• お問い合わせ
  • プライバシーポリシー
  • サイトマップ

建築資材、土木資材をはじめとした建設資材、機材、設備、工法等の
データを収録し、スピーディな検索を実現した建設総合ポータルサイト

建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > 公園から都市の魅力を生み出すための取組み

 

1. はじめに

都市公園は,人々のレクリエーション空間となるほか,良好な都市景観の形成,都市環境の改善,都市の防災性の向上,生物多様性の確保,豊かな地域づくりに資する交流の空間など多様な機能を有する都市の根幹的な施設であり,これまで全国各地に多くの公園が整備されてきた。一方で,少子高齢化や施設の長寿命化など社会情勢の変化もあり,公園に求められる役割・機能についても徐々に変化しつつある。
 
『積算資料 公表価格板』2019年8月号においては,公園をめぐる近年の情勢と,それを受けた2017年の制度改正の内容について報告されているが,本稿では,新たに設けられた制度の最新の活用状況や,最近の動きとしてグリーンインフラやウォーカブルシティに関連した話題について報告する。
 
 
 

2. 公募設置管理制度(Park-PFI)について

2-1 概要

平成29年の都市公園法改正により創設されたPark-PFIは,公園施設の設置管理許可の事業者を公募する手続きおよび関連する特例措置を法律に定めたものであり,当該公募においては,飲食店,売店等(公募対象公園施設)の設置と,当該施設から生ずる収益を活用して施設周辺の園路,広場等(特定公園施設)の整備,改修等を一体的に行う者を募集することとされている。(図−1
 
Park-PFIは,従前は実現し得なかった取組みを可能にしたというよりも,大都市を中心に見られた民間事業者による公園再整備の動きを全国に展開することを意図したものであり,新たに,設置管理許可の更新の保証,建ぺい率の特例,看板や広告等に関する占用特例,社会資本整備総合交付金や都市開発資金による財政支援が措置されている。
 
設置管理許可の更新については,公園管理者が認定する公募設置等計画の有効期間を最大20年とし,当該期間内の設置管理許可の更新を担保している。これにより,民間事業者が収益施設を新たに建築する場合でも,事業が安定的なものとなることが期待される。
 
公園施設の建ぺい率は,都市公園法において,地方公共団体が条例で定めることとされ,その上で参酌すべき割合を示している。通常の公園施設の建ぺい率は2%を参酌して条例で定めることとされる中で,Park-PFIによって公募対象公園施設として設置されるカフェ等の収益施設の建ぺい率については,+10%を参酌して条例で定めることを可能にしている。これは,法改正以前の民間活用の取組みが大規模な公園に限られていたことを踏まえ,より規模の小さな公園まで対象を広げることを意図している。
 
交付金によるPark-PFI に係る財政支援については,民間事業者等が実施する公園整備に対して地方公共団体が費用負担をする場合に,当該費用負担に対して社会資本整備総合交付金を活用することができる。これにより,民間事業者の公園内での収益事業からの公共還元のみで対応できる範囲を超えて民間提案を活かした公園の再整備等を進めることが可能となる。
 

図−1 公募設置管理制度(Park-PFI)の特徴



2-2 最新の制度活用状況

国土交通省では,公園管理者がPark-PFIを活用するに当たっての留意点や想定される手続きについて,「都市公園法運用指針」および「都市公園の質の向上に向けたPark-PFI活用ガイドライン」で示すとともに,公募設置等指針の雛形を公表し,制度活用を図っており,2019年9月末時点で,35公園で公募設置等指針が公表され(表−1),北九州市,福岡市,横浜市,盛岡市などですでに施設が整備されている(図−2)。
 

表−1 Park-PFIの活用実績



  • 勝山公園(北九州市)
    民間事業者がカフェを設置

  • 天神中央公園(福岡市)
    民間事業者が飲食店等を設置
    出典:福岡県HP


  • 横浜動物の森公園(横浜市)
    民間事業者がフォレストアドベンチャーを設置
    出典:横浜市HP
    図−2 Park-PFIで整備された公園

  • 木伏緑地(盛岡市)
    民間事業者が飲食店等を設置
    出典:盛岡市HP



 

3. グリーンインフラについて

3-1 グリーンインフラ推進戦略

国土交通省では,自然災害の頻発・激甚化,人口減少・少子高齢化,国際的な都市間競争の激化といった切迫する都市課題へのアプローチへとして自然環境の持つ多様な機能を賢く利用するグリーンインフラの取組みを推進している。2019年7月には,「グリーンインフラ推進戦略」を策定し,今後の取組みの方向性を示した。同戦略においては,「社会資本整備や土地利用などハード・ソフト両面において,自然環境が有する多様な機能を活用し,持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める取組み」をグリーンインフラと定義している。すなわち,公園の整備や緑地の保全にとどまらず,社会資本整備の全般において,緑・水・土・生物などの自然環境が持つ自律的回復力をはじめとする多様な機能を,積極的に生かし,相乗効果をもたらす取組みを今後,分野横断・官民連携により加速度的に進めていくことが求められている。
 

3-2 グリーンインフラ官民連携プラットフォーム

グリーンインフラの取組みを進める仕組みの1つとして,2020年3月にグリーンインフラ官民連携プラットフォームが設立された。プラットフォームは,国,地方公共団体,民間企業,大学・研究機関など,多様な主体が幅広く参画し,グリーンインフラの推進のために必要な仲間づくりの場,情報を発信・収集する場,オープンに議論する場として活動を開始している。5月20日時点では,29の地方公共団体,172の民間企業・学術団体,272名の個人が会員となっており,6月30日〜7月6日にはウェブによりシンポジウムを,7月10日には座談会を開催した。(https://gi-platform.com
 
今後,さまざまな分野の専門家からのアドバイスの提供,優れたグリーンインフラプロジェクトの表彰,優良事例や要素技術の情報提供などに取り組んでいく予定となっている。
 

3-3 グリーンインフラ活用型都市構築支援事業

国土交通省都市局では,令和2(2020)年度の予算で「グリーンインフラ活用型都市構築支援事業」を創設した。この事業のポイントは,従来どうりの公園緑地の整備への支援ではなく,公園緑地の有する多様な機能を引き出し,戦略的に複数の地域課題の解決を目指すとともに,官民連携による公園緑地の整備や地域の緑化を総合的に支援するものとなっている点である(図−3)。
 
そのため,事業実施に当たっては,緑の基本計画等に基づいた「グリーンインフラ活用型都市構築支援事業計画」を地方公共団体が策定し,地域課題の解決に資する緑や水のもつ多面的機能の発揮により達成すべき目標を3つ以上(そのうち2つ以上は定量的な目標)を定め,その達成のために必要な複数の事業を面的に実施することとなっており,従来の事業と比較して,都市公園面積や総事業費要件といった定量的な採択要件は適用しない。
 
当該事業については,社会資本整備総合交付金等で実施する場合は重点支援対象となっているが,加えて新たに創設されたグリーンインフラ活用型都市構築支援事業は,民間事業者に対して国が直接補助する仕組みとなっている。これは,特に民間プロジェクト主導で実施されるグリーンインフラへの取組みに対するインセンティブとなっている。
 
また支援対象も,公園緑地の整備や民間建築物の緑化といったハードのみならず,グリーンインフラに関する計画策定や,整備効果の検証といったソフト事業も支援対象となっており,これが重要なポイントでもある。国土交通省としては,本事業の成果としてグリーンインフラが持つ多様な機能の効果についてエビデンスとして蓄積し,グリーンインフラプラットフォーム等の場を活用してフィードバックし,公共部門・民間部門におけるグリーンインフラの取組みを加速化していくことを考えている。
 

図−3 グリーンインフラ活用型都市構築支援事業の概要




 

4. 「居心地が良く歩きたくなるまちなか」づくりに向けた取組みについて

国土交通省では,平成31年2月より「都市の多様性とイノベーションの創出に関する懇談会」を設置し,付加価値の創出と地域課題の解決の場となる都市の在り方について検討を進め,同年6月に中間とりまとめを行った。この中間とりまとめを受けるかたちで,生産年齢人口の減少,社会経済の多様化に対応するため,まちなかにおいて多様な人々が集い,交流することのできる空間を形成し,都市の魅力を向上させること目的に,「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案」が成立したところである。
 
本改正においては,都市再生整備計画に「居心地が良く歩きたくなるまちなか」づくりに取り組む区域を設定し,予算や税制により官民一体で取り組むにぎわい空間の創出を推進することとしている。都市公園も,ウォーカブルなまちなかの重要な要素であるため,市町村と一体となってまちづくりに取り組む主体が,都市公園の管理者と協定を締結し,飲食店などを設置し,当該施設の収益を活用して広場などの公共部分の整備を行うことのできる制度も盛り込まれている。
 
今後,エリアマネジメント団体による公園管理,あるいは,公園管理者によるエリアマネジメントがすすみ,公園から都市の魅力を高める取組みが加速することが期待される。
 
 
 

5. おわりに

人口減少など様々な制約の中で,今後の緑とオープンスペースを持続的に維持管理していく上で,行政の役割は変わらず重要であるものの,行政主導で全てのストックの価値を発揮していくことは困難であり,民間事業者をはじめ多様な者による主体的な公園への関わりや公園を活用した取組みを推進することが不可欠である。
 
地域のあらゆる主体の関わりにより公園緑地の持つポテンシャルを地域の魅力につなげるためには,長期的な視点から緑とオープンスペースの方向性を示すことが有効であり,都市公園であればマネジメントプランの作成,民有地の活用であれば当該空間に求められる役割を緑の基本計画等の上位計画に方向性を明示することは,その第一歩となるだろう。国土交通省においては,さまざまな先進事例を参考にしながら,より効果的な取組みが行われるよう,官民連携,グリーンインフラ,ウォーカブルなどの観点から現場の取組みを支援できるよう努めてまいりたい。

 
 
 

国土交通省 都市局 公園緑地・景観課 公園利用推進官  曽根 直幸

 
 
 
【出典】


積算資料公表価格版2020年8月号


 

 

同じカテゴリの新着記事

最新の記事5件

カテゴリ一覧

バックナンバー

話題の新商品