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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > 生活道路・通学路の交通安全の 確保に向けた取組み

 

はじめに

平成30年の交通事故死者数は,昭和45年のピーク時の16,765人から3,532人(対前年比-162人)まで減少し,昭和23年以降の統計で最少となった平成29年を更に下回ったが,依然として非常に多くの方が交通事故により死傷していることに変わりはなく,死者数をゼロにすることを目指した一層の取組みが必要である(図−1)。
 
また,交通事故死者数の約半数は歩行中・自転車乗用中に発生しており,そのうち約半数は自宅から500m以内の身近な場所で発生している。G7各国で比較すると,人口あたりの自動車乗車中の死者数は最も少ないが,人口あたりの歩行中・自転車乗用中の死者数は最も多くなっている(図−2・3・4)。
 
このように,交通事故を取り巻く情勢には依然として多くの課題がある。
 

図−1 交通事故死者数の推移




図−2 状態別交通事故死者数




図−3 自宅からの距離別死者数(歩行者・自転車)




図−4 人口10万人あたり交通事故死者数の比較



1. 第10次交通安全基本計画

交通安全基本計画は,交通安全対策基本法(昭和45年制定)の規定に基づき,陸上,海上および航空交通の安全に関する総合的,かつ長期的な施策の大綱などが定められており,中央交通安全対策会議(会長:内閣総理大臣)において昭和46年に第1次交通安全基本計画が策定されて以降,直近では平成28年3月に第10次交通安全基本計画(計画期間:2016年度〜2020年度)が策定されている。
 
第10次交通安全基本計画では,2020年までに24時間死者数を2,500人以下とし,世界一安全な道路交通の実現を目標としている。さらに,諸外国に比べて死者数の構成率が高い歩行中および自転車乗用中の死者数は,道路交通事故死者数全体の減少割合以上の割合で減少させることを目指している。
 
以下,国土交通省として,主に生活道路の交通安全対策を推進するための取組みについて紹介する。
 
 

2. 生活道路の交通安全対策

生活道路の交通安全対策としては,安全な歩行空間の確保に努めるとともに,車両の速度抑制などを含めた総合的な交通安全対策を行うことが重要である。

2-1 物理的デバイスの技術基準の制定

これまで,地方公共団体の生活道路の交通安全対策において,凸部ハンプ(以下,ハンプ)や狭窄などの物理的デバイス対策が積極的に検討されなかった要因のーつとして,基準が明確でなかったことが挙げられる。
 
このような背景の中,国土交通省で設置した「生活道路における物理的デバイス等検討委員会」(委員長:埼玉大学大学院 久保田尚教授)において検討を行い,平成28年3月に「凸部,狭窄部及び屈曲部の設置に関する技術基準」を制定した。
 
技術基準では,設置に関する基本方針,配置検討ならびに要求性能や標準的な構造などを示している(図−5)。
 

図−5 凸部(ハンプ)の標準的な構造



2-2 ビッグデータの活用

生活道路における安全対策としては,車両の速度抑制と通過交通の進入抑制を徹底することが重要である。生活道路の速度による致死率の差をみると,30km/h以下では30km/h超過の場合と比較して約4分の1に低下することから,速度低減を図ることは致死率の低下に大きく貢献する(図−6)。
 
このため,対策にあたっては,都道府県公安委員会のゾーン規制などと連携し,速度抑制対策としてハンプや狭窄・クランクなどの設置や,通過交通進入抑制対策としてライジングボラードなどの設置により,歩行者・自転車中心の空間づくりを推進している。
 
近年は,ETC2.0の普及により走行車両のプローブ情報が収集できるようになった。ETC2.0は,高速道路や国道に設置された路側機から,ETC2.0車載器または対応カーナビを搭載した車両のプローブ情報を収集し分析することで,車両の走行経路や走行速度の高い区間,急ブレーキの発生地点などの情報を収集することができる(図−7)。
 
このようなビッグデータの活用により,これまでの事故発生箇所に対する対症療法型の対策から,速度超過や急ブレーキ発生などの潜在的な危険箇所を特定した速度抑制や通過交通の侵入抑制の対策が可能となった(図−8)。
 

図−6 生活道路の速度別の死亡事故確率




図−7 ETC2.0のデータ収集




図−8 ビッグデータを活用した生活道路対策



3. 生活道路対策エリア

国土交通省では,ビッグデータなどを活用した取組みを支援する「生活道路対策エリア」を推進しており,全国806エリア(平成30年12月末時点)で進められている。
 
各地の国土交通省の国道事務所などへ登録頂くことで,ETC2.0の分析結果の提供,可搬型ハンプの貸し出し,交通安全診断を行う有識者の斡旋などの支援を受けることができる。

3-1 可搬型ハンプの貸し出し

各地方整備局などにおいては,速度抑制や通過交通の進入抑制対策の実効性を上げるためのハンプの設置を推奨しており,地方公共団体から,検討などを進めるにあたり,ハンプの試行的設置を目的とした可搬型ハンプの貸与要望があった場合には,積極的に貸し出しを行っている。

3-2 有識者による技術的支援

生活道路対策は,地方公共団体が主体となるケースが多いが,地方公共団体では交通安全対策従事者の人員不足や,技術的知見の不足など,技術面での課題が顕在化している。
 
このため,地方公共団体からの要望を踏まえ,交通安全診断を行う有識者の斡旋を行っている(図−9)。
 

図−9 有識者による現地診断



4. 通学路における交通安全の確保

4-1 通学路交通安全プログラムに基づく取組みの支援

通学路の交通安全確保については,文部科学省,警察庁と連携して推進しており,全国の地方公共団体では,推進体制を構築し「通学路交通安全プログラム」などに基づき定期的な合同点検,対策の実施,対策効果の把握とそれを踏まえた改善・充実,といった一連のPDCAサイクルとして継続的に取り組んでいる。通学路にも生活道路対策の手法を取り入れ,エリアとして通学路合同点検によるヒヤリマップとビッグデータに基づく科学的な分析結果の重ね合わせ図の作成や,これに基づく速度抑制や通過交通の進入抑制などの対策を推進している(図−10)。
 

図−10 通学路とヒヤリマップの重ね合わせイメージ



4-2 防災・安全交付金による予算的支援

国土交通省では,通学路などの生活空間における道路事業による交通安全対策に対して,防災・安全交付金により予算的支援を行っており,歩行空間の確保などの通学路における交通安全対策では,点検などを継続的に実施している団体が行う対策や,ビッグデータを活用した生活道路対策に対して特に重点的に配分している。
 
 

5. 生活道路対策エリアの取組み事例(新潟市日和山地区)

5-1 新潟市日和山地区

新潟市立日和山小学校は,平成29年4月に新校舎を現在地に移転したが,新校舎の近くの市道は幅員5m,延長170mの一方通行規制の道路であり,朝の登校時間帯には抜け道として利用され,多くの通過交通があった。
 
そのため,新潟市は新校舎への移転に伴う通学路の変更を契機として,学校,地元住民,警察,市(教育委員会,道路管理者)が連携し,国土交通省の「生活道路対策エリア」に登録を行い,国土交通省などの支援のもと,ワークショップを開催して交通安全対策の検討を行った(図−11)。
 
当該地区の交通実態の把握にあたっては,ワークショップの参加者から出された危険箇所に関する意見などに加え,規制速度超過や危険挙動(急ブレーキ,急ハンドル)の発生状況などのETC2.0のプローブデータ分析結果による,従来は把握が困難であった面的な情報などを活用して確認を行い,把握した交通状況を踏まえた交通安全対策の実施方針を決定し,通行規制と併せた全国初となる通学路におけるソフトライジングボラードの設置や,狭窄,スムース歩道の整備などさまざまな交通安全対策を組み合わせ実施した。
 
対策実施後のETC2.0プローブデータ分析によると,重点対策区間とした箇所では30km/h 超過で走行する車両の発生頻度が約74%から約29%に大きく低下し,ライジングボラードの設置とともに,当該道路で設置した狭窄が効果的であったことが確認された(図−12)。
 
また,沿線住民や小学生を対象としたアンケート調査では,ライジングボラードの設置後,歩行時の安全性が向上したとの回答が多く挙げられており,通学時間帯は小学生や中学生が安全に安心して通行することができているとの好評を得ている。
 

図−11 ワークショップ実施状況




図−12 対策前後における30km/h超過割合



5-2 佐賀市北川副地区

佐賀市北川副地区は佐賀駅などが立地する市中心部の南東に位置し,佐賀東高校を中心として周囲に住宅が広がっている。国道208号に面した地区北側には商業施設,近隣には小中高校があり,朝夕には通勤・通学者,正午前後や夕方には商業施設の利用者が地区内を通行している。
 
事故発生状況および交通実態調査により,地区西側の南北軸において,抜け道利用が多く車両の走行速度が高いことが分かった(図−13)。
 
速度抑制対策として,可搬型ハンプ・狭窄の設置を実施。併せて,交差点部の注意喚起を目的とした交差点のカラー化,自転車の走行位置の安定化を図るための自転車走行位置のカラー化(矢羽根)を設置した。
 
対策実施により,仮設ハンプ・狭窄を設置した区間では30km/h超過で走行する車両の発生頻度が約9%低下し,速度抑制効果が確認できた(図−14)。
 
対策結果を受け,効果が見られた仮設ハンプ設置箇所に常設のハンプを設置した。
 

図−13 事故発生状況と交通実態調査結果




図−14 朝ピーク時(7:30〜8:30)における南北軸北向きの自動車の区間平均速度の変化



おわりに

今後もビッグデータを活用した生活道路対策などの一層の推進により,速度抑制や通過交通の進入抑制を図り,歩行者・自転車中心の空間づくりを推進し,安全な道路交通環境の実現を目指していきたい。
 
 
 

国土交通省 道路局 環境安全・防災課 道路交通安全対策室

 
 
 
【出典】


積算資料公表価格版2019年3月号 特集 道路の安全・安心



 

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