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建設資材データベーストップ > 特集記事資料館 > 土木施工単価 > 第11回 産学官連携功労者表彰 国土交通大臣賞受賞 液状化調査の新革命 −地盤のリアルタイム液状化判定装置の開発−《前編》
(技術名:ピエゾドライブコーン(NETIS:TH-100032-A))

 

応用地質株式会社 エンジニアリング本部
地盤解析部 副部長 博士(工学)
澤田 俊一

 

1.はじめに

写真-1に写る私こと筆者は、地盤調査会社に勤める技術屋である。
とはいっても現場管理をするのとはかけ離れた“地盤解析部”に所属している。
 

写真-1 ピエゾドライブコーンと筆者

写真-1 ピエゾドライブコーンと筆者


 
日頃、コンピュータ相手に室内作業をして、現場には出向かないと思われがちな所属名称である。
この机上技術者がなぜ、地盤の液状化判定を行う新しい現場調査技術に挑んだのか。
また、現場をよく知らない門外漢だからこそ発想できたと言われる技術の背景。
さらには、現場で実用化される装置に至るまでの試行錯誤。
そして当然ながら、製品開発に係って頂いた磐石たる関係技術者に十分な感謝の意を表する意味も含め、開発経緯をここで紹介する。
 
机上従業する門外漢の技術者の発案から出発した“地盤のリアルタイム液状化判定装置:ピエゾドライブコーン”の開発経緯を通して、
地盤調査を身近に感じて頂ければ幸いである。
 
 

2.ピエゾドライブコーン

現在、ピエゾドライブコーン(英語名:Piezo Drive Cone)という技術は、
PDC(ピー・ディー・シー)という略称名で、地盤の液状化判定をリアルタイム、
つまり調査したその場でわかる原位置試験装置として、地盤調査屋の間では知られる地盤調査技術になっている。
 
一昨年(2012年)4月に、
一般社団法人 全国地質調査業協会連合会の新マーケット創出・提案事業制度を利用した“PDC コンソーシアム(http://www.PDC-cons.jp/)”が設立され、実務での適用機器に関する販売およびレンタルを開始した。
同時に、クラウドを用いたデータ整理方法の公開と共に、学識者委員会(委員長:東京大学 東畑郁生教授)が開催され、
技術の普及と共に、高度利用に関する研究活動を行っている。
 
ピエゾドライブコーンの命名者は、地盤工学分野での大御所といわれた元技師長である。
ある日突然、元技師長が会社に現れ、「昨日、自転車に乗っていて思い付いたのだが」と前置きをして、
“Piezo Drive Cone”でどうだ! 欧米人は“Piezo(ピエゾ)”を“ピッツ”と発音する。」と言い残し帰って行った。
そのため、命名者の意向に沿いしばらくの間“ピッツドライブコーン”と発音して紹介していた。
しかし、当然のごとく名称に関しては揉め、一般的な呼び方として“ピエゾ”と呼ぶことになった経緯がある。
 
この“ピエゾ”とは、ピエゾコーンの名称で呼ばれている地盤に貫入する際に間隙水圧を測定するコーン貫入試験名に由来する。
“Drive(ドライブ)”は、打撃貫入いわゆる動的貫入を意味している。
つまり、打撃貫入する際に間隙水圧を測定する動的コーン貫入試験法というのが直訳的な意味となる。
 
 

3.液状化しやすい地盤条件

今年で発生から50年を迎える新潟地震(1964年)をきっかけにして“液状化”という専門用語が生まれた。
今ではこの専門用語は、新聞紙面でもよく見かける一般用語になっている。
筆者はこの年に新潟に移り住み、新潟地震による液状化被害を直接体験している。
今でも当時の記憶は鮮明に残っており、液状化対策に貢献すべく決心した一事件である。
 
写真-2は、新潟地震から36年後に発生した鳥取県西部地震(2000年)の噴砂状況写真である。
液状化を専門とする技術者として、初めて地震被害調査に参加した時の写真でもある。
 

写真-2 2000年鳥取県西部地震での液状化現象

写真-2 2000年鳥取県西部地震での液状化現象


 
液状化は、地表面に現れる噴砂によって確認され、不同沈下や地盤流動により土木・建築構造物に被害を与える。
液状化しやすい地盤条件は表-1に示すとおり、地下水位が浅く細かい粒が少ないサラサラした緩い砂質土である。
このサラサラした緩い砂質土の空間的な分布状況を把握することが、液状化対策を設計・施工する上で重要となり、
地盤調査の出番となる。
 
表-1 液状化しやすい地盤条件

表-1 液状化しやすい地盤条件


 
 

4.地盤の“音”を聞く

ピエゾドライブコーンは、地盤調査方法の分類として“サウンディング”に属する。
サウンディングの“サウンド(sound)”とは、ここでは本来“探る”という意味である。
一方、スペルが示すとおり辞書を引けば“音”という意味も出てくる。
地盤を動的に叩くことにより、地盤が応答する音を聞くという意味もあると、低音弦楽器演奏を趣味とする筆者は勝手に解釈している。
 
ピエゾドライブコーンが音として聞いているのは地盤の間隙水圧応答である。
少し専門的にはなるが、間隙水圧とは、地盤の中の土粒子の間隙に存在する水の持っている圧力のことであり、
図-1に示すように、液状化現象を技術的に説明する場合に用いる[有効応力:σ’]を算定する際、
[全応力:σ]から引く水の分担する圧力[間隙水圧:u]のことである。
 

図-1 液状化現象の説明

図-1 液状化現象の説明


 
地盤の中で発生するこの間隙水圧が要因で、圧密沈下、降雨時の斜面崩壊、地震時の液状化問題等々の地盤災害が生じる、
と専門的解説に用いられている。
ピエゾドライブコーンは、
地震時と同じ動的な載荷環境下での地盤内部に発生する間隙水圧応答を測定するサウンディング装置である。
 
従来のサウンディング装置では、
“緩い”とか“締まった”とかの硬軟の判断は可能ではあるものの、緩い砂質土なのか軟弱な粘土なのか、
はたまた締まった砂質土なのか硬い粘土なのかという土質識別が原位置では判らないことが欠点となっていた。
 
ピエゾドライブコーンは、この欠点を解決すべく、地盤の中の土質識別を可能とした地盤調査法である。
地盤内にコーンを打撃貫入する時の間隙水圧を測定することで、土質識別をする方法の詳細は技術論文※1に委ねるが、
一言で言えば、「打撃貫入する際の間隙水圧の反応から土質識別をする地盤調査方法」である。
原位置で土質試料を採取せず、室内土質試験の実施無しに土質識別ができる技術としたことが、新革命と表題とした由縁である。
 
 

5.リアルタイム判定

最大の特徴は、地盤に打撃貫入する先端コーンの内部に高精度の圧力センサを組込み、
動的貫入時に間隙水圧応答を計測する仕組みにある。
 
地上部には非接触式で高速度応答を有する変位計を配置し、
1打撃ごとの地盤中に発生する過剰間隙水圧応答と貫入変位量の測定を同時に行っている。
 
試験装置の全体概要図を図- 2に、圧力センサを組込んだ先端コーンの写真と構造図を図-3に示す。
 

図-2 ピエゾドライブコーンの装置概要

図-2 ピエゾドライブコーンの装置概要


 
図-3 先端コーンの構造

図-3 先端コーンの構造


 
試験装置は、1打撃ごとの貫入量から貫入抵抗Nd値を算出する。
Nd値はボーリング調査で実施される標準貫入試験のN値と等価な地盤の貫入抵抗値である。
同時に、測定された間隙水圧応答から土質識別を数値化する細粒分含有率FCを推定する。
 
図-4に従来の原位置調査と室内土質試験を順次に行い液状化判定する流れを示す。
 
図-4 原位置試験と室内土質試験を実施する従来法

図-4 原位置試験と室内土質試験を実施する従来法


 
従来法では、
設計者が“液状化する”のか、“液状化しない”のかを知るまでにボーリング機械が原位置に入ってから10日以上もかかってしまう。
 
図-5に細粒分含有率FCの推定を原位置で行うピエゾドライブコーンでの液状化判定の流れを示す。
 
図-5 ピエゾドライブコーンを利用したリアルタイム判定

図-5 ピエゾドライブコーンを利用したリアルタイム判定


 
パーソナルコンピュータとインターネット環境があればクラウド利用により、原位置でリアルタイムに液状化判定が行える。
 
 
 

参考文献

※1 Sawada, S. (2012) : Use of Piezo Drive Cone for evaluation of subsoil settlement induced by seismicliquefaction, Second International Conference on Performance-based Design Earthquake Geotechnical Engineering, Taormina, Italy, 15-25.
 
 
 
第11回 産学官連携功労者表彰 国土交通大臣賞受賞 液状化調査の新革命 −地盤のリアルタイム液状化判定装置の開発−《前編》
第11回 産学官連携功労者表彰 国土交通大臣賞受賞 液状化調査の新革命 −地盤のリアルタイム液状化判定装置の開発−《後編》
 
 
 
【出典】


季刊土木施工単価2014年春号
季刊土木施工単価2014年春号
 
 

 

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