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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > ワイヤーロープ試行設置区間における除雪作業時の接触防止対策について

 

はじめに

東日本高速道路株式会社横手管理事務所は,秋田自動車道湯田IC 〜協和IC 間65.1km,湯沢横手道路湯沢IC〜横手IC間14.5km合計79.6kmの高速道路の維持管理を担当しており,路線の特徴としては奥羽山脈の山岳地帯と横手盆地の豪雪地帯を通過し,約50%が暫定二車線区間となっている。
 
平成29年(2017年)度に暫定2車線区間の中分突破防止対策として,秋田自動車道湯田〜大曲間にワイヤーロープ(以下「WR」という)が9箇所約12.3km設置(写真−1)された。中分WR区間においては平成29年(2017年)冬が初めての雪氷作業となり,除雪作業中の接触事故が懸念されていた。そこで作業の安全対策として除雪車のプラウ右側にサイドディスタンサー(離隔確認装置:縦型ブラシ)を設置し,接触防止対策を行ったので効果の検証結果を報告する。
 

写真−1 WR設置状況図




 

1. WR区間の除雪時の問題点

従来の中央分離帯は,可撓性のあるポストコーンと車線分離標で構成されており,万が一接触したとしてもポストコーンが反対車線に飛散するなどの懸念はないため,ポストコーンの直近まで除雪が可能(写真−2)であった。
 

写真−2 ポストコーン部除雪状況




 
WRに変更になると,ロープに雪が付着するなど構造的に雪堤の成長を助長,堆雪させる(写真−3)ほか,万が一接触した場合,以下のような懸念もあった。
 

写真−3 WR部堆雪状況




 
①WRとの距離感が掴みづらく接触してしまった場合,支柱が破損し最悪の場合通行止めになってしまう可能性がある。また破損したWR部材が反対車線を走行中の一般車に当たる第三者被害の可能性がある。
 
②オペレーターがWR に接触することを恐れ,除雪作業の際にはギリギリまで寄ることができずに中央分離帯部分に雪を残してしまい,それにより雪堤が成長(写真−4)してしまう。
 

写真−4 WR部除雪状況




 
そこで上記の問題点を解決するためには,プラウの位置が確実に分かる目印を設置するのが効果的と考え検討を開始した。
 
 

2. 平成28年(2016年)度に実施した試験施工について

ネクスコ・メンテナンス東北横手事業所では平成28 年(2016年)度より暫定2車線部での除雪の安全対策として,除雪車1号車のフロントプラウ右側にブラシまたはゴム板の設置を試験的に行っており,両者ともにフロントプラウと車線分離標との離隔確認がし易くなるという効果が認められた。
 
 

①ブラシ方式

ブラシ方式(写真−5)については,ブラシの設置高さをGLから10cmに設定したため雪が舞ってしまい,視界不良になってしまう欠点があった。
 
なお,車線分離標に接触した場合には,反対車線に雪が飛散することはなかった。
 

写真−5 ブラシ方式




 

②ゴム板方式

ゴム板方式(写真−6)については,ゴム硬度を3種類設置したが,ゴム硬度の大小に関係なく作業時の振動による耐久性に若干の問題があった。
 

写真−6 ゴム板方式




 
またゴム硬度の低いものに関しては本体が自立せず,装着方法を改善する必要があった。
 
ゴム硬度が高いものは,車線分離標に接触した際の衝撃が大きく反対車線へ雪が飛散してしまうことから使用は望ましくないという結果になった。
 
試験施工の評価結果(表−1)より,比較的容易に短所を改善できることから,ブラシ式を改良し,サイドディスタンサーと名付けて使用を開始した。
 

表−1 試験施工の評価結果




 

3. サイドディスタンサーの概要

試験施工の結果より,平成29年(2017年)度から全ての雪氷基地の除雪車1号車にブラシ方式のサイドディスタンサーを設置した(写真−7)。
 

写真−7 サイドディスタンサー設置状況




 
サイドディスタンサーの概要を表−2に示す。ブラシの設置高さは雪が舞ってしまうことがないようにGLから20cmの位置に設定した。ブラシの張り出し長さ(W)は40cm程度が最も距離感覚を取りやすいというオペレーターの意見を採用した。ブラシの長さ(H)はフロントガラス下部の曇りなども考慮し,運転席から最も視認性が良かった120cmに設定した。ブラシの材質は接触した際の衝撃が少なく,型崩れのしにくいナイロンを採用した。
 

表−2 サイドディスタンサー概要




 

4. 効果の検証

平成29年(2017年)度の横手管内の降雪は過去20年間で3番目に多い年であり,雪堤によりWRが埋まってしまう日も多くあった(写真−8)。
 

写真−8 WR部の雪堤状況




 
また梯団除雪回数も過去3ヶ年平均の809回を大幅に上回る983回となった。しかし,WR区間でのサイドディスタンサーの使用の義務付けや設置効果,目的などの安全教育の徹底とサイドディスタンサーの設置効果のおかげで,当初懸念されていた中分WRと除雪車の接触事故はなく,無事に雪氷作業を終えることができた。そのためサイドディスタンサーの設置効果として以下が挙げられよう。
 
①運転席からの視認性が良く,目印としての効果大
②雪が舞うことによる視程障害もなく,作業性も問題なし(写真−9,10)。
③WR 支柱に接近して作業できたため,幅の広い雪堤形成を抑制
④ブラシ式を採用したため,反対車線への雪塊の飛散がなく第三者被害を心配せずに作業できた。
⑤ブラシの接触する部分では雪堤をある程度除去することが可能(写真− 11,12)。
 
 
写真−9 WR区間作業状況             写真−10 運転席からの視線状況 


 
 
写真−11 除雪後の中分雪堤状況          写真−12 除雪後の中分雪堤状況 


 

おわりに

サイドディスタンサーの設置により,平成29年(2017年)度において,雪氷作業事故は起こらなかった。しかしサイドディスタンサーのブラシは1年間に設置した半数を型崩れ等で交換している現状である。今後はブラシの材質などを研究するとともに,改良を続けていきたいと考える。
 
高速道路の雪氷作業を行う会社として,作業事故による通行止めや第三者被害を出すことは絶対にあってはならないことである。今後とも雪氷作業に従事する全員が,そのことを肝に銘じて作業に当たるとともに,WR区間の雪氷作業の人的負担を可能な限り軽減するための方策として,サイドディスタンサーのような作業の安全性向上につながる工夫をしていくことにより,より一層安全・快適な高速道路空間の提供をしたいと考えている。
 
 
 

株式会社 ネクスコ・メンテナンス東北 横手事業所 事業課  川村 知秋

 
 
【出典】


積算資料公表価格版2019年7月号



 
 

 

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