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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > i-Constructionによる建設現場の生産性革命

 

はじめに

わが国は、現在、人口減少社会を迎えていますが、潜在的な成長力を高めるとともに、新たな需要を掘り起こしていくため、働き手の減少を上回る生産性の向上等が求められています。また、産業の中長期的な担い手の確保・育成等に向けて、働き方改革を進めることも重要であり、この点からも生産性の向上が求められています。
 
社会全体の生産性を高め、人々の成長期待を高めることができれば、企業の設備投資や賃上げ、さらには個人消費の拡大が促されます。これが企業の一時的な需要の喚起にとどまらない持続的な経済成長につながり、さらにその成果が働く人に分配されることによる好循環が期待されます。
 
こうした観点から、国土交通省では、平成28年を「生産性革命元年」と位置付け、先進的な取り組みとして「生産性革命プロジェクト」を選定しました。「i-Constructionの推進」は、生産性革命プロジェクトの主要施策の一つです。
 
平成30年5月には、プロジェクトの見直しを行い、i-Constructionの推進においても、「i-Constructionの「深化」×Open Innovation」として、これまでの取り組みをさらに具体化・強化しています。
 
 
 

i-Constructionの「深化」

国土交通省では、これまで調査・測量から設計、施工、維持管理の各建設生産プロセスにおいてICT等の導入を進めてまいりました。
 
 
(1)調査・測量
 
レーザースキャナーの技術開発・小型化が進み、ドローン等のUAV(無人航空機)に搭載可能な製品が登場してきたことから、平成30年3月に「UAV搭載型レーザスキャナを用いた公共測量マニュアル(案)」等を策定し、3次元測量に取り組んでいます(図-1)。
 

図-1




 
(2)設計
 
3次元設計(BIM/CIM)を導入することで、建設生産システム全体を見通した施工計画、管理などコンカレントエンジニアリング、フロントローディングの考え方を実施していくことが可能となります。
 
3次元設計については、平成24 年度から橋梁やダム等を対象に導入し、着実に実施件数を伸ばしています。今年度は、原則大規模構造物における詳細設計について、BIM/CIMの活用を導入することとし、「新技術導入促進調査経費」等の活用により、工事・設計業務合わせて200件の実施を目標としています(図-2)。
 

図-2




 
(3)施工
 
①ICT施工
3次元設計データを用いて自動制御可能なICT建機により施工し、3次元データで現場の施工管理等を行うICT施工を、平成28年度に土工に導入しました。平成28年度は、全国で584件の直轄工事でICT土工を実施し、平成29年度は、815件の工事に拡大しました。
 
平成29年度にICT土工を実施した274件の工事を調査したところ、従来手法で平均187人日かかるところを、ICT施工では平均129人日と、約3割の削減効果が確認されました(図-3)。
 
平成29年度からは、舗装の際の整地を自動制御するグレーダーを活用した「ICT舗装工」や、港湾の浚渫工事において海底地形を3次元データで把握し、施工・検査に活用する「ICT浚渫工」などに着手しています。
 
今後は、土工や舗装工以外の工種も含めて、点群データや施工時履歴データなどの3次元データによる工事全体の施工管理等の効率化を図るため、地盤改良工、法面工や付帯構造物工の出来高、出来形管理要領案の作成を進めています。
 
さらに、工事全体の施工管理に3次元データを用いれば、遠隔地からでも施工管理を行うことが可能となりますので、遠隔立会に向けた検討も進めていきます。
 

図-3




 
②コンクリート工の効率化
現場施工の効率化を図るため、流動性を高めた現場打ちコンクリートの活用や機械式鉄筋定着・継手工法の採用を進めてきました。また、埋設型枠やプレハブ鉄筋などのハーフプレキャスト工の活用を促進し、現場作業の省人化を進めています(図-4)。
 
さらに、プレキャスト製品の採用率が低い大型構造物への導入を目指し、課題となっているプレキャスト製品継ぎ目の鉄筋継手工法などの検討を進めています。
 
今後は、生コン情報などの施工関連情報の電子化による出荷状況のリアルタイム把握や、部材の仕様(サイズ等)の標準化を進め、サプライチェーンマネジメントの実現を目指します。
 

図-4




 
(4)維持管理
 
維持管理の高度化を見据え、ドローン等のロボットにより正確な3次元位置情報を付した点検画像を取得し、3次元モデルを介して蓄積するため、平成30 年3月に「点検記録作成支援ロボットを用いた3 次元成果品納品マニュアル(案)」(トンネル編、橋梁編)を策定し、今年度から試行を実施しています。
 
今後、これらのデータを活用してAI等による変状検知機能を開発し、効率的な公物管理の実現を目指していきます(図-5)。
 

図-5




このように、調査・測量から設計、施工、維持管理の各建設生産プロセスにおいて、3次元データを活用する体制を整えてきているところです。今後は、これらの3次元データをつなぎ、新技術、新工法、新材料の導入・利活用を加速化してまいります(図-6)。
 
なお、3次元データの標準化を図るに当たり、bSI(building SMARInternational:構造物の3次元モデルデータ形式であるIFCの策定などの国際標準化に関する活動を行う組織)の国際標準化の動きとも連携していきます。
 
さらに、民間や他機関の持つデータとも相互に連携することによって、シナジー効果を生み出し、民間におけるイノベーションを促進していきたいと考えています。
 

図-6




 

新技術の開発・導入

建設現場の生産性向上のためには、さらなる新技術の開発・導入が欠かせません。そのためには、新技術の開発を民間に期待するだけではなく、官民が連携して研究開発に取り組む必要があります。
 
 
(1)i-Construction推進コンソーシアム
 
i-Construction推進コンソーシアム(以下、「コンソーシアム」という)は、さまざまな分野の産学官が連携して、革新的な技術の現場導入や3次元データの利活用などを進めることで、生産性が高く魅力的な新しい建設現場を創出することを目的として、平成29年1月に設立しました。
 
平成30年11月時点で、コンソーシアムの会員は965者に上っています。(法人会員879者、行政会員61者、有識者会員25者。なお設立時の会員は458者)
 
コンソーシアムには、全体のマネジメントを実施する企画委員会と、3つのワーキンググループ(以下、「WG」という)を設置しています(図-7)。
 

図-7




その中の一つの技術開発・導入WGでは、最新技術の現場導入のための新技術発掘や企業間連携を促進することを目的に、建設現場の生産性向上に関する行政ニーズや現場ニーズと、それに対する技術シーズのマッチングを行っています。これまでに、平成29年10月に5件、平成30年5月に11件のマッチングが成立し、現場で試行を行っています(表-1)。
 
各地方整備局において同様のマッチングを行っており、今後も、生産性向上に資する技術の導入に努めていきます。
 

表-1




(2)官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)
 
国土交通省では、政府が科学技術イノベーションの創出に向けて今年度創設した「官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)」の制度を活用し、i-Constructionの取り組みにより建設現場で得られる3次元データを活用して、建設生産プロセスのさらなる高度化を図る研究開発を加速化させていきます。また、3次元データ等のインフラに関するデータを集約するプラットフォームの構築を進めていきます。
 
平成30年度は、国土交通省分約29億円のうち約22億円をi-Construction関係の研究開発に充てています。
 
 
 

おわりに

i-Constructionの導入により、建設現場に必要な技術の習得に要する時間が短縮されるとともに、危険の伴う作業や厳しい環境で行う作業も減少することが期待されています。また、生産性向上により安定した休暇の取得が可能になることで、建設現場において若者や女性などの多様な方々の活躍が期待されています。
 
さらに、3次元データを集約・蓄積することにより、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたSociety5.0の実現にも資すると考えています。
 
i-Constructionの取り組みにより魅力ある建設現場を作り出すことで、「きつい、危険、給料が安い、休暇が取れない」と表現されることもある現状を改善し、新たな「給与が良い、休暇が取れる、期待が持てる」建設現場の実現を目指してまいります。
 
 
 

国土交通省 大臣官房 技術調査課 課長補佐 橋本 亮

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2019
特集1「i-Construction×BIM/CIM」



 

 

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