐採による森林資源の枯渇や国土の荒廃が懸念されたことから,国や地方公共団体が率先して,建築物の非木造化を進めてきたことが一因として挙げられる(表− 1)。
 

【表−1 戦後における建築物非木造化の方針(例)】




 
また,昭和25年に公布された建築基準法では,高さ13mまたは軒高9mを超える建築物は,主要構造部を木造としてはならないとされるなど,木造建築物全般に対して,強い規制がかけられた。
 
その後,木造建築物に関する技術開発の進展や海外からの市場開放・規制緩和の要求を受けて,木造建築物に対する規制は,昭和62年の建築基準法の改正以降,徐々に緩和されてきた。特に,平成12年の同法への「性能規定」の導入により,一定の性能を満たせば,多様な材料,設備,構造方法を採用できることとなり,木材・木造建築物の適用可能範囲が大幅に広がった。その後,各地で大型ドーム等の大規模建築物が木造で建築されるようになってきたが,木造による公共建築物の割合は依然として低い状態にあった。
 
このような状況も踏まえて,平成22 年5 月に,木造率が低く潜在的な需要が期待できる公共建築物に重点を置いて木材利用を促進する「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が成立し,同年10月に施行された。
 
 

2. 2 法制度の概要

法律では,国が公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針を策定して,可能な限り木造化または内装等の木質化を進める方向性を明確にするとともに,地方公共団体や民間事業者等に対して,国の方針に則した取り組みを促すこととしている。また,各省各庁の長は,公共建築物における木材の利用の促進のための計画(以下「各省計画」という)を作成し,公共建築物における木材の利用に努めることとしている。さらに,地方公共団体においても,国の基本方針等に則して木材利用の方針を策定し,公共建築物における木材の利用に努めなければならないこととしている。
 
法律における「公共建築物」の範囲は,政令により,国や地方公共団体が整備する公共・公用に供する建築物に加えて,国等以外の者が整備する学校,社会福祉施設(老人ホーム,保育所等),病院・診療所,運動施設(体育館,水泳場等),社会教育施設(図書館,青年の家等),公共交通機関の旅客施設,高速道路の休憩所等も含まれる。
 
法律に基づく「公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針」(平成22 年10 月4 日農林水産省,国土交通省告示3号)(以下「基本方針」という)では,過去の「非木造化」の考え方を「可能な限り木造化・木質化を図る」考え方に大きく転換した。基本方針では,建築基準法等の法令の基準により,耐火建築物とすること等が求められない低層の公共建築物については,積極的に木造化を促進することとし,特に,国が建てる低層の公共建築物については,「原則として全て木造化を図る」こととしている。また,木造化が困難と判断されるものを含め,内装等の木質化を促進することとしている(図− 1)。
 

【図−1 公共建築物等木材利用促進法の概要】




 

2. 3 法律に基づくこれまでの取り組み

2. 3. 1 国における取り組み
(1)各省の取り組み状況
国は,基本方針において,自ら率先して,その整備する公共建築物における木材の利用に努めるとともに,公共建築物における木材利用の促進を図る上で主導的な役割を果たすことが求められている。
 
これまでに,国では23の府省等の全てが,法律に基づく各省計画を策定している。また,法律に,毎年一回,基本方針に基づく措置の実施状況を公表することが定められていることを受けて,農林水産省および国土交通省は,毎年,各省庁に対して実績調査を行い,国が整備する公共建築物における木材の利用の目標の達成に向けた取り組みの内容,当該目標の達成状況その他の基本方針に基づく公共建築物における木材の利用の促進に向けた措置の実施状況を公表している。※ 1
 
平成27年度の実施状況をみると,国が整備した公共建築物のうち,基本方針において積極的に木造化を促進するとされている低層の公共建築物は110棟で,このうち60棟が木造で整備された。木造率は54.5%で,法施行後初めて50%を超えた(表− 2)。
 



 
また,木造で整備が行われなかった50棟のうち,法施行前に非木造建築物として予算化された6棟を除く44棟については,各省各庁が木造化になじまないと判断した建築物であった。その理由を検証したところ,このうち24棟は,機械設備の重荷重に耐える構造が必要な施設,波や潮風に耐える構造が必要な施設,常時消毒液等を使用する施設等であり,必要な機能を確保する観点から木造化が困難な施設であったが,残りの20棟は技術的には木造化が可能な施設であった。
 


※1 林野庁HP「公共建築物における木材の利用の促進に向けた措置の実施状況について」
http://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/koukyou/jyoukyou.html
 
 
(2)国による支援策等
公共建築物における木材利用の促進に向けて,林野庁では,ハード面とソフト面の両面から,予算措置による支援を行っている。
 
ハード面については,「次世代林業基盤づくり交付金」(平成29年度予算額70億円の内数)により,法律に基づく木材利用方針を策定している市町村を対象として,木材利用のモデルとなるような公共建築物の木造化や内装等の木質化に支援を行っている(補助率は,木造化の場合15%以内,木質化の場合3.75%以内であるが,木造化でCLT(直交集成板)や木質耐火部材を活用したもの等は1/2以内)。
 
ソフト面については,「新たな木材需要創出総合プロジェクト」(平成29年度予算額12億円の内数)の中で,公共建築物の木造化等を検討している地方公共団体等に対して,専門家の派遣により,建築物の企画や,木材調達,設計技術等に関する技術支援を行っている。事業を開始した平成23年度から平成27年度までに支援が完了した計63件の建築物のうち,34件が竣工し,22件が着工済または着工に向けて準備を行っているところである。
 
また,平成28年度から,木造と他構造とのコスト比較を行う取り組みにも支援を行っており,初年度は,保育園の保育施設と遊戯室について,木造で設計した場合と鉄骨造で設計した場合のコスト比較を行い,同等もしくは木造の方がコストが低いという結果が得られた。※ 2
 
さらに,林野庁では,地方自治体等に対する情報提供として,平成29年2月に,公共建築物において地域材を活用したものや低コスト化に努めたもの等の事例を集めて優良事例集として取りまとめた。※ 3
 
また,同年7月には,各省庁が所管する公共建築物等の整備に活用可能な補助事業等の一覧を取りまとめた。※ 4
 
このほか,国土交通省においては,法律の制定以降,これまでに,公共建築木造工事に当たって確保または遵守すべき標準的な品質,性能および施工方法を示した「公共建築木造工事標準仕様書」等の木造の官庁施設整備に関する各種技術基準類を策定し公表している。※ 5
 


※2 一般社団法人木を活かす建築推進協議会HP「木造公共建築物の整備に係る設計段階からの技術支援」
http://mokuzouka.kiwoikasu.or.jp/
 
※ 3 林野庁HP「公共建築物における木材利用優良事例集」
http://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/koukyou/index.html#公共木造優良事例集
 
※ 4 林野庁HP「公共建築物等の整備に活用可能な補助事業・制度一覧」
http://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/koukyou/index.html#hojyo
 
※ 5 国土交通省HP「官庁営繕における木材の利用の推進」
http://www.mlit.go.jp/gobuild/mokuzai_index.html
 
 
2. 3. 2 地方公共団体における取り組み
法律に基づく地方公共団体が策定する木材利用の方針については,これまでに,47全ての都道府県と全国1,741市町村のうち89%に当たる1,548市町村で策定されている(平成29年6月末時点)。ただし,林業・木材産業と関わりの薄い都市部や,台風等気候の影響で木造建築物が普及していない沖縄県の市町村では,市町村方針の策定が遅れている。
 
各都道府県では,公共建築物における木材利用に向けてさまざまな取り組みが進められている。昨年10月に林野庁が実施した,各都道府県における法律の施行後の取り組み状況に関するアンケート調査では,木造率が高い県において,①県の関係部局が連携した体制の構築,②県方針に基づく措置の実施状況の定期的な把握や木材利用の促進に向けた課題の分析,③県と市町村との連携強化─等の先進的な取り組みがみられた。
 
具体的な取り組み事例は,以下のとおり。
 
岩手県:副知事がトップとなり,全部局の副部局長を構成員とする「岩手県公共施設・公共工事木材利用推進本部」を設置。木材利用推進目標や取り組み方針を内容とする行動計画を策定し,県自らが率先して県産材の利用を推進。また,県の出先機関にも同本部の地方支部を設置し,地元市町村に対して公共施設等への積極的な木材利用の要請を行っている。
 
秋田県:県が自ら整備する施設および県が全額整備費を補助する施設については,①全て木造化を図る建築物,②内装の木質化を図る建築物,③木造化・木質化できない建築物─に区分し,③については,その理由を付して「県産材利用推進会議」(会長:副知事)に諮っている。
 
宮崎県:県木材利用技術センターの職員が,県内各市町村に出向き,新築予定の案件等について木造化・木質化の提案や技術的助言等を行っている。
 
山梨県:市町村の営繕部局や林務部局等の職員を対象とした,木造建築に係る技術研修会やシンポジウム等を開催し,公共建築物の木造化や内装の木質化に係る技術的な情報提供やその意義等についての普及啓発を行っている。
 
 
2. 3. 3 公共建築物の木造化の進展状況
このような取り組みにより,各年度に整備された公共建築物のうち,木造で整備された割合(木造率(床面積ベース))を見ると,平成22年の法律施行後,上昇傾向で推移しており,平成22年度の8.3%から平成27年度は11.7%まで上昇している。特に,3階建て以下の低層の公共建築物では,同期間において17.9%から26.0%まで上昇しており,すでに,毎年整備されるもののうち,1/4が木造で整備されるようになっている(図−2)。
 

【図−2 公共建築物の木造率(床面積ベース)の推移】




 
また,低層の公共建築物の木造率を都道府県別に見ると,秋田県:55.3%,島根県:47.8%,宮崎県:47.6%,大分県:43.6%,山形県:43.2%等,東北地方や九州地方等の林業が盛んな地域で高い木造率を示す一方,市町村方針の策定が遅れている首都圏の都県や大阪府等の都市部や沖縄県で低位となっている(図− 3)。
 

【図−3 平成27年度 低層公共建築物の都道府県別木造率】




 
 

3. 公共建築物への木材利用を進める上での課題と対応

3. 1  中大規模建築物におけるコスト面と技術面での課題

(1)建築物の規模別の木造率の状況
上述のとおり,公共建築物の木造率は上昇傾向にあるが,延べ床面積別・階層別に木造率を見ると,延べ床面積が500m2以下の小規模な公共建築物では,木造が主流となっているのに対して,構造計算が必要となる500m2を超える中規模の建築物になると木造率は低下し, 延べ床面積が3,000m2を超える大規模な建築物になると,木造は極めて少ないことが分かる。また,階層別に見ると,2階建てまでは木造が多いが,3階建て以上では木造が非常に少ないことが分かる(図− 4)。
 

【図−4 平成27年度 延べ床面積別・階層別木造率】




 
これは,小規模な建築物であれば一般に流通している住宅用の部材等で整備可能であるが,規模が大きくなるにつれ,注文生産となる大断面集成材の使用が増えるなどして木造の方がコスト高となる傾向にあることに加え,防耐火に関する規制が厳しくなることが要因と考えられる。
 
特に,防耐火については,一般に,4階建て以上または延べ床面積3,000m2を超える建築物は,「耐火建築物」としなければならず,そのためには,主要構造部を「耐火構造」※ 6とすることが求められることから,可燃材料である木材を用いることは困難となっている。
 


※6 通常の火災が終了するまでの間,当該火災による建築物の倒壊および延焼を防止するために必要とされる耐火性能を有する壁,柱,床その他の建築物の部分の構造。
 
 
(2)構造面の課題への対応
大規模化に起因するコスト高については,大断面集成材の代わりに,「トラス構法」等を採用することにより,コストを抑制することが可能である。「トラス構法」とは,三角形を基本単位としてその集合体で構成する構造形式であり,一般に流通している木材を活用して大規模な空間を実現することができる(図− 5)。
 

【図−5 「トラス構法」を用いた建築物の事例(韮崎市すずらん保育園(山梨県韮崎市))】




 
また,近年,「CLT(直交集成板)」の開発・普及により,これまで構造計画の面での課題により木造化が困難であった中大規模の建築物等について,木造による整備が可能となりつつある。
 
CLTとは,ひき板を繊維方向が直交するように積層接着したパネルであり,CLTをパネルとして,床,壁,屋根に使用した「CLTパネル工法」は,中高層の建築物でも比較的容易に構造計算が可能であり,近年,欧州を中心にCLTを壁や床に使った高層のマンションや商業施設等の整備が進んでいる。
 
 
(3)防耐火面の課題への対応
防耐火に関する規制については,例えば,主要構造部を耐火構造としなければならない,全体の延べ床面積が3,000m2を超える建築物について,「耐火構造を複合させた別棟解釈」の考え方を適用することが可能である。これは,木造部分を3,000m2 以下のブロックに分割した上で,RC造等の耐火構造でつなぐことにより,木造部分を耐火構造とせずに計画する方法である(図− 6)。
 

【図−6 「別棟解釈」を用いた建築物の事例(綾町立綾中学校(宮崎県東諸県郡綾町))】




 
また,近年,木材を難燃処理木材等で被覆したり,鉄骨を木材で被覆したりするなどして燃え止まり性能を追加した部材や,木材を石膏ボード等の不燃材料で被覆して不燃化した部材等の木質耐火部材の開発・普及が進んでいる。所要の耐火性能を満たすものは,関係法令に基づき国土交通大臣の認定を受けることができ,2時間の耐火性能を有する木質耐火部材を活用すれば,最上階から数えて14階までの階を木造とすることが可能となる。
 
 

3. 2 木材調達面での課題

地元産材を活用して施設を整備しようとする場合には,まとまった量の地元産材を調達するのに長い時間を要することが多いことから,決められた工期での施工が困難となり,木造化を断念することもある。
 
このような課題に対しては,発注者が,建設工事を請け負う施工者とは別に,主要構造部材や造作材等の木材を木材関係者へ直接発注し,施工者へ支給する「分離発注方式」による対応が可能である。
 
「分離発注方式」では,建築工事を発注する前から,木材の調達を始めることが可能であり,地域の関係者から地元産材を調達する可能性を広げることができる。一般社団法人木を活かす建築推進協議会では,林野庁補助事業による地方公共団体等に対する技術支援の成果を基に,「地域材を活用した木造化木質化のための支援ツール」として,「分離発注方式」を実施するに当たっての注意事項や体制づくり,具体の実施方法を整理している。※ 7
 


※7 一般社団法人木を活かす建築推進協議会HP「地域材を活用した木造化木質化のための支援ツール」
http://mokuzouka.kiwoikasu.or.jp/Portals/0/images/common/pdf/pdf20160606_05.pdf
 
 

3. 3 木造化・木質化の知見を有する人材の不足

これまで,公共建築物における木材利用が低位であったことなどを背景に,大学等の建築学科において木造建築の設計に特化したカリキュラムを実施しているところはほとんどなく,特に,中大規模建築物の設計を担う一級建築士,二級建築士に,木造化・木質化に関する知見を有する者は非常に少ない状況にある。
 
このため,林野庁では,国土交通省と連携し,平成22年度から,建築を学ぶ学生等を対象とした木材や木造技術の知識習得や,中大規模建築物の木造化・木質化に取り組もうとする設計者等のレベルアップに向けた活動に対して支援を行ってきた。また,先に述べた,地方公共団体等に対する技術支援により,木造設計の専門家等を派遣して,地元の設計士に対する助言等の支援も行ってきた。
 
公共建築物への木材利用が徐々に広がりをみせる中,木造化・木質化の知見を有する設計者等の育成は,引き続き大きな課題となっている。
 
 
 

4. 国の基本方針の変更

農林水産省と国土交通省は,平成29年6月16日に,法施行後の国・地方公共団体による取り組み状況を踏まえ,国の基本方針を変更した。変更に当たっては,公共建築物への木材利用に関して,以下の点について,国や地方公共団体が取り組む
べき事項を新たに規定した。
 
(1)法施行後の国・地方公共団体における取り組み状況等を踏まえた変更
 
● 国は,木材利用の促進に資する有益な情報や優良事例等を取りまとめ,地方公共団体に対し共有する。
● 地方公共団体は,都道府県方針または市町村方針に基づく措置の実施状況を定期的に把握し,課題を分析し,
  必要に応じ当該方針を変更するよう努める。
● 地方公共団体は,木材利用の促進のために関係部局横断的な会議の設置に努める。
 
 
(2)CLT 等の新たな木質部材の積極的活用の観点からの変更
 
● 公共建築物の整備に当たっては,CLTや木質耐火部材等の新たな木質部材について活用を促進する。
 
 
(3)その他法律の制定および改正を踏まえた変更
 
● 平成26年6月の建築基準法(昭和25年法律第201号)改正により,3階建ての木造の学校等について,一定の防火措置を行うことで
  準耐火構造等で建築が可能となったため,国または地方公共団体は,当該学校等の建築を促進する。
 
● 公共建築物に利用される木材を供給する林業従事者,木材製造業者等は,合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律
 (平成28年法律第48号)に基づき,合法伐採木材等の円滑な供給の確保を図る。
 
林野庁では,今回の基本方針の変更を踏まえ,地方自治体に対して,部局横断的な体制づくりや実施状況の定期的な把握,都道府県と市町村の連携強化等により,木材利用の一層の促進に取り組むよう,働きかけを行っている(図− 7)。
 

【図−7 「公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針」の変更の主なポイント】




 
 

5. 今後の展開方向

公共建築物における木材利用の促進に向けた国の取り組みについては,これまで,主に公的部門(国,都道府県,市町村)が整備する建築物に焦点を当ててきたが,低層の公共建築物の着工床面積の整備主体別シェアをみると,公的部門が37%を占めるのに対し,民間部門は63%を占めている。特に,民間部門が整備する低層公共建築物の着工床面積の用途別内訳を見ると,「病院・福祉施設」が85%を占めている(表− 3,4)。
 



 
したがって,今後,公共建築物への木材利用の一層の促進を図るに当たっては,公的部門のみならず病院・福祉施設を中心とする民間部門についても,重点的な取り組みを進める必要がある。
 
林野庁としては,今後,厚生労働省や関係団体とも連携を図りつつ,
①科学的データや事例の調査を通じた,木材利用の効果の検証
②施設の用途にふさわしい木造化・木質化の在り方や低コスト化を実現するための方策の検討
③検討結果等を踏まえた訴求ツールの作成および普及に向けた全国的な運動の展開
等に取り組む方針である。
 
 
 

6. さいごに

これまで述べたとおり,法律が制定された平成22年度当時と比べると,着実に公共建築物における木材利用が進みつつあり,建築物の整備に当たって木造化・木質化が選択肢の一つとして認識されつつあると感じている。
 
今後,住宅分野における木材需要の拡大が見込めない中,非住宅分野において木材需要を創出・拡大していくことがより一層重要となる。林野庁としては,これまでの取り組み成果を踏まえて,ターゲットを絞った上で,効率的かつ効果的に公共建築物への木材利用の促進に取り組んでいく考えである。
 
 

林野庁 林政部 木材利用課 課長補佐 
宮脇 慈(みやわき しげる)

 
 
 
【出典】


建築施工単価2017秋号



 

 

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