- 2013-12-05
- 特集 雪寒対策資機材 | 積算資料公表価格版
管制課 植田 稔
株式会社 ネクスコ・エンジニアリング北海道 テクノセンター
主任研究員 大廣 智則
はじめに
積雪寒冷地域において発生する地吹雪や吹雪による視程障害は、交通事故や冬期通行止めの原因となる。吹雪等による視程障害緩和効果を得ることを目的として、防雪柵や防雪林が設置されているが、これらの防雪対策施設だけでは視程障害を完全に解消する効果を得ることは難しい。
北海道の高速道路では、視界不良時の視線誘導として、視線誘導灯が重要な役割を果たしており、整備延長の強化に伴い視界不良時の視線誘導として着実に効果を上げてきた。
近年、視線誘導灯はLED 化され、消費電力が少なく高輝度で視認性が向上した。しかし、図-1に示すように発光部が殆ど発熱しないため、着雪した雪が解けないなど、新たな問題がクローズアップされてきた。
そこで本検証では、吹雪等の自然着雪を防止するため各種対策を考案し、フィールド実験を行いLED型視線誘導灯について着雪抑制形状を調べた。また、除雪による飛雪着雪を防止するための設置高さについて調べた。
検証概要
検証期間および検証箇所
本検証は2010年度と2011年度の冬期(12月・3月)に実施した。
2010年度は予備試験の位置付けであり、2011年度が本試験である。
2010年度の検証結果を基に2011年度の対策案を考案した。
本検証は、2011年度の本試験結果について取りまとめた。
自然着雪対策の検証箇所は、道東自動車道のトマムICから約4km音更帯広IC方面へ向かった第一狩勝TNの帯広川坑口の山間部の開けた箇所にて行った。
付近一帯は特に吹雪等が発生しやすい気象の変化点である。
また、飛雪着雪対策の検証箇所は、道東自動車道のトマムICから約9km音更帯広IC方面へ向かった広内川橋(札幌側)で行った。
付近は降雪が多い区間である。
図-2に検証箇所を示す。
着雪の判断基準
図-3に検証に使用した野外監視カメラを示す。
野外監視カメラは、民生カメラのハイビジョン動画映像をパソコンに任意の間隔で自動保存できる仕様とした。
LED型視線誘導灯への着雪の有無については、視距の確保に必要な面積の限界から以下のように考え、動画映像から目視により判定を行った。
図-4に着雪の有無を判定する凡例を示す。
①着雪によって発光面の面積比で約2割覆われた状態を着雪ありとした
②発光面の面積比で約1割以上の場合であっても、塊などの一部分に多くの着雪が確認された場合は着雪ありと判断した
③それ以外は着雪なしとした
自然着雪対策
自然着雪の有無は気象による影響が大きいため、風向・風速、気温、積雪深の4要素からなる定点気象観測を行った。
自然着雪対策の形状は、2010年度の予備試験の結果よりLED型視線誘導灯の発光部を前方に15°傾斜させた形状を基本として対策手法を考案した。
検証期間は、2011年12月7日~2012年3月31日までの116日間である。
表-1に自然着雪対策の概要を示す。
除雪による飛雪着雪対策
NEXCO東日本北海道支社では、LED型視線誘導灯の高さを盛土部は2.3m、切土部は2.8mを標準としている。
切土部は堆雪スペースが確保できないため、雪に埋没しないように盛土部よりも高くしている。
本検証では盛土部に着目し、発光部の高さを高くすることで飛雪着雪を防止できると考え、LED型視線誘導灯の高さを標準の2.3mに加え、2.6m、2.8mの3パターンとした。
検証期間は、2011年12月7日~2012年2月29日までの85日間である。
図-5にLED型視線誘導灯の設置状況を示す。
LED型視線誘導灯の着雪抑制形状に関するフィールド検証《後編》へ
【出典】
月刊 積算資料SUPPORT 2013年7月号
特集「雪寒対策資機材」
最終更新日:2023-07-14
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