建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料 > 景気回復の遅れが懸念される中,堅調な公共投資に対し民間投資には先行き不透明感が台頭,資材市場には停滞感

 

景気持ち直しに期待も感染症の影響に警戒感

政府は,7月に発表した月例経済報告で「景気は,新型コロナウイルス感染症の影響により,依然として厳しい状況にあるが,このところ持ち直しの動きがみられる」として,『下げ止まりつつある』と表現を変更した6月に続いて2カ月連続で景気判断を上方修正した。5月以降,緊急事態宣言が段階的に解除され,経済活動が徐々に再開していることによるが,個別項目をみると,個人消費や輸出,輸入などに改善がみられる一方で,企業収益,倒産件数,雇用情勢のように依然として底打ちがみられないものも多い。
 
公共投資については「堅調に推移している」として上方修正されたものの,設備投資や住宅建設については「弱含んでいる」との表現を維持しており,企業や個人のマインドの冷え込みにより民間投資が低迷する中で,建設業を取り巻く環境への影響が懸念される。
 
 
 

建設投資は公共と民間で明暗

国土交通省が7月に発表した建設総合統計による5月の出来高総計は,前年同月比2.1%減の3兆7,008億円。内訳をみると,公共総計は1兆3,881億円で7.6%増であったものの,民間総計が2兆3,127億円で7.1%減となっており,「防災・減災,国土強靭化のための3 か年緊急対策」(2018〜2020年度)をはじめとした政府の公共投資拡大によって,公共が14カ月連続で前年を上回る水準を維持しているのと対照的に,民間は9カ月連続で前年を下回っており,ここ数カ月は民間の減少を公共の伸びで補えきれない格好となっている。特に東日本大震災復興関連需要が落ち着いた東北や,東京オリンピック・パラリンピック関連工事が一服した関東の落ち込みが目立つ。
 
また,北海道・東日本・西日本の各建設業保証会社のまとめによる公共工事前払金保証統計によると,6月の保証実績は1兆6,386億円で前年同月比13.2%の増。4〜6月でも前年同期比3.4%増の5兆2,730億円となっており,7四半期連続で前年同期を上回っている。
 
一方,国交省が発表した民間建設投資動向の先行指標となる建築着工統計調査報告によると,6月の新設住宅着工戸数は7万1,101戸で前年同月比12.8%の減少,これにより12カ月連続で前年を下回り,今年度は,2014年度以来5年ぶりの年間90万戸割れとなった昨年度からさらに下振れして80万戸割れの可能性が高い。
 
 
 

資材需要に停滞感,相場は踊り場を迎える

工事の需要動向をみると,5月の大型連休前後にみられた新型コロナウイルス感染症拡大防止のための工事中断は,対象となった現場数や期間が限定的であり大きな影響はなかった。しかし,東京オリンピック・パラリンピックが開催される予定であった今夏を見越した竣工案件が多かったことや,新規工事の着工遅れの影響などにより足元では一服感がみられる。
 
今後,公共投資では,「防災・減災,国土強靭化のための3 か年緊急対策」終了後も,激甚化・頻発化する水災害や切迫化する大規模地震災害に備えるべく,国土強靱化の取組の加速化・深化に向けて『必要・十分な予算を確保し対策を進める』と「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に明記されたことで,引き続き防災・減災対策や各種インフラの老朽化対策などが見込まれ,堅調に推移すると思われる。
 
しかし,民間投資においては,物流施設のように引き続き整備需要が期待できる分野もあるものの,景況感の急速な悪化に伴う企業の投資マインドの減退によって,工場や店舗施設などの設備投資に規模縮小や後ろ倒し・中止となるものが少なからず生じることも予想され,先行きの不透明感は拭えない。
 
東日本大震災以降の建設資材市場は,災害復旧・復興や国土強靭化の推進などによる公共投資の増加と,景気拡大やインバウンド需要に伴う旺盛な民間投資に支えられて活性化した市場の需給引き締まりが価格上昇を後押ししてきた側面があった。しかし,ここ数年の上昇により,相場が踊り場を迎えていた状況において(図−1参照),民間投資の減速懸念が出てきたことは,今後も必要となる労働者の待遇改善や輸送力不足解消のための原資を,製品価格に転嫁したい建設資材業界にとっては悪材料となりそう。
 
なお,新型コロナウイルス感染症による影響であるが,資材供給面では,衛生機器やLED照明などの一部資材において,中国国内での生産停滞に起因する納期の遅れが生じたものの,その他については手配に窮する場面はみられなかった。また,価格面では,世界的な需要減少に見舞われた石油製品や生産地での感染症拡大により需給がひっ迫傾向にある鉄鋼材料のような国際市況製品以外では目立った影響はなく,今後,予測以上の感染再拡大がなければ,工事進捗の遅れにつながるような影響はないと考えられる。
 
価格動向を資材別にみると,需要低迷による市況悪化から,昨秋以降,じり安に推移してきた異形棒鋼やH形鋼などの鋼材類は,底ばいしてきた鉄屑相場が外需主導により反騰したことを受けて,大手電炉メーカーを中心とした値上げ表明が相次いだことで,市況の軟調気配に歯止めがかかり,一部の地区では異形棒鋼が上伸した。ただし,需給改善が見通せないことから,当面は,現行相場圏内で推移しそう。
 
セメントは,一昨年からの値上げ機運を維持している地区もあるが,需要不振下での交渉とあって需要者側は模様眺めの姿勢。先行き,横ばいで推移。
 
生コンクリートや砕石類などの地場資材については,製造・輸送コスト高,出荷量漸減による固定費負担の増加を理由とした値上げ要請が全国的に拡大してきた結果,安定供給などを前提に需要者が理解を示し,ここ数年で一定の成果が得られた地区も多い。足元では,需給緩和の影響もあって相場動向には落ち着きがみられるが,関東などの一部の地区では一段高を目指して交渉を継続しており,先行き,強含み推移の見込み。
 
アスファルト混合物については,スト・アス価格が下落傾向にあることから,需要者側の値引き要求が厳しく軟弱相場が続いている。メーカー側は労働者の待遇改善や骨材の値上げ要請への対応のために販価引き上げの意向はあるものの,数量指向の販売姿勢が散見されるなど,需要者優位の展開となっている。足元では,スト・アス相場に先高観が台頭しているものの,当面,現行相場の維持が精いっぱい。
 
軽油(ローリー)は,世界的な需要急減による春先の原油価格急落に合わせて,大幅に下落してきたが,OPECなど主要産油国による協調減産と経済活動再開への期待を受けて5月に原油価格が反騰すると,軽油価格も上昇に転じている。ただし,新型コロナウイルス感染症の第2波が懸念される中,本格的な需要回復の見通しが立たないことから,当面は,上値の重い展開となりそう。
 
現状,世界的な景気悪化が建設業に及ぼす影響は限定的であるものの,今後は,民間投資の減速によって資材需要の伸張と相場上昇には天井感が強まる可能性が高く,当面の資材価格は現行相場圏内で推移すると思われる。
 

図−1 建設資材価格指数建築・土木総合(2015年度平均=100)




 

異形棒鋼 需要低迷で相場は模様眺め(掲載:P18〜24)

現況:原料高も価格交渉は難航

日本鉄鋼連盟調べによる2020年度第1四半期の全国小形棒鋼出荷量は189万tと前年同期比9.9%の減少となった。マンションなどのRC造の需要低迷に加えて,工事の遅延などの影響も重なり,荷動きは精彩を欠いている。首都圏では大型物件主導で出荷が持ち直しつつあるものの,全国的に中小規模物件は低調で,需要回復には時間を要する見通し。
 
価格は,SD295A・D16でt当たり6万4,000円(東京②)どころと前月比変わらず。需要が低迷する中,主原料の鉄屑価格の上昇を背景に,製販側はさらにもう一段の値上げを目指しているものの,需要者側には様子見の姿勢が拡大しており,交渉は難航している。

先行き:当面,横ばい

鉄屑価格がじり高で推移する中,メーカー側は契約残を抱えていることから,数量確保よりも価格重視の姿勢を崩していない。流通側は売り腰を強める機会をうかがっているが,需要者側が当用買いに徹しているため,値上げの浸透には時間がかかるとの見方が大勢。当面,横ばいで推移する公算が大きい。

(菊池秀仁)

 
 


 

H形鋼 値上げ交渉は足踏み状態(掲載:P30〜31)

現況:需要回復の兆し見えず

2020年度第1四半期のH形鋼の全国出荷量は82万6,000tと,前年同期比13.3%の大幅減(日本鉄鋼連盟調べ)となった。中小物件が引き続き低調なことに加え,経済活動の停滞が長期化するとの懸念もあり,市場は盛り上がりを欠く展開となっている。荷動きが持ち直すのは首都圏の再開発物件が動き出す秋口以降と見込まれているが,企業業績の悪化により,工事中止や延期も出始めているとの見方から,先行きの需要回復には不透明感が増している。
 
価格は,200×100でt当たり7万4,000円(東京②)どころと前月比横ばい。需給緩和を背景に,市況の底入れを実感できない需要者側が当用買いに徹しているため,大手電炉メーカーを中心とした値上げは足踏み状態が続いている。

先行き:交渉進まず,横ばい推移

生産量が大幅に減少したことによるコストアップに苦しむメーカー側の売り腰は強いものの,需給に引き締まりを欠く中,市場は値上げムードが盛り上がらない状況。流通側は値上げされた製品が蔵入りする9 月以降に順次,価格転嫁を進める意向で,需要者側との値上げ交渉を粘り強く続ける構え。当面,横ばいで推移する見通し。

(小池亮介)

 
 


 

鉄屑 好調な輸出が市況をけん引(掲載:P74〜75)

現況:市中発生低迷も国内需要は低位安定

財務省調べによる2020年4〜6月期の鉄屑輸出量は約247万と,前年同期比40.1%の大幅な増加。海外市場で割安感のあった日本産鉄屑は,韓国やベトナム向けを中心に輸出が好調に推移した。
 
国内では,解体工事からの発生量が回復傾向にあるものの,自動車関連工場からの出材は未だに低迷している。このため鉄屑問屋への入荷量も低水準で,問屋側に売り急ぐ姿勢はみられない。一方,需要者である電炉メーカー側の製品の荷動きは鈍く,鉄屑購入量を必要最小限にとどめていることから,需給のひっ迫感は乏しい。国内需要が盛り上がりを欠くものの,問屋店頭買い入れ価格は,好調な輸出向け価格にけん引され,H2でt当たり1万5,000円と前月比1,500円の上伸となった。

先行き:輸出主導で市況はじり高の展開

電炉メーカーの多くは夏季定期炉修を終えて購入を再開しており,国内需要は底堅く推移する見通し。一方,輸出は引き続きアジア向けを中心に出荷が旺盛で,競合する米国産と比較して割安な日本産に,好調な引き合いが見込まれている。今後も外需主導で市況はじり高に推移するとの見方が大勢で,先行き,強含みの公算が大きい。

(内藤正純)

 
 


 

セメント 第1四半期,国内販売量6.3%減少(掲載:P78〜79)

現況:国内需要,3年ぶりの減少に転じる

セメント協会調べによる2019年度の国内需要は前年度比3.8%減の約4,097万t。東京オリンピック・パラリンピック関連工事などの特需が終了したことや台風などの自然災害による工事遅延の影響を受けて,3年ぶりの減少となった。2020年4〜6月期の国内販売量は,工事の一時中断が要因となり,前年同期比6.3%減少し939万tと低調に推移している。価格は,東京の普通ポルトランド(バラ)でt当たり1万800円どころ。

先行き:需給環境に不透明感漂う中,横ばい

同協会は,2020年度の国内需要を4,100万tと前年度と同水準を想定している。今後,都市部を中心に大型の再開発工事が予定されていることに加えて,災害復旧工事や国土強靭化の推進による防災・減災工事などが控えていることから,需要の回復が見込まれる。しかし,このところの景気減速を背景に,工事の延期や凍結の懸念が払しょくされておらず,需給環境には不透明感が漂う。こうした中,販売側は過年度の値上げ未転嫁分の浸透に意欲を示しているが,需要者側の反応は鈍い。価格交渉の進展には時間を要するとの見方が強く,先行き,横ばい。

(矢本友明)

 
 


 

生コンクリート 出荷量,民需を中心に減少(掲載:P80〜174)

【全国】値上げ表明も,価格交渉は難航か

全国生コンクリート工業組合連合会調べによる2020年4〜6月期の全国総出荷数量は,1,882万6,097㎥で前年同期比6.5%減。内訳は官需が699万㎥で同2.6%減,民需が1,182万㎥で同8.7%減と民需の減少が顕著となった。地域別には,災害復旧工事向けの出荷でほぼ横ばいの四国地方を除き,全国的に同5〜10%程度の減少。これは新型コロナウイルスの影響による着工遅れや工程の遅延に加えて,工事が一時中断となったことが要因となっている。
 
主要10都市における今月号の本誌掲載価格は,2020年4月号対比で,全都市で横ばいとなった。一部の地区では,生コン協組による値上げが表明されたが,引き合いに精彩を欠いたことや,需要者側との商談の環境が整わず,交渉が進展しなかった。販売側では,原材料費や輸送費の上昇に加えて,働き方改革を含めた従業員の処遇改善などのコスト上昇要因を抱えており,販売価格への転嫁が課題となっている。需要者側は,値上げの要因について一定の理解を示しているものの,景気減速を背景に,新規工事の延期や中止が見込まれるため,値上げに対しては厳しい姿勢。こうした中,多くの生コン協組は共販体制を堅持し価格交渉に臨む構えだが,地区によっては難航場面も予想される。

(矢本友明)
【札幌】

北海道生コン工組調べによる2020年4〜6月期の出荷量は,約20万2,000㎥と前年同期比7%減。民間建築工事の着工遅れから足元の荷動きは精彩を欠いているものの,大型再開発事業が始まるなど,今後の需要は堅調に推移する見通し。
 
価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万3,300円どころと前月比変わらず。供給側は骨材価格や製造,輸送コストが上昇基調にあることから,採算を重視し現行価格を維持する構え。先行き,横ばいで推移する見通し。

【仙台】

宮城県生コン工組調べによる2020年4〜6月期の出荷量は6万9,579㎥で前年同期比17%減。一部に大型物件がみられるものの,需要は総じて減少傾向にある。価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万2,500円どころ。仙台生コン協組では,価格維持を優先する姿勢を示していたが,非組合員との競合により出荷量が減少していることから,数量の確保に方針転換せざるを得ない状況。需要者の値下げ要求もさらに強まる中,先行き,弱含みで推移する見通し。
 


【東京】

東京地区生コン協組調べによる2020年4〜6月期の出荷量は,工事中断などの影響から52万1,260㎥と前年同期比31.9%の大幅減となった。価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万4,300円どころ。同協組は,4月引き合い分から1,000円の値上げを打ち出している。第1四半期は,需要に盛り上がりを欠く中,需要者側と価格交渉の環境が整わなかったが,新規の引き合い増加につれて,販売側は強気の販売姿勢で交渉に臨む構え。先行き,強含みで推移しよう。
 


【新潟】

価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万円どころ。新潟生コン協組調べによる2020年4〜6月期の出荷量は,2万6,451㎥で前年同期比34.8%減と大幅に減少している。同協組は,シェア重視から価格重視の方針に転換し,値上げ浸透に向け売り腰を引き締めるとともに,非組合員との競合による安値受注の回避を徹底している。需要者側も,価格より安定供給優先のムードが高まりつつあり,一部に値上げ容認の動きがみられる。先行き,強含みで推移する公算が大きい。
 


【名古屋】

愛知県生コン工組調べによる名古屋・尾張地区の2020年4〜7月期の出荷量は,70万5,167㎥で工事の中断や遅延の影響により前年同期比約8.2%減。今後は,リニア関連など民間工事が旺盛だが,工事遅延により需要回復の遅れが懸念されている。価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万1,300円どころ。名古屋生コン協組は, 1月より製造コストアップを理由に値上げを打ち出したものの,交渉に進展はみられない。目先,横ばい推移の見通し。
 


【大阪】

価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万9,400円どころを横ばい推移。大阪広域生コン協組の高い組織率を背景とした共同販売事業による市場への影響力が大きく,協組主導の市況形成が続いている。出荷量は前年比で微減となる見込みだが,今後もJR大阪駅北地区の再開発工事が継続することに加え,幹線道路整備,大阪・関西万博関連工事なども控えており,需要は堅調に推移する見通し。先行き,横ばい推移。
 


【広島】

広島県生コン工組調べによる2020年4〜6月期の出荷量は,21万1,430㎥と前年同期比4.8%減となった。民間工事や豪雨災害復旧工事などの需要があるものの,出荷量を押し上げるまでには至っていない。
 
価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万5,950円どころを横ばいで推移。広島地区生コン協組では共販体制を堅持し,現行価格の維持に努める構え。先行き,横ばいで推移する公算が大きい。
 

【高松】

香川県生コン工組調べによる2020年4〜6月期の出荷量は,6万6,026㎥と前年同期比11.7%減。これまで需要を下支えしていたマンションなどの民間建築向けも振るわず,総じて精彩を欠く状況。価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万4,800円どころ。香川県生コンクリート協同組合連合会による共同販売事業は安定しており,販売側の足並みに乱れはみられない。需要者側の購買姿勢も落ち着いており,現行価格圏内での取引が大勢となっている。先行き,横ばいで推移。
 

【福岡】

福岡県生コン工組調べによる2020年4〜6月期の出荷量は,約33万9,000㎥と前年同期比4.6%減。新型コロナウイルスや天候不順による着工遅れの影響による減少とみられる。
 
価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万3,450円どころ。今後,市街地再開発事業などの大型民間建築工事が控えており,需要は堅調に推移する見通し。また,生コン協組による共同販売事業も安定しており,先行き,横ばいで推移しよう。
 

【那覇】

沖縄県生コン協組調べによる本島中南部地区の2020年4〜6月期の出荷量は,31万6,427㎥と前年同期比10.6%減。4 ,5月の出荷は前年比大幅減となり,6月は民需に復調の兆しがみえたが,公共工事向けは引き続き低調に推移した。価格は,建築標準物(21―18―20)で㎥当たり1万4,200円どころ。同協組は,9月1日出荷分から1,000円の値上げを打ち出したが,需要者の厳しい購買姿勢が予想され交渉は難航するとの見方が支配的。当面,横ばいで推移する見通し。
 
 
 

骨材・砕石 大型物件に乏しく荷動きは低調(掲載:P175〜197)

【全国】下半期に向けた価格交渉に注目

経済産業省「砕石等統計年報」による2019年の全国砕石出荷量は,約1億6,652万tで前年同期比3.3%の減少。
 
地域別にみると,高速道路と災害復旧向け需要が多かった近畿,中国,九州では前年比で増加したものの,新幹線向け需要が一段落した北海道や,震災復興工事がピークを過ぎた東北,オリンピック・パラリンピック関連事業がほぼ終了した関東では,出荷量が減少。足元で進行中の大型プロジェクトは近畿の高速道路事業などに限られ,一大需要地である首都圏では再開発事業の遅れから荷動きは精彩を欠き,需要は総じて低調に推移。
 
価格面では,産地の新規開発,プラントの維持,運搬車両の確保などのコストアップ要因を抱えており,多くの地区のメーカーが需要者側に対して価格の引き上げを要求している。しかし,新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け,交渉は全般に停滞しているもよう。
 
このような状況下,需要者側は,価格の引き上げに対して慎重な姿勢を示しつつも販売側に対して安定供給を強く求めており,一部の地区で値上げを受け入れるケースもみられる。
 
販売側は下半期に向けて売り腰を強める方針で,当面は販売側優位の価格交渉が展開しよう。

(林 誠)
【札幌】

生コン需要が精彩を欠く中,足元の骨材の出荷は減少傾向にあるが,再開発事業等の大型需要が控えており,今後の荷動きは堅調に推移する見通し。価格は,コンクリート用砕石20〜5mmで㎥当たり4,500円どころ。値上げ未達分の獲得を実現すべく価格交渉を継続する供給側は,製造・運搬コストの高止まりを背景に,需要者側の指し値には応じず強気の販売姿勢。先行き,強含み。
 


【仙台】

価格は,クラッシャラン40〜0mmで㎥当たり2,800円どころ。目立った大型工事が見当たらず,需要は低調に推移。需要者側の購入姿勢は厳しいものの,メーカーは採算重視の姿勢を崩していない。先行き,横ばい推移の見通し。
 
一方,コンクリート用砂(荒目)は㎥当たり3,400円どころ。2月に下落した生コン価格の影響から,需要者側の値引き要求は厳しさを増している。今後の需要動向が不透明な中,メーカー側は現行価格の維持に懸命。先行き,横ばい推移の見通し。

【東京】

価格は,東京17区・コンクリート用砂(細目)で㎥当たり4,850円どころ。
 
大型工事の一部が中断するなど,足元の生コン需要が低迷しており,つれて砂の荷動きも低調に推移している。
 
こうした中,販売側は価格引き上げ要求を継続しているが,実需の後押しがなく交渉は一服状態。しかし,東京外かく環状道路など大型工事の本格化により運搬車両のひっ迫が懸念されることから,交渉再開に向け売り腰を強めていく構え。当面,横ばいで推移しよう。
 


【新潟】

価格は,コンクリート用砂利25mm以下で㎥当たり4,100円どころ。主要供給元の阿賀野川骨材協組は,2019年4月に打ち出した全品目300円の値上げ浸透に注力している。生コン市況が改善されつつあるものの,依然として近隣地区と比べて安値水準にあることから,需要者側は強い抵抗を示している。そのため,価格交渉が本格化するにはしばらく時間を要するとの見方が大勢で,当面,横ばいで推移しよう。

【名古屋】

価格は,コンクリート用砂(荒目)で,㎥当たり4,050円どころ。生コン需要の減少に伴い,砂の需要も低調に推移している。メーカー側は資機材価格の高騰による製造コストや運搬費の上昇を理由に,値上げ交渉を継続している。足元では需要者側の購買姿勢が厳しいものの,リニア関連工事の本格化に伴い供給がひっ迫する可能性が高いことから,一部には値上げ容認の動きがみられる。先行き,強含み推移の見通し。
 


【大阪】

価格は,コンクリート用砕石20〜5mmで㎥当たり4,300円どころを横ばい推移。大阪府砂利石材協組による共販体制に乱れはなく,現行価格圏内での取引が堅持されている。同協組では堅調な生コン市況や輸送費の上昇を背景に,今後も段階的な値上げを実施する姿勢を崩しておらず,先行き,強含みで推移する公算が大きい。
 
一方,路盤材は再生クラッシャラン40〜0mmで㎥当たり1,050円どころ。供給過剰の中,メーカー側は現行価格の維持に懸命。先行き,横ばいで推移しよう。
 


【広島】

生コン需要が精彩を欠き,荷動きは低調に推移。民間工事や豪雨災害復旧工事などの需要はあるが,出荷の大幅な伸びは期待できない状況。
 
価格は,コンクリート用砕石20〜5mmで㎥当たり3,000円どころ。広島県西部砕石協組では,製造コスト上昇分を価格へ転嫁したい意向が強い。しかし,需要者の購買姿勢が厳しいことから交渉に進展はみられない。先行き,横ばいで推移する公算が大きい。

【高松】

香川県砕石事業協組調べによる2020年4〜6月期の砕石類総出荷量は,21万4,118tと前年同期比10%減。ダム工事向け以外に大型物件は見当たらず,需要は盛り上がりを欠いている。こうした中,販売側では,採算重視の販売姿勢を鮮明にしており,需要見合いの生産に徹するとともに現行価格を堅持している。価格は,コンクリート用砕石20〜5mmで㎥当たり3,800円どころ。需要者側の購買姿勢に変化はみられず,先行き,横ばいで推移する見通し。

【福岡】

2020年4〜6月期の砕石類総出荷量は,約24万5,000㎥と前年同期比3.3%増(福岡県砕石業協組調べ)。大口物件が乏しく中小物件が中心の荷動きとなっている。
 
価格は,コンクリート用砕石20〜5mmで㎥当たり2,800円どころ。メーカー側は,製造・運搬コストの上昇分を販売価格に転嫁したい意向だが,需要減から需要者側の抵抗は強く,現行価格の維持が精いっぱいの状況。先行き,横ばい推移の見通し。

【那覇】

価格は,コンクリート用砂(細目)で㎥当たり3,200円と前月比変わらず。生コン需要が振るわず,出荷は低調に推移している。沖縄砂利採取事業協組はコスト増により2019年11月契約分から700円の値上げを打ち出し,需要者側は安定供給を条件に値上げの一部を容認した。満額獲得を目指す販売側は交渉を継続しているが,需要者側はこれ以上の値上げは受け入れられないとして,価格交渉は難航している。先行き,横ばいで推移する見通し。
 



 

アスファルト混合物 製造量は前年同水準で推移(掲載:P314〜329)

【全国】需給動向次第で販売側の競合が発生か

日本アスファルト合材協会調べによる2020年4〜6月期の会員工場の製造量は,815万5,564tと前年同期比3.1%の増加となった。
 
地区別の出荷状況をみると,四国と沖縄を除く地区で前年実績を上回った。これは,昨年同期の出荷が少なかったことに加えて,補正予算を活用した公共事業の前倒し発注が寄与している。今後は,新規工事の発注は減少する見通しだが,豪雨災害の復旧関連工事が見込まれることから,地域によっては底堅く推移する見通し。
 
価格面では,原油価格下落の影響を受けて, 6月に原材料であるスト・アス価格が下落した。その後,原油価格の上昇で強含みに転じたものの,下落前の水準には戻っていないことから,需要者は値引き要求を強めるタイミングを模索している。一方,販売側は原材料の値上げや待遇改善等のコスト増を抱えていることから,値引きには応じない構え。ただし,需要が想定以上に減少した場合,地域によっては値引き要求が強くなるとともに,販売側の競合も発生し,地合いが弱まることが予想される。

(伊藤正久)
【札幌】

北海道アスファルト合材協会調べによる2020年4〜6月期の製造量は,22万7,224tで前年同期比12.1%増。東京オリンピック・パラリンピックのマラソンコース舗装改良工事等が需要を押し上げた。
 
価格は,再生密粒度(13F)でt当たり1万1,100円どころ。スト・アス価格の下落を受け,需要者側は値下げ要求を強めているが,メーカー側は,人件費や運搬費の上昇による製造コストの増加を背景に応じる姿勢はみられない。先行き,横ばい推移の見通し。

【仙台】

価格は,再生密粒度(13)でt当たり1万100円どころ。2020年4〜6月期の仙台地区の製造量は前年同期比4.8%減の約15万6,700t(日本アスファルト合材協会東北連合会調べ)。目立った大型工事や大規模修繕工事は見当たらず,需要低迷が続いている。供給側は,製造コストの上昇分を販売価格へ転嫁したい意向を示すものの,需要者側の購買姿勢は厳しく,現行価格の維持さえ難しい状況となっている。先行き,弱含みで推移する見通し。
 


【東京】

2020年4〜6月期の製造量は,43万3,289tと前年同期比2.8%の増加となった(東京アスファルト合材協会調べ)。今後は,大型工事の発注予定が少ないことから,需要は低調に推移するとの見方が大勢。
 
価格は,再生密粒度(13)でt当たり,8,200円どころ。スト・アス価格の下落により,需要者からの値引き要求は厳しいものの,販売側はイレギュラーな勤務体制下での安定供給の維持や,骨材の値上げ要請などを理由として交渉には応じていない。供給側は現行価格維持に注力する見通しから,先行き,横ばい推移。
 


【新潟】

2020年4〜6月期の製造量は22万7,659tと前年同期比12%減(新潟県アスファルト合材協会調べ)。工事の遅延や民間工事の発注遅れがみられ,荷動きは低調に推移している。価格は,再生密粒度(13)でt当たり1万700円どころ。メーカー側は,スト・アス価格の先高観が強まっていることから,足元では値上げのタイミングを模索しているものの,需要の低迷を背景に需要者の値下げ要求が続くとみられ,現行価格の維持が精いっぱい。先行き,横ばいで推移しよう。

【名古屋】

2020年4〜6月期の製造量は40万2,963t(愛知県アスファルト合材協会調べ)で,前年同期比9.1%の減少となった。工事の遅れが影響し,荷動きは低調。価格は,再生密粒度(13)でt当たり9,200円どころ。原材料のスト・アス価格が下落したものの,人件費の上昇や出荷量の減少による固定費増により製造コストが増加していることから,メーカー各社は価格の維持に注力している。先行き,横ばい推移の見通し。
 


【大阪】

価格は,再生密粒度(13)でt当たり9,100円どころを横ばい推移。アスファルト合材協会調べによる2020年4〜6月期の大阪府下の製造量は32万1,170tと,前年同期比17.3%増。名神・中国道の集中工事が上期発注されたことが主な要因。一方,下期は大型物件の発注が乏しいと予想され,荷動きは低調に推移するものとみられる。このため,メーカー各社は採算を重視すべく価格の維持に注力する構え。先行き,横ばいで推移する見通し。
 


【広島】

広島県アスファルト合材協会まとめによる2020年4〜6月の出荷量は16万4,138tと前年同期比16.2%増。前年実績を上回ったものの維持補修などの小口工事が中心のため,需要が回復したとはいえない状況。
 
価格は,再生密粒度(13)でt当たり9,500円どころ。メーカー側は,製造コスト増を製品価格へ転嫁したい意向だが,需要者の抵抗は大きく交渉は長期化している。今後,目立った大型工事も見当たらず,需要の回復は期待薄との見方が強いことから,メーカー側は現行価格の維持に注力する構え。先行き,横ばい推移。

【高松】

香川県アスファルト合材協会調べによる2020年4〜6月期の製造量は,7万758tと前年同期比20.7%の大幅減。新規物件に乏しく,繰越物件も早期に終了したことから,荷動きは低調に推移している。価格は,再生密粒度(13)でt当たり1万2,600円どころ。メーカー側では,スト・アス価格が下落したものの,これまでのコスト上昇分を販売価格に転嫁できていないことから,現行価格水準の維持に注力している。需要者側の購買姿勢にも変化はなく,市況は動意薄の展開。先行き,横ばいで推移する見通し。

【福岡】

2020年4〜6月期の製造量は,30万2,384tと前年同期比11.2%増(福岡県アスファルト合材協会調べ)。低迷した昨年からは増加したが,大口需要に乏しく荷動きは盛り上がりを欠く展開となっている。
 
価格は,再生密粒度(13)でt当たり9,500円どころ。6月のスト・アス価格の値下がりから,需要者の指し値は厳しさを増しており,今後の需要回復も期待薄な状況。先行き,弱含みで推移の見通し。
 


【那覇】

沖縄県アスファルト合材協会調べによる2020年4〜6月期の製造量は,8万596tと前年同期比約21.8%の大幅減。那覇空港第2 滑走路の完成後,実需を喚起する大型工事が見当たらず,荷動きは低調に推移している。
 
価格は,再生密粒度(13)でt当たり1万3,000円どころ。メーカー側は,昨年までのスト・アス価格の上昇分を販売価格に転嫁したい意向だが,需要者側の購買姿勢は厳しく,価格交渉に大きな進展はみられない。先行き,横ばい推移の見通し。
 
 
 

型枠用合板 在庫調整進むもじり安傾向止まらず(掲載:P217)

現況:前月比30円の下落

日本合板工業組合連合会発表による2020年1〜6月期の合板輸入量は,約124万8,000㎥で前年同期比3.9%減。直近6月の輸入量も約18万㎥と低水準だった前年同月をさらに5%下回った。
 
5月以降増加していた関東地区の港頭在庫は,流通側が産地からの手当を控えたことで減少に転じ,在庫調整が進んだ。需要者側は,先行きの不透明感から当用買いを継続しており,荷動きは依然としてさえない。
 
価格は,型枠用合板(無塗装品ラワン,12×900×1800mm)で枚当たり1,170円どころと前月比30円の下落。産地側の一部大手の輸出業者の販売姿勢が軟化したことから,現地調達価格の一段安を見越した国内の一部販売業者が手持ち玉を売り急ぐ場面が散見。市中価格はじり安で推移してきた。

先行き:在庫調整に注力

今後も需要の回復材料に乏しいことから,需要者側は当用買いに徹する見通し。一方,流通側では,過剰在庫を避けるべく引き続き新規の手当を抑えて,在庫のさらなる調整を進めるもよう。先行き,横ばいで推移しよう。

(弓矢 亮)

 
 


 

木材 需要低迷し,相場は軟調(掲載:P232〜248)

現況:国産杉正角材は1,000円下落

新型コロナウイルスの感染拡大による,外出自粛や購買力の低下が,木造住宅の新規受注数に影響をもたらした。国土交通省発表による6月の木造住宅新設着工戸数は4万1,218戸と前年同月比14.3%減。新設着工戸数減を映し,プレカット工場の稼働率低下により荷動きは鈍い状態が続いている。
 
国産材は,需要低迷から産地側は減産をしているものの,需給バランスは改善されず,相場は軟調。価格は,杉正角材(KD)3.0m×10.5×10.5cm特1等で㎥当たり5万8,000円どころと前月比1,000円の下落。
 
米材は,日本国内の製材側で生産調整が進んでいるため,需給は均衡を保っている。価格は,米松平角材(KD)4.0m×10.5(12)×15〜24cm特1等で㎥当たり6万3,000円と前月比変わらず。

先行き:横ばい推移

流通側は秋需に期待を寄せているが,新規着工時期の延期や中止が懸念されるなど,先行きに不透明感が漂っている。国産材,米材ともに,当面,横ばい推移の見通し。

(羽根田芳明)

 
 


 

石油製品 新型肺炎の影響続き,需要減退(掲載:P258〜260)

現況:軽油,ガソリンともに価格上伸

経済産業省発表の2020年1〜5月期の資源・エネルギー統計によると,軽油の国内販売数量は1,299万㎘と前年同期比6.1%,ガソリンは1,754万㎘と同11.9%とそれぞれ減少した。
 
軽油は,物流向け需要が堅調だったが,自粛の影響で大打撃を受けた観光業向けが大幅に減少し,販売量を押し下げた。ガソリンも自粛ムードの高まりから販売量は大きく低迷した。
 
原油相場の上昇基調を背景に,元売会社が卸価格を引き上げる中,軽油は,販売業者による価格転嫁が進展したことで,㎘当たり8万5,053円(ローリー渡し・全国平均)と前月比4,500円続伸した。
 
ガソリンは,経済活動の再開後,需要は回復基調が続いたものの数量指向の安値販売が散見されるなど価格転嫁は難航した。しかし8 月入り後は,元売卸価格の大幅な引き上げを受けて交渉が進展した結果,レギュラー(スタンド渡し・全国平均)でℓ当たり120.2円(消費税抜き)と前月比2.6円の上伸を示した。

先行き:先高観後退で横ばい推移の見通し

原油相場の先行きに不透明感が強まる中,製品市況の先高観は後退しつつある。景気減速による石油製品需要の減少を懸念する販売側は,採算重視の構えを強めており,先行き,横ばい推移の見通し。

(吉岡亮)

 
 


 

電線・ケーブル 銅価上昇で地合い強まる(掲載:P654〜682)

現況:需要減の中,主原料の銅価は上伸

日本電線工業会の電線受注出荷速報によると,主要部門である電気工事業者または販売業者向けの2020年4〜6月期の出荷実績は,約7万3,699tと工事中断等もあり前年同期比13.4%の大幅減少となった。今後の需要は,新規物件の延期や計画の見直し等により不透明感が漂っており,流通側にとっては秋需に向けて厳しい状況になると予想される。
 
一方,国内電気銅建値は海外銅相場高や為替の変動等の要因により,t当たり73万円と前月初旬比で3万円の上伸となり,直近3カ月で13万円の高騰と上げ基調が続いている。
 
流通側は,銅価上伸に伴うコスト高を製品価格に転嫁すべく,販価引き上げの動きを続けているが足並みは揃いきれていない。価格は,CVケーブル(600V)3心38㎟ で,m当たり991円と前月比横ばいで推移している。

先行き:採算重視強まり,強含み

需要低迷が長期化する中,需要者側との価格交渉は難航する見込みだが,販売側は値上げ未転嫁分の獲得を目指し,採算重視の販売姿勢を強める構え。先行き,強含み推移の見通し。

(佐藤雅章)

 
 

 
 

一般社団法人 経済調査会      
土木第一部・土木第二部・建築統括部

 
 
 
【出典】


積算資料2020年9月号



 
 
 

 

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