• お問い合わせ
  • プライバシーポリシー
  • サイトマップ

建築資材、土木資材をはじめとした建設資材、機材、設備、工法等の
データを収録し、スピーディな検索を実現した建設総合ポータルサイト

建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建築施工単価 > 国土交通省におけるスマートシティの取組

 

はじめに

経済発展が進む中,人々の生活は便利で豊かになったが,地球温暖化等の環境問題や,高齢化などに伴う社会コストの増加など,解決すべき社会問題は複雑化している。一方で,ICTの普及やビッグデータ,AI,IoT(Internet of Things)等の技術革新が急速に進展しており,先端技術等をあらゆる産業や社会生活に取り入れた社会のイノベーションを通じて,“これまでの閉塞感を打破し,希望の持てる社会”,“世代を超えて互いに尊重しあえる社会”,“一人一人が快適で活躍できる社会”を目指していくことが求められている。
 
こうした認識のもと,現在,政府では,サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムを構築することにより,人間中心の社会Society5.0を実現するべく取組んでいる。スマートシティは,このSociety5.0の総合的なショーケースとなる中核的な取組であり,官民の英知を結集して取組んでいく必要がある。
 
スマートシティに関しては,2016年1月に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」において,世界に先駆けた新しいコンセプトとしてSociety5.0の実現が位置付けられ,2019年6月に閣議決定された「統合イノベーション戦略2019」において,スマートシティ構想を通じたSociety5.0の実現が位置付けられるなど,各種の政府方針においてその取組の推進が求められている。これらの政府方針に基づき,内閣官房長官を議長とする閣僚会議である統合イノベーション戦略推進会議を司令塔に,各府省局長級のメンバーにより構成されるイノベーション政策強化推進チームにおいて具体の議論を重ねながら,関係府省連携のもと取組を加速化している。
 
そのような中,国土交通省においては,「スマートシティの実現に向けて〜中間とりまとめ〜」の策定,モデル事業の推進など,スマートシティの推進に向けた取組を進めているところである。
 
本稿では,これまでの経緯と今後の取組について紹介する。
 
 
 

2. 「スマートシティの実現に向けて〜中間とりまとめ〜」について

本章では,中間とりまとめのポイントについて簡単に紹介する。詳細については,都市局HPを参照されたい(http://www.mlit.go.jp/report/press/toshi07_hh_000126.html)。
 
 

2.1 スマートシティとは?
「スマートシティ」という言葉は,これまでもさまざまな機関で定義されているが,中間とりまとめにおいては,『都市の抱える諸課題に対して,ICT等の新技術を活用しつつ,マネジメント(計画,整備,管理・運営等)が行われ,全体最適化が図られる持続可能な都市または地区』と定義した(図−1)。
 
「スマートシティ」という用語が使われだした2010年頃は,エネルギーをはじめとした「個別分野特化型」の取組が中心であったが,近年は,ICT・データ利活用型スマートシティとして,「環境」「エネルギー」「交通」「医療・健康」等,複数分野に幅広く取組む「分野横断型」をうたう取組が増加しており,海外では,デンマーク・コペンハーゲンの「Copenhagen Connecting」等が有名である。最近は,国家を挙げてスマートシティに取組む事例が出現し,中国の「雄安新区」,シンガポールの「バーチャルシンガポール」などがある。
 

【図−1 スマートシティの定義】



2.2 目指すべきスマートシティのコンセプトとイメージ
スマートシティは,これまでのまちづくりとは発想もコンセプトも全く異なる新しいタイプのものであり,その取組にあたり,次のような視点が重要である。
 
 

(1)技術オリエンテッドから課題オリエンテッドへ
例えば,技術を供給する側である企業からの新技術等の提案に対し,技術を活用する側である自治体等はまちづくりにどういかすのか見えないまま,ただ実験を重ねるという構図では,結果として社会実装に結びつかないきらいがある。こうしたことが生じないよう,技術に振り回されるのではなく,課題解決のために技術を使うという発想が重要である。
 
都市に住む人のQOL(Quality of life)の向上がスマートシティの目指すべき目的であり,持続可能な取組としていくためには,都市のどの課題を解決するのか? 何のために技術を使うのか?その技術を使って何がしたいのか? を常に問いかけ,まちづくりの明確なビジョン,計画を持った上での取組とすべきである。
 
 

(2)個別最適から全体最適へ
例えば,車社会が進展し国民生活は豊かになったが,その結果公共交通は衰退し,地球温暖化現象が深刻化するなどの問題を招いた。しかし今日では,各種交通モードを総合的に捉えた政策検討が定着した。このように,個別分野の最適化から分野横断的な全体最適へと総合的な最適解を見いだすための取組が重要である(図−2)。
 
また全体最適化を進めるにあたっては,各分野のデータを共通プラットフォーム上で統合的に管理・分析するなど,主体間の連携・協働とともに,データや技術を連携することが重要である。
 

【図−2 個別最適から全体最適のイメージ】



(3)公共主体から公民連携へ
まちづくり上の課題を把握せずして市民生活に役立つ技術開発は難しく,また,新たな技術開発動向を知らずして効果的なまちづくりを進めることは難しいことに鑑み,まちづくり上の課題を抱える地方公共団体と,技術等を有する民間事業者,大学等とが,それぞれの強みをいかしながら,共同で取組む体制が重要である。
 
また,スマートシティの持続的な取組には,自治体負担に頼るばかりではなく,収集されるデータを活用してビジネスを成立させることによって収益をあげ,その収益を活用して,情報基盤の維持管理・更新を継続していくことも考えられ,関係者間の利害の調整等を行いながら,取組を推進していくことが求められる(図−3)。
 

【図−3 スマートシティの推進体制イメージ】




 

3. 企業,自治体から,スマートシティのニーズ・シーズを募集

国土交通省においては,モデル事業の実施を含め,政府を挙げてスマートシティ施策を進める上での参考とするため,地方公共団体および民間事業者等を対象に,スマートシティに関するニーズ・シーズ調査を実施した。その結果,146の団体,61の地方公共団体から提案(図−4)があり,地方公共団体のニーズと企業のシーズのマッチング等,各地域の取組へ活用していただくため,提案内容を国土交通省HPに掲載している。
 

【図−4 ニーズ・シーズ提案】




 

4. モデル事業の実施に係る公募

「スマートシティの実現に向けて〜中間とりまとめ〜」やニーズ・シーズの提案募集を踏まえ,国土交通省では,2019年3月15日から4月24日まで,民間企業,地方公共団体等からなるコンソーシアムを対象に,モビリティ,防災・インフラ,エネルギー・環境などの分野において,新技術・官民データを活用し,都市や地域の抱える課題解決を加速化させるモデル事業の公募を実施し,その結果,73のコンソーシアムから提案があった(図−5,6)。
 
提案の中から,有識者の意見を踏まえ,モデル事業として,先行モデルプロジェクトと重点事業化促進プロジェクトを選定した(図−7表−1,2)。先行モデルプロジェクト(15事業)は,スマートシティ実証調査予算を活用し,具体的な新しい取組への着手と成果やボトルネック等の分析等を実施するとともに,その共有を図ることにより,全体の取組を牽引するプロジェクトとなるよう支援する。また重点事業化促進プロジェクト(23事業)は,専門家の派遣や計画策定支援等により,早期の事業実施を目指して支援する。今後これらの事業を重点的に支援し,その成果を横展開することにより,全国における取組の本格化・加速化を推進する。
 


  • 【図−5 地域別の提案応募状況】

  • 【図−6 分野別の提案応募状況】



【図−7 モデル事業の選定箇所】




  • 【表−1 先行モデルプロジェクト一覧】


  • 【表−2 重点事業化促進プロジェクト一覧】



 

5. 官民連携プラットフォームの構築

各府省はもとより,企業,大学,地方公共団体等が一丸となり,官民の英知を結集してスマートシティの取組を加速するため,2019年8月に内閣府,総務省,経済産業省と国土交通省が共同して「スマートシティ官民連携プラットフォーム」を設立した(図−8)。このプラットフォームは,471もの企業,大学,地方公共団体等の参加を得てスタートし,現在,オブザーバーも含めてすでに500を超える規模にまで拡大している。
 
これまでにも,プラットフォームのホームページを立ち上げるなど情報提供の充実を図るほか,資金,ノウハウ両面からのプロジェクト支援としてモデルプロジェクト地区への職員派遣,マッチング支援として,技術・ノウハウを求めるコンソーシアムへの企業・専門家の紹介などの活動を行っている。
 
今後は,これらの活動に加え,課題を共有する会員相互で悩みを共有しその解決策を検討する分科会活動を開始するなど,スマートシティ関連事業の効率的・効果的な実施などに取組む。
 

【図−8 スマートシティ官民連携プラットフォームの構成】




 

6. おわりに

今後,政府においては,国内における取組の加速と横展開に向けて,スマートシティに積極的に取組んでいく方針である。
 
国土交通省としては,官民連携プラットフォームを軸に,関係府省間の緊密な連携の下,先行モデルプロジェクト等に対する財政面,ノウハウ面の両方からの支援,会員間のマッチング支援等を通じてスマートシティ関連事業を効果的かつ重点的に支援していくことにより,できるだけ早期に成果を得るとともに,それを横展開していくことで,全国各地でスマートシティが花開くように努めてまいりたい。
 
 


(参考)
国土交通省におけるスマートシティの取組
http://www.mlit.go.jp/toshi/tosiko/toshi_tosiko_tk_000040.html
 
スマートシティ官民連携プラットフォーム
http://www.mlit.go.jp/scpf/index.html

 
 
 

国土交通省 都市局 都市計画課 都市計画調査室

 
 
 
【出典】


建築施工単価2020冬号



 
 
 

 

同じカテゴリの新着記事

最新の記事5件

カテゴリ一覧

バックナンバー

話題の新商品