• お問い合わせ
  • プライバシーポリシー
  • サイトマップ

建築資材、土木資材をはじめとした建設資材、機材、設備、工法等の
データを収録し、スピーディな検索を実現した建設総合ポータルサイト

建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > 「測量美術」〜舗装修繕工事におけるICT積極活用の取組〜

 

はじめに

本取組は,測量美術という概念を用いて行われた。測量美術は測量と美術の考え方を統合した,本取組独自の概念である。
 
本来,測量も美術も「情報を捉え,捉えた情報を伝える」という意味において同一の性質を持つ。両者が異なるのは,測量の情報の伝え方が「図面,数値」であるのに対し,美術では「視覚情報や,印象情報」に重きを置いているという,その情報伝達の考え方のみである。
 
現代の美術のシーンでは,コンピュータグラフィックスや情報デザインの手法を用いたICTによる表現手法が盛んに取り入れられている。これらの表現手法は最先端のデジタルデータを基盤に制作されているのだが,それは現代測量のシーンにも同じ事が言える。そこで,両者に共通するICTを介し,同じ性質の異なるジャンルの情報を組み合わせて生み出したものが,「測量美術」である。(図−1
 
測量美術は「道路を丸ごと持って帰る」をコンセプトに,形状を示す高密度な座標情報と,その座標情報に対する固有の色情報(local color:固有色)を精細に取得することで実現する。この手法により,これまで見え辛く使いにくかった3次元データが「見やすく,誰もが使いやすいデータ」に変わり,情報に汎用性を持たせることができた。この技術開発については令和元年に関西道路研究会より優秀作品賞を授与された。また,当該技術の実践と普及活動については,令和元年に「他の模範となる成果を挙げた」として国土交通省のi-Construction大賞優秀賞を受賞し,表彰された。
 
 

 

図−1 測量美術 上図:全体図 下図:部分拡大




 

1. ICT舗装修繕工への先駆け

国土交通省は平成28年を生産性革命元年と位置づけ,i-Constructionを推進している。それは,ICTの活用等による建設現場の生産性向上を重要施策とする取組であり,「測量・調査」から「施工・維持管理」を経て「廃棄・再生」に至るまでの,LCC(Life Cycle Cost:ライフサイクルコスト)の全フェーズで多岐にわたって実施される。本取組は,その中での基盤情報となる「測量・調査」のフェーズにおけるICT活用の取組である。
 
ここで用いられる計測の手法は,現在広く活用されている方法と比較すると「格段に手間を要し,非合理的」に見えるかもしれない。一部には「情報量がオーバースペックである」と揶揄されていることも筆者は認識している。しかし,ICT活用の最前線においては,フロントローディングの考え方が主流であり,その考え方に沿った取組を行うにはその「オーバースペック」な情報が必須となる。
 
フロントローディングは「フロント=前に」「ローディング=負荷をかける」という意味で,開発の初期段階に負荷を集中させることによって,後に続く全ての工程がスムーズに行える環境を先に作ってしまう手法を言う。この手法は,初期段階に現場の人間でなければ気付かないようなミスを予見できるという効果があり,手戻りの解消に繋がる。この手戻りが無いという時間的なメリットは,受注から竣工までのスケジュールが極めてタイトな,舗装修繕工のような工種においては特に効果が大きい。
 
本取組は表題の通り,舗装修繕工をターゲットにしたICT活用の取組であり,また本年度からはi-ConstructionにおいてICTが本格導入される工種であることから見ても,舗装修繕工で用いられる技術の開発は,当社および業界全体で必要不可欠な事項であると本取組は捉えた。そして,その技術開発は「国交省から提示される運用マニュアル待ち」のトップダウン型の技術運用だけではなく,現場視点のボトムアップによる技術開発も必要であると考察した。これらの理由から「現場視点」をキーワードに,舗装修繕のフィールドにおいて先駆けとなる研究開発を進めた。
 
 
 

2. 知見の融合によるボトムアップ型開発

2-1.技術開発の背景

当社は,10名の従業員(令和2年現在)からなる測量業のベンチャー企業である。その中での筆者のポジションは,当社唯一(研究開始当初,平成26年頃)のICTエンジニアである。役割は主に,技術設計・プログラム開発・技術設計に関わる美術デザイン業務・情報収集・製品の営業を担当する。また,現場での計測作業や情報解析作業,施工シークエンスにおける情報活用の実践から,竣工検査の立合いまで,ICTを用いた工事での各フェーズの作業をオールマイティーに担う。
 
そしてその他の従業員は,ほとんどが叩き上げの経験豊富な舗装工事技術者・または測量士である。本取組はこのようなチーム編成で行われた。
 
本取組のような,圧倒的多数の現場技術者に対し,ICT技術者が極めて少数であるという人員の比率は珍しいことでは無く,実のところ全国の舗装業者におけるICT開発環境のいずれにも当てはまる。これはICTの技術組織がマイノリティーであるということであり,それ故にICT技術側の意見・提案はしばしば現場に封殺される。
 
これは,例えば水糸でパッと作業できる従来手法を,無理矢理ICTに置き換えた挙句,そのICTに不備欠陥や手際の悪さがあったために,やはり水糸を用いた従来手法に戻して施工する,というような「手戻り」を生じさせる失態の積み重ねに起因するものである。現行のICTが,昔ながらの工事現場にとって「習熟することが面倒な,厄介者」と認識されているのは,ここで挙げたような「水糸に敗北するICT」の体験からであり,i-Constructionはその中において「新たな現場負担」として運用されているのである。このICTと現場の乖離という事態は,同様の理由から当社内でも存在しており,当然初めからICTが受け入れられることは無かった。

2-2.課題の分析

このようにICTは現場受けが悪いという状況であるが,これは突き詰めてみれば「ICTが使いにくい」という事に由来している。
 
ICTの概念に,「ユーザビリティ」というというものがある。これは,機器やソフトウェアの使いやすさ,使い勝手を指す言葉であるが,このユーザビリティ向上の考え方が欠けているために,現場へのICT導入が進まないのではないかと本取組は考察した。要するに,ユーザビリティが低く「使いにくい」から,現場にとって「習熟することが面倒な,厄介者」なのである。
 
このユーザビリティの肝要は,視認性である。そのデータが何を示すのか,知りたい情報がどこにあるのかを1秒以下のスピードで理解できる環境を調えることがユーザビリティ向上に繋がる。この考え方は,日常に使うPCやスマートフォンにも当たり前のように取り入れられている。例えば,画面に表示された「アイコン」を視認し,そこに格納されている情報やアプリケーションを利用者が一瞬で判断し,それをタップして情報を表示させるということは,もはや老若男女問わず日常の光景である。この視認性によるユーザビリティが,現在導入されている道路工事におけるICT(3次元計測情報)には無い。

2-3.ユーザビリティの向上

本取組はこのユーザビリティの向上を図るために,情報詳細度の追求を行った。これは,徹底的な情報視認性の追及による,「点群解析ソフトウェアのUI(User Interface:情報表示とその操作の様式)に依存しない」ユーザビリティの向上策である。つまり「情報自身の見える化」を行った。これを本取組では測量美術と呼ぶ。(図−2
 

図−2 情報自身の見える化(測量美術)




この測量美術によって,次に挙げる舗装修繕工事に必要な情報が事務所内のPC上で全てシームレスに把握できるようになった。
 
路線・線形情報
車線,幅員の情報
縦横断解析情報
路面評価情報(わだち掘れ分布,ひび割れ率調査,平坦性分析)
既設構造物の劣化形状情報
マンホールの細別と形状情報
起終点などの摺付け部の形状情報
路面マーキング(区画線等)の細別とその数量の算出
施工用マーキングの視認情報
 
これらは,舗装修繕工事特有の「既設物との兼ね合いを考慮した現地合わせ」を実現するためにも必要な情報である。また,その計測の過程では,工事基準点設置等の工事を進める上での必須業務も並行して行われるので,実務のスケジュールに無駄が発生しない。
 
従来の手法ではこの膨大な情報を,出来形計測に用いる3次元データの他に,それぞれのデータごとに別手法をもって計測していた。その膨大な計測工程に追加された「出来形管理にしか使われない3次元データ計測」という工程は,ただの工程追加となっていることが分かる。
 
そこで本取組は,この工程追加になってしまっているという3次元計測の致命的な欠陥を無くすため,出来形管理のみを目的とするのでは無く,上記全ての項目の情報をワンストップで取得できる手法(測量美術)で調査工程の短縮を図った。この測量美術を用いた手法により,「平成30年度近畿地整京都国道第一維持出張所管内 国道1号他舗装修繕工事(受注者:?玉井道路)」では,従来の手法で行えば1ヵ月程度の時間を要していた着工前の現地調査を,2日で完了するという,事前調査スケジュールの大幅な短縮に繋がった。この工事は,受注時点で準備期間1カ月,施工期間1カ月,竣工期間1カ月の非常にタイトなスケジュールであり,準備期間の1カ月で事前測量と着工書類作成を完了する必要があった。測量美術を活用しなければスケジュールに滞りなく書類を作成することは困難であったと言える。さらにこの測量美術による計測は,フロントローディングデータとしても活用され,ICTによる施工工程の効率化も実現した。(図−3
 

図−3 ICTを用いた施工の効率化



2-4.道路計測および計画工程のテレワーク

この測量美術による道路の視覚情報化は,これまで現場作業が主であった計測工程をテレワーク化することに繋がった。例えば,従来では巻き尺等を使いて行っていた「道路に立ち入って道路幅員や延長の情報を計測する」といった危険な作業を,現場から離れた事務所内で安全に行える。また,既存図面を画面上で合成することで,図面の見える化までできる(図−4)。さらに,わだち掘れ情報等の路面評価結果を合成することで,「起工測量のついで」に高度な路面評価資料も作成できる(図−5)。この評価資料を用いれば,適切に施工範囲を変更でき,その範囲が変更されることで追加計測が必要になる「設計変更後の起終点」の断面も,事務所内のPC 上で瞬時に算出できる。この手法ならば,工事進行に伴って新たに発生した調査のためにもう一度現場に行くという,現在当たり前に行われている非効率な調査作業は必要無くなる。
 

図−4 既存の電線共同溝平面図との情報合成例

図−5 ひび割れ,わだち掘れ分布,平坦性調査試験路線の複合表現



このように測量美術の情報は,単一の目的のみに使用されるよりも,フロントローディングデータとして多用途に転用することで,特に効果を発揮する。
 
この測量美術のデータ生産フェーズにおいては,データ分析のための「前処理」が必要となる。前処理とは,AI等を用いた情報解析で必須の作業であり,ICTを下支える「下ごしらえ」の作業としてICT分野で一般的に行われる工程である。これは多くの場合,自動解析に加えて人海戦術を用いた「人間によるチェック」を用いる手法が採用されている。この人間によるチェック体制は,現時点においても人不足で苦しむ建設業の作業員数から賄うことは困難である。そこで,就労継続支援(A型,B型)事業所に,この前処理の工程と,路面の解析調査業務を委託した。(写真−1
 

写真−1 就労継続支援事業所での道路解析調査




就労継続支援(A型,B型)事業所は,「通常の事業所に雇用されることが困難な障害者に就労機会を提供し,その知識及び能力の向上を図る事業」を行う。本取組は,この事業所にテレワークの手法を用いた就労機会を提供し,そこで生産されたデータは測量美術の情報として,実際の工事で多用途に活用された。
 
このテレワークを用いた,公共事業における雇用拡大の取組は,失業者への就労機会創出にも繋がると本取組は期待している。2019年に発生した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の世界的な感染拡大は,多方面において事業倒産を引き起こし,失業者数は増加の一途である。これは極めて深刻な経済不況の要因となっており,それは応急的な支援よりも,持続可能な就労支援によって救済すべきである。就労継続支援事業所で用いた手法は,低価格なPCを活用した在宅勤務も可能である。それは感染症予防にも繋がる上に,PC処理操作や汎用的なCAD操作が伴うため,労働者の知識及び能力の向上を図ることまでもが可能な事業となっている。
 
舗装修繕工事は,道路インフラが存在する限り継続される公共の工事である。その事業フィールドにおける持続可能な就労支援となる本手法は,SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献できる。
 
 
 

3. 計測の手法

3-1.レーザ計測機器の特性

測量美術はこれまで述べた通り,非常に多くの情報を引き出すことができる汎用性の高い3次元データである。この測量美術の作成は,まず地上型レーザスキャナー(TLS:Terrestrial LaserScanner,以下,TLS)を用いた計測から始める。
 
TLSを用いる利点は,表−1で示す通り,現在一般的に用いられる他の3次元計測の手法よりも計測精度が良い上に,ここで挙げた機器の中で最も安価だと言う点である。
 
この高精度へのこだわりは,舗装工事の情報管理がミリメートル単位で行われていることに由来する。高スペックが要求される道路舗装工事のフィールドにおいて,多岐にわたって用いることができる基盤情報を取得するには,この高精度なTLSを用いて計測することが望ましい。
 

表−1 精度比較



3-2.TLSの課題とその解消

TLSには精度と価格において優位性があることは前述の通りである。しかし,このTLSを用いた計測には2つの大きな欠点が存在する。それは「計測の速度が遅い」という点と「色彩情報の計測が困難である」という点である。表−2に各計測手法の速度を示した。
 

表−2 速度と点密度の比較




表−2で示す通りTLSは,計測速度について車両搭載型のレ−ザ機器であるMMS(MobileMapping System)に及ばない。その他の計測手法と比べてもTLS計測は著しく遅いことが分かる。この欠点は,スケジュールが極めてタイトな舗装修繕工等の工種において致命的なデメリットである。本研究は,このデメリットを解消するために,これまで時間を要していたTLSの盛替え作業を短縮し,計測時間を高速化するアタッチメントを考案した。この器具の名称を本研究では,ロックと呼ぶ(LOCK:Lock OnCoordinate Kit,特願2018−217719および特願2018−217720)(写真−2),
 

写真−2 ロックを取り付けたTLS




このロックは,TLSに360度プリズム等を連結することで,器械の位置をダイレクトに計測できる器具である。これは標準的な手法の「基準点直上に器械を設置する」のでは無く,「器械直上に基準点(または標定点)を設置する」という逆転のアイデアから成る。この工夫により,現場に持ち込む機材の数を減らし,不定誤差の発生リスクを下げ,基準点・後視点法によるレジストレーションを採用することで精度向上を果たした。それは,現場負担の軽減と,計測工程の大幅な短縮に貢献し,図−6で示すような,現道計測に適する「道路に立ち入らないフレキシブルな動き」をもって計測ができる。それは図示のようなW字の動きに囚われず,コの字形やZ字型の動きも可能である。
 

図−6 TLSを用いた計測の流れの比較




また,表−3はロックとその他のTLSを用いた手法のコスト比較である。この表で示す通り,ロックを用いた手法はTLSを用いた他の手法より高速な手法であることを確認した。
 

表−3 コストの比較




2つ目の欠点である「色彩情報の欠点」は,図−7に示す通りである。これは交差点の計測データであるが,前情報無しでそれを瞬時に認知することは難しい。このような「見えない」3次元情報からは,どこに何があるのかが見た目でほとんど分からないので,ここから道路設計を行うのは困難である。
 

図−7 TLS計測による色彩情報




この見えない点群になるという現象は,舗装修繕工事のフィールドである「供用中の道路」(写真−3)を計測すると必然的に発生する。
 

写真−3 修繕工の現場状況




供用中の道路には一般車両の他に,道路横断中の歩行者や各種看板,道路付属物等が存在するが,TLSはそれらの色彩情報までも同時に混ぜ込み取り込んでしまうので,その結果,色が混じり合ってどこに何があるのか分からない「見えない」情報を作り出してしまうのである。ただし,ここで見えないのは色彩情報のみである。物体を表す形状情報は,非常に精度良く計測されている。
 
そこで,本取組ではこの精度の良い形状情報に,UAV(Unmanned Aerial Vehicle)または模型航空機による調査によって作成した,高画質なオルソ画像(地上画素寸法1〜5mm,検証点誤差10mm以内)とワールド座標系情報を用いて点群に色彩を合成した(図−8)。これを本取組では,点群の「色彩補填」と呼ぶ。
 

図−8 混合技法によって「見える化」された情報(写真−3の現場)




この手法によって,精度良く計測された点群の視認性が良くなり,使い勝手の良い情報となった。このように複数の3次元計測の混合により,1つの良質な情報を得ることを,本取組では「混合技法」と呼ぶ。
 
 
 

4. データ圧縮によるユーザビリティ確保

このような手法で生産される測量美術のデータであるが,そのデータは精密であるためにデータ量が膨大となる。通常,データ量が膨れ上がるほど,それを処理するシステムの負荷は大きくなる。そうなると,表示や計算を行うのに時間がかかったり,最悪の場合には表示そのものができなくなってしまう。これではいくら情報の見える化を施そうが,情報のユーザビリティは,どん底と言える。
 
そこで本取組では,情報圧縮を施してデータ量を小さくし,情報解析システムに掛かる負荷を大幅に軽減した(図−9)。この情報圧縮によるユーザビリティ向上は,ほとんどのスマホアプリ等の開発現場で当たり前に用いられている考え方である。システムの限られた処理能力の中で,最大の表現を行うための工夫がそこでは為されており,有限である情報キャパシティーを無駄に圧迫しないために,このデータ圧縮の取組は,今後ますます必要になるであろう。
 

図−9 データ圧縮の例




 

さいごに

このように本取組は,「情報取得」,「情報解析」,「情報提供」の各フェーズ(段階)における課題を解決した上で品質を向上し,情報の「使い心地」と「汎用性」,更にそのデータはLCCのサイクルの中で,将来の維持修繕にまで使えるという,UX(User eXperience,ユーザー体験)を意識したICTの取組である。
 
わが国は,ソサエティー5.0(Society 5.0)を経済発展と社会的課題の解決を両立するコンセプトとして提唱している。それは,サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムを構築し,それを運用することで実現される。
 
経済産業省はその実現の鍵として,IoT,ビッグデータ,人工知能(AI),ロボットを挙げているが,「道路の分野」におけるソサエティー5.0では,その中でも「道路そのもののビッグデータ」が大きな鍵となるであろう。なぜなら,道路分野で活躍する完全自動運転車や,ロボットによる無人配達,道路を介するライフライン設備の自動維持管理システムといった未来のサービスの基盤となるのが「道路そのものの詳細な情報」であるからである。
 
今日も全国何処かの道路で,維持修繕工事および道路管理が行われている。そのデータが全て,ソサエティー5.0に転用できるデータとなれば,それは公共の「フロントローディング」情報になる。つまり,舗装修繕データの見える化は,未来社会の全サービスにおける基盤情報となり得るのである。舗装修繕は,ライフライン維持のために恒久に行われる工事である。そこでクリアな情報を計測し,それを共有財産として蓄積することは,わが国の経済発展と社会的課題の解決の取組にとって,有意義なものとなるだろう。
 
ここまで取り組んで,ようやく社内でも本取組の公益性と,見える化による利便性が理解され,全員がICTを使いこなせるまでになった。それは「現場視点のユーザビリティ向上」による成果だと言える。
 
作業負担の増加は,建設現場では最悪の場合,死亡事故にまで繋がる。ICT は決してそのような不幸を増やす「負担」になってはならない。
 
 
参考文献
1) 渡辺保史,情報デザイン入門,平凡社,2001年
2) 窪田洋一,道路保全が一番わかる,技術評論社,2013年
3) Gary Bradski,Adrian Kaehler,詳解OpenCV 3,オライリージャパン,2018年
4) 経済産業政策局,第4次産業革命への対応の方向性(主要領域についての議論:ものづくり革新領域:流通・小売・物流領域),経済産業省,2015年
5) 内閣府,Society 5.0「科学技術イノベーションが拓く新たな社会」説明資料,内閣府ホームページ,https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/society5_0-1.pdf,2020年4月最終確認

 
 
 
 

株式会社エムアールサポート 取締役/ICT事業統括責任者  森 誉光

 
 
 
【出典】


積算資料公表価格版2020年6月号


 

 

同じカテゴリの新着記事

最新の記事5件

カテゴリ一覧

バックナンバー

話題の新商品