建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > 建築材料FOCUS【天井の落下防止対策】

 

総 論

平成23年3月に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の被害を受け、国土交通省より天井の落下対策に係る基準が新たに定められた。
 

国土交通省告示771号

平成25年7月には改正建築基準法施行令および関連省令が公布され,平成26年4月には国土交通省告示771号が施行。平成28年5月31日には新たな特定天井の技術基準(天井と周囲の壁等との間に隙間を設けない仕様の追加)について関連告示の改正が行われ,同年6月1日より施行された。
 
 

防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドライン

平成28年4月に発生した熊本地震では、避難所指定された建築物において、構造体の損傷、また非構造部材の落下等により、倒壊に至らないまでも機能継続が困難となる事例が発生した。これを受け、国土交通省では大地震時に防災拠点となる建築物について災害後も機能継続を図るにあたり参考となる事項をとりまとめ、平成30年5月に「防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドライン」を公開した。また、令和元年6月には既存建築物を対象とした追補版が公開されている。
 
 

建築設計基準 令和元年改訂版

令和元年7月、国土交通省が官庁施設の建築設計に適用する「建築設計基準(令和元年改訂版)」について、建築非構造部材(外壁、扉、ガラス、天井、間仕切り等)の耐震設計に関する規定を明確化するなどの改定を行った。
 
天井には「各室等に求められる耐震に関する性能の水準を確保できるよう、構造体の層間変形に対する追従性及び地震力に対する安全性を確保したものとする」ことが求められ、必要事項として以下の内容が示されている。

① 天井は、大地震動時に脱落しないようにする
 
② 天井は、同一の空間において、できる限り同一の高さとし、複雑な形状とならないようにする
 
③ 特定天井は、建築基準法令に定める方法による
 
④ 特定天井以外の往来工法による吊り天井のうち、「特定天井及び特定天井の構造耐力上安全な構造方法を定める件」(国土交通省告示第771号)第2第一号及び第三号に該当し、かつ、高さ6m超の部分に設置する天井、並びに特定室及び機能停止が許されない室のうち天井材の脱落により著しい影響が生じる室に設置する天井については、適切な方法により取り付けるとともに、特定天井告示第3第項第二号に適合させるものとする
 
⑤ ③、④以外の在来工法による吊り天井は、適切な方法により取り付けるものとする
 
⑥ システム天井を採用する場合は、グリッドタイプとし、地震力に対して安全であることを確認する

上記④に該当する天井工法のひとつである緊結在来天井は、接合部の衝撃試験で性能を確認したクリップを使用して接合部を緊結させたものである。「新たな特定天井の技術基準(天井と周囲の壁等との間に隙間を設けない仕様の追加)の解説(平成28年7月版)」(国土交通省国土技術政策総合研究所他)の「付録1クリップの接合部の衝撃試験」によると、静的な実験では地震時の動的な挙動を再現することができないため、クリップに関しては別途定める試験方法により耐風圧クリップ相当の緊結度合を確認されたものを使用するよう明記されている(写真-1
 

写真-1 試験状況




5年ぶりに改訂された建築設計基準により、建築非構造部材(外壁、扉、ガラス、天井、間仕切り等)の耐震設計に関する規定が明確化された。
 
これにより、防災拠点建築物の機能継続のための対策が一層進むことが期待されている。
 
 
 
出典:国土交通省HP
 建築設計基準(令和元年改定版)
   https://www.mlit.go.jp/common/001157891.pdf
 
 建築設計基準の資料(令和元年改定版)
   https://www.mlit.go.jp/common/001157893.pdf
 
 建築非構造部材の耐震設計を明確化 〜官庁営繕の「建築設計基準」を5年ぶりに改定〜
   https://www.mlit.go.jp/report/press/eizen04_hh_000021.html

 
 

特定天井に対応した吊天井

東日本大震災で天井材の落下リスクが表面化して以来、国土告示771号の策定をはじめ、天井の耐震化が進められている。
 
(株)桐井製作所では、平成18年、業界に先駆けて耐震天井工法の開発に着手し、以後、建物の用途や形状などに応じて工法のバリエーションを充実させてきた。
 
同社は、告示771号で規定されている特定天井に対応する工法として「新耐震Full Power天井}、「新耐震DELTAPower天井」を用意している。ともに告示771号に規定された方法でユニット試験を実施して性能を検証しており、計算ルート簡易スペクトル法等を用いた設計にも適用できる。
 
大建工業(株)の「ダイケンハイブリッド天井」は、在来天井とシステム天井のメリットを組み合わせた工法で、①高い耐震性能、②施工の省略化、③安定した施工品質、④経済設計が可能、などのメリットがある。
 
ニーズに応じた4つのラインナップのうち「耐震DH18」、「耐震対策DH18B」は、1.0G相当の水平荷重に耐えられることを告示に規定されたユニット試験方法で確認し、天井許容耐力最大4,000Nの高い耐震性を有する。メインバーは特殊ホゾ加工によりワンタッチで施工でき、ビス留めが不要で、在来天井を耐震化する場合に比べ、施工手間を低減できる。
 
三洋工業(株)の地震対策天井「SZG」は、従来の吊り天井とは異なり、準構造化天井とすべく構造設計された支持構造部に設置する天井下地である。主体構造部では実施困難な仕上げ形状や天井板施工精度を実現できる。また、天井固有周期0.1秒以下として設計ができるため直天井としてみなすことが可能。耐震設計が可能な天井下地として幅広い場面での使用が想定される。
 

詳細▶特集24ページ




(株)佐藤型鋼製作所では、国土交通省告示771号に適合した製品として「SATOCK耐震天井(19形・19/25形・25形)」および「耐震スマート天井ライト」(下の図)を展開しており、「SATOCK耐震天井システム」と総称している。どちらの製品も、同社が開発した「スマートギヤロック」をブレース取付金具に採用しており、施工時の緩みが生じず信頼性の高い耐震天井を提供している。
 
なお、「耐震スマート天井ライト」は天井ふところ3m以内に対応するが、ふところ最長6mまで対応可能な「耐震スマート天井」もラインナップされている。
 


トーケン工業(株)の「トーケン式耐震天井」は、吊りボルト上部にブレースを堅牢に緊結するeブレース、野縁受けに野縁を堅牢に緊結するe耐震クリップ、ブレース下部を吊りボルト下部に堅牢に緊結するeプレート等で国土交通省告示771号に対応する(仕様により最大2.2Gに対応)
 
 

特定天井に該当しない吊天井

耐震化の検討を要する天井は、特定天井だけに限らない。文部科学省では、特定天井以外の天井も特定天井に準じた検討を行うよう自治体に通知している。
 
大建工業(株)では、そうした背景から、「ダイケンハイブリッド天井」は特定天井以外に、耐震性能の異なる3グレードをラインナップし、意匠性、コストなども踏まえて選択できる。(株)桐井製作所は「耐震Full Power天井」をはじめ、特定天井以外の仕様の天井耐震工法を多数揃えている。
 
 

天井の軽量化

天井の落下防止対策においては、天井をできる限り軽量化することが望ましく、2kg/㎡以下の設計にも対応可能な工法が各社から発売されている。
 
鹿島建設(株)が開発した「セーフティ・ダイア・K」は、超軽量天井材として帝人(株)の「かるてん」を使用し、下地材や専用金物は(株)桐井製作所の協力を得て開発された工法である。
 
三洋工業(株)の「SZプール天井TMX」は、防食性に配慮した部材を使用し、塩素ガス、湿気に強く、文字通り屋内プール施設での使用に最適。

 
 
 
 
【出典】


積算資料公表価格版2020年11月号


 

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