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政府建設投資

2019年度は21.3兆円,2020年度は21.5兆円となる見通し

民間建設投資

住宅投資:2019年度は微増,2020年度は微減
非住宅投資:2019年度,2020年度ともに微増
 
 

1. 最近の経済の動きと見通し

リーマンショックや東日本大震災後,急速に落ち込んだ日本経済だが,2012年度以降は持ち直しに転じ,回復基調が続いている。
 
2019年12月9日に発表された内閣府の四半期別GDP速報(2次速報) によると,2019年7〜9月期の実質GDPの季節調整済前期比は0.4%増で,4半期連続でプラス成長となった。海外経済の減速などから輸出が低調であったものの,個人消費,設備投資,公共投資が堅調に増加し,内需を中心として緩やかな成長が続いている。中長期的には,引き続き緩やかな成長が続くことが期待される一方で,消費税率引き上げによる影響や,中国経済の先行き,通商問題などの海外経済の動向について留意していく必要がある。
 
なお,本節の2019・2020年度の建設投資見通しは,当研究所が2019年9月26日に公表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し(2019年9月)」の結果に基づいたものであり,9月上旬までの経済状況,統計を基に推計したものである。次回の公表については,2020年1月末に,建設投資の見通し(1月推計)を発表する予定である。
 

図表−1 マクロ経済の推移(年度)




 

2. 建設投資の現況と見通し

(1)建設投資全体の見通し

2019年度の建設投資は,前年度比2.2%増の62兆2,100億円となる見通しである。
 
政府建設投資は,一般会計に係る政府建設投資について,2019年度当初予算の内容を踏まえ,また,東日本大震災復興特別会計に係る政府建設投資や地方単独事業費についてもそれぞれ事業費を推計した。さらに,2017年度補正予算,2018年度第1次補正予算及び第2次補正予算に係る政府建設投資ついて,一部出来高として実現すると想定し,前年度比3.1%増と予測する。
 
民間住宅投資は,分譲戸建は着工増,持家,貸家及び分譲マンションは着工減が見込まれることから,住宅着工戸数は前年度比△6.4%と予測するものの,民間住宅投資は前年度比1.8%増と予測する。
 
民間非住宅建設投資は,民間非住宅の建築着工床面積は前年度比2.7%増と予測し,民間非住宅建築投資額は前年度比△1.0%,民間土木投資は前年度比8.4%増,全体では前年度比1.9%増と予測する。
 
2020年度の建設投資は,前年度比0.8%増の62兆7,100億円となる見通しである。
 
政府建設投資は,一般会計に係る政府建設投資について,公表された2020年度予算の各府省概算要求の内容等を踏まえ,また,東日本大震災復興特別会計に係る政府建設投資や地方単独事業費についてもそれぞれ事業費を推計した。また,2018年度第1次補正予算及び第2次補正予算に係る政府建設投資について,一部出来高として実現すると想定し,前年度比0.6%増と予測する。
 
民間住宅投資は,持家,貸家,分譲住宅の全てで着工減と考えられ,住宅着工戸数は前年度比△4.2%,民間住宅建設投資は前年度比△1.2%と予測する。
 
民間非住宅建設投資は,全体の非住宅着工床面積は前年度比△0.2%であると見込まれ,民間非住宅建築投資額は前年度比1.3%増,民間土木投資額が6.1%,全体では前年度比2.9%増と予測する。
 

図表−2 名目建設投資の推移(年度



図表−3 建設投資の推移(年度)



(2)政府建設投資の見通し

2019年度の政府建設投資は,前年度比で3.1%増の21兆3,400億円と予測する。
 
国の直轄・補助等事業費については,一般会計に係る政府建設投資は2019年度当初予算の内容を踏まえ,また,東日本大震災復興特別会計に係る政府建設投資は「復興・創生期間」における関係省庁の予算額の内容を踏まえ,それぞれ事業費を推計した。
 
地方単独事業費は,総務省がまとめた平成31年度地方財政計画等で示された内容を踏まえ,事業費を推計した。
 
また,2017年度の補正予算及び2018年度第1次補正予算及び第2次補正予算に係る政府建設投資は,2019年度に一部出来高として実現すると想定している。
 
2019年度の政府建築物リフォーム・リニューアル投資は前年度比で2.0%増の1兆3,700億円と予測する。
 
2020年度の政府建設投資は,前年度比で0.6%増の21兆4,700億円と予測する。
 
国の直轄・補助等事業費については,公表された2020年度予算の各府省概算要求の内容等を踏まえ,一般会計に係る政府建設投資を前年度当初予算から微増とし,また,東日本大震災復興特別会計に係る政府建設投資は,公表された2020年度予算の各府省概算要求の内容等を踏まえ,それぞれ事業費を推計した。
 
地方単独事業費については,総務省がまとめた令和2年度の地方財政の課題で示された地方財政収支の仮試算の内容を踏まえ,2020年度予算について前年度並みとして事業費を推計した。
 
また,2018年度第1次補正予算及び第2次補正予算に係る政府建設投資は,2020年度に一部出来高として実現すると想定している。
 
2020年度の政府建築物リフォーム・リニューアル投資は前年度比で2.0%増の1兆4,000億円と予測する。
 

図表−4 名目政府建設投資の推移(年度)



図表−5 政府建設投資の推移(年度)



(3)住宅着工戸数の見通し

2019年度は,持家は,2018年度の着工増から減少に転じるものの,政府による住宅取得支援策の効果等もあり,緩やかな減少と予測する。貸家は,相続税の節税対策による着工の一服感が強まると見込まれるため,前年度比で大幅な減少と予測する。分譲マンションは,販売価格や在庫率の高止まりといった状況が続き,前年度比で減少と予測する。分譲戸建は,近年のマンション市況を背景として,引き続き開発が前向きに進められていくと考えられるため,前年度比で増加と予測する。全体としては,分譲戸建は増加するものの,持家,貸家,分譲マンションが減少するため,前年度比で減少と予測する。
 
2020年度は,持家は,政府による住宅取得支援策の効果が弱まると見込まれるため,前年度比で減少と予測する。貸家は,減少率は小さくなるものの状況に大きな変化はないと見込まれるため,前年度比で減少と予測する。分譲マンションも,状況に大きな変化はないと見込まれ,前年度比で減少と予測する。分譲戸建は,引き続き開発が前向きに進められていくと見込まれるため,前年度と同水準と予測する。全体としては,持家,貸家,分譲マンションが減少するため,前年度比で減少と予測する。
 
持家は,2019年4〜7月期の着工は前年同期比8.0%増であるが,注文住宅大手5社2019年4〜8月の受注速報平均は前年同月比△13.6〜△1.8%であることから,2019年度の着工戸数は今後減少すると見込まれる。ただし,住宅取得支援策の効果もあり,緩やかに減少すると予測される。2020年度は,4つの住宅取得支援策が順次終了していくことからその効果が弱まると見込まれるため,前年度比で減少と予測する。2019年度は前年度比△1.1%の28.4 万戸,2020 年度は同△4.0%の27.3万戸と予測する。
 
貸家は,2019年4〜7月期の着工は前年同期比△15.0%であり,賃貸住宅大手3社2019年4〜8月の受注速報平均は前年同月比△14.6〜△2.5%である。2019年度は,賃貸物件の入居率の低下や金融情勢の変化等に伴い,相続税の節税対策による着工の一服感は強まることが見込まれるため,前年度比で減少と予測する。2020年度は,減少率は緩和されるものの,状況に大きな変化は見込まれず,引き続き着工戸数は前年度比で減少と予測する。2019年度は前年度比△14.2%の33.5万戸,2020年度は同△5.7%の31.6万戸と予測する。
 
分譲住宅は,2019年4〜7月期の着工は前年同期比△1.7%で,うちマンションが同△10.5%,戸建が同5.4%増となっている。2019年度は,マンションは,建設価格の上昇による販売価格や在庫率の高止まりといった状況が続き,中古マンションや分譲戸建へ需要がシフトしていると考えられる。大都市圏の中心部等における開発は引き続き堅調であるものの,前年度比で減少と予測する。戸建は,マンション販売価格との関係で割安感のある物件も含め,企業による開発が前向きに進められていくことが主要因となり,前年度比で増加と予測する。2020年度については,状況に大きな変化は見込まれないため,マンションは,前年度比で減少,戸建は,前年度とほぼ同水準で0.9%増の15万戸と予測する。分譲住宅全体では,2019 年度は前年度比△0.3%の26.6 万戸,2020 年度は同△ 2.4%の26.0万戸と予測する。
 

図表−6 住宅着工戸数の推移(年度



(4)民間非住宅建設投資の見通し

2019年4〜6月期の実質民間企業設備(内閣府「国民経済計算」1次速報値)は前年同期比2.4%増となった。海外経済の不透明感が一層高まっているものの,企業収益の改善,個人消費の持ち直し,人手不足への対応等を背景に企業の設備投資は増加しており,今後も底堅く推移していくことが見込まれる。2019年度の実質民間企業設備は前年度比1.5%増,2020年度は前年度比1.0%増と予測する。
 
2019年度の民間非住宅建設投資は,前年度比1.9%増の17兆4,100億円となる見通しである。2019年度の着工床面積は前年度比で,事務所は3.3%増,店舗は△5.4%,工場は△10.0%,倉庫は27.5%増となることが見込まれ,民間非住宅建築投資全体では前年度比△1.0%と予測する。また民間土木投資は,鉄道・エネルギー・通信分野等の設備投資が引き続き堅調に推移するとみられる。
 
2020年度の民間非住宅建設投資は,前年度比2.9%増の17兆9,100億円となる見通しであり,民間非住宅建築投資は前年度比1.3%増,民間土木投資は前年度比6.1%増と予測する。
 
事務所は,大都市圏を中心とした大型再開発プロジェクト等の着工が見込まれることから,着工床面積は引き続き堅調に推移する見通しである。
 
店舗は,2014年度から減少傾向が続いており,今年度も4〜7月の累計で前年度比△20.9%となっている。受注額も4〜7月の累計で前年度比△ 32.0%となっている。
 
工場は,前年度までの老朽化に伴う新設や能力の増強等の投資の勢いが鈍り,今年度に入ってから減少が続いている。
 
倉庫は,高機能・マルチテナント型物流施設等の着工が今後控えていることから,増加傾向で推移するとみられる。
 
民間土木は,2027年開業予定のリニア中央新幹線(品川・名古屋間)等大型プロジェクトへの投資が見込まれ,底堅く推移するとみられる。
 

図表−7 民間非住宅建設投資の推移(年度)



図表−8 民間非住宅建築着工床面積の推移(年度)



(5)建築物リフォーム・リニューアル投資の見通し

2019年8月に公表された国土交通省「令和元年度 建設投資見通し」では,新たに「建築物リフォーム・リニューアル投資」が盛り込まれ,その対象範囲を「建築工事における維持修理工事の内,改装・改修工事に該当するもの」と定義している。従って,耐震改修工事やバリアフリー化工事などの機能や耐久性の向上を意図して行う工事が該当し,壊れた部分の修理,損耗劣化した部材や消耗部品の交換などは含まれない。
 
本節においても,建築工事における機能や耐久性の向上を意図して行う工事を建築物リフォーム・リニューアル投資と捉え,その建設投資額を政府・民間別に推計した。以下は,今回の推計結果のほか,参考とした国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査」「建設工事施工統計調査」の動向を示したものである。
 
2019年度の建築物リフォーム・リニューアル投資は,前年度比1.2%増の7兆6,100億円と予測する。政府建築物リフォーム・リニューアル投資は,前年度比2.0%増の1兆3,700億円,民間建築物リフォーム・リニューアル投資は,前年度比1.0%増の6兆2,400億円となることが見込まれる。
 
2020年度の建築物リフォーム・リニューアル投資は,前年度比1.2%増の7兆7,100億円と予測する。政府建築物リフォーム・リニューアル投資は,前年度比2.0%増の1兆4,000億円,民間建築物リフォーム・リニューアル投資は,前年度比1.0%増の6兆3,100億円となることが見込まれる。
 
政府建築物リフォーム・リニューアルについて,建築物リフォーム・リニューアル調査によると,2018年度の政府建築物の改装・改修工事の受注高は,前年度比で微減となっているものの,建設工事施工統計調査の維持・修繕工事の完成工事高は中長期的には緩やかに増加傾向にある。庁舎の防災機能や安全性の向上及び長寿命化に資する工事は今後とも安定的に推移するとみられ,生産性の向上や新技術の活用による効率的な投資が見込まれる。
 
民間建築物リフォーム・リニューアルについて,建築物リフォーム・リニューアル調査によると,2018年度の民間住宅の改装・改修工事の受注高は,前年度比で増加,民間非住宅の改装・改修工事の受注高は,前年度比で減少し,民間建築物の合計も前年度比で微減となったものの,建設工事施工統計調査の維持・修繕工事の完成工事高は,中長期的には緩やかに増加傾向にある。2000年代前半に建設された高層マンションが1回目の大規模修繕工事の時期を迎えているほか,省エネルギー対策,防災・防犯・安全性向上などの建築物の高機能化に資する工事は,今後とも安定的に推移していくことが見込まれる。
 
 
 

3. おわりに

1992年度をピークに長らく減少傾向が続いてきたわが国の建設投資は,2010年度を底に増加に転じ回復基調で推移しており,今後も底堅く推移することが期待される。
 
そんな中,2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催される年である。東京オリンピック・パラリンピックは,今後の日本のさらなる発展に大きな役割を果たすと考えられており,建設業界にとっても,変革が求められる一つの節目となるだろう。働き手の高齢化が著しく,若手人材の確保が喫緊の課題である今,i-Constructionを活用した生産性向上の推進,週休二日制の定着,長時間労働の是正を図る等,建設産業のイメージアップを目的とした取り組みを一層強化していくべきである。
 
建設業が社会資本整備・維持の担い手として,また,地域における防災や地域経済・雇用を支える重要産業として,今後も持続的に役割を果たしていくため,業界全体が一丸となって,課題に取組むことを期待したい。
 
 
 

一般財団法人 建設経済研究所 研究員  安藤 智之(あんどう ともゆき)

 
 
 
【出典】


積算資料2020年1月号



 

 

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