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ホーム > 建設情報クリップ > 建設ITガイド > BIM/CIM > 北海道開発局におけるBIM/CIMの取り組み

はじめに

地域の産業・暮らしや生産空間の維持などに不可欠なインフラ整備のみならず、激甚化・頻発化する災害への対応などを担う建設業の役割は極めて重要であり、地域の守り手としての期待も増している。
しかしながら、北海道では全国を上回るペースで生産年齢人口が減少する中、建設業の担い手不足は喫緊の課題であり、働き方改革や生産性向上によって建設業の魅力アップを図ることが求められている。
また、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、デジタル化による社会の変革が求められる中、インフラ分野のデジタル化・スマート化を、スピード感を持って強力に推進していく必要がある。

 
 

北海道開発局におけるBIM/CIMの取り組み

北海道開発局では、地域を支える建設業の健全な発展を後押しし、建設業などの働き方改革の実現と建設現場の生産性向上に向けた取り組みを行うため、「北海道開発局建設業等の働き方改革実施方針」を策定している。
また、令和3年度からは新たに、データとデジタル技術を活用した、非接触・リモート型の働き方への転換と抜本的な生産性や安全性向上を図るため、『北海道開発局インフラDX・i-Construction推進本部』を設置し、北海道開発局インフラDX・i-Constructionアクションプラン』を策定したところである。

(1)令和3年度 北海道開発局建設業の働き方改革実施方針の策定

「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」、「新・担い手3法」などを踏まえ、北海道開発局では働き方改革および生産性向上を推進する取り組みを実施している。
 
①取り組みⅠ:働き方改革の推進
適正な工期設定・施工時期の平準化などの取り組みを方針として掲げ、働き方改革の実現に向け、現場レベルでの意識の浸透および実施の徹底を図っている。
 
②取り組みⅡ:生産性向上の推進
BIM/CIM活用工事・業務の段階的な拡大を推進といったICTの全面的な活用や、全体最適の導入などを方針として掲げている。
生産性向上の取り組みに当たっては、インフラDXの取り組みと連携して推進している。

(2)令和3年度北海道開発局インフラDX・i-Constructionアクションプラン

インフラDX・i-Construction推進にあたり、アクションプランを策定し、「i-Constructionの推進」、「BIM/CIMの推進」、「インフラDXの推進」、「フォローアップ活動」について、具体的な取り組み項目を設定している(図-1)。
 
「BIM/CIMの推進」の中では、「BIM/CIM活用工事・業務のモデル事務所の取組を他開発建設部にも展開」を掲げ、BIM/CIM拡大に向けた取り組みを実施している。
 

令和3年度北海道開発局インフラDX・i-Construction アクションプラン

図-1 令和3年度北海道開発局インフラDX・i-Construction アクションプラン


(3)i-Constructionモデル事務所での取り組み

北海道開発局では小樽開発建設部(小樽道路事務所)が、i-Constructionの取り組みを先導する「i-Constructionモデル事務所」となっており、一般国道5号倶知安余市道路について、調査・設計から維持管理までBIM/CIMを活用しつつ、3次元データの活用やICTなどの新技術の導入を加速化させる『3次元情報活用モデル事業』を実施し、集中的かつ継続的に3次元データを利活用することで、事業の効率化を目指している(図-2)。
 
設計業務においては、橋梁の詳細設計にてBIM/CIMモデル化を実施、また、事業区間全体の航空測量を実施するなど取り組みを進めている。
 
工事においては、地盤改良工事におけるICTの全面的活用として、深層混合処理における「施工履歴データを用いた出来型管理要領」などに沿ったICT技術の活用を行っている。
 
トンネル掘削工事では、施工開始前の3次元モデルによる施工計画や安全性に関する詳細な検討を行っている。
これらの取り組みをはじめ、地山性状の3次元モデル化、内空変異の計測結果をモデル上に表示する危険性の可視化に関する取り組みを行っている。
また、鋼橋の上部工事では工場製作用の3次元プロダクトモデルを作成し、照査に活用したほか、3次元モデルに時間軸を導入し架設順序をシミュレートする4次元モデルとして施工計画に活用するなど、各工事でBIM/CIMが活用されている(図-3)。

倶知安余市道路

図-2 倶知安余市道路


4次元モデルによる橋梁架設計画

図-3 4次元モデルによる橋梁架設計画


(4)北海道開発局インフラDX・i-Construction先導事務所の設置

令和3年度のアクションプランの取り組みのひとつである「BIM/CIM活用工事・業務のモデル事務所の取組を他開発建設部にも展開」を推進するため、各開発建設部に「インフラDX・i-Construction先導事務所」を設置し、「i-Constructionモデル事務所」である小樽開発建設部(小樽道路事務所)のノウハウを全道に展開する取り組みを令和3年8月に開始した(図-4)。
 
全道14の先導事務所での取り組みとして、直轄工事・業務での取り組み推進や、高スペックPCなどの環境整備・研修受講などを優先的に実施している。
まずは先導事務所職員のスキルアップを図り、先導事務所から開発建設部内全体へ波及させ、将来的には各地域の地方公共団体や地域企業(工事・業務)の取り組みのサポートなどを目指している(表-1)。

北海道開発局インフラDX・i-Construction 先導事務所の設置

図-4 北海道開発局インフラDX・i-Construction 先導事務所の設置


先導事務所一覧

表-1 先導事務所一覧


(5)講習会や研修の取り組み

人材育成推進や地方公共団体・民間企業への情報共有を図るため、講習会や研修、セミナーなどを開催し、北海道開発局職員、地方公共団体職員、民間企業担当者を対象として、インフラDX・i-Construction・BIM/CIMの取り組みなどについて説明を行っている。
また、3次元測量機器の実習や3次元CADソフトの操作説明なども実施し、3Dデータを活用できる人材育成を推進している。
 
令和3年度はコロナ禍の影響もあり、講習会や研修の内容に応じて、全道の担当者を対象としたオンライン形式での講習会も実施している。

 
 

おわりに

北海道開発局では、地域を支える建設業の健全な発展を後押しするため、建設業などの働き方改革の実現と、建設現場の生産性向上に向け、引き続きBIM/CIM活用に関する取り組みを推進していく。

 
 

国土交通省 北海道開発局 事業振興部 技術管理課

 
 
【出典】


建設ITガイド 2022
特集1 建設DX、BIM/CIM
建設ITガイド_2022年


 
 

最終更新日:2023-07-14

 

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