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ホーム > 建設情報クリップ > 土木施工単価 > ICT関連工種の積算要領改定について

 

1. はじめに

国土交通省では,働き手の減少を上回る生産性の向上と担い手確保に向けた働き方改革を進めるため, 建設現場の生産性向上を図るi-Construction の推進等に取り組んでいます。
 
生産性革命「貫徹」の年である本年,公共工事の品質確保に関する受発注者の責務等を定める品確法(公共工事の品質確保の促進に関する法律)の基本理念等に図るとともに,i-Constructionの更なる推進や働き方改革に取り組める環境の充実等を図る観点から最新の実態を踏まえ,土木工事の積算基準等の改定を行います。
 
なお,これらの基準等は,全国の地方自治体にも情報提供することとしています。
 
 

2. 2019年度(平成31年度) ICT関係積算要領の改定概要

ICT 関係積算要領は,施工パッケージ型積算として現在までに6工種(掘削(ICT),路体(築堤)盛土(ICT),路床盛土(ICT),法面整形工(ICT),路盤工(ICT),河川浚渫(ICT))を設定しています。
 
これらの工種について,通常の土木工事標準歩掛や施工パッケージ型積算と同様,各種施工制約の増加などの社会環境の変化,あるいは使用機械の機能向上など,施工形態の変化に的確に対応した適正なものとする必要があります。
 
また,平成26年6月の改正品確法に「担い手の中長期的な育成・確保のための適正な利潤が確保できるよう,施工実態等を的確に反映した積算を行うこと」とあるように,施工状況のモニタリングが発注者としても重要となってきています。
 
このことから,平成29年度に実施した工事の実態調査の結果を踏まえ,平成30年度に施工実態を分析した結果,改定を行うこととしました。
 
その改定概要について,以下のとおり紹介します。
 
(1)掘削(ICT)
施工パッケージ型積算における土工(ICT)のうち,掘削(ICT)については,通常の土工と同様,施工数量5,000㎥を境に施工効率に変化がみられたことから,施工数量5,000㎥未満の区分を新たに設けました(図-1)。
 



 
なお,機械経費及びICT建設機械経費加算額については,大きな変動はありませんでした。
 
また,共通仮設費の技術管理費に計上するICT建設機械の保守点検に要する費用及びシステム初期費についても大きな変動はありませんでした。
 
掘削(ICT)については,ICT建設機械の稼働率に伴う施工数量の算出方法が別途設定されていますので,工事積算する際にはご注意ください。
 
 
(2) 路体(築堤)盛土(ICT),路床盛土(ICT)
施工パッケージ型積算における土工(ICT)のうち,路体(築堤)盛土(ICT),路床盛土(ICT)については,施工数量10,000㎥未満,10,000㎥以上のそれぞれにおいて使用するICT建設機械が小型化されていたことから,代表機労材規格の建設機械について見直しを図りました(図-2)。
 

図-2 代表機労材規格(建設機械)




 
また,代表機労材規格の見直しに伴い,作業日当たり標準作業量も見直しました。
 
機械経費については,ICTブルドーザの調達先としてリース・レンタル業が多かったことから,新たに機械経費(賃料)を設定することにしました。これに伴い,ICT建設機械経費加算額を計上する必要はありません。
 
また,共通仮設費の技術管理費に計上するICT 建設機械の保守点検に要する費用及びシステム初期費については大きな変動はありませんでした。
 
 
(3) 法面整形工(ICT)
法面整形工(ICT)の施工動向に大きな変動はみられませんでした。
 
また,機械経費及びICT建設機械経費加算額,共通仮設費の技術管理費に計上するICT建設機械の保守点検に要する費用及びシステム初期費についても,大きな変動はありませんでした。
 
 
(4) 路盤工(ICT)
路盤工(ICT)の施工動向に大きな変動はみられませんでした。
 
また,機械経費及びICT建設機械経費加算額にも変動がみられず,現行通り,ICTモータグレーダの機械経費は,通常のモータグレーダの賃料にICT建設機械経費加算額を加えて計上します。
 
共通仮設費の技術管理費に計上するICT建設機械の保守点検に要する費用及びシステム初期費についても,大きな変動はありませんでした。
 
 
(5) 河川浚渫(ICT)
河川浚渫(ICT)の施工動向に大きな変動はみられませんでした。
 
また,機械経費及びICT建設機械経費加算額にも変動がみられず,現行通り,ICTバックホウ浚渫船の機械経費は,通常のバックホウ浚渫船の損料にICT建設機械経費加算額を加えて計上します。
 
共通仮設費の技術管理費に計上するICT建設機械の保守点検に要する費用及びシステム初期費についても,大きな変動はありませんでした。

 
 

3. 2019(平成31)年度 ICT関係積算要領の新規制定

2019年は生産性革命「貫徹」の年と位置づけられていることから,新たな工種についても技術基準類を設定し,ICT施工の更なる活用促進を図ります。
 
ICT関係積算要領についても4工種について新規制定し,工事発注における積算支援を行います。
 
なお,新規設定した工種については,改定した工種と同様,工事の実態調査を実施し,変動に応じた見直しを図っていく考えです。
 
新規に制定した工種について,以下のとおり紹介します。
 
(1) 安定処理工(ICT)
安定処理工(ICT)は,ICT建設機械を使用する地盤改良工のうち,バックホウ混合により安定処理を行う工法です。
 
施工箇所が「路床」の場合,機械経費として通常の施工機械(賃料)にICT 建設機械経費加算額を加えて計上します。また,施工箇所が「構造物基礎」の場合,別途設定されたICT建設機械の機械経費(賃料)を計上します。
 
安定処理工(ICT)においても,共通仮設費の技術管理費に計上するICT建設機械の保守点検に要する費用及びシステム初期費について計上することにしています。
 
 
(2) 中層混合処理工(ICT)
中層混合処理工(ICT)は,ICT建設機械を使用する地盤改良工のうち,粘性土,砂質土,シルト及び有機質土等の軟弱地盤を対象に行う中層混合処理を行う工法です。
 
機械経費として通常の施工機械(損料)にICT建設機械経費加算額を加えて計上します。
 
中層混合処理工(ICT)においても,共通仮設費の技術管理費に計上するICT 建設機械の保守点検に要する費用及びシステム初期費について計上することにしています(図-3)。
 

図-3 安定処理工(ICT)及び中層混合処理工(ICT)のイメージ




 
(3) 床掘工(ICT)
床掘工(ICT)は,掘削(ICT)等のICT施工に伴い,3次元データを活用して施工する場合に適用する床掘工です。
 
施工方法が「標準」の場合,機械経費として別途設定されたICT建設機械の機械経費(賃料)を計上します。施工方法が「平均施工幅1m以上2m未満」,「掘削深さ5m超え20m以下」,「掘削深さ20m超え」,「小規模」の場合は,通常の施工機械(損料)にICT建設機械経費加算額を加えて計上します。
 
床掘工(ICT)においては,共通仮設費の技術管理費に計上するICT建設機械の保守点検に要する費用について計上することにしています(図-4)。
 

図-4 床掘工(ICT)のイメージ




 
(4) 機械土工(河床等掘削)(ICT)
機械土工(河床等掘削)(ICT)は,河川工事においてICT 建設機械を使用して行う河川等の掘削です。
 
機械経費としては,ICT掘削(ICT)と同様,別途設定したICT建設機械の機械経費(賃料)を計上します。
 
機械土工(河床等掘削)(ICT)においても,共通仮設費の技術管理費に計上するICT 建設機械の保守点検に要する費用及びシステム初期費について計上することにしています(図-5)。
 

図-5 機械土工(河床等掘削)(ICT)のイメージ




 

4. おわりに

公共事業を円滑に執行するためには,現場の施工実態や資機材の需給動向など,変化する事象を的確に把握し,工事の品質及び安全の確保,環境の保全等に十分な配慮がなされているかにも着目したうえで,積算要領を整備していくことが必要と考えています。
 
建設現場の生産性向上を図るi-Constructionを推進しつつ,改正品確法の主旨も踏まえ,必要な積算要領等の制定・改定を行い,今後においても適正な予定価格が積算できるように努めて参ります。
 
なお,ICT 関連工種の積算要領は,土木工事標準歩掛と同様,実際の施工における手順や代表機労材を規定するものではなく,活用促進を目的に設定した施工を想定した予定価格を算出するためのツールです。工事積算の際には,このことを正しく理解したうえで適切な運用をお願いします。
 
 
 

国土交通省 総合政策局 公共事業企画調整課 施工安全企画室 課長補佐 矢野 公久(やの ともひさ)

 
 
 
【出典】


土木施工単価2019夏号



 

最終更新日:2019-11-12

 

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