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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > 関東地方整備局における i-Construction・BIM/CIMの取り組み 〜調査・設計から維持管理段階までの3次元情報循環を目指した甲府河川国道事務所での取組の効果検証と今後の方向性〜

 

国土交通省での「i-Construction」の取組と確認されている効果・課題

国土交通省では、「ICTの全面的な活用(ICT土工)」等の施策を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図り、もって魅力ある建設現場を目指す取り組みである「i-Construction」を進めており、その中で、3次元情報を活用したICT活用工事やBIM/CIM活用業務等の取り組みを通じて、一定の効果が確認されている。
 
例えば、施工段階においては、ICT活用に必要な基準類の整備と合わせて、既に国土交通省の直轄工事のうち、土工や舗装工事で一部試行しているICT活用工事を適用しており、実際の活用により、起工測量の時間短縮および人工削減、丁張り設置にかかる人工削減および安全性の向上、3次元設計データ・施工履歴データの活用による効果などが確認されている。
 
また、設計段階についても、BIM/CIM(Building/Construction InformationModeling,Management)の活用を国土交通省の直轄の設計業務等に一部試行しており、例えば、予備設計段階での活用においては、従来では不明確であった干渉等があらかじめ確認できることによる品質確保、設計内容に関する関係者との迅速な合意形成、詳細設計への活用による効率化などの効果が確認されている。
 
一方で、こうした取り組みの実施に当たり、データ量が膨大になりがちな中での利用環境の整備や操作性の高いモデル作成の技術、ソフト操作やモデルへの理解を初めとする人材育成等が課題として指摘されている。
 
さらに、ドローンの活用による現地測量、ウェアラブルカメラおよびPC環境の活用による遠隔での現地確認など、さまざまな創意工夫についても、各現場で試行がなされているところである。
 
今回、国土交通省のi-Constructionモデル事務所の一つである国土交通省関東地方整備局甲府河川国道事務所の取り組みを事例として、これまでの設計・施工段階でのBIM/CIM活用、ICT施工の取組の効果検証とともに、3次元情報循環に向けた今後の方向性について紹介する。
 
 

設計・施工段階での3次元情報活用の効果検証

工事・業務における生産性向上の取り組みとして、過年度に実施してきた、道路設計でのBIM/CIM活用および道路工事におけるICT活用状況を概観し、その効果や今後の方向性について検証した。
 
 
(1)新山梨環状道路(広瀬〜桜井)設計でのBIM/CIM活用
新山梨環状道路(広瀬〜桜井)は、甲府中心市街地から半径5〜7kmの環状道路の一部を形成する、盛土および高架構造を主とした、延長約2kmの4車線の自動車専用道路の事業である。
 
これまで平成29年度に予備設計を開始し、平成30年度から現在にかけて、橋梁予備設計や道路詳細設計を実施している状況であり、これらの設計業務にBIM/CIMを活用しているところである。
 
過年度の設計業務でのBIM/CIM活用における効果について、発注者の職員や受注者等へのヒアリングを通じて、表-1のとおり、検証結果を整理した。既に、図-1の通り、3次元モデルの活用により、比較・概略検討が容易にできるとともに、道路完成イメージの可視化による地元説明会や関係機関協議の円滑化等の効果が確認された。
 


  • 表-1 新山梨環状道路(広瀬〜桜井)の予備設計段階におけるBIM/CIM活用の
    効果検証結果


  • 図-1 新山梨環状道路(広瀬〜桜井)
    の設計でのBIM/CIM活用状況


(2)中部横断自動車道(富沢〜六郷)におけるICT土木工事、トンネル覆工点検での3次元測量活用
中部横断自動車道(富沢〜六郷)は、静岡県静岡市から長野県小諸市を結ぶ延長約132kmの高速自動車国道の一部を構成する、トンネルおよび高架構造を主とした、延長約28kmの2車線の事業である。
 
現在、同区間においては、2020年内の全線開通を目指して、局内の関係部署と連携しながら、未開通区間のトンネル、橋梁、土木、舗装、基盤整備等の50件を越える工事を、同時並行的に進めている。
 
これまで土木工事6件および舗装工2件について、ICT活用工事を実施した。
 
このうち、切土作業および敷均し・転圧作業において、3次元データが活用された不動沢地区改良工事および粟倉地区改良工事の2件の土木工事における効果について、発注者の監督職員や施工業者等へのヒアリングを通じて、表-2の通り、検証結果を整理した。具体的には、受注者の創意工夫により、図-2のように、3次元で現況測量、現況データ、施工用データを作成し、マシンガイダンスやマシンコントロールと合わせて活用することで、施工状況や出来高を3次元で確認し、安全性の向上や、施工効率や精度の向上などの効果が確認されるとともに、設計段階からの活用や、維持管理段階への活用拡大によりさらなる効果発現の可能性が示された。
 
また、昨年3月に開通した一部区間(下部温泉早川IC〜六郷IC)を対象に、今後の定期点検で3次元情報による確実な形状把握をするために、これまで人が目視、紙へのトレースにて行っていたトンネル覆工の点検について、車両走行での3Dレーザー測量で覆工形状や変状位置を把握している。
 


  • 表-2  中部横断自動車道の不動沢地区改良工事および粟倉地区
    改良工事におけるICT活用の効果検証結果


  • 図-2 不動沢地区改良工事における施工中
    の3次元測量結果



 

調査段階、維持管理段階への適用拡大による3次元情報循環に向けて、取り組むべき方向性

甲府河川国道事務所でのこれまでの取り組みで確認された効果や可能性を踏まえながら、調査設計から維持管理までの各段階別および循環全体の観点から、取り組むべき方向性について、提案する。
 
最初に、調査段階では、事業化前における詳細ルートや概ねの構造の検討に当たり、考慮すべきコントロールポイントなどの各種調査結果が反映された3次元情報を利活用して検討を行う予定である。これにより、将来のルート決定や設計段階において、当初の調査計画段階の考え方を適切に反映することが可能となる。
 
次に、設計段階では、詳細な構造検証や、施工計画を踏まえた相互干渉確認など、施工計画等の整合性確保を早期に確認することで、将来の施工の効率化を図ることが可能であり、新山梨環状道路(広瀬〜桜井)を対象に、こうした施工計画の確認から、工事数量、工事費、工事工程の算出まで、幅広く3次元情報の利活用を行う予定である。
 
施工段階では、土木や舗装工以外の工種への適用拡大を図るとともに、監督・検査での利活用により、受注者・発注者ともに作業簡素化および品質を向上することが可能であり、一部工事の監督・検査について、現行の「現地確認」「パソコン画面上で確認」から「カメラ画像を通じた遠隔確認」「3次元でのパソコン画面で確認」に変える試行を行う予定である。
 
さらに、維持管理段階では、施工段階の3次元情報を活用して維持管理に活用可能な基盤図を構築した上で、3次元測量を活用した道路巡回情報から地元対応状況に至る、多様な維持管理関係情報を、一元的に管理することで、維持管理業務の円滑化や品質向上が期待される。そうしたことから、一部開通した中部横断自動車道の日常巡視について、従来の車両上目視から、巡視車両上からの3次元測量により、道路現況情報の精緻な把握とともに、維持管理情報を一元的に管理する維持管理基盤図の構築を目指して取り組む予定である。
 
最後に、調査・設計から維持管理段階に至る循環全体で、受発注者双方による3次元情報の利活用を進めるに当たり、受発注者それぞれの業務改善や、技術育成、現場からの円滑な通信環境や必要なソフト、データ容量を扱えるシステムなどの利用環境整備について、受発注者双方で取り組むことが重要である。
 
特に、3次元情報の活用を試みる初期段階では、2次元から3次元情報への変換に伴う負担等の課題がある中で、中小規模の会社も含めて、3次元情報の利活用できるような環境整備や技術支援体制、意識向上が不可欠である。
 
関東地方整備局においても、こうした循環全体を構築することを目標に見据えつつ、まずは、調査・設計から維持管理までの各段階において、関係する産学の方々とも連携しながら、受注者・発注者両方による3次元情報の利活用の試行に取り組んでまいりたい。
 
 
 

国土交通省 関東地方整備局 企画部 技術管理課

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2020
特集1「i-Construction×BIM/CIM」



 

 

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