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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > 四国地方整備局におけるCIMの取り組み−平成28-29年度 朝倉第1高架橋上部工事(松山河川国道事務所)の事例−

 

はじめに

四国地方整備局では、平成24年度よりCIMの導入を進めており、対象業務・工事の拡大を進めている。本稿では維持管理段階での活用を見据えたCIMに取り組んだ橋梁上部工事について報告する。
 
 

工事概要

本工事は、一般国道196号今治道路の一環として、愛媛県今治市朝倉地区で施工する橋梁上部工事である。
 
一般国道196 号今治道路は、今治小松自動車道の一環として今治ICから今治湯ノ浦IC間で整備が進められている延長10.3kmの自動車専用道路で、高規格幹線道路網の一環として瀬戸内しまなみ海道および四国縦貫自動車道と一体となり、産業・文化における地域間の交流を促し、地域の活性化を図ることを目的としている。
 
工事名:平成28-29年度 朝倉第1高架橋上部工事
工 期:平成27年12月15日〜平成29年1月31日
橋梁形式:鋼単純開断面箱桁橋
橋 長:59.5m
幅 員:10.73m
床 版:鋼・コンクリート合成床版
鋼 材:対候性鋼材。
 
 

CIMモデル作成

(1)3次元モデルの作成
 
本工事では設計照査と原寸作業を同時並行で進め(コンカレントエンジニアリング)、照査前の図面で3次元データを作成し、3次元による各種検討や照査を行った。3次元モデルの製作には「設計図面上に3次元モデルを自動作成するシステム」、Click-3D(NETIS:KT-140116-A)を用いた。Click-3Dは設計図面を基にして3 次元モデルを作成するため、下部工などの3次元モデルも容易に作成できる。
 
これにより、上部工と下部工との位置関係を3次元的に考慮した検討が設 計照査時に可能となった。
 
(2)属性情報の付与
 
点検等のシーンにおいて、CIMモデル上で、部材名称や材質、板厚などを確認できるように、それらの情報を属性データとして3次元モデル内の個々の部材ごとに付与し、画面上で確認することを可能とした(図-1)。また属性検索によって、特定の材質、板厚などが橋梁のどの部位に使われているかを、ハイライト表示で確認できるようにした(図-2)。
 

図-1 材質、板厚など属性の確認




 

図-2 属性による検索、ハイライト表示




 
 

施工段階での活用

(1)干渉の確認
 
施工の効率化のため、3次元モデルを用いた部材の干渉確認を行った。一般的に主構造の図面と付属物の図面は別々に作成される。このため図面上では部材の干渉を確認しにくい。今回、3次元モデルにすることで、落橋防止ケーブルが他の部材と干渉している事を設計照査段階で確認し、改善を行った。これにより製作の手戻りを防止し、効率化を図ることができた(図-3、図-4)
 

図-3 落橋防止ケーブルと部材の干渉状況




 

図-4 落橋防止ケーブルと部材の干渉改善状況




 
(2)架設検討
 
地形や下部工を含めた3次元の架設図を初回の打合せ時に用いることで、架設のイメージを瞬時に受発注者間で共有できた(図-5)。
 

図-5 施工計画




 
 

維持管理段階での活用に向けて

(1)維持管理時の点検を模擬したシミュレーション
 

設計照査段階の3次元データを活用し、維持管理点検シミュレーションを実施した。点検時に桁内の部材の間を点検者が安全に通り抜けることが可能か(図-6)、マンホールの出入りには問題がないか(図-7)などを確認した。
 

図-6 桁内の点検シミュレーション




 

図-7 マンホール利用時の点検シミュレーション




 
この点検シミュレーションにより、以下の改善を行うことができた。
 
本橋の橋梁形式は開断面箱桁であり、ウェブおよび桁端部に設置するマンホールの蓋もウェブ同様に傾斜しているため、開く際には斜めに持ち上げる必要があり、点検者にとって負担となり危険である。そこで、鋼製の蓋を、軽量なFRP製の蓋(鋼製の1/5の重量)へ変更し、体を支える取っ手の追加を設計照査に反映することで、点検者の安全に配慮した構造改善を行うことができた(図-8)。
 

図-8 桁端部のマンホール




 
(2)施工記録(初期値と不可視部分)
 
点検時に異常が見つかった際に、当該部分の初期の状態はどうだったのか(初期値)、完成してしまうと目視不可能になる部分の状態はどうだったのか(不可視部分)を記録しておくことが、原因究明に寄与すると考え、耐候性鋼材の表面状態(図-9)、箱桁内面の塗装状態(図-10)などの初期値や、コンクリート打設前の鉄筋状態(図-11)などの不可視部分の情報を3次元モデルに関連付け、CIMモデルから手軽に呼び出せるようにした。
 

図-9 耐候性鋼材の表面の状態




 

図-10 桁内面の塗装状況




 

図-11 コンクリート打設前の鉄筋状況




 
(3)点検記録
 
前述の材質属性や、施工記録に加え、点検記録を追加することもできるようにした。これにより定期点検の都度、点検結果を随時更新し、変状の経過確認など次回の点検に役立てることができる。
 
(4)3D-PDFの活用
 
CIMモデルのファイル形式はCIMPDF(本工事終了後の平成29年4月にNETIS登録:KK-170001-A)を活用した。CIM-PDFとは橋梁CIMモデル(3次元形状+属性)を3D-PDFに変換したデータであり、無償のAcrobat Readerを使用することで誰でも手軽に閲覧、属性検索、施工記録の呼び出しなど、CIMモデルの操作が可能である。
 
 

おわりに

今回実施した維持管理段階での活用を見据えたCIMは、橋梁点検における効率化の観点から、経験の浅い技術者への有効な手助けになるとともに、設計から維持管理までの流れの中に組み込むことにより、さらなるCIMの普及につながるものと考えられる。今回実施した効果を生かし、引き続きCIMに取り組み生産性の向上に寄与していきたい。
 
 

国土交通省 四国地方整備局 松山河川国道事務所 工務第二課 小野川 太心

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2018
特集1「i-Construction×CIM」



 

 

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