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ホーム > 建設情報クリップ > 積算資料 > 全線開通した名古屋第二環状自動車道 名古屋西JCT~飛島 JCT間の開通

1.名古屋第二環状自動車道の概要

1983(昭和58)年の施行命令により建設を開始した名古屋第二環状自動車道は,2021(令和3)年5月1日に名古屋西ジャンクション(以下,JCT)~飛島JCT(12.2km)が開通し,延長約54.3kmが全線開通となりました(図-1)。
 
今回の開通により,名古屋第二環状自動車道は,海上部を構成する伊勢湾岸自動車道を合わせた環状道路となり,名古屋市中心部から10km圏内に位置する名古屋環状2号線(注)の専用部を構成します。
名古屋市,春日井市,清須市,あま市,大治町,飛島村の4市1町1村を結び,名古屋市を中心として放射状に伸びる幹線道路や,名古屋高速道路と主要地点で接続して中京都市圏の骨格となる道路網を形成し,分散導入機能とバイパス機能により,交通混雑の緩和や物流の効率化が期待されています。
 
また,災害や事故時における迂回機能としての役割や計画的な市街地開発のための都市開発的な役割も果たし,今後の経済発展と都市整備に欠かすことのできない重要な路線となります。
 
1988(昭和63)年に清洲東インターチェンジ(以下,IC)~名古屋西JCTが,1991(平成3)年,1993(平成5)年,2003(平成15)年に勝川IC~清洲東IC,名古屋IC~勝川IC,高針JCT~上社JCTが東名阪自動車道の一部として,順次開通しています。
 
その後,2011(平成23)年に名古屋南JCT~高針JCTが開通し,伊勢湾岸自動車道と名古屋南JCTで接続されるとともに,道路名称が「名古屋第二環状自動車道」に変更されました。
 
そして,この2021(令和3)年5月1日に名古屋西JCT~飛島JCTが開通となり,全線開通となりました(表-1図-2)。

名古屋第二環状自動車道と中京都市圏の道路網

【図-1 名古屋第二環状自動車道と中京都市圏の道路網】


名古屋環状2号線のあゆみ

【表-1 名古屋環状2号線のあゆみ】


名古屋環状2号線の開通変遷

【図-2 名古屋環状2号線の開通変遷】



 

2.開通区間の概要

今回の開通区間は,一般国道302号と並行した高架橋により構成されており,高架橋が専用部となります(図-3)。
 
専用部である名古屋西JCT~飛島JCTの延長約12.2kmについては,2000(平成12)年に基本計画(国土開発幹線自動車道建設法)が決定され,2009(平成21)年に整備計画(高速自動車国道法)が決定し,2012(平成24)年に事業許可(道路整備特別措置法)を受け,「直轄方式」と「有料道路方式」を組み合わせた「合併施行方式」により,事業が進められました(図-4)。
 
開通区間には,北から順に東名阪自動車道と名古屋高速道路5号万場線とを接続する名古屋西JCT(写真-1,2),千音寺南IC,富田IC,南陽IC,飛島北ICの4つのICが,それぞれ並行する一般国道302号線と接続しており,さらに飛島JCTで伊勢湾岸自動車道に接続しています。
 
また,今回の開通に合わせ,開通日の5月1日午前0時から中京圏の新たな高速道路料金が導入されました。
 
東海環状自動車道の整備の加速化,一宮JCT付近および東名三好IC付近における渋滞解消のためのネットワーク拡充に必要な財源確保も考慮し,現行の高速自動車国道の大都市近郊区間を基本とした料金水準を導入,車種区分も5車種に統一され,均一料金区間の名古屋第二環状自動車道が対距離制となることにより,利用度合いに応じた公平な料金体系となりました(図-5)。
 
さらに,道路ネットワークを一体として捉え,名古屋都心部周辺の通過について,交通需要の偏在を防ぐとともに,都市部周辺の環境改善を図るため,東海環状自動車道または名古屋第二環状自動車道の利用が料金の面において不利にならないよう,交通分散の観点から,経路によらず,起終点間の最短距離を基本に料金が決定されることとなりました(図-6)。
 
なお,施策目的に照らして,都心部周辺の通過が促進されないよう,都心周辺経由の料金の方が東海環状自動車道または名古屋第二環状自動車道の料金よりも高い場合,その料金は引き下げられないこととなりました。

名古屋環状2号線の標準的な構成

【図-3 名古屋環状2号線の標準的な構成】

合併施行方式による施行区分

【図-4 合併施行方式による施行区分】


5月1日開通区間(名古屋西JCT)

【写真-1 5月1日開通区間(名古屋西JCT)】

空から見た名古屋西JCT

【写真-2 空から見た名古屋西JCT】


料金体系の整理・統一

【図-5 料金体系の整理・統一】


起終点を基本とした継ぎ目のない料金(名古屋第二環状自動車道の利用が料金の面において不利にならないような料金)

【図-6 起終点を基本とした継ぎ目のない料金(名古屋第二環状自動車道の利用が料金の面において不利にならないような料金)】



 

3.建設工事時の工夫

今回の開通区間に係る建設工事については,複数の工事が輻輳し,かつ施工区間が密集市街地に近接し,全線が一般国道302号と重複した高架橋によって構成されることに加え,一般国道1号など重交通路線と交差するという厳しい条件下での
施工となりました。
 
そのため,施工ヤードの確保にあっては,一般国道302号や交差する主要な国道・県道に配慮し,さまざまな工夫を行いながら国道の車線を複数回にわたり切り回しを行いました。
特に県内有数の事故多発箇所である島井町交差点においては,交差点の井桁化により交通流の確保を行い,周辺地域や通行車両等に対し,工事による影響が最小となるよう対策を行いました。
 
工事の実施に当たっては,一般国道302号に沿って橋脚を設置する必要がありましたが,国道下に共同溝が設置されているため,橋脚地中部の施工では,共同溝に影響しないよう,また一般国道302号の交通が確保できるよう,鋼矢板により土留めを行った上で掘削し,地中部を施工した後に埋め戻す手法を採用しました。
ほかにも土の排出量削減および低騒音・低振動を目的とした回転杭工法や,桁下空間に制限がある名古屋西JCT部では,点検のしやすさの向上を目的とした橋梁ラッピングによる点検路を採用しました(写真-3)。
 
重交通量路線となる伊勢湾岸自動車道を横過しての飛島JCTランプ橋架設に当たっては,本線への影響を最小限とするため,限られた通行止め時間(22時~翌6時)で作業を完了させる必要がありました。
 
この架設は,落とし込み架設および大ブロックでの連結や剛結橋脚の接合など難易度が高く,本来時間を要する工事でしたが,関係者との調整,着実な安全対策を実施の上,1350tの国内最大級のクローラクレーンによる一括架設の採用による工程短縮を行い,一夜間での桁架設を時間内に完了させました(写真-4)。
 
また,名古屋西JCTでの架設では,東名阪自動車道と名古屋高速道路5号万場線の橋梁下での工事となりました。
重交通量(8万台/日)の国道・県道の交差箇所という極めて厳しい制約(現道との桁下余裕高40cm,東名阪自動車道との桁下余裕高50cm,側方余裕30cm)の中で桁高を抑えるため,鋼床版などの構造を採用するとともに,桁架設においては,交差点の交通に対する影響を最小限とすべく,事前の高度な解析および架設シミュレーションを駆使した上で多軸台車による一括架設工法を採用し,工事を完了させました。

NEXCO 中日本で初採用した橋梁ラッピング

【写真-3 NEXCO 中日本で初採用した橋梁ラッピング】
(国道302号 島井町交差点付近)

クローラクレーンによる一括架設

【写真-4 クローラクレーンによる一括架設】
(飛島JCT Cランプ橋)



 

4.おわりに

コロナ禍ではありましたが,地域にお住まいの皆さま,関係機関の皆さま,また工事に従事された皆さまのご協力をいただきながら,今回,名古屋西JCT~飛島JCTが無事開通いたしました(写真-5)。
 
引き続き,名古屋第二環状自動車道と一体となって広域的なネットワークを形成する東海環状自動車道の全線開通に向けた整備を進めるとともに,新名神高速道路の6車線化,また,「高速道路の安全・安心基本計画」等による東海環状自動車道,紀勢自動車道の4車線化事業など,地域の活性化と暮らしの向上などに貢献していきたいと思います。
 
さらに,中京圏においても東名高速道路や名神高速道路,東名阪自動車道などのリニューアル工事を鋭意進め,一日も早い完成に向けて努力していく所存です。
 
今後ともご理解・ご協力を宜しくお願いします。

クローラクレーンによる一括架設

【写真-5 伊勢湾岸自動車道へと接続する飛島JCT】



 
 


(注)‌‌高速道路・自動車専用道路部分である「専用部」と一般国道部分である「一般部」により構成

 
 
 

中日本高速道路株式会社 名古屋支社

 
 
【出典】


積算資料2022年1月号


最終更新日:2022-08-19

 

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