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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 建設ITガイド > BIMデータの利活用に向けた積算連携アプローチ《前編》

 

戸田建設株式会社 本社建築本部
BIM推進室 主任 松下 幸生

 

はじめに

戸田建設株式会社におけるBIMへの取り組みは企画・基本設計段階での開始より既に5年になる。昨年、本誌前号においても弊社の取り組みについて紹介させていただいたが、その後もBIMの活用法が種々検討され、コンピュータの性能やソフト成熟度の向上によりBIMのさらなる急速な広がりと進展、BIM推進への機運の高まりといったものを実感している。
 
しかし一方で、BIMの有用性は認識しながらも、社内、部門間でのBIMへの懐疑的不信感、または幻想といったものは依然根強くカオスな状況下にあり、BIMの弊社ワークフローへの定着やBIMをめぐるビジネスの変化といったものも、なかなか見出せずにいる現状がある。
 
組織慣性や技術的課題などの複合的要因が考えられるが、こういった現況を打破すべく「BIMの活用を精査・拡大」し、「内外の環境の変化を視野に入れた解決法や達成シナリオを描き、現場への技術活動・業務改善提案を行う」とともに、「実施計画・プロジェクト運営への関与を通しトップへの合理的な事業計画や業務・制度化提案を行う」といったミドルアップダウン型役割を担う「BIM推進室」を昨年発足させた。
 
各部門から設計・生産設計・積算等12名のエンジニアで構成。「BIMを活用した戸田独自の『ワークフロー』の確立および推進」を2年間のロードマップにおける第一義的目標と定め活動を開始し、一年が経過するが、その活動内容は、望ましい形で弊社の「ワークフロー」として定着させていくため、道具としての『ツール』だけでなく、制度としての『システム』の面からもアプローチをとっている。
 
特に『システム』に関しては誰が、どの段階で何を行うのかを明確にし、それを業務のルーチンの中に定着させていく必要があるため、「特定プロジェクトにおけるBIM活用業務」においてプロセスの標準化を定めるとともに、『ツール』については『システム』との連動が容易、かつ誰もが共有可能、しかも弊社クオリティーに合致するインフラを提供することを主眼に「各種技術開発・研究・検証」を行っている。
 
 

積算連携に向けたアプローチ

BIMでは企画から設計、施工、FMまで一貫して、統合されたデータを活用していくことでより大きなメリットを得ることができるため、ワークフロー全体でどのようなデータを、どのように流していくかといったBIMデータの利活用の検討が重要となる。
 
ワークフロー全般を俯瞰した時、グラフィソフトジャパン株式会社 代表取締役 コバーチ・ベンツェ氏も指摘されているように、BIMデータの利活用は「合意形成としてのビジュアルコミュニケーション」、「ドキュメンテーション」・「積算」の3つに収束されるとBIM推進室も捉えている。
 
今回、BIM推進室の活動において、ワークフロー全体に適用されながら、工程ごとにその業務目的を変えていく「積算」に関するBIMデータの利活用、データ連携に向けたアプローチについて『ツール』と『システム』の両面から報告を行う。
 

営業概算ツールの運用

1つ目のアプローチは本誌前号でも既に報告させていただいたが、企画・営業段階で提供された敷地情報を基に、建物ボリューム・外観パース・概算金額を自動作成、計算する「戸田建設BIM営業概算ツール」である。概算手法は総価法に統計法、比較法、区分法で補正をかけていく方法をとる(図-1)。
 
既に運用ルールも定められ、営業部門に実践投入、いくつかの受注実績も報告されている。
 
「BIM推進室」としては、さらに用途別概算提示金額のバリエーション向上とともに、基本設計モデルにつなぐ運用ルールを固めていく。
 

図-1 戸田建設BIM営業概算ツール

図-1 戸田建設BIM営業概算ツール


 

BIMツール内の積算機能

2つ目のアプローチは、「ArchiCAD」(グラフィソフト社)等BIMアプリケーションソフトの積算機能の利活用について紹介する。
 
実案件を基に、BIMソフトのデフォルトとして内蔵する数種のパラメータから、どれを用いれば求める数量が得られるのか検証を行っている。さらに正しい数量抽出の障壁となるような入力方法等、データ上の課題といったものを設計にフィードバックを行い、弊社のテンプレートやモデリングルールとして反映させている(図-2)。
 

図-2 戸田テンプレート

図-2 戸田テンプレート


 
昨今、概算決定した設計・施工案件で原価の回復が図れないケースが発生し、設計段階でのコスト管理の重要性が問われ直されていること、またこのアプローチからの抽出数量が実数であることから、BIM推進室としては設計段階における確認数量としての活用を視野に入れ、運用ルール決めを行っている。
 

BIMツールの外部出力データと建築積算システムの連携

3つ目のアプローチとして「ヘリオス」(日積サーベイ社) というBIMソフト連動積算ソフトでの連携検証を進めている。
 
このソフトは、BIMモデルからIFC形式を介し柱・梁・壁といったオブジェクトデータを受け取り、「ヘリオス」内で再配置、再構成することで、構造積算、仕上積算を可能とする。
 
従来の積算ソフト機能に加え、BIMモデルと双方向で連携し、積算基準にのっとった数量を算出、内訳まで持っていく機能だけでなく、明確な算出根拠を持つ計算書を自動作成することで、ブラックボックス化した自動積算アウトプットに対してのトレーサビリティーをも確保していることから、積算部門への投入を視野に入れている(図-3)。
 
ただこのソフトの有用性は認めつつも、BIM対応積算『ツール』として工種ごとの成熟度が若干異なるという課題があげられるとともに、制度・運用といった『システム』面からも、「BIMモデルからどこまで数量情報として正確なアウトプットが担保でき、いかにその狭間を埋めるのか」といった課題も抱えている。
 
BIM推進室、「ヘリオス」側ベンダー双方、BIMデータとの積算連携に関してはここ1・2年が過渡期という共通認識を持っている。定期的に双方が情報共有できる場を設け、その中での「ヘリオス」への密な要望出しやカスタマイズによりソフトの成熟度を能動的に高めていく働きかけを行い、『ツール』面での課題解決を図っている。
 
さらにこういった場で共有された内容は、当然概算段階、精算段階での弊社モデルLOD、テンプレート、モデリングルールに反映されていくこととなり、「ヘリオス」との連携における『システム』上の課題解決への取り組みにもつながっている。
「ヘリオス」とは別システムではあるが社団法人 日本建築積算協会の「中間ファイル」の経過にも注視しつつ、今後は積算部門に段階的に投入するか否か、『ツール』の成熟度合、積算部門の個々人のBIMリテラシー向上と積算部門のコア技術=クウォンティティーサーベイの向上を鑑みながらさらなる検証を進めていくとともに、コストを軸とした他部門、他企業との相互依存性の高い、新たな積算部門の職能についても提示を行っていく。
 

図-3 ヘリオスVer8.0

図-3 ヘリオスVer8.0


 
 
 
BIMデータの利活用に向けた積算連携アプローチ《後編》
 
 
 
【出典】


建設ITガイド 2013
特集「建設イノベーション!3次元モデリングとBIM&CIM」
建設ITガイド2013
 
 

 

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