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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > 沖縄総合事務局におけるBIM/CIMの取り組み

 

はじめに

沖縄総合事務局では、平成28年度からBIM/CIM試行を始め、大規模構造物詳細設計において原則適用しています。
 
本稿では、平成30年度に取り組んだ小禄道路の橋梁詳細設計におけるBIM/CIM活用事例について紹介します。
 
 

BIM/CIMの取り組み

(1)事業概要
国道506号那覇空港自動車道小禄道路は、沖縄県那覇市鏡水と豊見城市名嘉地を結ぶ延長約5.7kmの高規格幹線道路です(図-1)。
 
「平成30年度小禄道路橋梁詳細業務」は、小禄道路の終点側約1.1km区間(沖縄県豊見城市瀬長〜名嘉地)の橋梁詳細設計を行ったものです。当該区間は、国道331号一般部上空に路線が計画されており、橋脚のほとんどは現道中央分離帯内に設置する計画です。
 
橋梁計画に際しては、交差点および沿道施設と橋脚位置の取り合いや、工事段階での施工重機配置、現道切り回し形態等において、多くの関係者と協議を重ねていく必要があります。また、早期供用につなげるため、工事段階での手戻りを防止し、かつ、設計自体を迅速に行うことも重要です。
 

図-1 那覇空港自動車道小禄道路



(2)合意形成を目指したCIM活用
橋梁計画作成に際し、警察、交差道路管理者である豊見城市、沿道の商業施設、地元自治会等、多くの関係者と議論を重ね合意形成する必要があります。関係者の多くは、土木専門知識を有さない一般の方であり、専門的な図面等では橋梁計画を理解するのに時間を要すこと、誤解が生じることが懸念されます。そこで、CIMによる統合モデルを作成し、視覚的に橋梁計画を理解してもらうことを試みました。
 
1)広域統合モデルの活用
広域統合モデルは、隣接区間を含む橋梁区間約1.9kmを対象として作成しました(図-2)。地形モデルは、国土地理院の基盤地図情報を活用し、テクスチャー画像として航空写真を貼り付け、主要な建物等についてもモデル化しました。土工形状モデルは、国道331号一般部およびランプ橋台に接続する擁壁を対象としました。また、構造物モデルは、橋梁上部構造、下部構造、基礎構造を詳細度300相当で作成しました。
 
モデルの利用目的は関係者協議であり、横断歩道や停止線等の交差点形状と橋脚位置の取り合いについては、特に留意し精度よくモデル化しました。また、協議時によりスムーズに橋梁計画の理解を得るため、事業計画の全体概要が分かるアニメーションも作成しました。
 

図-2 広域統合モデル



2)CIMを活用した施工ステップモデル
施工計画の立案に際しては、現道切り回し等を行うことで極力4車線を確保するものとし、交通規制は限定的なものに留める計画としました。
 
施工ステップモデルは、広域統合モデルをベースとした詳細度300相当の構造物モデルに加え、切り回し道路、施工重機、資機材等のモデル化を行いました。
 
ここでは、施工ステップモデルの一例を紹介します(図-3)。STEP1は、現道4車線を外側に切り回し、中央部分を施工ヤードとして張出式橋脚の基礎・柱施工を行っている状況を示しています。STEP2は、現道4車線を内側に切り回し、門型橋脚の基礎・柱施工を行っている状況を示しています。
 

図-3 施工ステップモデル



(3)既存構造物のCIMモデル化
小禄道路は、供用中である豊見城東道路と接続するため、その掛違い部は既設橋脚を利用する計画です。接続部の橋梁計画に際しては、既設橋脚および隣接橋梁の正確かつ詳細な把握が必要であり、これを怠った場合、工事段階での大きな手戻りにつながり、沿道環境への影響も懸念されます。
 
この課題に対し、図面から構造物モデルを作成するのではなく、既設橋脚および隣接橋梁を対象として、3Dレーザースキャナー(スキャン速度100万点/秒)を用いて3次元点群データを作成し、CIMモデルへ展開することとしました(図-4)。3Dレーザースキャナーの計測誤差は±2ミリ程度であり、橋梁計画上、問題のない精度になります。
 
供用中である既存構造物を実構造物からモデル化することにより、より実現性の高いCIMモデルを可能とし、関係者協議への活用、施工段階へのスムーズな移行に努めました。
 

図-4 実構造物からの3次元モデル化



(4)業務効率化を目指したCIM活用
1)受発注者間の情報共有
受発注者間のリアルタイムな情報共有を図るために、本業務においてはインターネットを媒体とした共有サーバーを活用しました。CIMモデル等は更新の都度、共有サーバー内にアップロードすることにより、受発注者間で常に最新の状況を確認できる体系作りを目指したものです。
 
また、共有サーバー内に業務ごとの仕切りを設けることで、受注者間でのコンプライアンスを保持しつつ、発注者は全データを確認できるシステムを採用しました。
 
 
2)WEB会議の取り組み
本業務の発注者所在は沖縄、受注者所在は主に福岡であり、協議等のための移動手段は航空機に限定されます。この背景を踏まえ、移動時間を大幅に縮減でき、かつ、航空機が欠航となった場合においても協議が可能となるWEB会議の活用を建設コンサルタンツ協会協力の下、試行実施しました。本試行では、支援専門技術者やCIMモデル操作者等の一部メンバーがWEB経由で協議に参加しました(図-5)。
 
WEB会議の試行により、協議の日程調整がスムーズに行え、効率よく受発注者間で合意形成が図れました。
 
一方で、音声が聞き取りにくい、発言のタイミングが難しい等の課題も挙がっており、システムや協議方法の改善を加えつつ、今後も試行を続けていく予定です。
 

図-5 WEB会議試行実施状



技術者育成の取り組み

BIM/CIMによる成果品を確認するためのスキル向上が発注者に求められており、3次元データを扱える技術者の育成が必要になります。実際に操作等を体験することでメリットを実感することが重要であり、職員・支援業務技術者を対象にBIM/CIMの座学と演習を実施しています(写真-1)。
 

写真-1 BIM/CIM研修状況


 

研修で利用した演習テキスト



おわりに

CIMを活用した関係機関協議および受発注者間協議においてはスムーズに共通認識を得ることができ、CIM活用の効果が図られました。
 
CIMは、2次元図面でいう一般図・詳細図という性質の異なる2種類の図面を、さらに拡大すると、測量業務や地質調査業務等の成果も合わせ、1つのモデルで表現し一元管理できることが最大の利点です。今後、CIMに関する基準制定や履行体制、技術革新がより進み、CIM活用が普及し事業全体として効率化が図られていくことを期待します。
 
 
 

内閣府 沖縄総合事務局 開発建設部 建設工務室 室長補佐 知名 広道
内閣府 沖縄総合事務局 南部国道事務所 調査第一課長 松川  剛
内閣府 沖縄総合事務局 南部国道事務所 調査第一課 調査係長 原田 圭大

 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2020
特集1「i-Construction×BIM/CIM」



 

 

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