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ホーム > 建設情報クリップ > 知る見るインフラストラクチャー > 知る見るインフラストラクチャー「プラスチック製地下貯留浸透施設 ”クロスウェーブ”ってどんなもの?」

 

 
技術・製品・工法の内容を,サクッと掘り下げてみる「知る・見る インフラストラクチャー」。
 
今回は水害対策の一助となる,プラスチック製地下貯留浸透施設で高い認知度とシェアを有する「クロスウェーブ」に焦点を当て,積水テクノ成型株式会社 営業統括本部土木資材営業所の江尻宏所長にお話を伺ってきました。
 
 

地下貯留浸透施設とは?

高度成長期以降,都市部では農地や雑木林などが減少し,アスファルトの道路やコンクリートに覆われた市街地が増加しました。地中に雨水が浸透する間もなく短時間で一気に流れ込むことで河川が氾濫し,「都市型水害」と呼ばれる浸水被害が多発しています。これらの浸水被害の対策の一つとして,地下貯留浸透施設が設置されています。
 
地下貯留浸透施設は,調整池を地下に設置することで地上の有効活用を図ることができるという利点があります。
 

都市型洪水のメカニズム




 
 

「クロスウェーブ」ってどんなもの?

平成12年9月に発生した東海豪雨では名古屋市域の37%が浸水して甚大な被害をもたらし,都市部の河川流域において浸水被害対策が喫緊の課題となりました。
 
それまで地下貯留浸透施設は砕石貯留施設やコンクリート製施設が主流でしたが,これ以降,工期が短く低コストのプラスチック製地下貯留浸透施設の需要が一気に伸びました。
 
「クロスウェーブ」は約1000×1000mm のポリプロピレン製の貯留材です。
 
設置場所に応じて以下のタイプがあります。
 

シリーズ比較




 
積み上げて設置することで地中に大きな空隙ができ,目的に応じて遮水シートまたは透水シートでそれを包み込み,埋め戻すことで地下貯水槽が構築できます。遮水シート使用の場合は雨水貯留施設として,透水シート使用の場合は雨水浸透施設として大雨による河川や下水道の氾濫を抑制することができます。
 

目的に応じた施工パターン




 
特に都市部では, 集中豪雨のピークのほとんどが短時間であることから雨水貯留浸透施設を設置することで河川の局地的な氾濫を抑えています。
 
 

なぜ「クロスウェーブ」のシェアが高いのか?

1998年の発売以来,約8,000件の施工件数と総貯水量約200万㎥という実績で,プラスチック製地下貯留浸透施設の高いシェアを有する「クロスウェーブ」(国土交通省NETIS登録番号 KT-060086)。
 
強度が高く,耐水性,耐薬品性に優れるポリプロピレンを原材料としています。
 
積水テクノ成型では、蛇腹状に折った紙から着想を得た“千鳥状に積層していく構造”(千鳥配置)を採用することで,剛強で優れた安定性を維持することに成功しています。また,90℉交差させて積み上げることで高い空隙を確保しました。連結部材が不要ですが、施工性と土木安定性に優れています。
 

千鳥配置したクロスウェーブ




 
 

容易な施工と短い工期が特長

一つ7 ~8kgと軽量なため重機などは不要であり,人力で積み上げるだけなので施工が容易。長い養生期間が不要で工期を大幅に短縮できるという特長があり,一日に約500㎥の施工が可能です。
 
同一方向に重ねればコンパクトに収納でき,在庫スペースを削減できます。
 
これらの特長も,高いシェアを維持する要因となっているようです。
 

クロスウェーブの構造模型




 



 



 

クロスウェーブを使用した地下貯水槽イメージ




 

おわりに

気象庁の「気候変動監視レポート2016」によれば,統計期間1976~2016年で1時間の降水量50mm以上・80mm以上ともに,年間発生回数は増加しているそうです。
 
都市部に人口が集中し,宅地整備が進むほど,処理しきれなくなった雨水が一気に河川に流れ込み浸水被害が起こります。
 
地下街などに浸水し,都市機能の麻痺に繋がる災害を防止するには,雨水貯留浸透施設の適切な配置が対策の一つとして,今,求められています。
 
 

取材=(株) フィールドリサーチセンター

 
 
 
【出典】


積算資料公表価格版2017年11月号



 

最終更新日:2018-04-16

 

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