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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > BIM/CIM国際標準化への取り組み

 

1. はじめに

2018年10月中旬,BIMに関連する標準化や普及展開に関するbuildingSMART International(以下bSI)サミット会議が東京で4日間の日程で開催された。
 
東京での開催サミットということで,国内外からの参加者も多数にのぼり,初日には国土交通省によるi-Constructionについての基調講演や国内からの講演者や発表者も多数参加して日本の最新状況を世界に向けて発信するとともに,国際的な活動との接点を強化することとなった。
 
本稿では,bSIサミットの概要,BIM(Building Information Modeling)/CIM(Construction Information Modeling)に関連する国際標準化,そしてBIMデータ連携の仕組みとして重要となってきているIFCモデルサーバに関する動向を紹介する。
 
 

2. buildingSMARTの活動

1996年のbSIおよび日本支部(buildingSMART Japan: 旧名称IAI日本,以下bSJ)の発足から2014年まで計54回の国際技術会議(ITM, International Technical Management)が開催され,2015年以降サミット形式となってから8回のbSIサミット会議が開催されている。bSIは,各支部と連携して建設業におけるプロセス改善と情報共有のための国際的な標準を提供するために活動を展開してきている。
 
2013年に建築分野におけるBIMデータの国際標準化(IFC, Industry Foundation Classes: ISO16739:2013)を達成した後,道路・橋梁・トンネル・鉄道・港湾などインフラ分野のデジタルデータ標準化に標準化のターゲットが移っている。一方,建築分野では施工現場でのIoTやロボット,分類体系コードや製品識別コードなどとのデータBIM/CIM国際標準化への取り組み連携,建築確認分野へのBIM活用,BIMガイドライン,BIM個人能力認証制度など,データ標準からBIMを社会システムとして実用化するための仕組みづくりへと活動を広げている。
 
 

3. buildingSMART 東京サミット2018

bSIにおける活動内容を示すため,現在どのような国際分科会活動が行われているのかを以下に紹介したい。“Room”と呼ばれているのが,分野ごとに設立された分科会活動単位である。
 

【図-1 bSI 東京サミット基調講演の様子】




 
● Building Room: 建築分野のBIMガイドライン,BIM教育,IDM,MVDなどの標準,ドキュメント,技術仕様などの検討,策定を行っている。
● Infrastructure Room:道路,橋梁,鉄道,トンネル,港湾分野へのIFC拡張を行っている。国内では,i-Constructionを推進するために有識者,bSJを含む関連団体が参加している国際土木委員会が標準化活動を支援している。
● Product Room:BIMに関連する用語,分類体系コードなどをデジタル辞書フレームワークbSDD(buildingSMART Data Dictionary)によりオントロジー(概念体系)として扱うことでBIMライブラリなどへ活用する運用手法の検討を進めている。
● Regulatory Room:建築申請分野へのBIM活用ガイドライン策定や,自動チェックシステムの研究,情報共有を行っている。
● Technical Room:IFC拡張・メンテナンス,IFC開発ツールキット,Linked Dataなど新領域の技術をIFC活用へ連携する研究,技術開発が中心となる活動が行われている。
● Construction Room:施工分野におけるBIM活用の事例研究,建設現場におけるICT活用,AR(拡張現実)やMR(複合現実)とBIMの連携,建設現場でのロボット技術活用,BIM-IoT連携,4D-BIM,BIMデータ連携に関するCDEなどに関する課題把握,協調領域の検討を行っている。本サミットでは日本における施工BIMの多数の事例発表や,製品識別コードの標準化,普及を進めているGS1(日本では一般財団法人 流通システム開発センター)と,建設サプライチェーンにおけるBIMと流通コードの連携の可能性について意見交換を行っている。
● Airport Room:空港分野の資産管理,運用管理の視点から空港施設ライフサイクルへのBIM活用に必要なIDM,MVD,ガイドラインなどの策定。オランダのスキポール空港関係者が立ち上げた活動が発端となっている。
● Railway Room:今年から本格的に活動を開始した鉄道関係の軌道,架線設備,電力系統,信号系などの分野からIFCの拡張を策定している。ヨーロッパと中国の鉄道関係組織が中心となって立ち上げたが,本サミットから日本からの参加が開始された。
 
 

4. BIM/CIM 分野の国際標準化

buildingSMARTは1996 年の発足以降,国際標準化機構(ISO)のプロダクトモデルデータ交換標準ISO-10303 を策定しているISO TC184/SC4委員会と協調してIFC策定を進めてきた。建築分野において,IFC は下記に示すように数々のリリース(バージョン)を経て,BIMデータ標準としてBIMソフトウェアへの実装とバージョンアップを繰り返して完成度を上げ,2013年3月に正式な国際標準IS0 16739:2013として発行された(図-2)。
 

【図-2 IFC策定の流れとIFCの概要】




 
● IFC Release 1.0(1997年1月):パイロット版
● IFC Release 2.0(1999年4月):実証実験本格化
● IFC 2x(2000年10月):現在のIFC2x3およびIFC4の原型となるバージョン
● IFC 2×3 TC1(2007年7月):現時点でBIMアプリケーションに採用されているバージョン
● IFC4 Official Release(2013年3月)
● ISO 16739:2013(2013年3月)
● 2013年以降:インフラストラクチャー分野へのIFC拡張
 
 
2011年にシンガポールで開催されたbSIのITM国際会議において,フランス支部からインフラストラクチャー分野へのIFC拡張を目的とするOpen Infraプロジェクトが提案された。2012年,国内においても土木分野へのBIM活用をCIMとして,国土交通省が本格的にBIM/CIMの推進に向け舵取りを始めた年となった。
 
IFCのインフラストラクチャー分野拡張への動きは,2013年10月ドイツ・ミュンヘンで開催されたITM国際会議において,インフラストラクチャー分野へのIFC拡張を目的とした分科会Infrastructure Roomが設置されることで本格的な標準化活動に移行した。Infrastructure Roomにおいては,まず橋梁,道路,鉄道分野のモデル化に必要な線形モデル(Alignment model)の策定が行われ(図-3),加えてトンネル,港湾施設分野へとIFC拡張作業が展開してきている。
 

【図-3 インフラ分野へのIFC拡張】




 

5. BIMデータ連携プラットフォーム

BIMプロセスにおいて,複数の関係者が参加して協調的に実行するために,インターネット上で動作するBIMデータ連携の仕組みが必要となる。これまでBIMデータファイルや関連するドキュメントデータを共有するサービスが複数出ている。英国におけるBIMプロセスに関する指針をまとめている英国標準BS1192シリーズでは,このようなBIMデータを連携する仕組みをCDE(Common Data Environment)として定義し,BIMが条件のプロジェクトにおいてはCDEの活用が求められている。
このCDEについてPAS 1192-2では,以下の機能が含まれていることが指針として記載されている。
 
● 作業中データ管理
● プロジェクトチーム内のデータ共有
● 承認・確定された情報の公開
● プロジェクト履歴の保守管理(アーカイブ)
 
これまでに出てきているCDEとされるBIMデータ連携サービスは,BIMデータをファイル単位として管理するファイルベースの仕組みが主流である。一方,IFCデータをデータベースに格納し,API(Application Protocol Interface)によって,部分モデルデータを選択的に抽出し,BIMデータとドキュメントデータ間のリンク・検索処理などの機能を提供するIFCモデルサーバ型のCDEサービスも登場している(図-4)。
 

【図-4 クラウド上で動作するIFCモデルサーバの一例】




 

IFCモデルサーバは,構造化されているIFCデータをリレーショナル型,ドキュメント指向のNoSQL型,グラフ型などのデータベースシステムに格納し,APIにより様々な情報処理機能を提供する仕組みである。IFCビューワ,強力なデータ分析機能を提供するBI(Business Intelligence)ツール,GIS(地理情報システム),IoTサービスなどとIFCモデルサーバを連携させ,BIMデータに対する情報処理の可能性を広げる技術として今後の普及が期待されている(図-5)。
 

【図-5 APIでつながるIFCモデルサーバの概念図】




 
IFCモデルサーバ型のBIMデータ連携プラットフォームは,商用サービスだけではなく,オープンソースプロジェクトも存在している。BIMserver.orgはその一つで,機能を拡張するためのプラグインの開発も多数のサブプロジェクトとして展開している。
 
IFCモデルサーバのAPIに関して,標準化のための指針となる仕様をBIMSie(BIM Serviceinterface exchange)プロジェクトが公開をしている。BIMSie仕様は,IFCモデルサーバ型CDEのAPI仕様の基本形として参考となるものと考えている。
 
 

6. おわりに

buildingSMARTの活動は,BIMデータ連携のために必要となる3次元建物情報モデルの標準規格IFCの策定から始まり,建築分野のIFCは国際標準となり,現在は道路,橋梁,トンネル,鉄道,港湾などのインフラ分野へIFCを拡張する作業へと展開している。BIMデータ連携もIoT,ロボット,製品識別コードなど建設資材ロジスティクス分野のデジタル化分野にも広がってきている。
 
また,BIMデータ連携をクラウド上で提供するCDE の活用方法にも注目が高まってきている。bSJではCDEについての調査・研究を行うワーキンググループ活動が2017年度から行われ,今後は先進的なIFCモデルサーバなどの活用手法などの検討にも取り組む予定である。
 
 


参考文献
● BSI PAS 1192-2:2013: Specification for information management for the capital/delivery phase of construction projects using building information modelling, British Standards Institution
●「オブジェクト指向3次元建物モデルによるIFCモデルサーバの必要性と構築技術」:高本・足達:情報・システム・利用・技術シンポジウム論文集2004年
● Open Source BIMserver.org: http://bimserver.org/
● BIM Service interface exchange (BIMSie):https://www.nibs.org/page/bsa_bimsie

 
 
 


         一般社団法人 buildingSMART Japan
技術統合委員会委員長
博士(工学)・buildingSMART Fellow

 
 足達 嘉信(あだちよしのぶ)

 
 
 
【出典】


積算資料2019年1月号



 

 

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