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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > 子育てインフラとしての園の在り方〜ボーネルンドの取組み〜

 

はじめに

当社は2019年3月23日,高槻市において安満遺跡公園の中に3カ所目のプレイヴィルを開設しました(写真−1,2)。プレイヴィルとは室内と屋外のあそび場を一体で運営する有料のあそび場です。2015年10月に初めてのプレイヴィルを天王寺公園の「てんしば」に開設,2018年に2カ所目を大阪城公園に,そして高槻市に3カ所目を開設しました。これまでは「キドキド」という室内のあそび場を商業誌施設の中で展開してきましたが,近年は特に子育て支援策として行政施策の中に取り込まれることが多くなりました。なぜ子どものあそび場がそのようなことになっているのか,きっかけと理由を本稿で紹介いたします。
 

写真−1 安満遺跡公園の全体図
 

  
 

  
写真−2 ボーネルンドプレイヴィル 安満遺跡公園店


図−1 人間の成長に必要な36のからだの動き


 

1. 日本の子育て事情〜子どもは成長しているのか〜

2018年の特殊出生率は1.41%,出生数は91.8万人だったことが6月初旬に厚生労働省から発表されました。ご存知の通り出生率は低下し続け,さらには出生数も下がり続けている傾向は10年以上変わりません。政府はさまざまな子育て支援策を打ち出しますが,事態を大きく変化させるまでには至っていません。2012年3月には文部科学省が幼児期の運動指針として必要な36のからだの動きを習得するための方針を打ち出しました(図−1)。一方,子育て環境としてはワンオペの子育て,待機児童問題などの課題が多岐にわたっています。さまざまな課題は残っているものの大きな課題の一つに子どもたちの身体の動きがぎこちない点があげられます。それを解消するための有効な手立てとして子どもたちがのめり込んであそべる環境が重要なのであり,当社があそび場づくりを続ける大きな動機の一つになっています。
 
 
 

2. 他国の子どもを取り巻くあそび環境

欧州では公園の環境もよく整備されていることも多いのですが,根本的な違いは子どもにとって必要な環境はどのようなものだろうかという議論を元に,子どもたちに必要な環境を社会で用意するという合意形成が広くとれていることです。そのため,公園だけではなく子どもたちの居場所として成立している学校の校庭環境も公園とほぼ同レベルで整備されています。あそび場が子どもたちにもたらす影響が社会全体で重要視されているため,欧州ではあそび場が高いレベルで設置されています。
 
 
 

3. 子どもにとってあそび場はなぜ必要なのか

根本的な課題ですがこの問いの理解の仕方によってあそび場は不要になります。なぜかというと子どもが遊ぶことにより騒がしくなったり,ちらかったり,汚れたりと大人の都合によっては,その必要性が異なる方向に向かうためです。静かにあそぶためには子どもに制限をかけることにほかならず,心の底からあそぶことにつながりにくいのです。あそび場は子どもの成長の場として必要不可欠ですが,大人のあそびの概念はエンターテイメント的で消費・消耗に寄ることが多く,そのため“あそび”が悪,という理解になりがちです。当社は本来的に子どもにとって必要な“あそび”の意味は大人が理解しているそれとは異なるものと考えています(図−2)。
 


図−2 あそびと娯楽の比較

3-1 あそびとは

本来的な意味は日常的で,能動的かつ蓄積であり,継続的なものを持ちながら自発的な行動の塊です。あそびは子どもの興味と関心を多面的に引き出す要素を持ち合わせています。その引き出された状態では,子どもたちは目の色を変えてあそんでおり,大人たちはそれを目にすることができます。それは子どもたちがあそびの力を発揮した状態です。そうした状態では子どもたちは多くのことを自発的に獲得しています。一方でそうでない状態はというと,受動的でおもちゃなどにあそばれている状態です。大人から見るとどちらの状態であっても同じように見えますが,本質的には大きく異なります。
 

3-2 大人が社会で果たす役割として

子どもたちはまだ与えられた環境の中でしか生活できません。衣食住が保障される必要はもちろんありますが,子どもにとってはそういったライフラインと同じレベルであそぶことも保障されるべきだと考えます。なぜならば小さな子どもにとってはあそぶことは衣食住同様,大切なことであるからです。また子どもたちはあそびながらあらゆることを学ぶきっかけにしています。あそびをきっかけに掘り下げられたことは必然的にアクティブ・ラーニングにつながります。
 
2020年に大学入試は大きく変わりますが,そのポイントは主体的・対話的で深い学び,すなわちアクティブ・ラーニングです。あそびから入り自然に教育に結びついていくものです。幼児期のあそび環境が充実することで獲得できるものが多くなり,良き大人を作る礎になると考えられている欧州では,人的資産に向けての投資にもつながるようです。結果,豊かなあそび環境創出につながっています。
 
それらを準備するのは社会の中では大人の役割ではないかと思います。
 

3-3 よいあそび場とは

日本の公園は2000年前後に遊具の整備不良や事故が多発した結果,遊具自体の安全性に警鐘が鳴らされ撤去されることが多くなりました。背景に子どもたちの身体能力の低下が拍車をかけていたこともあり撤去はより加速されました。本来はあそぶ中で危険を察知し,回避する能力も身につけることがあそびの大きな要素の一つでもあるにもかかわらず,危険をすべて排除することにより危険回避能力が身につかないというのでは本末転倒であると考えています。危険の中にはよい危険(リスク)と避けるべき危険(ハザード)の2つがあり,それらがコントロールされていれば,子どもの成長を助け,安心できるあそび場となります。その境界線を大人が知っていることが重要です。
 
  
写真−3 プレイリーダと子どもたち

3-4 あそびを通して獲得できること

社会の変化が激しく,価値感の多様化が進む中で,生きていく上で必要とする術はあそびを通して獲得できると思います。それは他者との関わりや,仲間づくり,意欲であったりとさまざまありますが,それらを育むのがあそびの力にほかなりません。これは教育だけではなくスポーツにも同様に言えると思いますが,幼児期から小学生くらいにおいて十分にあそびを積み重ねている子どもたちは教育やスポーツなどさまざなことへ積極的に取り組むものと思われます。
 

3-5 あそび場に介在するプレイリーダーとは

当社のあそび場にはプレイリーダーが常駐しています(写真−3)。プレイリーダーは日本の中で子どもの遊んでいる姿を一番見ていると自負しています。子どもたちの現在の体力レベルやできること,できないこと,あるいはそれぞれの子どもにとってのリスクとハザードを見ながら子どもたちの近くにいます。外から見ていると一緒に遊んでいるようにも見えますが,彼らは子どもたちのあそびの力を引き出すためのきっかけづくりを意識しながら見守ります。そのため,あそびにのめり込み始めればその場から少し離れたりします。プレイリーダーの存在は,あそび場に新しい価値創造をするためにもとても有効な方法です。
 
 
 

おわりに

当社は,都市公園の中で有料のあそび場を展開していますが,少子化状態や子どもを育てる環境がなかなか見つからない中で公園の果たす役割はとても大きいと感じています。特に高槻市の安満遺跡公園は,完成は2022年ですが,2019年3月23日に一次開園しており,約22ヘクタールにもおよぶ面積を誇るとともに,ハーフメイド公園として市民とともに作り上げていくことをテーマに街づくりの一環としても機能を果たし,母子保健センター敷地内にあることで気軽に行くことができる場所になっています。公園機能の充実はもちろんのこと,防災機能も備えており,プレイパークの開催や,公園に宿泊できるなど,市民の活動の場としての機能も充実しています。高槻市側のこのプロジェクチーム発足後,メンバーは一人も変更なく計画が推進されたことも秀逸でした。行政側の意思が明確に民間の事業者にぶれることなく伝わったことでさまざまな可能性を知ることができたのはとても大きなことでした。「目的をもって公園にくる。」というデスティネーションパークのような在り方にもつながる可能性を示したのではないでしょうか。これからの公園は,新しい価値創造の期待に応えられる空間として多くの方々に浸透することがより求められていると思います。
 
 
 

株式会社ボーネルンド 常務取締役  池上 貴久

 
 
【出典】


積算資料公表価格版2019年8月号



 
 

 

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