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1. 背  景

国際的な地球温暖化対策の動向として,COP21において採択されたパリ協定(2016年11月)がある。この中では,「世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも2℃高い水準を十分に下回るものに抑えるとともに,1.5℃高い水準までのものに制限するための努力を継続すること。このために,今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡(世界全体でのカーボンニュートラル)を達成することを目指す」と定めている。
 
我が国のパリ協定に対するCO2削減対策については,「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」(2019年6月閣議決定)に定められ,この中で,「最終到達点としての「脱炭素社会」を掲げており,それを野心的に今世紀後半のできるだけ早期に実現することを目指すとともに,2050年までに80%の削減に大胆に取り組む」としている。また,建設施工分野においては,「建設施工分野において,省エネルギー性能の高い設備・機器の導入を促進する」としている。
 
国土交通省では建設機械の環境対策を促進しており,具体的には,1976(昭和51)年から騒音・振動対策,1991(平成3)年から排出ガス対策,1998(平成10)年からの地球温暖化対策などがある。今回は,環境対策の中でも2020(令和2)年度に改正を予定している建設機械の地球温暖化対策(燃費基準達成建設機械認定制度)について紹介する。
 
 
 

2.  燃費基準達成建設機械認定制度概要

建設施工の環境・安全の分野における技術研究開発の推進等に関する政策の充実を図り,建設事業の円滑な遂行に資するため,学識経験者等の意見を聴取することを目的として,「建設施工の環境・安全対策委員会」を国土交通省大臣官房技術審議官の私的懇談会として設置している。
 
その中の4分科会の一つに,建設施工における建設機械・資材等の総合的な見地から地球温暖化対策に係わる技術的,専門的な内容について検討し,地球温暖化対策の推進に寄与することを目的に,「建設施工の地球温暖化対策検討分科会」を設置している。
 
その中で,二酸化炭素排出低減に資する建設機械の普及促進を図るとともに,建設施工に関する建設業者による自発的な活動の実施を促進し,地球環境保全に寄与することを目的として,表−1の要件と表−2〜5いずれかの燃費基準値を満たすものを認定する制度として,2013(平成25)年4月より「燃費基準達成建設機械認定制度」を開始した。
 




認定要件となる現行の燃費基準値は,当時最も優れた燃費性能を持つ機械の燃料消費量(トップランナー)を基本とし,2020 年目標として採用した(図−1)。 この制度では,燃費基準の達成状況に応じて,100% 達成建設機械(☆☆☆)と85% 達成建設機械(☆☆)として認定され,ラベル(図−2)を建設機械に貼付することが可能となり,環境への貢献をアピールすることができる。
 

図−1 燃費基準値(2020年目標)の設定

図−2 ラベル




なお,対象機種としては,まずCO2排出寄与率の高い油圧ショベル,ブルドーザ,ホイールローダを対象として開始したが,2018(平成30)年4月より小型油圧ショベル(バケット容量0.085㎥以上0.25㎥未満)を追加認定しており,さらに,2022(令和4)年4月にはホイールクレーンの認定を開始する予定である。
 
 
 

3. 燃料消費量評価値の試験方法

燃料消費量評価値の算定に係る試験方法は,JCMAS H020「土工機械−エネルギー消費量試験方法−油圧ショベル」,JCMAS H021「土工機械−燃料消費量試験方法−ブルドーザ」,JCMASH022「土工機械−燃料消費量試験方法−ホイールローダ」,JCMAS H023「ラフテレーンクレーン作業燃料消費量試験方法」に基づいた燃料測定方法とした(図−3)。
※JCMAS とは,国家規格であるJIS を補完するものとして,一般社団法人日本建設機械施工協会が定める建設機械分野における団体規格
 

図−3(例)油圧ショベルの燃料測定方法




また,測定方法の基本的な事項は,①作業量を考慮した燃費効率,②土を用いた実作業ではなく模擬作業で行うことで,バラツキを生じないようにする,③走行やアイドリング状態も盛り込む,④ハイブリッド型油圧ショベル,電動油圧ショベルも対応,の4点である。
 
 
 

4. 次期燃費基準値(2030年目標)

燃費基準達成建設機械認定制度の燃費基準値(2020年目標)については,達成する建設機械が増加してきている。そこで,低燃費の建設機械の差別化や,メーカーによる更なる燃費性能の向上に資する技術開発の促進を図るため,新たな燃費基準値(2030年目標)の策定に向けて取り組んでいる。
 
また,次期排出ガス規制について,中央環境審議会において検討されており,排出ガス対策と燃費性能向上はトレードオフにあることから,排出ガスの規制動向を注視しながら適切な基準値の検討を行っている(図−4)。
 

図−4 排出ガスと燃費性能の関係




 
 

5. おわりに

日頃より,建設施工分野の関係機関,関係団体等の皆さまにご協力をいただき,感謝申し上げるとともに,引き続きより良い地球温暖化対策施策を行うべくご協力のほどよろしくお願いいたします。
 
 
 
 

国土交通省 総合政策局 公共事業企画調整課 インフラ情報・環境企画室 
環境技術係長  東山 遼(ひがしやま りょう)

 
 
 
【出典】


積算資料2020年11月号



 
 
 

 

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