建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 土木施工単価 > 国土交通省直轄工事における 週休2日確保に向けた取組

 

1. はじめに

平成30年6月に労働基準法が改正され,建設業については,令和6年4月1日から罰則付きの時間外労働規制が適用されることとなった。一方,建設業においては,他産業に比べて休日日数が少なく,長時間労働が常態化している。こうした現状を変えるためには,建設業自らの努力に加えて,発注者の理解と協力が不可欠である。本稿では,国土交通省直轄工事において,率先して実施している取組を紹介する。
 
 
 

2. 週休2日対象工事

国土交通省では,直轄工事において週休2日の確保を推進するため,適正な工期設定や必要な経費の計上を行うとともに,工事成績評定での加点などを行う「週休2 日対象工事」を発注してきた。
 
その取組状況は着実に進展しており,令和元年度は直轄工事の約9割を週休2日対象工事として発注しており,また,ほぼ半数の工事では実際に週休2日を確保している(表−1)。
 
令和2年度は,後述する取組を通じて,週休2日の確保をさらに推進し,原則全ての工事を週休2日対象工事として発注することを目指す。
 

表−1 週休2日工事の推移




 

3. 適正な工期設定

令和元年6 月に公共工事の品質確保の促進に関する法律が改正され,「適正な工期設定」が発注者の責務として明確に位置付けられた。これを受け,国土交通省では,令和2 年3 月に「直轄土木工事における適正な工期設定指針」を策定した。その内容は次のとおりである。
 
(1) 適正な工期とは
工期とコストと品質はトレードオフの関係にある。本指針における「適正な工期」とは,設計図書に規定する品質の工事目的物を,標準的な施工方法(コスト)によって施工する際に必要となる工期のことを指す(図−1)。
 

図−1 工期・コスト・品質の関係




(2)工事発注準備段階で実施すべき事項
直轄工事では,①余裕期間,②準備期間,③施工に必要な実日数,④不稼働日,①後片付け期間を適切に考慮した工期を設定することとする(図−2)。
 
また,個別工事の工期を設定する際には,国土交通省が一般に公開している「工期設定支援システム」を活用することとした。このシステムを活用することにより,上述したそれぞれの期間を考慮して工程表を作成することができる。
 
さらに,工期設定に係る条件を設計図書に明示することも,本指針に位置付けた。特に,週休2日対象工事(発注者指定方式)においては,条件明示の一環として,概略工程表等を入札公告時の参考資料として公表することとしたほか,その他の工事においても公表に努めることとしている。
 

図−2 工期設定の基本的考え方



(3)施工段階・工事完成後で実施すべき事項
施工当初の段階においては,工事工程クリティカルパスの受発注者間での共有を行うこととする。これにより,当初想定していた条件と異なる事象が生じた場合に,工期や工事費の変更を円滑に行うことができる。
 
また,工事完成後には実績工事工程を収集し,その後の工事の工期設定をより適正なものにするための材料とする。
 
 
 

4. 積算基準の改定

国土交通省の週休2日対象工事においては,現場閉所の状況に応じて,労務費,機械経費(賃料),共通仮設費,現場管理費の補正を行ってきたが,令和2年度については,一部の補正係数を引き上げた(表−2)。
 

表−2 週休2日の補正係数




また,週休2日対象工事には,発注者指定方式(発注者が,週休2日に取り組むことを指定する方式)と受注者希望方式(受注者が,工事着手前に,発注者に対して週休2日に取り組む旨を協議した上で取り組む方式)がある。このうち,受注者希望方式では,これまで,最終変更時に経費の補正を行っていたが,令和2年度からは,発注者指定方式と同様に,当初から4週8休を前提とした予定価格を設定することとする。これは,週休2日に取り組む企業に対して,発注者から早い段階で相応の支払いを行うことにより,受注者(元請)から下請企業に対しても,所要の代金を支払っていただくことを期待するものである。
 
時折,週休2日の補正係数が少ないとの意見が聞かれるが,この補正係数は現場で実際に支払われている代金の実態を調査した上で設定している。実態が伴わなければ補正係数は上がらないので,発注者のみならず,元請や上位下請による適切な支払いにより,建設業の週休2日を実現したいと考えている。
 
 
 

5. 建設業の週休2日を当たり前に

他産業では,週休2日は当たり前。週休3日を標榜する企業さえある中で,建設業が旧態依然の仕事の仕方を変えられなければ,将来の担い手確保は極めて困難である。
 
国土交通省では先述したような取組を進めているが,直轄工事だけでこのような取組を進めていても,建設業全体の週休2日は進まない。直轄工事が稼働していない日にも稼働している現場が隣にあれば,日給月給制で働く建設労働者は仕事を求めて,そちらで働くかもしれない。他の発注者とも足並みを揃えることも重要であろう。
 
また,企業の給与体系を変えられるような環境整備として,安定的に仕事がある状況をいかに作っていくのかなど,課題は少なくないが,受発注者の協力のもと,建設業でも週休2日が当たり前になるように,取り組んでいきたいと考えている。
 
 
 

(前)国土交通省 大臣官房 技術調査課 事業評価・保全企画官  辛嶋 亨(からしま とおる)

 
 
 
【出典】


土木施工単価2020秋号



 

 

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