はじめに
当社は、新潟県柏崎市に本社を置き、明治18年創業の130年を超える歴史を持つ総合建設業の会社です。
UAV~CIMとの出会い
約4年前の2015年にUAV PHANTOMⅢを導入しました。当面は現場の空撮目的で、自社社員で空撮を行って、着手前、完成と月々の進捗の定点写真として撮影を開始しました。
同2015年に、「土木分野は3次元化へ進む」というような情報を聞き、「どんな感じになるのだろうか? 何から始めたらいいのか? とにかく、情報収集、3次元CADの導入準備か」と思い、そして、土木学会CIM講演会(新潟)にて、3次元化推進の話を聞き衝撃が走りました。
ところが、石井大臣によるi-Constructionについての記者発表を聞き、「ICT(土工)って何? CIMはどこに?」と考えながらも、「CIMもICT(土工)も、とにかくやってみよう! 自分たちでやってみなければ、何も分からない、何も技術が残らない」という思いで、内製化に向けてスタートしました。
3次元モデルの活用に向けた取り組み
2016年3月に3次元CADを導入しました。(Autodesk社:Civil3D、Revit他一式、福井コンピュータ社:TRENDPOINT、TREND-CORE)
同年8月にまずは、現況地形の3次元化として、自社のUAVで空撮と点群処理を行い、3D地形データの作成(図-1)から土工量の算出までを行いました(図-2)。
また、ICT(土工)の起工測量を自社UAVとTLSで行い、結果を比較してみました。UAVの飛行経路に沿って、TLSと5cm程度の誤差が生じていました。UAVの写真のラップ率が少なくなると誤差が大きくなることを立証する結果となりました。UAV測量の走行方向ラップ率が80%を切るところもあったので、ラップ率を確実に守ることの重要さが理解できました。
3次元モデルの活用として、鉄筋の干渉チェック(図-3)、安全管理として離隔の確認(図- 4)、施工のステップ動画に取り組んでいます。
また、3次元モデルをVRへ活用しています(図-5)。

図-1 空撮写真から地形の3次元データを取得

図-2 3次元設計データと現況地形データから土工量を算出

図-3 鉄筋の干渉チェック

図-4 クレーンの稼働可能範囲の確認を行い、共用中の高架橋との離隔を確保

図-5 VR体験会にて教育活用
3次元モデル活用への当社の課題
(1)人材育成 CIMチーム( マネージャー、コーディネーター)の育成
(2)複数CADソフトの活用による煩雑さをコーディネート
(3)現場職員へのCIM、ICT(土工等)育成と3次元CAD習得
CIMチーム育成の道のり
CIMを効果的に運営していくためには、CIMマネージャー、CIMコーディネーター、CIMモデラーの3つの役割によるチームが必要です。CIMマネージャーとは、受発注者でCIMに詳しい人、CIMコーディネーターとは、実際のモデル空間を段取り、データ監理を行う人、CIMモデラーとは、モデルを調達する人のことです(図-6)。
今はまだCIMが始まったばかりでCIMコーディネーターがほとんどいないため、まずはこのCIMコーディネーターを目指すこととしました。
そのために、3次元モデルの導入促進を目的としている、Civil UserGroup(CUG)やCIMチャンピオン養成講座に参加し、3次元CADや3次元モデルの利活用、CIMについて勉強しています。

図-6 CIMチーム (「CIMを学ぶⅢ」より)
おわりに
今後の目標として、ソフトを実務で生かせるように習得すること。まだソフトの操作方法が分かってきたところであり、今後、CIMを活用していく中で、現場の特性に合わせて、どういうデータが必要か?作成したデータをどう生かすか?を考えながらやっていくことが大切です。まだまだ勉強することはたくさんあります。CIMコーディネーターを目指し、現場の生産性の向上に貢献できるよう、これからも努力していきます。
【出典】
建設ITガイド 2019
特集1「i-Construction×BIM/CIM」

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