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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > i-Snowの取組み

 

はじめに

北海道開発局では,昭和26年(1951年)の発足以来,直轄国道の道路除雪を実施している。当時の除雪車は性能が十分ではなく故障も多かったことから,北海道開発局が主体となり,民間と共同で除雪車の開発・高機能化を図り,効率的な道路除雪を実施してきた(図−1)。
 

図−1 ロータリ除雪車の変遷



 
平成30年度(2018年)では約6,800kmの冬期道路交通を確保するため,除雪機械(官貸)約1,000台を配備し,除雪作業を行っている。
 
 

1. 背景

近年,除雪作業の現場においては,除雪機械オペレータの担い手が減少,かつ高齢化が進んでおり,さらなる除雪作業の効率化が求められている(図−2)。
 

図−2 除雪オペレータの年齢構成推移




 
また,近年は異常気象による暴風雪などの冬期災害が頻発し,長時間の通行止めが増加傾向にあるなど,将来の冬期道路交通を確保するため,持続可能な道路除雪の取組みを構築し,除雪作業の効率化を進める必要性が高まっている(図−3)。
 

図−3 冬期通行止めの状況




 

2. i-Snowの発足

持続可能な道路除雪の実現に向けた取組みを構築するにあたり,第8期北海道総合開発計画(平成28年(2016年)3月29日閣議決定)において計画推進方策として位置づけられている「プラットフォーム」の形成を開始した。平成29年(2017年)3月に「i-Snow」として除雪現場の課題,研究・開発の動向,除雪技術などに関する情報の共有を図るほか,除雪現場の改善への取組みについて,産学官民が連携して取り組むプラットフォームを発足。なお,“i-Snow”は「Smart,Nice,Operation,Work」による造語で,平成30年(2018 年)2月に特許庁に商標登録を行った(図−4)。
 

図−4 i-Snowプラットフォームの概念




 
i-Snowでは,近年の除雪現場における課題(異常気象等に伴う冬期災害や通行止めの頻発,除雪車オペレータの高齢化に伴う人員確保など)に対応するための活動を展開し,もって生産性・安全性の向上に資する除雪現場の省力化を進めている。
 
北海道における除雪関係者が除雪現場,除雪技術などに関する横断的な連携・情報共有を図ることで,除雪現場の省力化を進め,生産性・安全性を向上させると共に,人口減少下でもヒトとモノの交流・対流を活性化できる産業構造,経済活動を維持・発展させることを目指している。プラットフォームでの具体的な取組みの一つとして,今回は一般国道334号知床峠における除雪作業省力
化に向けた「除雪装置自動化実証実験」の取組みを紹介する。
 
 

3. 「除雪装置自動化実証実験」の具体的な取組み

3-1 実証実験箇所の選定

北海道開発局は,道路管理者として除雪現場の改善の取組みとして,「除雪装置自動化実証実験」におけるフィールドに,一般国道334号知床峠の冬期通行止め区間を選定した。
 
知床峠は,昭和55年(1980年)9月の開通以来,冬期間の全面通行止めを行っている。通行止め区間であることから,一般車両への影響がなく,実験フィールドとして適している。また,当地域は国立公園,世界自然遺産登録地であることから,地形改変に配慮し道路構造も曲線半径や縦断勾配は厳しく,防雪対策としての防雪切土や防雪柵,雪崩防止柵などの新たな構造物の設置が制限されている。そのため,冬期間に降り積もる積雪深は数mを超えることから,「啓開除雪」と呼ばれるロータリ除雪車による道路除雪が行われ,後方のセンターラインを確認しながら,作業を進めるという熟練オペレータの感覚と経験が必要な作業となる。
 
 

3-2 除雪作業省力化のイメージ

i-Snowにおける除雪効率化の当面の目標は,除雪車の運転以外の操作の自動化,省力化により,熟練の技術や経験がなくても,ワンマンで作業ができるようになることとした(図−5,図−6)。
 

図−5 除雪作業の効率化・省力化イメージ1




図−6 除雪作業の効率化・省力化イメージ2



 
知床峠における啓開除雪では,ロータリ除雪車による投雪が主な作業であり,投雪方向や道路施設位置を熟知した熟練オペレータの経験が求められる。作業のポイントは,①自車位置の把握,②作業装置の操作,③安全確認(障害物など),④車両運転(操舵・加減速)であり,現在は二人体制で行っている。これを最新技術でフォローすることにより①②③を自動化し,一人体制での作業を目指すこととした。
 
 

3-3 3Dマップの作成

冬期通行止めとなる一般国道334号 kp=3.5〜27.3(L=24km)を対象にMMS(移動計測車両による測量システム)による測量を実施。上記のうち,特に気象条件が厳しく,春期啓開除雪時に,人力で切り出し位置を測量している,L=5.0km区間を先行して3Dマップを作成することとした(図−7)。
 



 
3DマップはMMSで道路形状の点群データを取得し,MMS欠測箇所は,地上LP測量を実施した。
 
また,MMSで計測できない斜面上部は既存の航空LP測量結果を活用し,MMS計測結果をGPS,GLONASSで補正することとした。また,精度確保のため,道路基準点を検証点としたGNSS 測量を実施した(図−8)。
 

図−8 使用機材など




 
計測したデータは専用のソフトウエアを用いて,MMS 計測結果(点群データ)を処理し,運転操作省力化や将来的な自動運転に活用可能な①3D道路データ(ダイナミックマップ基盤データに準拠)(図−9)と,ICT施工などに活用可能な②TINモデル(地形データ)を作成した(図−10)。
 
 
図−9 3D道路データ     図−10 TINデータ
 
 
また,啓開除雪に使用しているロータリ除雪車にセンサーを設置して投雪軌跡を調査し,超音波式風向風速計でデータ補完することで,ロータリ除雪車の投雪装置制御システムの構築に向けたデータ取得を行った。
 
 

3-4 開発したロータリ除雪車の概要

開発した新型ロータリ除雪車は【2.6m級(MSシュート)】をベースとして,準天頂衛星「みちびき」と「高精度3Dマップデータ」を活用した運転支援ガイダンスと投雪作業の自動化を合わせたシステムを搭載した。また,コクピットの操作レバーを集約,除雪速度制御装置(除雪負荷に応じた除雪速度自動コントロール)など,操作の省力化を図る装置も合わせて搭載した(図−11)。
 

図−11 新型ロータリ除雪車




 

4. 実証実験結果

新型ロータリ除雪車を使用し,平成31年(2019年)3月19日に報道関係者を対象とした実証実験公開デモを実施し,多くの報道機関の関心を集めた(図−12)。
 

   
図−12 実証実験デモの状況
 
 
実証実験公開デモでは,制御システムの状態把握として,運転支援とブロワ投雪の自動化,「みちびき」の受信状況調査,各種センサによる作業装置の状態把握などを行い,ブロワ投雪の自動化においては,3Dマップ地図データに記録された7つの投雪方向変化点において,ブロワ旋回を自動で制御し投雪の向きの変更に成功した(図−13,図−14)。知床峠の開通に向け3月〜4月にかけて新型ロータリ除雪車を稼働し,受信状況や各種センサのデータ蓄積を進めている。
 

図−13 3Dマップ上の投雪方向変化点




 

図−14 ガイダンスシステム構成




 

おわりに

今回,i-Snowの取組みとして,知床実証実験について紹介した。産学官民が連携したプラットフォームを活用し,持続可能な道路除雪の実現に向けた取組みとして,第一歩を踏み出したところであるが,今後は新たな技術,構成員の参画により,一般道での実証実験などを踏まえ,道路除雪の効率化に向けさらなる発展を目指していく。
 
 
 

国土交通省 北海道開発局 建設部 道路維持課 維持第一係長  椎名 秀典

 
 
【出典】


積算資料公表価格版2019年7月号



 
 

 

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