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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > Reboot よみがえる太陽の塔

 



 

Play back 1970

1970(昭和45)年に開催されたアジア初の博覧会,日本万国博覧会,通称「大阪万博」。77カ国,国際機構,政庁,州,都市,企業を含めて計116(テーマ館含まず)の展示館が,「人類の進歩と調和」をテーマに展示の花を咲かせた。
 
テーマ館の中心「太陽の塔」は,人間の尊厳と無限の発展を表現したもの。約70mの高さ(約20階建ビルに相当)で大屋根を貫いてそびえ立ち,左右に腕を広げて会場を訪れた人々を迎えた。「調和の広場」の地下部分では,「生命の神秘」をテーマに進歩や調和の根源にある混とんとした原始的な体験を,地上部門では,「現代のエネルギー」をテーマに人間の生き方の多様さ,そのすばらしさや尊厳を,そして大屋根の空中部門では,「未来の空間」をテーマに人間尊重の未来都市の姿をそれぞれ表現していた。
 

【太陽の塔の構造・材質・規模】




 

【岡本太郎デザインの「太陽の塔」。未来を象徴する“黄金の顔”,現在を象徴する正面の“太陽の顔”,過去を象徴する背面の“黒い太陽”と第4の顔としてプロローグ空間に“地底の太陽”がある】




 

【さよならEXPO’70 閉会式の様子】




 
万博閉幕後は,地下の展示空間は埋められ,巨大な大屋根は1977〜78年度にかけて撤去された。しかし,「太陽の塔」だけは保存運動の後押しもあって取り壊されずに残され,1階部分だけの限定公開が不定期に行われてきた。
 
限定公開はいったん終了したものの,その後,40周年事業の一環として再公開の機運が高まった。しかし,一般公開には建築基準法の壁が大きく立ちはだかった。当初,「太陽の塔」は仮設建設物として造られ,その後は“人が常時出入りしない”前提で工作物として残された経緯がある。一般公開に向け,建築物としての扱いに変われば,防火と耐震性等にかかわる多くのハードルを乗り越える必要があった。
 

【背面から見る修復された太陽の塔内部。(経済調査会により一部加工)】




 

再生・耐震補強工事の概要

2013年11月,大阪府は,「太陽の塔」の内部公開を進める意向を明らかにした。それに伴い,建設から約半世紀が経過し老朽化が著しいため,現在の建築基準法を満たすべく,防火・耐震補強工事と同時に内部展示物の再生・復元を実施することとなった。
 
塔本体の耐震補強工事は2016年10月から開始。太陽の塔周辺の根元部分に工事用の仮囲いを設置し,園内の一部は通行規制が敷かれた。
 
腕から下の胴体部分は,念入りな準備の後,補強としてコンクリートの20cm増し打ちを行い,腕から上の頂部は新たな鉄骨で補強がなされた。
 

【増し打ち後のコンクリート壁面】




 
当時の来場者は,地下展示場から「太陽の塔」の内部を通り,大屋根の空中展示場につながる経路で観覧した。今回の工事では,その出口の役割を果たしていた腕部の既設エスカレーターは軽量化するために撤去されて,残った鉄骨は展示物としてそのまま見せることになった。
 

【EXPO’70の刻印が残る腕部の鉄骨】

【ライトアップされた腕部展示場】




 
動線については,国土交通省の全館避難安全検証法による安全性の担保から,階段・エレベーターの整備・補強はもとより,地上から地下への進入路として,階段・スロープ・外部エレベーターを整備。「地底の太陽」部分の通路幅は見学者が横2列でも十分通行可能なように,幅2.5m分を確保した。塔内にエレベーターを設置したことにより,車椅子でも1階,中層階,最上階からの鑑賞ができるようになった。
 
また,入口を入ってすぐのスペースでは,ガラス越しに下から「太陽の塔」を見上げることができる。
 
 

〈「生命の樹」ゾーン〉

内部の展示空間にある鋼材で造られた高さ約41mの「生命の樹」。樹の幹や枝には大小さまざまな292体の生物模型が取り付けられ,アメーバなどの原生生物から魚類,恐竜,そして人類に至るまでの生命の進化の過程を表現していた。閉幕後は大小さまざまなオブジェは取り外され,残っていたものもほとんどが大きく傷ついていた。
 

【1970年当時の生命の樹】




 
内部展示物の製作は耐震工事よりも早く,2016年8月から着工。「生命の樹」は三次元計測から正確な模型の製作から始まり,一方,さまざまなオブジェは残された写真や資料を参考に粘土製作からのスタートとなった。現代の技術にふさわしく,一体一体のさまざまな生物が「リアル」に,そして生命力あふれる造形に仕上がった。
 

【新たに生まれ変わった生命の樹】




 
2018年3月,新たに生まれ変わった「生命の樹」には33種,183体の生物が取り付けられ,階段で登りながら鑑賞できるほか,より生き生きと見えるような演出が凝らされている。大阪万博当時にはなかったLEDライトなどの照明技術を駆使し,命の尊厳をリアルに表現しており,たとえばアメーバなどは,中にLEDライトを仕込んで,命のみずみずしさ,躍動する生命力を表現している。そのほか,内部では当時と同じ音楽「生命の讃歌」が流れ,光の演出と相まって全体がひとつの生き物のように感じられる。
 
また,ゴリラ一体だけは1970年当時のままの姿を残している。頭の部分は朽ち果て,中の装置が露出しているが,逆に48年という時の経過を実感できる。
 

【血湧き肉躍る生物模型】




 

〈「地底の太陽」ゾーン〉

地下展示室等の増設については,もともと,大きく3つのゾーンで構成されていた,大阪万博テーマ館の地下展示室を再生する案もあったが,最終的には大阪府の審議会の決定を経て「地底の太陽」のみの再生に落ち着いた。
 

【地下展示室の増設工事】




 
「地底の太陽」とは,大阪万博当時の地下展示室にあった,人間の精神世界を象徴する第4の顔のことである。万博閉幕後に兵庫県に無償譲渡されたが,その後行方不明となり,現在(2018年5月時点)も発見に関する有力情報がない中での,「地底の太陽」再生となった。
 
2017年7月,(株)海洋堂による“最初の原型”を基に原寸の雛形を作製。岡本芸術に精通する有識者による検討が行われた後,翌年1月に完成,搬入が行われた。
 

【当時の資料から復元された地底の太陽モデル(10分の1原型模型)】




 
「地底の太陽」ゾーンでは,再生された全長約11mの「地底の太陽」をはじめ,大阪万博当時も展示していた,岡本太郎たちが世界中から集めた仮面や神像も展示されるなど,映像や照明の組み合わせで,テーマ館の世界観を伝えている。
 

【美しく輝く黄金のマスクとうねって伸びるコロナが深淵な地底の太陽】




 

おわりに

「太陽の塔」は,幾多の紆余曲折を経て約半世紀ぶりに新たな命が吹き込まれ,見事に復元された。
 
2018年3月18日のテープカット。その場所はかつて48年前の大阪万博の開会式と同じ黒い太陽の前で行われた。翌日から始まった一般公開は大勢の見学者でにぎわい,オフィシャルサイトからの予約もすでに4カ月先までいっぱいの状況にある。
 
過去から現在,そして未来に続く生命の力強さを表現した岡本太郎の遺志は,最新技術を駆使することで,よりリアルでダイナミックな感動と興奮を訪れた人々の胸に刻み込み,来たるべき未来へと受け継がれていくことだろう。
 

【関係者によるテープカット。このあとコンサートや内覧会が盛大に行われた】 (資料提供:大阪府)




 


〈万博記念公園オフィシャルサイト〉
http://www.expo70-park.jp
 
 
 

経済調査会 制作管理部 編集制作室

 
 
 
【出典】


積算資料2018年7月号


 

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