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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > 重仮設業の安全について

 

はじめに

本協会は,鋼矢板,H形鋼,鋼製山留,覆工板といった重仮設材を保有し,顧客からの要望に応じてリースおよび販売,加工に加えて重仮設材を使用した施工に対応している会員企業12社で構成されています。
 
扱っている商品が重量物のため,ちょっとしたことでも大けがにつながることが多く,会員各社にとって事故・災害をなくすことは大きな課題となっています。
 
本協会では,会員からの代表で構成される6つの委員会がありますが,安全に関しては,安全衛生委員会のほか工場委員会,工事委員会,技術委員会でもその役割を担っており,お互いの情報共有を通じて安全意識の向上を図り事故・災害の撲滅に向けて活動しています。
 
また,各社の事故・災害は類似性が高く,協会内で情報共有し,再発を防止することが重要と考えており,毎年各地域で行われる安全パトロールや安全管理セミナーで繰り返し災害事例やヒヤリハット等を情報共有しているのもこのためです。
 
 
 

1. 事故・災害の発生要因

事故・災害の発生要因は,「不安全行動」,「不安全な状態」,「安全管理上の不備」の3つに分類されます。

1-1 「不安全行動」

「不安全行動」は,近道行為や省略行為といったヒューマンエラーで発生し,発生原因の90%を占めていると言われています。
 
ヒューマンエラーは心理的要因で,「慣れ」,「疲れ」,「急ぎ」等はその最たるもので,その対策は簡単ではありませんが,コミュニケーションをしっかりとることが効果的と考えられています。

1-2 「不安全な状態」

「不安全な状態」とは,積み荷の不備や機械・施設・設備・装置,保護具の欠陥等が挙げられます。これは,機械・施設・設備・装置の点検修理,整理整頓等により防止できるとされています。

1-3 「安全管理上の不備」

「安全管理上の不備」とは,安全管理組織や作業手順書等の規定・基準の不備,安全教育不足といったことが挙げられます。会社や組織がしっかりとした方針を持って取り組むことが大切です。
 
 
 

2. 災害の分析

本協会では,災害を以下のように分類し,災害の傾向を分析して対策を講じています。

2-1 工種別の分類

①工事:
工事現場での災害。一般的に元請の労災保険を使用した場合
②工場:
工場における災害。自社または工場内協力会社の労災保険を適用した場合
③運送:
発生場所にかかわらず運送業者の労災保険を適用した場合

2-2 災害の程度別

①休業4日以上
②休業4日未満
③不休業

2-3 災害の型別(表−1

①墜落・転落
②はさまれ・巻きこまれ
③飛来・落下
④転 倒
   等災害起因により10種類に分類

 

表−1 平成30年 災害報告(対前年対比)




 

3. 過去5年間の災害の傾向

過去5年間の災害の傾向をグラフ化すると図−1〜3のようになり,その傾向は以下のように分析できます。
①災害件数合計は減少せず,増加傾向である。
②休業4日以上の件数も増加傾向である。
③休業4日未満が極端に少なく,災害が発生すると4日以上の重篤になる傾向が強い。
④休業4日以上の中では「運送」の比率が総じて高い。
⑤災害の型では,「墜落・転落」,「はさまれ・巻きこまれ」,「飛来・落下」の3つの型の比率が突出しており,その中でも「はさまれ・巻きこまれ」が目立っている。
 

図−1 工種別災害件数(休業4日以上)


 

図−2 災害件数合計(程度別)


 

図−3 型別災害件数(休業4日以上)




 

4. 協会の安全衛生活動

本協会では事故・災害を減らすことを目的に,次に挙げる安全衛生活動を行っています。

4-1 安全パトロール

安全衛生委員会では,全国で毎年4回工事現場中心に安全パトロールを実施しています。今年度は北海道,東北,関東,北陸の4地区で行われ,「不安全行動」,「不安全な状態」,「安全管理上の不備」等のチェックが行われました。安全パトロールでは,主に玉掛けワイヤーロープの当月点検色が正しいのか,重機付近の立ち入り禁止措置がとられているか等,重大事故につながる危険性がないのか確認するほか,作業通路の確保や現場の整理整頓状況を把握する等,細かいところまでチェックを行い安全な現場確保に努めています。

4-2 安全管理セミナー

安全管理セミナーは,安全衛生委員会が毎年4回全国で行っている会員社員と協力会社を対象にしたセミナーで,今年度は北海道,東北,関東,北陸で行われました。内容は委員による「前年の災害事例の発表」と,株式会社計画技術研究所代表取締役所長の内田浩氏による「相互の強力なコミュニケーションで事故防止」の二本立てで合計330名の関係者が参加しました。一つ目のセミナーでは,「はさまれ・巻きこまれ」事故が多いことが受けて,「積み荷には安易に手を出さず,作業手順を守ること。」等を挙げて改めて作業手順の順守の大切さについて講義を行いました。二つ目のセミナーでは,「作業指示を正しく伝えるために,聞く側に立って具体的に5W1Hをゆっくり伝える。」等,型通りなコミュニケーションにならないように講義が行われました。

4-3 工場パトロール

工場委員会が実施する工場パトロールは,毎年関東と地方の2地区の会員工場を訪れ,各工場の設備状況や事故・災害の発生要因の潰し込みを行っています。今年度は関東地区2工場と仙台地区では異業種工場見学を含め会員4社の工場パトロールを実施しました。

4-4 安全標語の募集

工場委員会では毎年工場関係に特化した「安全標語」を会員社員および協力会社から募集し,優秀作品12本をカレンダー形式にして各社に配布,掲示してもらうことで安全意識の高揚を図っています。

4-5 トラブル事例の洗い出し

毎年東京と大阪で行われている技術工事委員会合同講習会では,技術や工事に関してのトラブル事例を発表し情報共有しています。
 
また,工事委員会では,昨年から工事に関するトラブル事例(災害,トラブル,ヒヤリハット等)を各社から集めており,来年度中には当協会のホームページで公開する予定です。
 
 
 

5. 取り組むべき課題・問題点

5-1 類似災害防止

事故・災害は同じような事象の繰り返しです。それらの防止には情報共有が大切になります。これからも安全管理セミナー等のあらゆる機会を通じて過去の災害事例を紹介し,一層の注意喚起を行っていきます。

5-2 車上渡し契約の徹底

「運送」災害で多い要因の一つにドライバーが荷台で手をはさんだり,墜落したりするケースが見られます。これはドライバーが本来の業務である荷台での荷解き,荷締め作業以外に,玉掛け,手元補助,合図等を要求されるケースがあるためです。本協会では客先に対し運送業界の慣習改善を目指して,「車上渡し契約の徹底」を呼び掛けておりますが,一層の徹底が必要と考えています。
 
 
 

おわりに

はじめにでも述べましたが,会員各社にとって「安全」は最重要課題の一つといっても過言ではありません。しかし,さまざまな対策を行っているにもかかわらず発生件数は減少せず,かえって重篤化しているのが現状です。原因の一端は,人手不足による経験や知識不足に加えて,高齢化による基本的能力の低下も多く見受けられます。建設業全体の弱体化が根底にあることも考えられます。
 
また,会員会社の顧客であるゼネコンや地域によって「安全」に対する温度差も気になるところです。例えば同じ作業をする場合でも,客先や地域によってやり方や要求度合いが異なることが多いのです。このあたりの統一性を高めることも重要な要素ではないかと思われます。
 
人間である以上ミスはつきものですが,「安全はある意味お金で買えるもの。」とも言われています。会社にとって事故・災害での損失は計り知れません。起きてからの負担ではなく,事前の対応で安全が確保できれば,企業やそこで働く現場の方々にとってこれに勝るものはないと言えるのではないでしょうか。
 
 
 

一般社団法人 重仮設業協会 会長 馬越 学

 
 
【出典】


積算資料公表価格版2019年12月号



 
 

 

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