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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > 普及から積極活用へ−施工現場で進むBIM対応−

 

当社における設計施工一貫BIMプロセスの今

東洋建設における本格的な施工BIMの取り組みは、2011年着工の新宿労働総合庁舎新築工事(国土交通省初のBIM試行プロジェクト)からである。受注当時は異なるBIMソフト間でのデータ共有・交換は手探り状態であった。データ交換はIFC2x3で行ったが属性など欠落する情報もあった。他の手段も検討したが最終的にはモデル形状の受け渡しには問題ないことが分かり干渉チェックとBIMモデルからの施工図作成の試行を行った。その後も複数の官公庁案件で取り組み、2015年には医療関連部品製造工場新築工事において初の設計施工一貫BIMに取り組んだ。以後、総合病院増築、大型物流倉庫と続き、事務所ビル、研究施設、大型食品関連製造工場、オリンピック関連施設、ごみ焼却場、老人保健施設などで取り組んでおり、現在までに20件を超える工事においてBIMプロセスを導入している。
 
 

クラウドでのモデル共有

BIMモデルは、データをクラウドサーバーアプリ(図-1)で管理することで活用の範囲が大幅に拡大する。図-2は統合BIMモデルをクラウドサーバーにアップロードした例である。これらのクラウドサーバーアプリは、単なるビューイング機能だけでなく他にもさまざまな機能が用意されている。インターネット環境さえあれば、タブレット端末等を利用し、いつでもどこでも手軽に図面を閲覧したり、BIMモデル内をウォークスルーしたり、モデルを切断したりすることができる。Webブラウザを使用すれば専用ソフトをインストールする必要はなく、プロジェクトに「招待」する、されることで、発注者を含む社内外の関係者とデータを共有・交換できるようになる。
 

図-1 A360画面キャプチャ





図-2 BIM360Docs画面キャプチャ




 
BIMモデルをクラウド上で管理するメリットは他にもある。アップロードされたBIMモデルを介し、図面上の納まり確認や設計変更の指示、指摘事項などのやり取りを、ワークフロー形式で行うことができる。図-3、4はそのやり取りの画面キャプチャである。
 

図-3 クラウド上でのコメント付け




図-4 クラウドアプリでのワークフロー(指摘事項)とBIMモデルの履歴比較




 
質問者は、BIMモデル上にマークアップし質疑をコメントする。質疑に対し問題がクリアされた場合、質疑のフローを「完了」にする。このやり取りは、プロジェクトに参加するメンバーで共有できているため、権限のあるメンバーは誰でも質疑に参加でき、やり取りは全て記録される。
 
図面のバージョン管理も全て記録される。同一ファイル名で更新すると自動的に履歴が残りバージョンを示す数値が更新される。BIM360Docsの場合、サーバー容量は無制限である。過去バージョンとの比較も可能で、追加、削除、変更の箇所が色別で表示される。
 
 

施工BIMプロセス

設計施工一括、分離方式とも施工現場でのBIM対応プロセスは変わらない。施工BIMの黎明期ではRC造における3D配筋モデルによる納まり検討、仮設計画、鉄骨建て方検討、干渉確認などを元請のみで行う取り組みが中心であった。現在その流れは、発注者、元請、専門工事会社、メーカー等がクラウドサーバーを介してBIMモデルを共有・交換し合うプロセスに移行しつつある。先進的な現場においては、専門工事会社、メーカー等がクラウドサーバー上で自主的にデータを共有し合い、干渉チェックを行いながら施工モデルを作図、編集するようになってきた。施工BIMプロセスは、元請と専門工事会社等が互いに時間やコストを削減することによって生まれる利益を確保できるプロセスとして定着しつつある。その運用においては日本建設業連合会(BIM専門部会)から発行されている「施工BIMのスタイル」、「同事例集2016」、「同事例集2018」、「施工BIMのすすめ」、「BIM連携の最新技術紹介」が役立っている。特に「鉄骨と設備のBIM連携」、「鉄骨梁貫通孔要求の合理化」の手引きを参考にした取り組みは、業務効率の向上に直結している。
 

図-5 作業所での施工BIMプロセス事例 (左:BIM調整会議 右:鉄骨建て方検討会)




 

施工BIMの取り組み事例

図-6、7は、BIM調整会議後モデルと施工後の状態を比較した事例である。ほぼ整合していることが確認できており今後の施工管理プロセスとして有効であることを確認した。図-9〜12は、空調設備工事においてBIMモデルによる干渉チェックをすり抜けてしまった事例である。モデル化された全熱交換器にフィルタメンテナンス用扉が作図されておらず、メンテナンス時に必要な作業空間の把握ができていなかった。天井施工前に気付くことができ最小限の是正で済んだが、気付かなければ大きな手戻り工事となっていた。製造メーカーからの付属物動作範囲を含む詳細モデルの提供が望まれる。
 

図-6 施工現場での確認作業(鉄骨)




図-7 施工現場での確認作業(設備)




 

図-8 クラウドサーバーを中心としたBIM関連データの共有・交換フロー




 

図-9 干渉チェック時のBIMモデル




 

図-10 設備工事管理(是正工事前)




 

図-11 是正前後の比較




 

図-12 設備工事管理(是正工事後)




 
 

BIMプロセス対応の現状と今後の取り組み

2018年を境にBIM関連技術は指数関数的に進歩するのではないかと強く感じている。これまでBIMプロセス普及の障害とされてきたのは、①BIMソフトの機能不足、②PCの能力不足、③BIM人材の不足の3点ではないだろうか。①と②については、すでに実務に十分な性能を有するようになった。
 
③の人材については、すそ野は広がりつつあるが施工図レベルのモデル化ができる人材が圧倒的に不足している。東洋建設では、BIMプロセスの積極活用に向け、次年度より技術系職員に対するBIM研修の開催回数を増やすとともに、カリキュラムの改変・充実を図るなど、教育体制を強化する。
 
 
 

東洋建設株式会社 建築事業本部設計部部長/DXデザイングループ長 前田 哲哉

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2019
特集2「進化するBIM」



 

 

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