建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 積算資料公表価格版 > Park-PFI推進支援の取組みと公民連携事業に関する「第3次提言」について

 

1. 日本公園緑地協会の取組み

一般社団法人日本公園緑地協会(以下「当協会」)では,公民連携のためのプラットフォーム「Park-PFI推進支援ネットワーク(Park-PFI Promotion Support Network 略称:PPnetピーピーネット)」(以下「PPnet」)を設置・運営するとともに,Park-PFI制度の手引書の作成・発行やシンポジウム等の開催,調査研究などの取組みを行っている。
 
PPnet(図−1)は,Park-PFIに係る公民相互の情報を一元的に収集・発信することにより,初期段階における制度の周知・普及と事業の実現化に寄与することを目的とし,2018年2月1日に開設し,運営している。
参加にあたっては,情報の保護および反社会的勢力等の排除のため登録制とし,国の制度推進を目的としているため参加費用を無料としている。参加団体は,地方公共団体およびPark-PFI制度に賛同する公益法人や民間事業者である。
 
PPnetのWebサイトは,表−1のような構成になっている。

  • PPnetトップページ
    図−1 PPnetトップページ(https://park-pfi.com/

  • PPnetの項目構成
    表−1 PPnetの項目構成

  • 2021年6月末日現在の登録者数は国・地方公共団体が713団体,民間事業者は544社の合計1,257団体・社である。
    この1年間で国・地方公共団体は約60団体,民間事業者は約90社増えており,関心の高まりを感じている(図−2)。
    民間事業者の業種内訳では銀行,建設,不動産,デベロッパー,造園,コンサルタント,まちづくり団体,スポーツ・アウトドア,製造販売,飲食など幅広いが,当協会の分類による業種割合の多さでは,不動産・建設系が31%,専門コンサル系28%,サービス系16%,公社・公益法人10%などとなっている。

  • PPnet登録者数の推移
    図−2 PPnet登録者数の推移

  • これまで,Park-PFIなどPPP事業のサウンディング情報約200件,公募情報約130件を結果も含め提供した。
    また,地方公共団体の事業発案前の情報収集を目的とした利用が約10件,民間事業者の参画希望情報は約20件であった。
    実施事例(Park-PFI,PPP事業)として,Park-PFI第一号である北九州市勝山公園など約40件を提供した。
     
    そのほか,Park-PFI等に関する講習会,セミナー,シンポジウムの開催情報や,一般社団法人ランドスケープコンサルタンツ協会・ランドスケープ経営研究会(以下「LBA」)とリンクし,LBAとの共催シンポジウム,フォーラム等の開催情報,また,トピックスとして国土交通省の官民連携支援事業など関連情報も提供している。
     
    PPnetの特徴的な機能としては,地方公共団体が民間事業者の担当者に直接連絡できるフォーム機能が挙げられる。
    活用方法としては,サウンディングや公募の際に登録されている民間事業者の中から目的にあった民間事業者を抽出し,直接連絡し参加を促すことなどである。

     
     

    2. 2018,2019年度の調査研究成果

    当協会では,2018,19年度の2カ年で,都市公園における公民連携事業に関心のある民間事業者をメンバーとした「公園公民連携事業研究会(※1)」(座長:涌井史郎東京都市大学特別教授)を設置し,民間事業者の視点に立ち,国および公民連携事業に先進的に取り組む地方公共団体との意見交換や,国内外の先行事例調査などを行うとともに,公民連携事業の円滑化に向け,現行のPark-PFIの課題やあり方などについて議論し,調査研究を進めた。
    その成果は,2019年3月には「第1次提言」として,2020年3月には「第2次提言」として取りまとめ,国土交通省へ提出するとともに,地方公共団体等会員へ周知し,記者発表した。
     
    「第1次提言(※2)」では,公民連携事業の初期段階における事項(基本方針の決定,官民対話,公民の役割分担等)に関して,また「第2次提言(※3)」では,公募段階,選定段階等における事項について取りまとめた(表−2)。
     
    Park-PFIは,大きく事業発案・事業化検討,事業者選定,事業者認定,事業実施の流れになるが,事業者発案・事業化検討の段階,および事業者選定段階における提言が主な論点だったといえる。
    これは本研究会会員の民間事業者が実際にPark-PFI事業に参加し,現実にこれらの段階における課題・問題に直面し実感した内容を提言に反映している。

  • 「公園公民連携事業研究会」の提言
  • 「公園公民連携事業研究会」の提言
    表−2 「公園公民連携事業研究会」の提言


  •  

    3.「公園緑地公民連携研究会」の活動

    2018,19年度の公園公民連携事業研究会を発展させる形で,2020年度,新たに都市公園・緑地における公民連携事業に関心のある民間事業者をメンバーとした「公園緑地公民連携研究会(※4)」(会長:涌井史郎東京都市大学特別教授)が,設立された。
     
    この研究会は,エリアマネジメント・再開発等や,地域活性化および地域価値向上の視点から幅広く公園緑地における公民連携のあり方について研究し,民間事業者による公園緑地の利活用拡大を目的としている。
     
    2020年度は,Park-PFIにより開業した都市公園や公園施設も増えたことから,本事業を実施した民間事業者および地方公共団体を対象としたアンケート調査を実施し議論を進めた。
     
    また,先進事例地調査として,Park-PFIによる新宿中央公園「SHUKNOVA」(新宿区),としまみどりの防災公園「IKE・SUNPARK」(豊島区),立体都市公園制度による宮下公園「MIYASHITAPARK」(渋谷区)を現地視察し調査を行った。

     
     

    4. 「第3次提言」について

    公園緑地における「公民連携」は,公園緑地が持つ社会資本のストック効果を高め,現実社会に対応する都市や地域の活性化と新たな価値の創造を目指すために,民間事業者と行政が対等な立場で協力して実施するものである。
    そもそも,Park-PFI等の公民連携は行政側の意向を端緒として,民間事業者の興味を引き出し,ビジネスチャンスの意識のもと有効な提案と,円滑な事業実施が進められ実現するものである。
    そのためには“安定的,継続的な運営が行えるかどうか”について公民双方とも十分な情報共有など相互のコミュニケーションが必要である。
     
    しかし,昨年度までの調査では,Park-PFI等にかかる民間事業者からの意見,調査研究等では,まだ相互連携が十分な状態,状況とはいえなかった。
     
    2020年度の調査では,民間事業者が直面した課題,事業推進における要望およびこれらに対する公園管理者の意見を対比して整理し,公民連携事業をさらに進める上での要望事項を「第3次提言」として取りまとめた(表−3)。
    この提言では,公民の意見を対話形式で示した付属資料も添えられている。
     
    これらも国土交通省へ提出するとともに,地方公共団体等会員へ周知し,記者発表した。
     
    第1次から第3次までの提言内容が,Park-PFIの流れのなかのどの段階に該当するものであるかを分析し,示したものが図−3である。
    第1次,第2次提言が初期段階および事業者選定に係る内容であったのに対し,第3次提言は,事業者認定および事業実施に係る内容であるとともに,官民双方の基本的な姿勢および行政の実施体制の強化・充実を提言している。

  • 「公園緑地公民連携研究会」の提言
    表−3 「公園緑地公民連携研究会」の提言

  • Park-PFIの手続きの流れと「公園公民連携事業研究会」「公園緑地公民連携研究会」の提言内容
    図−3 Park-PFIの手続きの流れと「公園公民連携事業研究会」「公園緑地公民連携研究会」の提言内容


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    5. Park-PFI事業の現況と今後

    当協会の調べでは,全国でPark-PFIの公募設置等計画の公表にまで至っている取組み事例は,2021年5月1日時点で,73事例が把握され,そのうち,開業しているのは29事例ある。
    これらの取組みは全国的に広がりを見せており,今後も多くのPark-PFIの事業化が図られると見込まれる。
     
    既に開業した事例を概観すれば,勝山公園(北九州市),天神中央公園(福岡県),木伏緑地(盛岡市),別府公園(別府市)など多くが飲食・物販等の便益施設であり,横浜動物の森公園(横浜市)は遊戯施設が中心,ぎふ清流里山公園(岐阜県)が宿泊施設(ホテル)などとなっている。
    他の公募案件の中には,既に事業者が決まり,2020,21年に開業予定であったものも多いが,このたびの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応の影響を受け,開業延期等に追い込まれている公園もあるものと思われる。
    実態把握などは今後の課題である。
     
    また,取組みとしては,Park-PFI制度を単体で用いるのではなく,指定管理者制度との組み合わせなど,他の事業制度を複合的に組み合わせた事例も多く出てきている。
     
    従って,今後もこれらについては,実施事業の増加等も踏まえ継続的に調査研究を続け,内容や,そのあり方等を探ることが重要であると考えている。
     
     
     


    補注:
    (※1)
    「公園公民連携事業研究会」の参加企業は,積水ハウス株式会社,大和リース株式会社,タリーズコーヒージャパン株式会社,東急不動産ホールディングス株式会社,三井不動産株式会社,三菱地所株式会社,森ビル株式会社,一般財団法人公園財団の8社・団体。
     
    (※2)
    「第1次提言」の詳細は以下のとおり。
    https://www.posa.or.jp/topics/park-fi_recommendation20190326/
    https://www.posa.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/20190326POSAPressRelease.pdf
     
    (※3)
    「第2次提言」の詳細は以下のとおり。
    https://www.posa.or.jp/topics/park-pfi_recommendation20200319/
    https://www.posa.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/03/20200319POSAPressRelease.pdf
     
    (※4)
    「公園緑地公民連携研究会」の参加企業は,積水ハウス株式会社,大和リース株式会社,東急不動産ホールディングス株式会社,東京建物株式会社,三井不動産株式会社,三菱地所株式会社,森ビル株式会社,株式会社石勝エクステリア,西武造園株式会社,株式会社日比谷アメニス,一般財団法人沖縄美ら島財団,一般財団法人公園財団,一般社団法人日本公園緑地協会の13社・団体。
     
    (※5)
    「第3次提言」の詳細は以下のとおり。
    https://www.posa.or.jp/topics/park-p?_recommendation20210318/



     
     
     

    一般社団法人日本公園緑地協会 理事
    株式会社空間創研 執行役員
    橘 俊光

     
     
    【出典】


    積算資料公表価格版2021年8月号


     
     

     

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