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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 建設産業における女性活躍推進に向けた取組

 

[1] はじめに

わが国の建設産業においては就業者の高齢化が進む中で,将来の担い手の確保・育成が大きな課題となっている。その解決方法のひとつとして建設産業での女性の活躍があり,平成26年8月に,国土交通大臣と建設業5団体(※1)との間で,「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」が取りまとめられた。行動計画においては5年間の目標期間を掲げ,建設業で働く女性,特に技術者・技能者を倍増することを目指し,どうすれば建設業で働く女性を増やすことができるのか,官民を挙げたさまざまな取組が進められてきた。
 
一方では,建設業のみならず,わが国全体としても,平成28年4月に「女性活躍推進法」が施行されている。女性の労働参加率や,管理職比率を高めることが日本の産業競争力を確保するための源泉となることから,2020年までに女性の管理職比率を30%までに高めることを目標に掲げ,全産業において女性の活躍推進のための取組が行われている。
 
また,わが国の建設産業には,将来の担い手の確保・育成をはじめ,働き方改革や生産性の向上等による処遇・待遇の改善,ベテラン技術者および技能者から若年者への技術・技能の伝承,円滑な事業継承など,さまざまな課題が山積している。このような中,国土交通省(以下「国交省」)は平成29年度において,「建設業における女性の入職・定着の促進に向けた支援及び情報発信業務」として,「コンサルティング業務の実施(建設産業女性活躍推進相談窓口の設置)」「建設産業女性活躍セミナーの開催」および「女性の入職等に資する情報発信業務の実施」の三つを柱として,女性の入職および定着の促進を図り,さらに活躍ができる基盤固めを行うことを目的とした事業を実施した。
 
なお,これらの事業は(一財)建設業振興基金(以下「本財団」)が国交省より委託を受けて実施したが,引き続き30年度においても女性建設技術者・技能者の入職および定着の推進に係る支援を通じて,建設産業の活性化に貢献できればと考えている。
 

【近年における「女性活躍推進」関連業務実績】




 


(※1) 建設業5団体
(一社)日本建設業連合会,(一社)全国建設業協会,(一社)全国中小建設業協会,(一社)全国建設産業団体連合会,(一社)建設産業専門団体連合会
 
 

[2] 平成29年度の取組

(1)課題解決に向けたコンサルティング業務の実施

各地域の中小・中堅建設企業が,女性活躍推進に向けて取組を進めるためには,各企業が抱える多様な課題を解決する必要がある。
 
そこで,本財団内に「建設業女性活躍推進相談窓口」を平成29年8月26日に開設し,コンサルティング業務に取り組んだ。
 
コンサルティング業務を行うメンバーは本財団が従来から培ってきた専門家のネットワークを活用し,公認会計士,税理士,中小企業診断士,社会保険労務士など,全国約150名の中から適任者を選定。主な相談内容とアドバイスは,次頁のとおりとなっている。
 
 

【コンサルティング業務の流れ】




 

(2)「建設産業女性活躍セミナー」の開催

①地域セミナーの概要
本セミナーの目的は,今後入職を考える女性や女性を採用しようとする企業に対して効果的に情報を提供することによって,『建設業で働く女性たちがさらに活躍していくための基盤固めを行うこと』である。多くの女性たちが参加できるように,全国を北海道,東北,関東,北陸,中部,近畿,中国,四国,九州,沖縄の10の地域ブロックに分け,その中心都市で昨年10月から12月にかけてセミナーを開催。各回共通のプログラムとして,第一部は自ら女性活躍推進の先頭に立って活躍している籠田淳子氏((有)ゼムケンサービス代表取締役)の基調講演と,国交省による女性活躍推進施策を含む最近の建設産業政策の紹介,第二部は,パネルディスカッションの構成とした。
 
籠田氏の講演は,「建設業を女性の一生の仕事に〜男女共創の幕開き」と題して,建設産業全体が女性活躍推進を目指していく中で,建設業に従事する者それぞれが,男女を問わず活躍でき,社会を活性化していくためには,今何が求められるのかという内容であった。
 
 

【「建設産業女性活躍推進相談窓口」に寄せられた相談内容の一部】




 
第二部のパネルディスカッションでは,各地域ブロックで活躍する女性技術者,事務職,経営者をはじめ,建設団体から推薦された女性技術者・技能者のほか,毎回,国交省および各地方整備局の担当官もパネリストとして登壇した。パネルディスカッションは,「建設産業において,さらなる女性の入職および定着を促進するためには」を共通テーマとして,進行役の籠田氏のもと,自らの仕事内容や地域の女性の活躍状況,推薦団体の取組などの紹介を交えながら意見交換を行った。各地域で活躍する多くの女性が登壇したことによって,建設業で働く女性が抱える共通の課題はもとより,地域固有の課題を共有しあう場となった。
 
 
②全国大会の概要
一方,3月1日に東京で開催した全国大会は,全10回の地域セミナーの内容を総括する目的で行った。これまでの意見交換や,パネリスト等へのアンケート調査から見えてきた課題や論点を整理し,「入職促進」「定着・就労継続」「スキルアップ・さらなる活躍」「情報発信」という四つの課題を切り口に,あらためて意見交換を行った。
 
開催の冒頭に挨拶した国交省の青木由行建設流通政策審議官は,「厳しい仕事はどの世界にもあるが,女性の入職と定着が進むことによって,ハード面・ソフト面ともに工夫・改善がなされることがある」「建設業という道を選んだ女性自身が,そこで自らの力を発揮して,やりがいのある仕事に巡り合っていただくことに大きな価値がある」と述べた。
 
 
③女性活躍推進への協力体制
全国10都市で実施した地域セミナーと全国大会の開催に当たっては,多数の建設業団体の協力を得ることができた。(一社)全国建設業協会および各都道府県建設業協会をはじめ,(一社)建築設備技術者協会 設備女子会,(一社)土木技術者女性の会,(一社)日本造園組合連合会,(一社)日本建設業連合会 けんせつ小町委員会,(一社)日本建築仕上学会女性ネットワークの会,(一社)全国中小建設業協会,(一社)全国建設室内工事業協会,(一社)日本左官業組合連合会,全国低層住宅労務安全協議会 じゅうたく小町部会等の関連団体からは,パネリストの派遣にとどまらず,女性の技術者,経営者などのほか,男性の経営者や管理職など幅広い職域まで,延べ500名を超える関係者が参加するセミナーが実施で全国の主要都市で開催された地域セミナーが実施できた。
 
 



【全国の主要都市で開催された地域セミナー(上が札幌,下が福岡)】




 

【全国大会の様子。女性の入職と定着に向け,関係者の熱気が伝わる】




 
このように,どの会場も大盛況となったことは,当初目的の達成に,一定程度の貢献があったことを示す結果となった。また,各会場には,業界紙から多数の記者が取材に訪れており,一部の会場では一般紙やテレビ局による取材も行われるなど地域セミナーの活動が広く周知されることにもなった。
 
 

(3)女性の入職等に資する情報発信,女性ネットワークのフォローアップの仕組みづくり

①情報発信
女性の入職および定着に資する情報の発信については,本財団が運営するサイト「建設現場へGO!」「ヨイケンセツドットコム」「建設産業で働く女性がカッコイイ」,また広報紙「建設業しんこう」や建設産業団体等を通じ,セミナー開催の周知,セミナー参加者募集の告知をはじめ,全国10都市で開催した「建設産業女性活躍セミナー」の様子を取りまとめて紹介し,普及啓発に努めた。具体的には,女性活躍の分野で先進的な取組をされている経営者の体験談や,現場で働く女性技術者・技能者,事務職の皆様によるパネルディスカッションなど,女性の入職・定着,さらなる活躍に向けたヒントを10都市のセミナー会場ごとに公開した。映像コンテンツについては,東京で行った全国大会を撮影し内容を編集,とりまとめて,一般に公開。また,女性活躍推進に係る掲示用ポスターを制作し,関係機関・団体等への配付も行うと同時に,業界内外への情報発信に努めた。なお,全国大会についてはYouTubeを使った動画の配信を行った。
 

【急がれる建設業で働く女性グループを集約するネットワークの構築】




 
②女性ネットワークのフォローアップ
女性活躍を推進するためには,建設業で働く女性が仕事を続け,活躍する上でネックとなる悩みや不安を解消することが不可欠である。情報を共有することは,女性が抱える課題の解決に役立つ取組としてますます重要となっている。また,さまざまな団体やグループが連携し,有用な取組事例やノウハウを共有しながら,効果的かつ円滑に進めることも必要である。地域セミナーではおよそ20の建設業団体から推薦,派遣された女性技術者・技能者等がパネリストとして登壇した。いずれもユニークな取組を展開する先進的な団体ばかりであるが,本事業をきっかけに,これまで交流機会が少なかった団体が集結することで,相互に活動を紹介することになった。セミナーを聴講した参加者の中には,『パネリストの発表を聞いて,初めてそれぞれの活動状況を知った』という声も聞かれた。地域セミナーおよび全国大会の開催を通じ,職種,職域,年齢,地域などの異なる女性たちが一堂に会し,立場を超えて意見を交換できたことで,新しい気付きや発見が生まれ,今後の活動へのヒントを得られることになった。それはまた,情報共有の重要性を改めて認識する機会ともなった。
 
 
③ネットワーク構築に向けて
働く女性たちが抱える不安や悩みなどについて意見を交わしたディスカッションの内容をまとめ,ホームページで公開したことにより,多様な課題の解決に向けた取組が今後とも必要であるという共通認識を図った。しかし,さらなる機運の醸成を図るためには,情報の発信と共有が一過性のものにとどまることなく,継続していくことが不可欠である。そして,それを実現する推進体制を構築することが,次なる課題として残される。
 
こうした状況を踏まえ,現状においては地域や職種ごとに組織されている建設業団体や建設業で働く女性グループを網羅的に集約するネットワークの構築が急がれることになった。現在,「建設産業女性活躍推進ネットワーク」の構築を進めているが,本セミナーに参加した女性活躍において先進的な団体や女性グループが中心となり,さらに全国各地で活動している団体等が新たに加わることになれば,より大きなネットワークを構築することができ,緊密なコミュニケーションが図れるようになる。各団体が単独で活動することに比べても,より大きな発信力を持つことができ,また新たな気付きや発見が生まれることになる。
 
 

[3] 今後の取組の加速化に向けて

平成30年度は,「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」に掲げる目標達成に向けた具体的な取組として引き続き,女性になじみやすい職種団体との連携強化による経営者・人事管理者向けのワークショップの開催をはじめ,経営者等の啓発を目的とした講習会および講習受講者に対するフォローアップなどにより,採用・定着の推進に向けた優良事例の共有等に努めることとしている。さらに,女性活躍ネットワークの相互交流を促進するためのイベント開催などを並行して実施することも含め,これまでの取組を一層加速化させていきたい。
 
女性が輝き,働きやすい建設産業の実現を目指し,ソフト面,ハード面双方の改善に向けた取組はもとより,業界全体を挙げた活動を今後も末永く継続することが重要である。
 
 


(編註)
建設業界を取り巻く環境は『働き方改革』など近年めまぐるしく変化しております。本誌では建設業界が魅力的な職場として選ばれるよう,日々取り組んでいる建設産業団体の活動を(一財)建設業振興基金のご協力により定期的に掲載をする予定です(次回2018年10月号)。
 
 
 

一般財団法人 建設業振興基金      
経営基盤整備支援センター人材育成支援課

 
 
 
【出典】


積算資料2018年7月号



 

 

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