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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > i-Construction×BIM/CIMに向けた人材育成

 

はじめに

2012(平成24)年に国土交通省がCIM導入推進委員会を設置してから、既に7年が経過しこの間にCIM試行事業により多くの成果が報告されている。2016年には、CIM導入ガイドライン(案)も制定されCIM推進の形も決まりつつある。
 
土木学会でも2013年よりCIM講演会を開催しており普及推進を進めている。2017年までの5年間に開催された土木学会CIM講演会のアンケート結果では、人材育成・教育、CIM知識・技術、導入コストが毎年25%以上の参加者により課題として挙げられている(図-1)。
 
当社では、2004年にAutodesk社のCivil 3Dの前身のスーパー土木セットを導入以来、一貫してAutodesk社製品を利用した3次元化の取り組みを進めている。この活動の中で分かったことは、人材育成を進めるためには個人的な教育は元より、さらに重要な点は全社的な取り組みが必要であるということである。
 

図-1 「CIM講演会2017」開催報告 アンケート結果のまとめより




 

3次元への挑戦の歴史

2004年Autodesk社はLandDeskTopというCivil 3Dの前身の製品の販売を開始した。当社ではこのLandDeskTopとAutoCADなどをセットにしたにスーパー土木セットを導入し、社内でのCADをAutodesk社製品として標準化した。これが当社での3次元設計への取り組みの始まりである。
 
この時の取り組みについて対外的に実施した際の講演集の抜粋を図-2に示す。当時は、CALS/ECという概念で、電子納品・電子入札などの電子化を進めており、CADの3次元化も目標とされていたが、ご存知のように電子納品・電子入札などの成果を残したが、3次元化までは進まなかった。
 
図-2の左上の図は、現在のBIM/CIMの中で検討されている、クラウドを利用した情報共有とほぼ同じ考え方であり、建設業界は、この20年程全体的なICT化を目指していることが分かる。
 
導入してから、Civil 3Dの利活用に向けた3次元設計研究会を組織し、3次元モデルの作成方法について検討を開始し、社内での勉強会の他、年に1回の軽井沢での合宿研修、翌年からは新入社員への講習などを実施し3次元への社内体制の基礎を築いていった(図-3)。
 
しかし、この当時のパソコンのCPU・OSは32bit対応で、登載できるメモリの上限も4Gバイトしかなかった。3次元で地形を扱うには、大容量の高速なハードディスクも必要であるが、まだまだハードウェアの能力は低く、加えて、ソフトウェアの機能もまだまだ発展途中であり、実際の業務に適用するのはしばらくの時間が必要であった。
 
使用するソフトウェアも、当初はCivil 3Dだけであったが、構造物の設計のためにRevit Structure、統合モデル作成のための Infrastructureの導入を行い、3次元設計への社内対応の体制を整えており、2012年に開始された国土交通省のCIM試行業務にもいち早く対応し、横浜環状南線での橋梁モデルの実施につながっている。
 
この後も国土交通省のCIM試行業務をはじめ、幾つかの業務で3次元への取り組みを開始していたが、特定の社員、特定の部署での実施にとどまり、なかなか全社で一体とした取り組みになっていかなかった。
 
2013年には、全社での推進のためにCIM推進室を設置し、国土交通省のCIMに対応するための教育・普及を開始する一方、3次元設計をサポートするための3Dプリンター、Leica社のレーザースキャナーMS60導入、Autodesk製品のライセンスの追加など、CIM推進に必要となるための環境整備も進めている(図-3)。
 

図-2 Autodesk Civil 3D ロードショウ 2004 講演資料より




図-3 社内の3次元設計推進の動き




 

yecCIM推進2020行動計画

(1)計画
2017年4月に全社で統一したCIM推進のために、2020年までの3年間を目標とする、「yec CIM推進2020行動計画」(図-4)を策定し、当社の56期(2017年7月〜2018年6月)開始時から、全社でこの行動計画に沿って、推進を開始した。
 

図-4 yec CIM推進2020行動計画(表紙)




この行動計画の目標は、「59期(2020年7月〜)から全ての業務でCIMを活用し生産性を2割向上」させることにある。この目標達成のための各期の取り組み目標は、表-1に示すとおりである。
 
開始当時は、国土交通省の全ての設計業務で3次元の現況地形モデルの作成を目標として、その中の2割でのCIM対応の実施を目標としている。これは、まだ全ての業務でどのように3次元モデルを利用した実施フローにすべきかが明確でないため、基本である現況地形のモデル化を目標としたものである。現況地形もモデル化による全体を俯瞰することで3次元モデルの新しい見方の習得を目指しているが、まだ明確な答えは出ていない。
 

表-1 各期での取り組み目標




 
(2)行動計画実施体制
計画の策定・推進は、CIM推進室が中心となり実施しているが、実際の業務を実施するわけではないため、設計現場との連携が必要となる。このため、図-5に示すように、社長をトップとし各部に1〜2名の兼務者を配置し、各部には実際のモデル作成の中心となるモデラ―を配置する実施体制を採っており、社長、専任者2名を含め総勢129名となっている。
 
CIM推進室として月1回の定例会議で、進捗状況やCIMの動向などを報告している。
 

図-5 CIM推進室の体制




 
 
(3)行動計画実施のための方策
目標・体制を整えても、やはり現場で使用してもらわないことには始まらない。このため、以下のような方策も実施している。
 
 
1)個人への学習支援
社内では、Autodesk AECコレクションの使用を前提としており、こうしたソフトウェア習得のための勉強会を、本店・支店で2カ月に1回程度開催している。
 
この他に、社員自らがCIM導入のための学習を行うための、e-Learningサイトを構築している。このe-Learningサイトでは、AECコレクション製品のマニュアルだけでなく、CIMの考え方のコンテンツも作成しており、技術系社員のみならず、営業系社員の受講も推奨している。
 
また、実際に業務に適用した際の疑問と回答のためのQ&Aサイトの運営、年1回の合宿形式の集合研修も実施している(図-6)。
 

図-6 CIM e-Learningサイト




 
2)全社へ向けた啓蒙とレベルアップ・報奨
入手した業務のCIMを適用した際には、CIM成果報告書を提出してもらっている。これは、CIM試行業務として指定されていない自主的な取り組みも含めて提出する仕組みとしている。
 
この成果報告書をもとに、年2回12月、5月にCIM成果報告会を開催し、優秀な成果は報奨している。
 
 
3)CIM資格制度
59期の全業務でのCIM業務執行を円滑に進めるために、CIM資格制度の導入を検討している。これは、CIM業務の的確な計画と実施を目指し、役割分担を明確にするとともに、社員への新たなモチベーションアップを狙っている。
 
CIM資格制度としては、熊本大学の小林教授の「CIMを学ぶⅢ」で定義されている資格に、社内で実施する工種の業務への推進を進めるためのCIMインストラクターを加え、CIMモデラーも初級・上級に分けた5区分としている。
 
資格認定は、各期の期末(6月末)に実施し、翌期より資格者として活動する予定である(表-2)。
 
社内の執行部所は4つのグループに分類されており、資格制度導入後は、資格者も含めた図-7のような体制でCIM推進を進めていく予定である。
 

表-2 CIM資格制度




図-7




 

まとめ

現在は、パソコンが普及して手書きの図面からCADを利用したデジタル図面に移行した時期と似ている。しかし、2次元をベースとしたCADは、利用しなくても紙とペンで代替ができるが、3次元モデルは、確認するためには専用の機器(パソコン、タブレット、スマートフォンなど)と作成するにはモデル作成ツールが必要であり、従来のように紙とペンでは代替できない。3次元モデルから2次元図面を出力することで、修正忘れなどの図面間の不整合も解消され、一度、3次元モデルを作成しておけば、修正・追加は非常に簡単にでき、生産性向上が期待できる。こうした観点で、2020年までの社内での利用を推進している。
 
このためには、教育は重要である。個人の能力を向上させることも重要であるが、全社として取り組むことでさらに大きな展開が期待でき、施工・維持管理への展開が加速される。
 
 
今後は、最終的な3次元モデルの利用による継続的な生産性向上を推進していくがこのために以下のような検討を予定している。
 
・資格制度を運用する中で、工種ごとに適したソフトウェアの利用方法の検討
・3次元での設計手法を確立しソフトウェアの開発
・積算・施工への連携
・維持管理への適用
・インストラクターによる部内・グループ内への普及
 
 
CIMの普及推進は、いつでも学習したい社員が自由に学べる環境(ソフト、ハード、教材、そして時間)を提供することが、一番重要であると感じている。
 
 
 

八千代エンジニヤリング株式会社 技術管理本部 CIM推進室 藤澤 泰雄/金光 都

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2019
特集1「i-Construction×BIM/CIM」



 

 

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