- 2022-04-20
- 積算資料
資材価格の騰勢に拍車~アスファルト混合物・合板・塩ビ製品なども上昇~
ウクライナ情勢の緊迫化に伴い、建設資材の原料となる鉱物資源の国際商品相場は騰勢が止まらず、原油、鉄鉱石、石炭、非鉄金属、鉄スクラップなど幅広い資源が高値水準で推移している。
依然として為替相場の円安・ドル高が進行していることもあり、国内の原料調達コストも上昇。建設資材供給の川上に位置する原料の高騰・高止まりが、建設資材の製造コストや輸送コストを直撃している。
建設資材のメーカーや流通筋では、新型コロナウィルス禍からの経済回復による需給ひっ迫を背景として資材価格の値上げを進めてきたが、今回のウクライナ情勢により資源相場はさらに上伸し、こうしたコスト上昇分を販売価格に転嫁する動きが一段と加速している。
当会3月調査に基づく全国の建設資材価格指数(2015年度平均=100)は建築・土木総合で140.0となり、前月から1.2ポイント上昇。前年同月比では26.7ポイントの上昇となり、前月を上回る上昇が続いている。
(価格指数の詳細は『積算資料』2022年5月号前文8頁および当会HP【建設資材価格指数】をご参照ください。)
『積算資料』2022年5月号(4月8日までの調査結果)では、前月に引き続き鉄鋼製品を中心に価格が上昇しており、特に異形棒鋼(東京地区・以下同)がt当たり前月比1万円上伸の11万1,000円と異例の急騰となっているほか、H形鋼がt当たり前月比5,000円上伸の11万5,000円、鉄スクラップがt当たり4,500円上伸の5万5,000円となった。
また、東京地区以外でも、ストレートアスファルトの高騰を背景に上昇圧力が強まるアスファルト混合物がt当たり、前橋で前月比300円上昇し1万300円、千葉で前月比300円上昇し9,700円となるなど、全国的に騰勢を強めている。
積算資料 5月号 主な市況上伸品目
品名 | 規格 | 単位 | 掲載都市 | 価格 | 前月比 | 前年同月比 |
---|---|---|---|---|---|---|
異形棒鋼 | SD295 D16 ② | t | 東京 | 111,000円 | +10,000円 (+9.9%) |
+33,000円 (+42.3%) |
H形鋼 | 200×100×5.5×8mm SS400 ② |
t | 東京 | 115,000円 | +5,000円 (+4.5%) |
+32,000円 (+38.6%) |
鉄スクラップ | H2 | t | 東京 | 55,000円 | +4,500円 (+8.9%) |
+24,500円 (+80.3%) |
再生加熱アスファルト混合物 | 再生密粒度(13) | t | 前橋 | 10,300円 | +300円 (+3,0%) |
+300円 (+3.0%) |
千葉 | 9,700円 | +300円 (+3.2%) |
+300円 +3.2% |
|||
コンクリート型枠用合板 | 無塗装品ラワン 12×900×1800mm |
枚 | 東京 | 1,840円 | +20円 (+1.1%) |
+570円 (+44.9%) |
硬質ポリ塩化ビニル管 | 一般管(VP)呼び径50mm | 本 | 東京 | 1,440円 | +210円 (+17.1%) |
+210円 (+17.1%) |
価格推移の詳細は『積算資料』2022年5月号前文6~7頁をご参照ください。
一方、3月上旬にリーマン・ショック後の最高値を更新した原油の国際相場は軟調に転じている。
騰勢が続いてきた軽油(ローリー渡し)は、政府の燃料油価格激変緩和補助金の効果もあり、旬刊『デジタル物価版(石油製品編)』(月3回発行)の4月上旬号(調査期間:3月22~31日)でKL当たり前旬号比2,000円下落となっている。
デジタル物価版 軽油(ローリー渡し)【東京地区】価格推移
品名 | 規格 | 単位 | 掲載号 | 調査期間 | 価格 | 前旬号比 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
軽油 | ローリー | KL | 3月 | 上旬号(3/1発行) | 2/21~2/28 | 119,000円 | +1,000円 | 中旬号(3/11発行) | 3/1~3/10 | 121,000円 | +2,000円 | 下旬号(3/21発行) | 3/11~3/17 | 121,000円 | ±0円 | 4月 | 上旬号(4/1発行) | 3/22~3/31 | 119,000円 | -2,000円 | 下旬号(4/11発行) | 4/1~4/8 | 119,000円 | ±0円 |
建設資材の需要は、政府の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」や首都圏などの大型再開発事業などにより底堅いとみられるが、新年度入り間もないこともあり、足元の需要は低調気味に推移している。
それでも、ウクライナ情勢の先行き見通しの不透明感から原料・製品ともに先高観が強く、需要者側もメーカーや流通筋の値上げを段階的に受け入れている。
典型的なコストプッシュ型の価格上昇局面となっており、需要の多寡にかかわらず今後も建設資材価格の上昇が続く公算が大きい。
PDFファイルはこちら。
全国主要都市における主要資材の市況・価格推移はこちら。
お問い合わせ先
一般財団法人 経済調査会 | 土木第一部 | TEL 03-5777-8215 |
建築統括部 | TEL 03-5777-8217 |
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