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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > 国土交通省におけるBIM/CIMの普及・促進の取り組み

 

はじめに

第四次産業革命によって、今、世界中で次々と新しいビジネスが生まれています。日本では、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会を「Society5.0」として、来たる新時代に対応したさまざまな取り組みを進めています。
 
これを受け、国土交通省では、2019年を貫徹の年と位置付け、31の生産性革命プロジェクトに取り組んでいるところです。建設業においては、社会資本の整備を支え、社会の安全・安心の確保を担う建設業の担い手確保に向けて、建設生産プロセス全てを対象にICT等を活用する「i-Construction」を推進し、建設現場の「生産性革命」と「働き方改革」により、魅力ある建設現場の実現を目指しています。
 
特に、BIM/CIM(Building/ConstructionInformation Modeling, Management)は、「i-Construction」のエンジンとして重要な役割を担っており、建設生産・管理システム全体を3次元データ等でつなぐことにより、品質の確保や生産性向上に大きく寄与することが期待されています。
 
このため国土交通省では、BIM/CIMの本格的な導入に向けて、BIM/CIM導入効果の把握やルール作りの検討のため、2012年度からCIMの試行を開始し、要領基準類を整備してきたところです。
 
本稿では、国土交通省におけるこれまでのBIM/CIMの取り組みと、今後の3次元データの利活用に向けた取り組みについて紹介します。
 
 
 

BIM/CIMに関する基準要領等の整備

国土交通省では、業務については2012年度より、工事については2013年度よりBIM/CIMの試行を進めており、これまで、設計業務で144件、工事で274件の合計418件で実施しています(表-1)。2018年度は、合計200件以上の事業でBIM/CIMを活用することを目標としています。



 
(1)CIM導入ガイドラインの策定
 
国土交通省では、これまでのBIM/CIM活用モデル事業で得られた知見やソフトウェアの機能水準を踏まえ、現時点でCIMモデルの活用が可能な項目を中心に、受発注者の役割、基本的な作業手順や留意点とともに、CIMモデルの作成指針(目安)、活用方法(事例)を参考として記載した「CIM導入ガイドライン(案)」を2017年3月に策定しました。CIM導入ガイドライン(案)は、公共事業に携わる関係者(発注者、受注者等)がBIM/CIMを円滑に導入できることを目的に作成しています。
 
将来的には2次元図面から3次元モデルへの移行による生産性向上等が期待されるものの、2018年度版では「現行の契約図書に基づく2次元図面による発注・実施・納品」を前提にしています。
 
ガイドラインは、共通編(第1編)と各分野編(土工編、河川編、ダム編、橋梁編、トンネル編)の全6編で構成されており、各編を組み合わせて使用することを想定しています。
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2018年度は、引き続きガイドラインの拡充(下水道分野、砂防・地すべり分野)を進めるとともに、ガイドライン自体の見直しを含め検討を進めています。
 
 
(2)「3次元モデルの表記標準(案)」の整備
 
BIM/CIMでは、建設生産プロセスで一貫してCIMモデルを流通・利活用し、各プロセスで発生した情報を連携していくことで、より一層の生産性向上が見込まれます。そこで、契約図書におけるCIMモデルの位置付けを従前の2次元図面の参考図書から、単独の設計図書へと転換することを企図し、今回、「3次元モデル表記標準(案)」(以下、「本標準」という。)を作成しました。2018年度は本標準に基づくCIMモデル作成の試行を進めることで、設計・施工間での円滑な受け渡し、2次元図面とCIMモデルの二重納品の解消、2次元図面からCIMモデルを活用した契約へ転換を目指します。
 
本標準をBIM/CIM活用事業に適用し、実践して得られた課題に対応するとともに、関連する基準類の整備と連携しながら、本標準を継続的に改善・拡充していくこととしています。改善・拡充に当たっては、CIMモデルでは構造物の寸法や注記をモデル内から取得可能であることから、従来の2次元での製図法にとらわれない、より効率的な表記・表示の方法を検討していくこととしています。
 
 
(3)「土木工事数量算出要領(案)」の改定
 
CIMモデルから算出された数量の活用に当たり、従前の「土木工事数量算出要領(案)」では、CADソフト等による体積の算出結果について、適宜結果を確認した上で適用可能と定義されており、必ずしも記載内容が十分ではありませんでした。
 
このため、積算業務の効率化に向けCIMモデルから自動算出された数量をそのまま積算に活用できるよう「土木工事数量算出要領」を2017年度末に改定しました。
 
具体的には、「第1編(共通編) 1章基本事項」に土構造、コンクリート構造と鋼構造の工事数量算出に用いるCIMモデルの基本的な表現方法を新たに追加しました。また、これまで工種ごとに記載していた3 次元CADソフト等による工事数量算出方法などを、3次元モデルに対応した「数量算出項目及び区分一覧表」として整理しました。
 
2017年度は、土構造、コンクリート構造、鋼構造合わせて計58工種について、数量算出項目および区分一覧表を整理したところであり、引き続き対象項目を拡充していく予定です。
 
 
(4)要求事項(リクワイヤメント)の設定
 
2017 年度は「CIM導入ガイドライン(案)」を適用するとともに、発注者が受注者にCIMモデルの導入・活用に関する要求事項(リクワイヤメント)を設定し、事業を進めてきました。この要求事項に基づき、受発注者がそれぞれ知見やノウハウを出し合いCIMモデルを構築し、課題の抽出および解決策を検討しています。
 
2018 年度からは、3 次元データ表記標準(案)に基づくCIMモデルの作成や、情報共有システムを活用した事業の実施をリクワイヤメントに追加し、改善に向けた試行を実施しています。建設生産・管理システムに関わる各団体による議論の場を設け、これらの試行のフォローアップをすることにより技術的な検討を進めています。
 
またフォローアップ結果については、BIM/CIM推進委員会等で議論し、そこでの議論も踏まえ、ガイドラインや要領基準類の改定など必要なカイゼンにつなげることとしています。
 
 
(5)3次元データ利活用方針の策定
 
建設現場の生産性向上に向け、国土交通省における建設生産プロセスの各シーンでの利活用方法を示すとともに、データ利活用に向けた今後の取り組みを示し、3次元データの利活用を促進することなどを目的として、2017年11月に「3次元データ利活用方針」を策定しました。下図は、3次元データ利活用方針に記載している各シーンでの利活用方法を示したものです。
 
今後は、本利活用方針を基に活用促進に向けた制度設計や体制整備を進めてまいります。



 

BIM/CIMの活用促進に向けた取り組み

 
BIM/CIMを効果的に活用していくためには、基準要領等の整備を進めるだけでなく、それを活用する環境を整備していくことも重要です。国土交通省では、2018年から、建設生産・管理システム全体で3次元データを活用する環境を整備するための取り組みを開始しています。
 
 
(1)オンライン電子納品システムの構築
 
これまでは、建設生産・管理システムの各段階で3次元データを活用してきましたが、今後は建設生産・管理システムで一貫したデータを活用していくことが不可欠です。このため、2017年度からは、設計から施工、維持管理までデータが流通するよう、CIMモデル等の3次元データを成果品として位置付けることとしました。
 
また、電子データを利活用するに当たり、遅滞なく最新のデータが共有されるよう情報共有システム機能要件を整備するとともに、電子成果品をオンラインで受け渡しが可能となるようオンライン電子納品システムの構築に着手しました。
 
2018年度は、仮想サーバーを使用したオンライン電子納品の試行により課題を抽出し、2020年度のシステム実装を目指しています。
 
 
(2)発注者向け研修の実施
 
BIM/CIMをより効果的に活用していくためには、BIM/CIMを利用する受発注者双方がその利用方法を十分に理解することが必要です。
 
このことから、国土交通省では2018年度から発注者向け研修に着手することとしました。研修では、BIM/CIMとは何か、何が可能となるのかについて学習するため、導入の背景と目的、また関連基準等の理解を深めるための講義を実施しています。ここでは、概念としてのBIM/CIMの活用だけでなく、発注者としてどのような活用が可能なのかについても併せて学習することにしています。
 
BIM/CIMの現状と課題を把握するためには、発注者だけで検討するだけでなく、実作業を担当する設計者、施工者の意見を共有することが重要であることから、それぞれの段階でどのように活用されているのかについても学習しています。
 
また、BIM/CIMの活用を促進していくためには、一部の職員だけが研修を受講できるだけでなく、より多くの職員が研修等を通じた技術習得を可能とする環境づくりが必要です。このため、研修資料等を各地方整備局等と共有し、地方整備局等においても地方整備局職員や地方公共団体職員を対象にBIM/CIMに関する研修を実施することとしています。
 
 
 

おわりに

 
建設現場の生産性向上を図るためには、3次元データ等の導入を国の直轄工事以外にも拡大していくことが必要です。このため、地方自治体に対して、発注関係者の集まる発注者協議会や土木部長会議等の場において、国土交通省における取り組みについて周知を図りつつ、連携して取り組みを進めてまいりたいと考えています。



 
 

国土交通省 大臣官房 技術調査課 課長補佐
那須 大輔

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2019
特集1「i-Construction×BIM/CIM」



 

 

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