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ホーム > 建設情報クリップ > 建設ITガイド > 「河川専用システムを創ろう」 河川設計に精通した建設コンサルタント 7社が集結した『RFA研究会』

 

河川BIM/CIMを牽引「RFA研究会」設立

2017年12月、CADベンダーである川田テクノシステムの呼びかけにより、7社の建設コンサルタントが顔を揃え、「RFA研究会」のキックオフ集会が開かれた。いずれも河川設計に精通した企業ばかりだ。
 
研究会は、「黎明期にある河川BIM/CIMを、河川事業に精通した建設コンサルタントが集結して、その推進に貢献すること」を目的として設立され、当面の目標として「業界初のBIM/CIM対応河川専用3D CADシステム」を構築することが掲げられた。
 
主催した川田テクノシステムは、BIM/CIM対応の3次元CAD「V-nasClair(ヴィーナスクレア)」の開発元であり、これまで道路、橋梁、砂防、地質ボーリング等、各分野のモデリングに特化した機能拡張を行ってきた中で、河川に特化した3次元CADの必要性を感じていた。そこで、より実態に即したシステム開発に取り組みたいと考え、7社の賛同を得て「RFA 研究会」を設立。その活動の中で、河川設計のノウハウや技術支援を受けながら、3D河川堤防・河道設計システム「RIVER_Kit」の開発・リリースに至った。
 
この経緯を、1年間の活動を振り返りながら実際の活動メンバーに聞いてみた。
 
 
 

普段はライバル同士でも

     
(株)建設技術研究所
志田 氏

 
 
志田:私達は業界内ではライバル企業同士ですが、同じ河川技術者として河川設計技術やBIM/CIMの情報交換をできるチャンスではないかと思いました。意外とこんな機会は少ないんですよ。
   
   
   
   
   
   
   
   
 

     
東京コンサルタンツ(株)
三井 氏

 
 
三井:私も他社の状況は気になりましたね。それと、堤防設計や河道設計の専用システムが存在しない状況で「河川専用の3Dツールの開発」という点にも興味が湧きました。
   
   
   
   
   
   
   
   
 
盛:お二人の意見に全くの同感です。私自身、既存の3次元CADソフトの汎用機能だけでは河川設計の効率化には限界がある、と感じていました。そこに専用ソフト開発の話ですから、まさに渡りに船の心境でした。この研究会なら、これがクリアできると信じて参加しました。
 
 
――情報交換、交流の場としての参加目的も多かったが、やはり「3D堤防設計に活用できるシステムの構築」を待ち望んでいたことが伺える。実際にシステム開発に携わった感想も聞いてみた。
 
 
 

ベンダーを交えての活発な意見交換

志田:会の進行がとても意見の出やすい場の雰囲気になっていて、かなり活発な意見交換ができましたね。まるで社内会議のようでした。
 

     
三井共同建設
コンサルタント(株)
宮田 氏

 
 
宮田:確かに毎回そんな雰囲気でしたね。付け加えればベテランと若手の技術者が同席することでバランスよく意見が集約され、より実用的なシステムが構築できたのではないでしょうか。
   
   
   
   
   
   
   
   
 
 
佐藤:そうですね。そしてシステム開発者を交えながらの会合なので実施の是非の判断が早く、毎回、実のある議論ができたことが印象的です。
 
志田:結果的には、他社の方々と一緒に知恵を出し合って共同で一つのものを作り上げていくことの面白さを体験できたことは大きな自信になりました。
 
 

     
いであ(株)
芝田 氏

 
芝田:その反面、システム構築の大変さも肌で感じることができましたね。開発者の方が目の前で頭を抱え込む姿が目に焼き付いています(笑)。座長さん、1年間本当にご苦労さまでした。
   
   
   
   
   
   
   
   
 
 

「RIVER_Kit」 完成祝賀会にて


 
(写真左から)
いであ(株) 古堅 氏
(株)東京建設コンサルタント 岡井 氏
(株)建設技術研究所 小畑 氏
川田テクノシステム(株) 山野社長
東京コンサルタンツ(株) 原木 氏
パシフィックコンサルタンツ(株) 荒川 氏
日本工営(株) 陰山 氏
三井共同建設コンサルタント(株) 伊藤 氏
 
 
 

検討初期段階から3次元で設計できるのがメリット

実際にリリース直後のシステムを使った感想を聞いてみた。

     
日本工営(株)
佐藤 氏

 
 
佐藤:従来の設計手法である2次元から3次元ではなく、堤防検討業務の早い段階で3次元設計に入れることが大きな利点ですね。
 
   
   
   
   
   
   
   
   

     
パシフィック
コンサルタンツ(株)
荒川 氏

荒川:入力手順が堤防設計用になっているので操作しやすいですね。実務での生産効率が大幅に向上できると期待しています。河川設計もいよいよ3次元設計になりますね。
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
 
芝田:正直なところ、私は現在使っているCADとは操作性が違うので慣れるまでは戸惑うのではないかと不安はあります。でも、サポートセンターの方が丁寧に指導してくれると聞いていますので、どうかよろしくお願い致します。
 
 
――やはり「専用CAD」の利点を挙げる意見がほとんどであり「河川BI M/CIMの幕開け」という空気がヒシヒシと伝わってくる。
 
 

堤防法線を作図するだけで3次元モデル生成

佐藤:堤防のCIMモデルの作成が圧倒的に早い。まさに、こんなシステムが欲しかった。という感想です。この会に参加できて、とても充実した研究会だと実感しています。
 
荒川:CIMが浸透しても2次元図面成果の納品は当面なくなりませんので、モデルを作成するだけで平面図、横断図、縦断図が即座に出力できるのは助かります。モデルと図面の連動はまさに理想的です。それに3D数量まで出してくれるのは本当にありがたい。
 
 

     
(株)東京建設コンサルタント
盛 氏

盛:距離標と法線の設定だけで堤防の計画高を自動的に計算してくるので検討や設計時間が大幅に短縮でき効率化につながります。ここは意外と手間がかかるんですよね。
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
 
――BIM/CIMは「設計段階から3Dモデルを活用(作成)」することにあり、早い段階から簡単に3Dモデルが作成できることに大きな期待感が出ている。一方、当面は2次元成果との併用が避けられない状況を見据え、2D図面作成の省力化も利点として挙げられている。
 
 
 
   

堤河川BIM/CIM普及の課題とは

芝田:BIM/CIMが一般化される前に先ずは人材を確保、育成する必要がありますね。今後は社内でもCIMの勉強会等、積極的に企画しなければならないと感じました。
 
三井:そうですね。そして現在使用している2D CADと同じように3DCADを使いこなせるようになることでしょうか。CADオペしか使えないようなシステムだと普及も遅れ、活用効果も薄れてしまうと懸念しています。
 
宮田:ソフトウェアも充実していってほしいですね。しかも、お手軽価格で(笑)。
 
 
――やはり第一の課題として挙げられるのは「人材育成」。しかも「CIM担当者」を置くのではなく「全ての設計技術者が3D CADを使いこなせなければBIM/CIMの普及は加速しない」と口を揃える。
 
 
 

最後に

―― 今回「RFA研究会」で「RIVER_Kit」を開発できたことはBIM/CIMを推進するための一つの道具を作ったに過ぎないかもしれないが、この道具には河川設計技術者のノウハウが集約されている。おそらくCADベンダー単独では成し得なかったことであろう。
 
研究会では「坂路工」や「階段工」への対応など、既に第二次開発に着手しており、今後のバージョンアップに期待がかかる。
 

 

「RIVER_Kit」でモデリングした堤防と河道




既設堤防あるいは河道の3次元地形モデル上で「距離標」ごとに設定された計画堤防高、計画高水位、計画高水敷高、計画河床高等を利用して、新たな3D堤防・河道の計画・設計を行うことができる。
 
 

RFA研究会 事務局 川田テクノシステム株式会社

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2019
特集1「i-Construction×BIM/CIM」



 

最終更新日:2019-04-22

 

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