• お問い合わせ
  • プライバシーポリシー
  • サイトマップ

建築資材、土木資材をはじめとした建設資材、機材、設備、工法等の
データを収録し、スピーディな検索を実現した建設総合ポータルサイト

建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 土木施工単価 > 山梨県のインフラ魅力発信への取り組み

 

1. はじめに

近年,災害の頻発化や激甚化,施設の老朽化などが懸念されるなか,安全・安心で魅力ある地域づくりを推進していくためには,県民や利用者にインフラの役割や整備の必要性が理解されることが大切ですが,理解されているとまでは言い難い状況です。
 
また,県内にも登録有形文化財に指定された施設や高度な技術を駆使して整備された施設など,将来に語り継ぐ“価値や魅力”あるインフラが多数存在していますが,そのポテンシャルを十分に活用できていない現状があります。
 
一方,インフラそのものが地域固有の観光資源としても注目され始めており,国土交通省ではインフラツーリズムポータルサイトを開設し,現場見学会だけでなく民間の旅行会社が企画立案したツアーも紹介されるなど,インフラツアーへの取り組みが年々充実してきています。
 
このため,インフラへの理解を深めるとともに,インフラを新たな観光資源として活用し,県内外からの誘客や地域活性化を推進するため,県では令和元年6月より「やまなしインフラ魅力発信事業」に着手し,戦略的かつ積極的に広報活動をしていくこととしました。
 
 
 

2 インフラ魅力発信事業の取り組み

(1)やまなしインフラツーリズムの推進

“価値や魅力”あるインフラを新たな観光資源として活用し,民間との連携で県内外から観光客を呼び込むため,民間ツアー会社によるインフラツーリズムの推進に取り組んでいます。
 
令和元年度は,ツアー専門家と職員で県内のインフラ(22施設)を巡り,県が取り組むべき課題や,ツアー会社の企画立案を促すための手法等について,意見交換を行いました(写真−1,2)。
 
その中で高い評価を得ることができたのが,「大門ダム」と「琴川ダム」でした。
 
「大門ダム」は,八ヶ岳連峰の南麓に位置し,自然豊かな高原として名高い観光地“清里”に隣接した立地条件や,堤体内だけでなくダム湖の底にある監査廊を歩くことができる楽しさがあります。
 
「琴川ダム」は,多目的ダムでは標高日本一の高さにあり,乙女高原や大弛峠(おおだるみとうげ),日本百名山・金峰山などの美しい自然に囲まれ,四季折々の素晴らしい景観を有しています。また,ダム湖の半島部を周遊する遊歩道や,壮大な眺望を楽しむことができる展望広場も整備されています。
 
令和2年度は,これらのインフラを中心に試行ツアーとして,民間ツアー会社などの方々に実体験してもらうことを予定しています。これにより,民間ツアー会社によるツアーの企画立案を促し,インフラツーリズムの実現を目指しています。
 

【写真−1 大門ダム視察】


 

【写真−2 琴川ダム視察】



(2)ポータルサイト「富士の国やまなしインフラガイド」

県内にあるインフラ関連のさまざまな情報を集めるポータルサイト「富士の国やまなしインフラガイド」を令和2 年2 月3日に開設しました。
 
当サイトは,私たちの身近にあるインフラが持つ,隠れた“価値や魅力”を多くの皆様に知っていただき,興味や理解を深めていただくことを目的とし,それらを発信することで,誰もが気軽に,そして興味を持って情報収集できる「ポータルサイト」を目指しています。
 
ウェブサイトの構成は,県内にあるインフラの情報,インフラ紹介動画,各種啓発イベント情報等とし,令和2年5月末時点で36施設,インフラ紹介動画も6本作成し掲載しています。
 
インフラへの興味や施設の特徴がより分かりやすくなるよう,武田信玄の「風林火山」になぞらえて施設を分類し,トップページから分類ごとに施設を探すことができます(図−1)。施設の一覧では,見出しに“箔”として施設の特徴を一文で紹介し(図−2),個別の施設紹介ページでは,施設の基本情報,イチ押しポイント,写真や動画,周辺情報を見ることができます(図−3)。
 
また,ウェブサイトの開設と同時に,“やまなしのインフラ”を表すロゴマークを作成しました。
 
デザインは,富士川発祥の伝統的な水制工法である“聖牛”と山梨のシンボルである“富士山”を兼ね備えたモチーフとしています(図−4)。
 

【図−1 風林火山をモチーフにした「富士の国やまなしインフラガイド」のトップページ】



【図−2 掲載施設一覧(抜粋)】

【図−4 ロゴマーク】


【図−3 施設紹介ページ(個別)】



(3)やまなしインフラガイド・やまなしインフラカードの発行

さまざまな手段を活用した情報発信として,マップを手に県内を周遊してもらうことを目的とした「やまなしの土木インフラガイド(図−5)」と,インフラ施設を訪問しながら集める楽しさも加わる「やまなしインフラカード(図−6)」を発行することとしました。
 
令和元年度は,「やまなしの土木インフラガイドVer.0」として,登録有形文化財などの歴史的価値のある土木遺産や特色のある土木インフラについてまとめました。「やまなしインフラカード」は,県内のインフラ15施設で,裏面へ施設の諸元や“風林火山”のコンセプト,ウェブサイトのQRコードを掲載しました(図−7)。また,300枚限定のシリアルナンバーを入れることで,特別感を創出しています。入手方法については,(2)のウェブサイトをご覧ください。
 
インフラガイドやインフラカードの発行は,今後もバージョンアップを行いながら引き続き取り組む予定です。
 

【図−5 やまなしの土木インフラガイド(抜粋)】



【図−6 カード表と裏(例)】



【図−7 4枚のカードの裏面を集めてつなげると,武田菱が背景に浮かび上がる工夫も】



(4)現場見学会の開催

普段見ることができない工事現場の見学や体験を通じ,インフラの重要性について理解を深めてもらうことを目的に,現場見学会を開催しました。令和元年度は,建設中の現場において,直接見て,触れて,インフラの魅力を知ってもらうことで,竣工後も身近で県民生活に役立つ施設として親しみを持ってもらえるよう,県内在住の小学生とその家族を対象とした親子現場見学会を開催しました。
 
現在,建設が進む“新山梨環状道路東部区間”の道路盛土工事※1と函渠工工事(中央道との交差部の工事)※2の2つの現場を見学してもらいました。道路盛土工事現場では,重機の乗車体験(写真−3)や,測量機器の操作体験(写真−4)を行い,函渠工工事現場では,模型を使った説明(写真−5)や実際に使用するコンクリートスペーサーへのお絵かきなどを体験してもらいました。
 
令和2年度は,現場見学会をインフラへの理解を深めていただく機会とするとともに,インフラツーリズムの対象施設として提案し,民間ツアー会社などに検討していただく機会にしたいと考えております。
 
※1: 工事名「国道140号(新山梨環状道路東部区間1期)道路改良工事その1(明許)」
※2: 工事名「中央自動車道甲府南地区函渠工工事」(山梨県が中日本高速道路株式会社へ委託)

 

【写真−3 重機乗車体験】



【写真−4 測量機器操作体験】



【写真−5 模型を使った説明】




 

3 事業の推進にむけて

(1)やまなしインフラ戦略広報チームの結成

インフラツーリズムの検討やポータルサイトの開設・情報発信は,県においては初めての本格的な取り組みで,関係する所属が連携していく必要があることから,やまなしインフラ戦略広報チームを結成することとしました。
 
各所属長から,インフラの情報発信やインフラの観光資源としての活用について関心がある,もしくはこれから取り組んでみたい職員を推薦いただき,6部局2団体による総勢39名のチームを結成しました。
 
チームでは,検討会等においてウェブサイトのコンテンツの検討・制作について議論を行いました。幅広い部署や年齢層によるチームとなったため,さまざまな視点で検討することができ,特に,自分達の管理するインフラで情報発信したいインフラを提案していただいたことで,“インフラの魅力を発信していく”意識が職員の間で浸透し始めています。
 

(2)やまなしインフラ魅力発信協議会の設置

チーム検討会により事業の進捗がなされた段階で,改めて関係所属が連携し,本事業を全庁的な取り組みとしていくため,関係課室長からなる協議会を設置することとしました。
 
この協議会は,検討作業を行う「やまなしインフラ戦略広報チーム」の上位組織とし,チームで検討した内容(ウェブサイトの名称,デザイン,ウェブサイトに掲載する施設など)を承認する組織としました。
 

(3)講演会の開催

事業を進めるなかで,インフラの魅力発信の必要性や,本事業への理解を深めることが必要であると考え,国土交通大学校の「インフラツーリズム研修」の講師である篠原靖先生(国土交通省インフラツーリズム有識者懇談会委員,跡見学園女子大学 観光コミュニティ学部准教授)に事業への助言と講演をいただきました。
 
講演では,全国各地でインフラツーリズムを成功に導いている篠原靖先生に先進事例を交えて「やまなしインフラ魅力発信事業推進のための課題と挑戦」についてお話を伺うことができました(写真−6)。
 

【写真−6 講演会の様子】




 

4 今後の取り組みについて

(1)根本的な意識改革

事業のスタート年であった令和元年度は,県としても初めての取り組みであったことから,インフラの魅力を情報発信し,観光資源として活用するためには,施設管理者自らが,その環境整備を行うことの意識啓発に苦慮しました。今後は,内部はもちろんのこと,市町村や地域関連団体へ積極的に働きかけ,インフラ施設を観光資源として生かす仕組みを作り上げていきたいと考えております。
 

(2)インフラ施設の魅力づくり

令和元年度は,情報発信のツールとして,ポータルサイトやインフラガイド,インフラカードの整備を行いました。今後は「何のために,誰のために,どのような社会貢献となるか」といった施設のコンセプトを明確にして魅力を掘り下げ,それらのツールを活用して情報発信を行っていきたいと考えております。
 

(3)継続する仕組みづくり

今後も情報発信力の強化に向けて,ひとつでも多くの成功事例を導き出すとともに,多くの関係者が参画する体制を整え,継続的に取り組む仕組みを構築していきたいと考えております。

 
 
 

5 おわりに

今後も,「富士の国やまなしインフラガイド」に紹介する施設を増やしていくとともに,山梨県の魅力が伝わるウェブサイトになるよう工夫していきます。
 
ぜひ一度ご覧になってみてください。
 



 
 

山梨県 県土整備部 県土整備総務課 景観づくり推進室

 
 
 
【出典】


土木施工単価2020夏号



 

 

同じカテゴリの新着記事

最新の記事5件

カテゴリ一覧

バックナンバー

話題の新商品